庭の住人2〜白面〜
ふとした闇の中に居た人を、あなたはどう思いますか?
普通の人?では本当にその人がこの世の者か断言できますか?
私は時々その判別が付かない時があります。
今も延々庭を歩き続ける”彼”なら尚の事…あなたの側にいるその人、本当に生きてますか?
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私は新作のゲームソフトのプレイに熱中していた。
周りでは家族が家事をしたりテレビを見ていたりと、いつもの光景が見られるだけで、別段気にする事は無かった。
しかし、人間というものはいつもと違う何かをふと気にしてしまう所があるらしい。
私は自分の座っている居間から見える庭を何気なく見ていた。
前話した通り、この庭では奇妙な事が起きている。
夜中になるとこの庭を見えない誰かが歩き続けている。
私の家族はその頃には眠ってしまっているが、私の場合これを書いていたり、本を読んだまま長く時間を過ごしてしまったりと、俗に云う夜更かしをよくしているので、よく”彼(または彼女)”が歩いている音をよく聞いてしまう。
今、庭には夏という事もあって簾(すだれ)が掛けられている。
…夏の風物詩だ。
しかし、それを押しのけるようにして誰かが立っているのはどうなのだろうか。
真っ黒な服を着ているのか、夜闇のせいでその体の輪郭は定かではない。
だが、その顔だけは妙にはっきりと私には見えた。
…白いのだ、凄く。
つるりとしたその顔はとても白く、凡そ人間のそれとは違った。
以前のように泥棒かと思ったが、その姿はこの世の者ではなさそうだった。
外に人間がいればすぐに吠えるうちの飼い犬も、全く吠えようともしない。
何度も庭に面した出窓の側を通る妹や母さえも、その存在に気が付いていないのだ。
やがて、白面の顔の形はしっかりしているくせに、表情の掴めない不気味な人影は、簾の後ろに消えていった。
…私は、すぐに簾の後ろを見たが、そこにはすでに…誰もいなかった。
「ばあちゃん、この簾、三日前から掛けてあったよなあ?」
「そうやけど、何?」
私が奇妙な事を云っているとお思いだろう。
さっき、私は「簾を押しのけるようにして」その誰かが立っていた、と云っているのだから。
実は、私にはその誰かが見えた時、簾そのものが消えて見えたのだ。
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庭の中から家の中を眺めていたあの人影は、一体なんだったのでしょうか。
ただただ庭を歩き続けるあの足音と、何か関連があるのでしょうか。
…あまり確かめようとは思いたくありません。