グリナリー野菜市場にて

グリナリーとは、1万人以上の野菜生産者からなる組合によって運営されている、市場・販売組織です。せり市場は国内に9ヶ所あるそうです。今回訪問したのはバーデンドリヒトの市場。

以前の市場では、狡猾な運営で、生産物は安く買い叩かれていたが、生産者が自ら組織を組んで集荷から品質管理、販売まで行うことで、生産者から流通業者・消費者までがメリットを享受できるシステムになっているそうです。

いまや日本でもおなじみのオランダパプリカはグリナリーによって輸出されています。東京に事務所も構えているそうです。

野菜はなんとトラクターで持ち込まれます。大生産地と市場が集中しているウエストランド地方ならではの光景でしょうか?そこで荷下ろしをする前に品質検査を受け、予冷(収穫してから出来るだけ早く冷却すると日持ちが良くなる)を行います。

品質基準ではクラス1と2に分類され、主にクラス1は輸出用、クラス2は国内用だそうです。クラス1は箱詰めで、包装などを施し、農薬は一切使用禁止。クラス2は通い箱です(段ボールでも何度も使うそうです)。

(典型的なオランダの果菜3種、赤パプリカ、40cm級のキュウリ、つる付トマト)

生産者がクラス1の梱包で持ち込んでも、検査でクラス2に落とされるかわいそうなケースもよくあるそうで、過度とも評される、グリナリーの厳しい姿勢がうかがえます。品質とは、日本のようにサイズや見た目ではなく、鮮度と安全性のことであり、一見しただけではクラス1と2の見分けが付かない位です。日本まで空輸されているようなものは、まさに最高品質、ということらしいです。

これほど品質管理が徹底していると、買い手側も、品質は完全に信用し、数量と価格に集中できるというわけで・・・

せりは電光式時計盤を利用して行われ、短時間に大量の取引が可能です。写真のように、車椅子で買い付けに来ているバイヤーもいました。

グリナリーは、いかにもヨーロッパらしい合理的なシステムですが、園芸王国・オランダが生き残るための必然的な形ともいえるかもしれません。

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