それでは夏暑くて冬寒いのは当然です


展示場では誰も気付かないこんな落とし穴

 私は良く建売や完成現場見学会に足を運びます。
家を建ててもう何年も経ちますが、こんな事(ウェブマスター)をしているせいか、みなさんからのご質問に的確な御答えをする為に未だにあしげく通っています。(と我妻には言い訳をしてひっぱり回してしますが、、)
我が家の回りには、沢山新しい造成地や住宅地が出来て、さながら各メーカーの展示会の様な感じで、ありとあらゆる工法や仕様を見る事が出来てとても楽しいんです。輸入住宅から土壁の本格的な在来(農家の立派な家)までです。
(結局は楽しいから行っているだけ〜)
数年前から地中海風と言いますか、塗り塗りしたオレンジ色の壁が私個人的には御気に入りで、オレンジっぽい色のまだらな丸い瓦(のようなもの)と壁とあいまって、別世界にいるようで好きなんです〜。でも中を拝見した時に余りにもジャパネスクだったので、メンくらった事もありましたが、、、、、
やはり外観と中の印象が余りにも違うのはどんなもんかな〜っと、、、、、、、、

 話は変わりますが、みなさんも家を建てようと思った方なら、住宅展示場や完成現場見学会に足を運んだ事は1度や2度ではないでしょう。
ではそんな皆さんにお聞きします。

住宅展示場に遊びに行った時、そのモデルハウスはどちらが南でしたか?
その家は方角を考慮して建てられていましたか?


恐らく皆さんは方角を気にしてモデルハウスを見ていないと思いますし、モデルハウスも方角を気にして設計している物は少ないでしょう。
これは当然と言えば当然で、モデルハウスは人が住む為に作られた家ではありませんから、実際に住むとなると一番気になる方角と家の向きと言うのは、考慮されていない場合が多いと思うんです。
 住宅展示場では、家は道路(通路と言うべきかな〜?)に面して一番見栄えがするように作られています。当然メーカーとしては、モデルハウスは何百万何千万もする広告です。(事務所にも使っていますが、、、)お客さんが入りやすい様に、目にして好印象を与えるようにを第一に考えて家は作ってあります。

それでは、そのモデルハウスの空調はどうでしたか?
私は今まで見てきたモデルハウスの中でセントラルヒーティングではない家は見た事がありません。
どの家も、どの部屋も、とても快適な温度で私はついつい長居をしてしまうんですが、あるモデルハウスの2階の子供部屋にいた時ふと思ったんです。

「この部屋はロフトが付いていて明るくて良い感じだな〜。日が直接差し込んで日向ぼっこしているみたいな部屋だな〜、、、、、、
待てよ〜。これ夏だったら暑くて居られないな〜。ロフトの天井には天窓があって明るいけど、夏直接日が差し込むし、窓は埋め殺しで風も抜ける場所がないな〜。

そうなんです。モデルハウスは見栄えと採光を重視していますから、実際に住んでみた時に感じる暑い寒いというのはあんまり考えられてないみたいなんです。「動線や風通を考えた設計」なんて歌い文句を目にする事がありますが、そんなモデルハウスでも実際に窓を開けて風を通しているモデルハウスは見た事がありません。セントラルヒーティングで屋内をくまなく空調していますから〜(実際はあるかも、、、、)

完成現場見学会・建売で気になる〜

 家を建てようと本気で思った方は完成現場見学会に、建売を買おうと思った方は実際の物件を見に行かれた事と思います。
私はモデルハウスより、こちらの方が大好きなんですよ〜。
どちらもモデルハウスとは違い、限られた予算内で実際に住む事を前提に建てられた家ですので、実に参考になるんです〜。
 私が家を建てる前には近くで開かれる見学会には必ず参加していましたし(おかげで我が家には記念品のタッパーがいっぱい〜)、家の回りにある建売は片っ端から見に行きました〜(100件近くみました〜)

建売と注文住宅。これが実に面白くって、住む為に建てられた家と言う面では同じなんですが見てみると全然違うんですよ〜。

基本的に建売は建築士が販売価格を想定して、どのランクの人をを対象にするかを考えて、(いやらしいですが事実です〜)間取りや設備、クロス等は万人向けで標準的なものを設計するんだと思います。だから建売はどれも同じような外観で同じような作りになるんだと思います。
しかし、注文住宅は始めに施主ありきで、施主の考え次第で1つ1つの材料や間取り、設備に至るまで吟味されています。中にはびっくりするほど大きなキッチンで部屋の真中にシンクのある家や(アイランドキッチンって言ってたな〜)、何に使うのか怪しげな隠し部屋がある家等、実に多種多様で、施主の考えや拘りが伝わってくる家が多いのです。
そんな中から、随分私の家も参考にさせて頂いた所が沢山あります。

逆に建売を見ても随分勉強になる事があります。それは、一般的で万人向けに作られているからこその機能的で無駄のない間取りや設備です。
本来、私は廊下は無駄だと思っています。ただ人が通るだけのスペースは極力無いほうが、スペースを有効に活用できると思うのです。でもどうしても諸所の要望をクリアーさせようと思うと(リビングを大きくとか、キッチンは別の部屋にとか、和室はここに作れとか)廊下が出来てしまう事も多々あるのです。しかし、建売の場合そのような無駄が本当に少ないのです。それは、小さな敷地を小さな建坪で出来るだけ有効に使うと言う事に主眼に置き、無駄な拘りのない機能第一を考えた家だからだと思うんです。
ただ、その無駄を楽しむ事が出来るのも注文住宅ならではなんですが、、、、、

私は建売を見るとき、実際にその家で住む事を想像するんですが、そんな時いつも???と思うのがコンセントの位置なんです。
建売の場合、部屋の形やドアの位置等で、家具の配置や生活形態が決まってしまいます。これは新しい生活に合わせて家を建てる注文住宅とは逆で、家に生活を合わせると言う事に他ならないのですが、生活を合わせようと思って、家具を想像で置いてみると、いっつも家の中の何ヵ所かはコンセントがとんでもない所に設置してあるのです。
得に多いのが台所なのですが

「ここに食器棚〜、この大きさだと1.5間の食器棚しか置けないな〜って、なんでこんな所にコンセントが、、、、、、??」
「レンジ台はここに〜って、コンセントは何処から持ってくる???」
「冷蔵庫はここに〜ってこのサイズじゃ今の冷蔵庫は置けないな〜」


なんて具合です。これについてはホームページ本文に写真入りで説明してあったと思いますので、これくらいにして、、、、、、、

ここからがやっとこのページの本題にはいります。
(前置きがいつもながら長くてごめんなさい〜)
色々な完成現場見学会や建売を見に行った時に、私はある事に気がついたのです。
それは洋風の家よりも、和風の家の方が相対的に涼しいと言う事です。
こう書くとそれはおかしいと言う抗議のメールを頂きそうなのですが、私は本当にそう思ったのです。
夏のある日,建売の家を見に行き2Fにあがった所、あまりの暑さに息が出来なくなる程でした。

随分考えました。なぜ洋風の家の方が暑いのか、、、、、、
そして、ある事に気がついたのです。
決して洋風の家全てが暑いのではなく、総2階の家や屋根の無い家が得に暑いと言う事を、、、、、、

高断熱では家は暑くなる

最近では高断・熱高気密が良いと、猫も杓子も、どの家も高断熱・高気密仕様です。
もちろん我が家もそうですが、それでは高断熱・高気密にすれば、快適な家になるのでしょうか?
そう思っている方がいらしゃたっらそれは間違いかもしれません。
熱を遮断すると言う事は屋内が暑くなっても冷め難いと言う事ではないでしょうか?
高気密と言うのは、屋内の汚れた空気はいつまでも屋内に留まると言うことではないでしょうか?
それでは、それを防ぐ為にセントラルヒーティングにして換気システムを入れるから、家は快適だとおっしゃる方、それは間違えではありませんが、それは人間のエゴ(エコではない)ではないでしょうか?無駄なエネルギーを消費して自然を支配する。人工的に環境を作ると言う欧米の発想ではありませんか?

今一度自然と共存する和の精神を見なおしてみては如何でしょう?

家は明るい方が良いですよね〜。その為に窓を出来るだけ大きくとりたいと思うのは、自然な事です。窓が大きくなるとそこから熱の出入りが起こるので、ペアガラスにします。
ここまでは良いのですが、ペアガラスにすれば熱の出入りは無くなるのでしょうか?
答えはNoです。
ペアガラスは直接的な熱のやり取りはかなり少なくしてくれます。しかし物を熱するのは直接の熱伝導だけではなく、その多くは赤外線による所が大きいのです。ペアガラスでは赤外線はカットしてくれませんので、屋内は輻射熱によって、熱せされてしまうのです。

そりゃー多少はあるでしょうと思われるかもしれませんが、家の建て方次第では、多少どころか、目玉焼きが焼ける位の(かなりオオバーかな?)熱が家の中に入り込んでしまうのです。
輻射熱とは直接熱が入ってくるのではなく、太陽光の当った部分が熱を帯びる事で車の中の温度よりも、ダッシュボードの温度の方が熱いのはこの輻射熱のためです。

ではこの輻射熱はどうすれば防ぐ事ができるのでしょう?
その答えは以外と私達の周りに当たり前のようにあって、忘れがちな所にあるのです。


夏暑い熱い家はこんな感じ〜

左の絵は総2階切妻屋根の家ですが(見えるかな〜)ご覧のように、この状態では夏場、日光は直接屋内に入ってしまい、それによって輻射熱が屋内に発生して、高断熱も高気密も、その熱を屋内に留めておく為の物になってしまいます。

黄色く見える部分は、直射日光により熱せられる部分ですが、サッシの部分は樹脂やLOW-Eサッシ等を使う事で多少は緩和する事ができますが、屋内部分のガラス面はどうする事もできません。
赤外線カットガラスもありますが、多くは次第に効果は無くなる物らしいです。



1Fが暑そう〜。夏は日光は高い位置から降り注ぎます〜

左の絵は総2階寄棟の家ですが(見えるかな〜)ご覧のように、この状態なら2F部分は屋根に遮られて直射日光は入ってきません。

実際は屋根裏の熱気が2Fに降りて来る為、1F2F共、それ程温度の違いは感じる事はないでしょうが、、、、

黄色く見える部分が、直射日光により熱せられる部分ですが、1F部分にも小さな張りだしを付ける事によって直射日光が避けられる事は想像できると思います。

見るからに涼しそう〜。昔はこんな家が日本家屋の主流だったのでは?

左の絵は寄棟で(古くからある家はほとんどこのタイプですね。

いかがですか?
これなら屋内に直射日光が入りませんから、輻射熱によって内側から熱せされることは有りませんね〜

自然と共存する、自然を利用すると言う、日本文化は素晴らしいと思いませんか?

その上、本瓦は断熱性が高く、屋根に敷いた土と合間って屋内は実に涼しいのですよ〜。

冬だって暖かいんです〜

左は寄棟の冬バージョンです。

ご覧下さい。夏の直射日光は高い位置から降り注ぎますから屋根はその直射日光を遮りました。
逆に冬は太陽は低い位置を回りますので、ご覧のような角度で太陽光は屋内に入ってきます。

これなら冬は直射日光を屋内に取り入れる事ができ、冬場でも明るく暖かい家になる事は御解り頂けると思います。

ご覧のように、1F2F共に屋根(ゲヤ)があると、夏場の直射日光を避ける事が出来る事は御解り頂けたと思います。

欧米は、人類が一番えらい!と言う人類至上主義に支配されています。私は学生時代、化学科(でも中退)なので、ここで詳しくは御話しませんが(ぼろが出る〜)、最近の家はこの思想の元に作られているような気がして仕方が無いのです。
自然を支配して快適な空間を人工的に作る。みなさんはそう意識していないと思います。
でも私自身、知らず知らずの内に良い風が吹いていても、窓を閉めてエアコンをかけてしまう事はあります。この行為をしたから人類至上主義だと言うつもりはないですが、やはり何処かで利便性を考えてしまう感は否めません〜。

快適な暮らしを求めるのは自然です。ただ、よ〜く考え今一度回りを見渡すと、最新のテクノロジーを使わなくても快適に生活する為の知恵は身近な所にあるのです。
家を建てる時、土地は一番大切なファクターです。これは交通の便や水はけ、地盤の強度やご近所の事だけではありません。
その土地には季節によってどんな風が吹くのか?
その土地には季節によって、どの程度雨や雪が降るのか?
その土地には季節によって日の当り方はどの様に変化するのか?
そんな1つ1つが家を建てる上ではとても大切なのです。

日の当たる角度や時間が解ればどの位の屋根の大きさ(軒下の長さかな〜)にすれば、夏の日差しを遮る事ができるのかが見えてきます。しかし、あまり大きすぎると冬場屋内に日の光が入らなくなってしまいます。そんな事を考えて、その土地土地にあった住み方をする、自然と共に生きると言うか、自然を利用して快適に暮らすと言う精神こそが、日本の住文化だと私は思うのです。

それ以外にも、よしずやすだれは直射日光を防ぐ為の知恵ですよね〜。

みなさんは、今お考えの土地に四季どんな日の光が降り注いでいるか、ご存知ですか?
今打ち合わせ中のその間取り、1年を通して、どんな風が、どんな日の光がマイホームに差し込むか想像できますか?

日本の夏、〇〇の夏


みなさんは打ち水と言う言葉と言うか習慣をご存知でしょうか?
玄関先に夕方ひしゃくで水をまく光景。時代劇ではたま〜に見かけるのですが、これこそ日本人が快適に暮らす為の知恵だと思います。
水は気化する時に気化熱を必要とします。(熱を奪うんですね〜)日中熱くなった地面に夕方水をまく事によって、水は気化し地面の温度は下がります。気化した空気と周りの空気との間に温度差が生じ、空気は移動します。これが風となって体感的にも涼しく感じるのです。
私は夏になると庭に植えてある芝に夕方、水をやる事にしています。これによって夜多少は涼しい気がしますし、しかも芝へのみずやりは夕方やるのがベストなので1石2鳥です。