俳句
ミントのグランマ
名園に 鴨一羽見る京の旅
一羽来て 一羽去りたる 鴨の池
本堂の 欄干の朱に 白き雪
雪間より 声なき花の 気配かな
独り居の 雪より白き 思ひかな
竜の玉 一粒母に 上げまほし
雀どち 寒九の水に 遊びをり
ランプの灯 恋ひ雪女 来るといふ
枯葉焚き 命なきもの 思ひけり
夕焚火 気付けばあたり 暮れてゐし
燕
ミントのグランマ
燕よつばめ夕明りの私の庭に来て
三羽四羽五羽とあんなに嬉しそうに
スイスイと自由に表裏を見せながら
みごとに早く風を切って
そして去って行った
苦悩して居た私に喜びのかけらと
私が何であるかを教えながら・・・・
つばめよつばめ そう大空も木も私達も
貴方達も全て神が創造されたと事を
忘れて居た私
神の御言葉は鳥となって私に何かを教えて
そして去って行った。
ピエロの顔
ミントのグランマ
『そんな悲しい顔をするんじゃない』
手鏡の中のしおたれた女に向かって言う
体の中に潜んで居るまだ成長しきれない魂は
『此の顔に私の心がべったりと写って
居るんだよ』とつぶやく
『ひとりぼっちは沢山居るよ甘えんじゃない』
第三者は言い放つ
『此世は比較の人生だけど
この悲しみは私一人のもの』
手鏡のわたしは、肉体の中に潜む
私の心と、第三者があやつる『ピエロ』
沢山の心であやつられて居る『ピエロ』
葉脈だけの葉っぱ
ミントのグランマ
歯を磨いて居る指を鏡の中の陰を忘れ
難くて、ちびた歯ブラシを毎月見つめました
三回忌が過ぎて歯ぶらしをとスリッパを
捨てました
「コトン」と胸の中で音がして心の中の暗闇を
それらは落ちていきました
それからは家の模様替えをして
喋り笑いくる/\/\仂きました
「一匹女狼だぞ」とふざけながら
だけれども
強がって居るけれど
歯脈だけの落葉の様に
私の心は深い森の中で まだ一枚だけ落ち
て居て思い沈んで居るのです