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血液検査
血液一般検査
血球数、血液像検査:血液の中の血球成分について検査するものです。動物用自動血球計数機で
計測したり、血液をスライドガラスに薄く塗りのばして染色した標本(塗抹標本)を顕微鏡で観察したりします。
WBC(白血球) 体内進入した細菌やウイルスなどの異物を細胞内に取り込んだり、免疫抗体を作って殺したりする働きをしています。白血球には、好中球・好酸球・好塩基球・単球・リンパ球などの種類があり、塗抹標本を顕微鏡で観察することで分類できます。一般に、細菌に感染すると白血球数が増加します。
白血球数は自動血球計数機で、白血球分類は塗抹標本の顕微鏡観察で検査します。
RBC(赤血球) 肺からからだに酸素を運び 、不要になった炭酸ガスを肺で廃棄する役目をします。赤血球数が減少すると貧血になり、増加すると多血となります。赤血球数や赤血球の大きさは自動血球計数機で、赤血球の形(正常なものは真ん中をつぶしたあんパンのような形)は塗抹標本を顕微鏡観察して検査します。
Hgb(ヘモグロビン) 赤血球に含まれている色素で、赤血球のはたらきのなかでも最も大切な酸素の運搬を担っています。自動血球計数機で計測します。
Hct(ヘマトクリット)血液中の血球の容積の割合(%)をいいます。自動血球計数機で計測します。
赤血球恒数
MCV(平均赤血球容積)
MCH(平均赤血球血色素量)
MCHC(平均赤血球血色素濃度)赤血球恒数は、赤血球数とヘモグロビン値とヘマトクリット値から計算されます(自動血球計数機が算出します)。
MCVは、赤血球の大きさを示します。数字が大きければ大型の赤血球、小さければ小型の赤血球ということになります。
MCHは、赤血球にヘモグロビンがどのくらい含まれているかをあらわします。
MCHCは、赤血球の体積あたりのヘモグロビンの量を表わします。
これらを組み合わせてみることで、貧血のタイプが分けられます。
PLT(血小板) 小さく粘着性がある血球成分です。血管が傷ついて出血が起こると、その損傷した部分の血管壁にくっついて出血をとめる働きをします。血小板数が減少する(3万/μl以下)と出血しやすくなります。栓球とも呼びます。自動血球計数機で計数します。
網状赤血球 未成熟な赤血球で、成熟赤血球になる直前のものです。特殊な色素で染色すると内部に網目状の模様がみられることからこう名付けられており、造血機能の程度をみる目安となります。特殊染色した塗抹標本の顕微鏡観察で検査します。
血液凝固系、線溶系検査:血液凝固系とは、血液を固まらせて出血を止める(止血)ための一連の
働きのことです。
I(1)からXIII(13)までの因子が関与することがわかっています。血液が凝固を開始するのには、血管内(内因系)
と血管外(外因系)凝固因子からはじまる2つのルートと、その後につながる共通系があります。このようにして
凝固した血液によって傷口の出血はとまります。
線溶系とは、凝固した血液のかたまりを溶かす働きをいいます。凝固血がいつまでも傷口に存在し続けると血液
の流れを阻害することになり、今度は体にとって有害になってしまうため、役目を果たした凝固血は線溶系によって
分解される必要があるのです。
生体では、凝固系と線溶系がバランス良く働くことが必要となります。
PT(プロトロンビン時間) プロトロンビンは、血液凝固第U因子です。プロトロンビン時間は、外因系の凝固第VII因子と共通系因子の異常を調べるためにおこなう検査です。血液が凝固しにくくなると、この時間が長くなります。COAG2Vで検査します。
APTT
(活性化部分トロンボプラスチン時間)トロンボプラスチンは、血液凝固第V因子です。活性化部分トロンボプラスチン時間は、内因系の凝固第VIII、第IX因子と共通系因子の異常を調べるためにおこなう検査です。血液が凝固しにくくなると、この時間が長くなります。COAG2Vで検査します。
Fib(フィブリノーゲン) フィブリノゲンは、血液凝固第I因子です。肝実質細胞で産生されて、約80%が血液中に存在します。血液凝固の最終段階で、トロンビンによってフィブリンに変化して血液を固まらせるという役割をしています。また、血小板の凝集反応や創傷治癒にも関与しています。また、炎症があるときには増加します。COAG2Vで検査します。
血液電解質検査
カリウム、ナトリウム、クロール、カルシウム、リンなどの血液中の電解質は常に一定の値を保っています。
長時間連続しての点滴輸液時には、繰り返してのチェックが必要となります。
カリウム
カリウムは、ほんどが細胞の中に存在します。血液中のカリウム濃度は、消化器や腎臓の影響を受けます。嘔吐、下痢などで低くなり、腎臓機能が低下して腎不全になると高値になります。
ナトリウム 大部分が細胞外液に存在することから、血液中の濃度は、水分バランスの指標となります。 脱水、低蛋白血症、摂取過剰、内分泌疾患などで高値となり、消化器疾患(嘔吐、下痢)、尿細管性アシドーシス、アジソン病、ネフローゼなどで低値となります。
クロール 大部分が細胞外液に存在します。血液中の濃度は、 脱水、低蛋白血症、尿細管性アシドーシスなどで高値を示し、消化器疾患(嘔吐、下痢)、利尿剤投与、急性腎不全などで低値となります。
カルシウム カルシウムは、ほとんどが骨の中に存在します。血液中のカルシウム濃度調節には多くのホルモンがかかわっています。リンパ腫、原発性副甲状腺機能亢進症、多発性骨髄腫、悪性腫瘍骨転移、甲状腺機能亢進症、ビタミンD中毒などで異常高値となり、ビタミンD欠乏、副甲状腺機能低下、慢性腎不全などでは異常低値となります。
無機リン リンは、糖代謝やエネルギー代謝に必要な電解質です。腎不全、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、ビタミンD過剰摂取、末端肥大などで異常高値となり、ビタミンD欠乏、原発性副甲状腺機能亢進症、くる病などで異常低値となります。
血液生化学検査
血液を遠心分離して得られる液体部分(血清または血漿)を生化学的に分析する検査です。
ドライタイプの生化学自動検査装置を使用します。
この検査により、特に内臓系の肝臓や腎臓の異常をチェックすることができます。