心電図検査

心電図検査(通常)

 心電図検査とは、心筋内の電気信号の流れの状態を測定する検査です。
心筋収縮の異常を電位変化から読み取ることで、心臓に異常がないか調べます。
犬や猫の通常の心電図検査では、右下横臥の状態で、四肢に電極をとりつけ(肢誘導といいます)て
検査します。検査時間は5分程度です。
 

正常心電図
(犬)
正常心電図
(猫)
不整脈(期外収縮)のみられた
心電図(犬)


心音図検査

 心臓が拍動して血液を送りだそうとするときに心臓内の弁が開閉し、それによって一定の音を発生させる
音を心音といいます。心臓に何らかの障害があると、普段とは違う音が生じます。これを心雑音といいます。
聴診器で注意深く聞き取ることで、その発生場所や種類を聞き分けられますが、微妙な雑音や聞き分けに
くい雑音などは、特殊なマイクロフォン(心音トランスデューサーといいます)で電気信号に変えてグラフ化する
ことで分析しやすくなります。これを心音図検査といいます。

  心雑音のない犬の心音図
    (Filter : M1 )

 PDA(動脈管開存症)の手術後、心雑音が消えた犬の心音図を中低音フィルター(M1)で記録したものです。I音(S1)とII音(S2)がはっきりと区別できます。

  心雑音のない犬の心音図
  (Filter : M2 H )

 上と同じ犬の心音図を中高音フィルター(M2)と高音フィルター(H)で記録したものです。同様に、I音(S1)とII音(S2)がはっきりと区別できます。
  心雑音のある犬の心音図
    (Filter : M1 )

 連続性心雑音が聴取された患犬の心音図を、中低音フィルター(M1)で記録したものです。I音(S1)とII音(S2)はかろうじて区別できますが、連続する心雑音のために基線がわからなくなっています。
  心雑音のある犬の心音図
  (Filter : M2 H )


 同じ患犬の心音図を、中高音域フィルター(M2)と高音域フィルター(H)で記録したものです。連続する心雑音で、I音(S1)とII音(S2)の区別が困難になっています。 この患犬は、雑音のタイプと最強聴取部、および心エコー検査によりPDA(動脈管開存症)と診断し、開胸手術により短絡血管を結紮遮断しました(上2つは、同患犬の手術後のものです)。


24時間心電図検査(ホルター心電図)

 通常の心電図で記録する時間は、長くても数分以内に過ぎません。
また、来院時は緊張や興奮のために、日常の心臓の状態を検査できているとは限りません。
とくに不整脈の診断では、来院時の検査だけでは不十分な場合があります。
24時間心電図検査とは、このような問題点をカバーするための心電図検査法です。
動物の胸の毛を刈りって貼り付けた電極に、小さな記録装置をとりつけて、日常生活時の心電図を
24時間にわたって記録します。
ホルター心電図検査は、下記のような目的で実施します。
 
 ・ 記録中にみられた症状と心電図を比べることで、症状が心疾患によるものかどうかを鑑別する。
 ・ 不整脈の診断と治療効果の確認。
 ・ 心拍数のコントロールなど、心不全投薬治療の効果を確認。

  正常部分の圧縮心電図

 右の画が、解析画面です。
一番上に、24時間の心拍の変化が表示され、下段には20秒から60秒分の心電図が圧縮されて表示されます。ここに表示されている範囲では、とくに異常はみられません。
   正常部分の拡大心電図

 右のように、確認したい部分を通常の心電図と同じサイズで表示させることができます。
    期外収縮発生時の
     圧縮心電図


 右図は、期外収縮が認められたときのものです。圧縮心電図の上段右端から中断左端にかけて心拍の乱れが認められます。
    期外収縮部分の
     拡大心電図

 乱れがみられた部分を拡大すると、期外収縮であることがわかります。




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