2018(平成30)年 ガス釜の改善加工

この窯も制作してから15年、約350回の焼成に使ってきました。
使用上何ら問題はないのですが、扉の断熱効果を向上したいと考えていましたので今回実行しました。
断熱耐火性の厚さ25mmのアルミナプレートを耐熱セメントで貼り付けます。

 一回目は一枚の物を
耐熱セメントで貼り付けました。
1250℃で焼成したところ
僅かに収縮して周囲が剥がれました。
二回目は収縮を逃がすために  
板を分割して耐火セメントで貼り付け、
更にステンレスの太ねじで本体の耐火れんがに固定しました。
ステンレスのネジは熱劣化しますが、耐熱セメントで固着するでしょう。


2003(平成15)年 新規ガス窯の製作

以前の窯は新居に移り住む際に取り壊してしまった。
作陶活動をするには不可欠であるが、購入するには運送・設置にも費用が掛かりすぎる。
そこで、またしても設計から製作まで自分の手で行うことにした。
形状や大きさを決めるために約2ヶ月・図面は20枚ほど書き直した。
材料の世話をしていただいた鉄工所や、要点などを教えて頂いた築炉屋さんには感謝の意を表したい。

以下に時系列的な製作過程を記します。

先ずは窯の入れ物作り。
内部で火を使うので
不燃性が好ましい。
プレハブ物置に
まどなどのオプションを追加

組立は初体験
基礎は転圧機で固め、図面寸法に合わせて位置決め 床は約1トンの窯に耐えられる様に補強の鉄材を入れ 換気と採光を考慮したオプションの窓
←← 仕方が無いので
   全体を約1センチずらした
   そのために
   少し基礎と合わなくなった
電気を外部から取り込むために
側板の一部を切り抜いた
殆ど組みあがり垂直・水平を確認 「ぴったりだ!」 しまった! あまりにも正確すぎて本体のサッシ網戸が引っ掛かる
窯本体のフレーム製作

アングルは
@ 40×5mm
A 40×3mm
B 30×3mm
を使用した。
もう一回りづつ大きくすべきだった
切断機は借用品 溶接機は自前(前もって200Vの取り出しをしておいた) 全体に直角に作ることの難しさを痛感した
ここで又失敗 底の鉄板の前後を
間違えた(レンガ積みの時に気付く)
まずまずの出来と一応納得していた 扉も同様にして作成した  蝶番は溶接用のものを購入
いよいよレンガ積みの開始

高温部の内貼りは高級品を使い
煙道や煙突は
安価な断熱耐火煉瓦を使う
レンガの外は厚さ2.5cmの
シリカボードで囲う
耐火モルタルを良くこねる レンガの配置を再確認 煙道部分と煙突の
下部から取り掛かる
← 高く積むに従って
手が届かなくなる
仕方なく中に入ってしまう
底の部分はバーナー焚き口に合わせて穴を加工する 周辺のレンガを積み上げていく ちょうど一人焼ける大きさ??
ドアに断熱耐火煉瓦を取り付ける

当初は外壁にシリカボードを
張る予定でいたが
強度を考えて急遽レンガだけに変更。
これでドアと本体との咬み合わせ寸法が
設計と変わってしまった

モルタルだけではなく

レンガに切込みを入れて
ボルトで固定

ボルトは外部から締め付ける

本体と同時にレンガを     
  積み上げていく
 →→
  ←←  扉の覗き孔には
取り外しのできる
栓を作る
← 扉の押さえ金具は
ボルトで押さえる力を
調節する
一番重要な天井
(せりと言います)

ここは万が一失敗すると
全部一からやり直し

特に慎重に行った


セリ用のレンガ
テーパーになっている

半径約50cmになる
全部積み終ると
60〜70kgになる


 
重量に耐えられる
丈夫なものが必要


出来上がった木型を
取り付けて位置決め


木型に沿ってレンガを



天井に温度計用の貫通孔を開け
セラミックウールで更に保温をした
外す時のことを考えながら 積み足し成型する 仮に組み付けた後本積みを
煙突を作る

排気ガスは相当な高温になるため
雨仕舞いが難しい。
専用の煙突は高額になる
従来から採用してきた二重構造にした

この構造は窯場内の温度上昇を
防ぐ効果にも寄与する
内部煙突は内径15cm・外部煙突は内径20cm
このサイズの窯にしては充分すぎる大きさ
火口用スレート製の
内部煙突
窯の煙突位置に合せて天井に穴を開ける 先端の支持金具は家本体に固定 ステンレス製の外部煙突を付けて完成
ガス配管工事

燃料にはプロパンガスを使用
屋外からの引き込みは
保安上の関係から
専門業者にお願いした

バーナーへの接続は
銅管を使って自分で行った ボンベの一時調圧弁 窯直前の二次調圧弁 バーナーへの取り出し口 バーナーへの接続

これで総て完成。
後は窯全体の乾燥を待ち、いよいよ初窯焚きとなります。

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