2004年以降は注ぎ口を本体から引き伸ばして作ることを特徴にしてきました。
茶漉しは内側から取り付けています。


手捻り急須の製作過程(1986年撮影)

手捻り急須の製作過程を紹介します。

今回使用している土は、
「四日市万古の赤土(又の名を紫泥)」です。
粒度が非常に細かくて延性に富み、手捻りには最適です。
この写真は出来上がりの状態で、まだ焼成がしてありません。

私の手は指が短い上に、
親指は全く反らないので手捻りには不向きなのですが、
使い方によってこれをカバーしています。

カメラマンが居ないので、両手を使用しての画像はありません。
よく練り上げた杯土。
気泡が入らないように
充分に「菊もみ」をしてから
使用する。
細い針金で
必要な分だけ切り取る。
手の平で丸くする。 中心を少し窪ませ、
下は若干膨らみを持たせて
回転台の中央に載せる。
指を入れて少しずつつまんでいく。
捻り具合によって、
「上にも」「横にも」自由に
延ばすことが出来る。
決して引っ張り上げてはいけない。
いつも「土を締めながら」行う。
この段階で、
底の厚みを調節すると共に
しっかりと締めておく。
(底部に規則的な指の跡が残る)

この締めが足りないと、
乾燥時や焼成時に「切れる」
蓋が載る棚を作る。
上端をつまみ、土を広げていく。
これも、
しっかりと土を締めながら行う。
胴の基本形状が崩れないように。
棚をきれいな円形にするため、
瓶の蓋を利用して成形する。
暫くは外さずに作業を続ける。
成形体を回転台から外して
底の外形と厚みを調整する。
ここで再びしっかりと土を締める。
茶こし部分を成形する。
ここでは、手捻りらしく
「抜き茶こし」とする
(よく見かける「付け茶こし」は別に作って後で付けるものである)

茶こしの内側は、
突き出された粘土が
ササクレ状であるが、
これは、お茶の葉が
孔を蓋することなく注げる。
機能重視である。
口を作る
作った口を胴に付ける。
接着には
「ドベイ=同じ土を泥状にしたもの」を使う。
付けた周辺を良く押さえて
成形する。
注ぎ口はもう少し乾いてから整える。
手を作る。
小さいものは中に指が入らないので
細い棒に手伝って貰う。
手の出来上がり。
まだ、胴に付ける部分の
成形はしていない。
手を付けて
乾き掛けたときに名前を書いたり
印を押したりする。
蓋を作る。
基本的には胴・口・手と
同じ要領であるが、
徐々に広げて行く。
つまみに装飾を施すこともあるが、
私の場合は捻りだしが多い。

胴と蓋が乾燥した時点で
寸法合わせを行う。

胴は乾燥時に変形することが多い。
焼成後の作品

1180℃還元焼成
緑茶の味と色を引き立たせる
還元鉄独特の色艶である。
押し型による装飾技法のひとつ
               
胴の部分の装飾は、色々あるが、手捻りらしく/手捻りでしか出来ない方法がおもしろい。
紐を使ったり、いろいろな木の葉などの押し型が作れる。
手作りの道具でOKです。
道具はわざわざ買うことはない。 その辺にあるもので充分間に合う。
この回転台の木の板は「釜飯弁当の蓋」である。
裏を見ればゲタの接着跡が残っている。  もう、三十年近く愛用している。
印も焼き物で作った。 

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