手捻り湯呑の製作過程(1986年撮影)

ここで紹介する技法はは形状の作成だけでなく、異質の土を貼り合わせて捻り、一体化させる重ね土・練り込みの組み合わせである。

今回使用している土は、四日市万古万古土や信楽土をベースに、金属の酸化物などで着色した土などである。

それぞれの土は目方を量って取る。
今回は「外:35g」「中:48g」「内側:12g」使用する。
急須と同様に全く削らない。
よく練り上げた杯土。
気泡が入らないように
充分に「菊もみ」をしてから
使用する。

これは総てに通じる制作上の基本
細い針金で
必要な分だけ切り取る。


急須などどのようなものを作るときと全く同じ。
手の平で丸くする。 中心を少し窪ませ、
下は若干膨らみを持たせて
接合面に少し水を塗って重ね合わせる。
指を入れて少しずつつまんでいく。
捻り具合によって、
「上にも」「横にも」自由に
延ばすことが出来る。
決して引っ張り上げてはいけない。
いつも「土を締めながら」行う。
この段階で、
底の厚みを調節すると共に
しっかりと締めておく。
(底部に規則的な指の跡が残る)

この締めが足りないと、
乾燥時や焼成時に「切れる」
土を伸ばして行き逆三角錐にする。
どのような形の物でも基本的な形状である。
最終的な形を想定して各部分の土の厚みに整形することが重要。
即ち、更に伸ばすところは厚くしておく。
全体が薄くなり、特に外側の土は薄膜となって化粧土を施したように見える。
三種類総ての土が完全に融合していることがわかる。

飲み口の直径を揃える。
余分な土があるときはここで切り取る。

底の土を締めながら伸ばし、形状を整える。
少し乾いて土に腰が出てきたところで高台を成型する。

底に残しておいた土の中央部をつまみ出す。

徐々につまみ(捻り)出し適当な高さまで成型する。 つまみ出した高台の角を締めるように押える。

自然に指型が残る。
これは使用するときにテーブルとの間に隙間を作る役割も果たす。
更に硬化した時点で周辺の土を強く締める。

これが最終形状になるため、使用するときの口当たりの良し悪しを左右する。
乾燥後、施釉する場合としない場合がある。


今回は“先に高台を作りこむ”方法を紹介しています。
手の動きを入れました。(2008年10月追加)
@ 土を切り取る A 手のひらに取る B 強く押し付け揉みながらまとめる C コマの形にし、中心を出す
D 内側の中心から凹ませる E 高台の中心を凹ませる F 土を締めながら高台周辺を整形する G 胴の部分をひねり出していく
H 更に胴を薄く・大きく延ばす。
   ひと指ずつ回しながら進める
 I 全体を均一に捻り飲み口を整形する J 伏せて高台をひねり出し伸ばす K 高台端の土を締める

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