今回は、80-90年代のリンカーン・マスタングFR車用のフォードAODです。
このオートマは、割と弱いと言われるようです。
オイルパンを外し、スクリーン(フィルタ)を外した所です。
6万キロ走行車のモノですが、随分とキレイだなという印象です。
よほどオイル管理が良かったのかな。スラッジの付着が少なく、
なぜ今回、シフト不良を起こしたのか疑問です。
とはいえ、リンケージの調整不良でもスベリは発生しますし、
どうやらバルブボディ内のスプリングも対策品が出ている様です。
さぁ、何が出るかお楽しみです。(ユーザーさん、ゴメンナサイね)
早速、バルブボディをバラします。
人間で言うところの頭脳と同じ役目をするところ。
ピストンが油圧によって動かされる事で、本体にシフトアップ等の指令の
油圧を送りだすと言う感じです。
うーん、油路もキレイだなー。スラッジが見当たらないぞ!!
ホントにオイル管理や乗り方が良かったみたい・・・
今回から、ピストンの仕分けに波トタンを使用! しかし、ダンボールの時のように
オイルを吸い取ってくれないけどね。
各種、2速へ変速させたり、3速へと指令を出す為に動くピストン類。
GMでは、鉄製のピストンを使用していますが、このフォードAODは、
ベンツなどと同じ、テフロンコートを部分的に使用しています。
本来、テフロンコートはピストンエッジへのダメージや耐磨耗性に優れますが、
今回のモノは鉄製よりもエッジにバリやダメージがありました?!
グレー色のモノがテフロンコートしてあるピストンです。
問題と思われる、2-3シフトピストンのエッジに怪し気なスラッジをかんだ
キズがありました。
うーん・・・若干、許容範囲程度で判別しにくい・・・
バルブボディに入ってた時も、一応動かしてみて感触は悪くなかったしな・・・
とりあえず全バラ状態です。もう、見慣れてきません??
ほかのドラムやプラネタリギア類もキレイだなー・・・
ああっ!! 一番奥(リア側)のダイレクトクラッチASSYがぁぁぁぁ!!
み・見えます? もう手後れどころの騒ぎじゃない、真っ黒!! ドロドロ!!
下に並んだクラッチ板が削れてなくなってるものも有る!!左上のオレンジ色の
モノが新品のクラッチ板。
とりあえず症状が見つかって一服・・・
減り過ぎて圧力がガンガンかかって曲がってるじゃないかぁ!!
修理の要するものは、ほとんどこうなりますね。合掌・・・
それにドラム内壁もドロドロ。外へ出ず、ここにスラッジが居座ってた様子。
とりあえずチャッチャと組み付けてと・・・
ホントは、パーツ清掃が一番時間がかかるんです。これは飛ばしてと・・・
交換したシールやディスクを並べときました。ひと作業するたびに手を洗って
デジカメでアングルよく押さえてはまた、作業をくり返すので、通常の倍は
時間がかかるんです。手間なんです・・・(ユーザーさんゴメンナサイ)
とりあえず一服・・・早よーせいっての!!
一服ついでにクラッチ板の新旧比較。
あぁーあ・・・一目瞭然です。
うーん、寄せに強いデジカメを買って大正解! プハーッ・・・
(ユーザーさんゴメンナサイ)
新品でもライニングはスゴく薄いんですよ!!
適当に使ってりゃ10万キロももたない訳だねー。
これを見てしまったアナタは、明日から右足が硬直だねー。
アクセル踏みたいけど踏めないジレンマに陥る。
見た? このゴク薄ライニング。
実寸より1.2倍程、拡大してもこんなもんですよ!! (ホーッ! て声が聞こえてくる)
これは3倍以上・・・今回はクドいな。
今まで以上にカットを撮って説明したかったので・・・
これがひとつのドラムに5・6枚はセットになってます。
ところがオ−バ−ドライブ用は、負荷が少ないから、直径を大きくして、
枚数は少ないんだよねー。
だから前言ったように、街乗りでサッサとオーバードライブに入っては
信号でストップをくり返す・・・そして加速もちょっとばかりアクセル
踏んでも、オーバードライブのままジワジワと加速してしまう。
(フォ−ド車は、この変速パターンが強いね)
これが大事に乗ってても命取りになるモト。
いい乗り方は・・・もう、わかってますね!
新品はキモチイイー。
キチンと計測してと・・・
フォードAODのオーバーホールキットは、この部分のクラッチ板とプレートが
5枚セットしか入っていないんですよ。トホホ・・・
高負荷の車両用は、6枚だから足りないよ−。
以前仕入れたキットに残っていたので帳じり合わせてヨシ。
焼けていたパーツを磨いてと・・・
焼けて変色していただけのようなので、磨いて
念入りにチェックしときます。
この後は順に組み付け。清掃と組み付けが淡々と進みます。
もちろんチェックをしながら、勢いで組み付けますし、
手もオイルまみれなので、なるべくなら電話に出たくないですね・・・
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