3−9 Orthocladiinae Otheres 
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  Limnophyes   Hereniella    Nanocladius   Propsilocerus   Metriocnemus  
    Epoicocladius
     Symposiocladius


ここにあげた7種は共通の特徴は持たず、それぞれ特有の形態をもつ

Limnophyes 下唇板の中央歯は大きく、V字形に切れ込んで2歯とも考えられる。側歯は5対。
触角は5節で、第3節が特に短い。
Hereniella 下唇板の中央歯は大きな2本。側歯は4(5)対、外側から2番目の歯が最も小さい。触角の第2節の下方に膜質の部分がある。
第2節先端の付属枝は触角の先端をはるかに越える。
Nanocladius 下唇板の中央歯は広く盛り上がり、先端でわずかに窪む。副下唇板は非常に長く、下唇板の2倍、透明、剛毛はない。
大顎の先端歯は細長く、側歯3本分、淡黄色。側歯は小さい。
Propsilocerus 体長25〜30mm、深紅色の大形の幼虫。下唇板の中央歯は広く、不規則な数歯。
触角は4節、基節は2〜4節に比して太く、長い(触角比は3以上)。尾剛毛台は上辺が斜めの屈強な台形。
Metriocnemus 下唇板の中央歯は小さい2歯で、これを挟んで第1,2側歯とV字型に配列。側歯は5対。触角はごく短く、大顎の1/5,
基節は太く、径は高さの1.3倍。付属枝は長い。肛門鰓は後擬脚を挟んで上と下に1対ずつ。体節の背側半分は鮮やかな青紫色。
尾剛毛台は高い円錐台。
Epoicocladius 下唇板は台形,上辺は等大の6歯、側面は5対の側歯。SUは長い帯状の柄の先端に数本の櫛の歯状。体節には太く、屈強な
多数の剛毛を有する。尾剛毛台は大きい。
Symposiocladius 下唇板の中央歯は非常に大きい、富士山型をした黒褐色の1歯。側歯は小さい2歯。このような形態の下唇板は他に類を見ない。
第5〜9体節の側面に剛毛束を有する。

Limnophyes

体長2〜5mmの小型の幼虫。体節は淡褐色〜淡紫色。目立つ体剛毛はないが、単毛が散在する。国内では数種採取したが、関東から北日本、特に北海道に見られることが多い。北海道(ニセコ、美笛川(支笏湖流入河川)屈斜路湖,)酸ケ湯、千曲川上流などで採取。清冽な水域の砂礫底、石面に生息。1種はpH 2.4(酸ケ湯)に生息。

1:触角は5節。第3節が特に短い。
2:下唇板の中央歯は2、側歯は5対。
3:大顎の側歯は3、内側の縁の鋸歯は
  ない。
4:STは先端で3〜数裂、SUは長い
  針状。上咽頭櫛歯は3葉。前大顎は
  3〜4歯
5:小顎
6:尾剛毛台 尾剛毛は6〜8本。1種の
  み2本のものがある。台の内側が
  淡褐色のものが多い。
7:肛門鰓は長卵形、円錐形など多様。

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Heleniella

体長3〜5mm。淡黄褐色〜灰緑色。国内では数種の幼虫を得ている。いずれも清冽な水域の平瀬,早瀬の砂礫底に生息。
広い範囲に分布するが、出現することは多くない。個体数は少ない。

中央歯は大きな2歯。側歯は図のように4対のも
のと、5対のものとがある。いずれも外側から2番
目の歯が最も小さい。
触角は5節。第2節下方1/4に膜質部分があり2分される。第3〜5節は短い。
付属枝は触角の先端よりはるかに長い。
・触角の第2節に膜質部が存在。付属枝が触角の
 先端をはるかに超えるのが本属の特徴。
・大顎の側歯は3本。指状突起は刺状。内側の縁
 に鋸歯はない。
・STの縁は細かい鋸歯か、先端が数裂。
・SUは太く長い針状
・上咽頭櫛歯は長い3葉
・前大顎は先端で2岐、内側に2つの膨らみ
・尾剛毛は5〜6本でそのうち2〜3本は長い。

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Nanocladius

体長3〜3.5mm。黄緑色。眼点は1対。体節に剛毛はない。本種は球磨川水系、川辺川、五木の平瀬、砂礫底で採取したもの。国内では他に採取したことはない。

下唇板の中央歯は広く、先端が盛り上がり、わずかに切れ
込む、淡褐色。側歯は等大の5歯、濃褐色。副下唇板は
下唇板の2倍強の長い、透明な長楕円形、毛はない。
触角は5節。基節の下端近くにring organ.
第2節は第3〜5節の1.5倍。Lb器官は第3節と等長。指状突起は先端が膨らむ。
先端歯は側歯部分よりも長く、鋭い、淡黄色。側歯は小さい3歯、関褐色。指状突起は細く長い針状。
・ ST、SUともに細く、長い針状。
 上咽頭  櫛歯は長い、尖った3葉。
 前大顎は先端  でわずかに2裂。
・ 肛門鰓は2対ともに卵形、後擬脚
  より短い。
・ 尾剛毛台の高さは径ほど、台の内
  側は褐色。尾剛毛は3本。

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Propsilocerus akamusi

体長20〜25mmの大型の幼虫。生体は暗紅色。体節に剛毛はない。富栄養化した水域に生息し、国内では広く分布する。 夏期は泥中深く(50cm程まで)で夏眠する。
成虫ではPropsilocerus に属するとされているが、Tokunagayusurika の形態も備えている。

  下唇板の側歯 前大顎 頭部の形態
Propsilocerus 7〜8対 2岐 普通
Tokunagayusurika 12対(外側の3対は小さい) 分岐なし 洋ナシ型
akamusi  (本種 ) 10対 3(4)岐 洋ナシ型
中央歯は下唇板全体の1/3近くを占め、中央部に数個の
不規則な鋸歯がある。側歯は10対、順に小さい。副下唇
板は半円状、毛はない
4節。触角比は3.1。基節は太く、径は長さの
2/5。第3,4節は短い。指状突起は第3節
と等長。付属枝は第3節まで。
尾剛毛台は上辺が斜めの台形、濃褐色。尾剛毛は7本、
台の高さの7倍。
大きな先端歯と4側歯は黒褐色。指状突起
は短い。腹側の縁の鋸歯はない。房毛は8
本、上位の3本には鋸歯があるが、他はない
・STはヘラ状で先端は櫛の歯状。SUは
 太く、長い針状。上唇膜は存在する。
 上咽頭櫛歯は 長く、太い3葉。
・前大顎の先端は細く、2裂、内側は浅く
 2裂の4歯。
・前擬脚の鈎爪には細かい鋸歯があり、
 中ほどが暗褐色
・後擬脚の鈎爪は細く短い黒褐色の16
 本。
・肛門鰓は2対ともに低く、大きな円錐
 形。

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Metriocnemus

体長6mm前後。各体節とも淡い黄緑色で、前上半部は鮮やかな青紫色。頭部は褐色。眼点は1対。
本種は国内では余野川(兵庫県)で採取したのみで他の河川では採取されていない。平瀬の石面の藻類に生息。

中央歯は小さい1対。中央歯を挟んで第1,2側歯
がV字型に配列。第2側歯が最も大きく、第3〜5
側歯は順に小さい。副下唇板はない。下唇板亜毛
は下方に離れてある。
触角は5節。大顎の1/5.基節は太く、径は
高さの1.3倍。
第2〜5節はごく短い。基節先端の付属枝は
大きい。
体軸にそって後方に伸びる後擬脚を挟んで上下に各1対の長円錐形の肛門鰓がある。
下位の肛門鰓は上位の2/3.
尾剛毛台は高い円錐台、高さは基部の径の1.5倍。尾剛毛は6本、短く、台の2.5倍の長さ。後擬脚の鈎爪は先端が丸い7〜8本。第1側歯は第2〜4側歯より小さい。大顎の指状突起はごく小さい刺状。房毛(大顎内
毛)は10数本。細かい鋸歯がある。
STは太く短い。SUは短い刺状。上唇膜は小さい2葉。上咽頭櫛歯は三角形3枚が連なった1葉。前大顎は3歯。

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Epoicocladius

体長3mm前後の小型の幼虫。体節は淡黄緑色〜灰緑色。国内に3種ほど生息するようである。清冽な水域の砂礫底に生息。広く分布する。

中央歯は直線的に並ぶ等大の6歯。側歯は5対。
副下唇板歯下方に位置し、広い。
先端歯は2本の側歯より大きい。指状突起の先端は
鋭く少し曲がる。
触角は4節。Lb器官は小さい。
付属枝は触角の先端をはるかに
超える。
 
STの付着部分には円形の紋があるが、S1その
ものは確認しがたい。SUは長い帯状の先端が広く、
数本の櫛の歯状(右下図参照).上咽頭櫛歯は細い
単純な3葉であるが、種によって長い5葉のもの、
数指の掌状のものなどがある。前大顎は先端で2裂。
剛毛台は非常に大きい。尾剛毛台の高さは径の1.5倍。
尾剛毛は6〜7本。
後擬脚の鈎爪は細長い9本と鋭く曲がる7本。
肛門鰓は2対ともに円錐形
 

各体節には多数の、太く長い剛毛がある。種により
剛毛の数に多少がある。
 

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Symposiocladius
体長5〜6mm。体節は淡緑色。頭部は黄褐色。後頭縁は腹面で深く前方に入り込む。
本種は高梁川(岡山県)源流・千屋で1個体採取したものである。国内では他に生息を見ない。

中央歯は非常に大きい三角形の1歯。側歯は
中央歯の端に小さい2対。
触角は5節。第2,3,4節はほぼ等長。
Lb器官は大きい、柄はない。大顎の1/2.
大顎の側歯は3、大顎内毛の柄は長く、先端は数裂。
第5〜9体節の後端両側に20数本の細い毛の
束がある。
尾端部
1:触角
2:下唇板
3:大顎
4:上唇部  STはやや幅の広い針状
    SUは長い針状上咽頭櫛歯は3葉
    前大顎はヘラ状
5:第5〜9体節の剛毛束
6:頭部腹面 後頭縁は太い
7:小顎
8:肛門鰓は長卵形の1対。
9:尾剛毛は6本
10:後擬脚の鈎爪
11:前擬脚の鈎爪

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