2012年の日記


                                        古い映画

 最近見たのはヒッチコックの「めまい」と、有名な「十戒」。ともに1950年代に作られたアメリカ映画。BS放送から録画したものだが、画質の良さに参った。60年近く前の映画とは思えない美しさだ。現在めまいの病気持ちとしては面白くない題名だが、女性たちの服装の色が鮮やかに再現され立体感を催し、まさにめまいがするほどだ。1950年代はテクニカラーからカラーフィルムへの移行期だが、ヒッチコックはテクニカラーで撮り続けたそうな。カラーフィルムは長期保存で退色するが、テクニカラーは光の三原色を利用して三本の白黒フィルムから合成する。この方式は現在古い映画を修復する上で高い評価を受けている。昔の映画も色鮮やかだ。ヒッチコックは先見の明があったようだ。

 十戒はハイビジョンでは初の鑑賞。室内シーンは特に美しい。エジプト王族の金ピカの衣装は見もの。ただ特撮の場面が稚拙で輪郭が不自然なのは時代を考えれば致し方ない。そのへんも含めて鑑賞すればよい。ユル・ブリンナーやチャールトン・ヘストンの肉体美も見事。日本人はなぜ貧弱なのだろう。

 それにしてもフィルムとは偉大な発明であり人類の財産だ。ビデオより先に発明されて本当によかったと思う。内容については両方共有名な映画なので言うべきこともないが、ヘブライ(ユダヤ)人は迫害の歴史だと今更思う。島国の日本人には分かりにくい事だが。

 最近耳鳴りが小さい状態が続いて束の間の安息。    2012.12.20


                                お気に入りの映画

 私はもとより真っ当な映画ファンではないので、内容について深い論評はできないことを冒頭にお断りしておく。

 映画の批評、感想などはネット上にたくさんある。goo映画、Yahoo映画、ぴあ、映画.comなど盛況である。やはり映画を見ると何らかの感想を述べたくなるのだろう。当たり前だが、これらは内容についての批評である。だが私の場合、画質音質が映画の良し悪しの条件となる。このような「いびつ」な見方をする人はまずいないのだが、内容の感想にしたって人それぞれ絶賛から酷評まで千差万別である。だからいびつな感想だってアリだろう。如何なる感想を持とうが、身銭を切って見ているのだから自由である。

 私はめったに映画館に行かないので評価はBDまたはWOWOWである。いくら画質第一といっても、人間であるから2時間退屈せずに見られるだけの内容は欲しい。世界遺産もの、花鳥風月ものはいくら画質が良くても途中で寝てしまうから駄目である。。これはLD時代に懲りて学んだことである。あと美女が出るに越したことはない。映画の主役は美男美女ばかりでリアリティーに欠けると言う人もいるが、そうは思わない。映画は夢であり、娯楽である。非日常を見せてくれることに意義がある。人物にしろ風景にしろアクションにしろ、普段見たり体験できないことこそ映画である。ウサギ小屋団地の洗濯物や商店街の雑踏や普通のおばちゃんのアップなんぞスクリーンで見とうないわ。

 そういう点ではヨーロッパ映画はあまり好みではない。しょうもない北野たけし作品が受けるくらいなので、特殊な市場なのだろう。特にフランス系の映画は暗くて倒錯的で変態的である。最後まで見たのは「髪結いの亭主」「ピアノレッスン」くらいか。

 私の所有している映画、または見た映画なんぞほんの一部だが、気に入っているものを上げておく。もちろん画質音質優先。順不同。

1. ノーカントリー (2007 米)                        11. パブリックエネミーズ (2009 米)
2.
 ロビンフッド  (2010 米・英)                      12. スターリングラード (2001年 米・独・英)
3.
 パイレーツオブカリビアン/呪われた海賊たち (2003 米)     13. ミッションインポッシブル/ゴーストプロトコル (2011 米)
4.
 ダークナイト (2008 米・英)                       14. 硫黄島からの手紙 (2006 米)
5.
 007/カジノロワイヤル (2006 米・英)                15. キングコング (2005 米)
6.
 グラディエータ (2000 米)                        16. ファイトクラブ (1999 米)
7.
 キングダムオブヘブン (2005 米)                   17. パールハーバー (2001 米)
8.
 ナル二ア国物語/第一章 (2005 米)                  18. オペラ座の怪人 (2004 米)
9.
 インディージョーンズ/最後の聖戦 (1989 米)
10.
 2001年宇宙の旅 (1968 米)

                                           寸評 

1 生まれつき良心も感情の動きもないかの如き殺し屋役が凄い。静かな進行のなかで心臓が飛び出すような効果音。絵も空気感がある。
2
 まさに眼福。中世の森、衣装や武具の質感、ケイトの髪質、馬の毛並みなどの再現が尋常ではない。BDの恩恵がフルに享受できる。
3
 変な役がお似合いのデップ。アクションや絵の美しさでは第一作が個人的に好き。
4
 IMAXカメラが生み出す異様な迫力と臨場感。シネスコとビスタが混じっているので169のスクリーンで見た方が良い。
5
 ダニエルクレイグになって良くも悪くもユーモアの要素が消え、引き締まった。絵も音も一級。

6
 場所も時代も縁のないローマ帝国に連れて行ってくれるのが映画。能がないのに皇帝の実子に生まれたコモドゥスに同情してしまう。
7
 撮影が良くてどのシーンも印象に残る。リーアムニーソンはアクションより、こんな映画が似合う。5と同じくエヴァ・グリーンでポイント高し。
8
 ファンタジーはあまり好きではないが、白い魔女の国が何とも幻想的。幼いルーシーの演技がとてもかわいいとオジサンは思う。
9
 LD時代は一番の高画質ディスクだった。ナチの軍服、ジョーンズ博士の縛られているロープ、ボートの甲板などの質感ばかり見ていた。
10
 70/65ミリ大作修復ものの代表として。終盤の内容は訳が分からず、寝てしまうのが難点。

11
 コートなど衣装の質感、色合い優秀。FBIが隠れ家に突入する銃撃戦の音がサラウンドを含めて凄みがある。
12
 ドイツ軍高級将校らを狙撃し、ソ連共産党機関紙で英雄になった実在の射撃名手を描く。冷え冷えとした空気感が伝わる絵がリアル。
13
 娯楽の王道。スパイの小道具もハイテクで、アクションも斬新。高所恐怖症の人は見られないほど高さの表現が優秀。
14
 イーストウッド監督ながら日本軍の描写にあまり違和感がない。絵は意図的に色を抜いているが先鋭感は高い。銃の音も凄味がある。
15
 CGの技術が進んで昔のコングとは段違いにリアル。ナオミワッツの肌も綺麗。恐竜や変な虫の登場はすべてカットして短くした方がよい。

16
 そうとう病んだ映画だが、見ているうちに引き込まれる。これも音声が秀逸。ストーリーは奥深い要素が入り組み難解ではある。
17
 見どころは真珠湾攻撃の迫力のみ。トラトラトラより数段上。ただしそれ以外は冗長で、日本軍の描き方も違和感ありまくり。
18
 ミュージカルは展開が間延びして嫌い。でもこの映画は主人公の可憐さと、音楽の良さと画質の良さで愛聴盤となっている。

 

 他に絵も音もいい映画はなんぼでもあるが、正視できないほどバイオレンスが過激なものやグロいものは外してある。あと内容は二の次とは言いながら、あまりにもおふざけ、漫画的、バカバカしいものは落選。アニメ、CGは一部を除いて好みではない。ワイアーアクションも否定はしないが、多用しすぎはだめ。カメラワークが良くてお気に入りの映画でも画質が悪いものは挙げていない。

 なぜかBD化されていない映画もある。期待しているのはスピルバーグの「太陽の帝国」。延期に次ぐ延期はどんな理由があるのか知りたい。「アラビアのロレンス」がようやくBDになったが、BSでも散々HDで放送されているので買わない。昔の大作は時代を考えると驚異的な高画質でよみがえる。65/70ミリフィルムの潜在能力がハイビジョンになってようやく生かされたということだろう。4k時代になれば、まだまだ画質が上がる余地がある。しかし音声の古さだけはいかんともしがたい。それにしても真珠湾以前に制作された「風とともに去りぬ」のクオリティーを見ればアメリカに仕掛けた戦争が如何に無謀であったかがよく分かる。

 現在、買ったものの封も切ってないBDが「サイダーハウスルール」「戦火の馬」「ツリーオブライフ」「U-571」。HDD内にも未視聴多数。
いつ見るのだろう。耳の調子のよいときという条件が新しく加わり、山はますます遠くなりにけり。

2012.12.07 

 


                                      録画病     2012.11.25

 古くはエアチェックという言葉があった。FM放送をせっせとカセットテープに溜めこんだ。カセットは市場でかなり成功したメディアではあるが、現在その姿は殆ど見ない。私も全部捨てた。CD時代はそういう趣味は休眠していた。その後映像に目覚め、VHSで子どもの成長やTV番組を撮っていた。テレビ放送を録画できるなんて夢のような時代になったと思ったのもつかの間、画質のお粗末さが物足りなくなってきた。

 80年代末に衛星放送が始まるとさっそくソニーの単体チューナーを買い、その高い解像度とゴーストレスの高画質に酔った。しかしこれをVHSに録画するとボケボケになって泣けてくる。普通の人はそんなことに無頓着であることが不思議だ。そこで当時まだ高価であったS-VHS機に乗り換えた。ベータ機も良かったが、ソニーだけでは競争原理が働かない。S-VHSは数社の切磋琢磨で飛躍的に画質を上げてきて、まんまと戦略に乗って数台を買い替えた。世はバブルの真っ盛り。

 90年にWOWOW が始まったのも拍車をかけた原因である。有料放送ではあるが、一本あたりにすれば只のような値段で高画質高音質映画が見放題、録り放題。録画済みテープがじわじわと部屋のスペースを侵食し始めた。新作を見るのに忙しくて録画済みテープを見かえすことは殆どなかった。それでもせっかく録ったものを消去するのはしのびない。今度いつ放送されるか分からない、保存しておかねばと言う強迫観念に取り付かれていたのである。並行してこれはという映画はLD(レーザーディスク)でもせっせと買っていた。殆ど病気である。

 そして2012年現在、メディアがブルーレイに変わっただけで、結局また同じことを繰り返している。変わったことはハイビジョンになって圧倒的に画質が良くなったこと、テープからディスクになって一作あたりの収納スペースが小さくなったこと。とりあえずHDD内に溜めて置くことで、BDに焼く前の緩衝地帯ができたこと。どちらにしても本質には無関係で、10年後くらいに放送が4K(縦横とも現在の2倍の画素)になったら、段ボール箱数杯のビデオテープを捨てたのと同じくBDディスクも捨てることになるのだろう。一度も見返すことなく。

 私の休日は日曜のみ。そこに地区の行事やら草刈りやら、家の用事が割り込んでくる。その間隙を縫って山にも登らねばならない。自分の自由になる視聴時間と新しく録画するペースを計算すれば、もはや過去の録画済みディスクなど見ている暇がないことは明々白々なのである。それでも何故録画するのか。そこがそれ、 病気の病気たる所以である。  

 

 

   


                                難聴の有名人

突発性難聴、急性低音障害、メニエールに伴う難聴に罹患した人々

俳優・タレント

 萩原聖人  中村勘三郎  井上順

歌手・作曲家 

 スガシカオ  宮本浩次  浜崎あゆみ  大友康平  坂本龍一  宇崎竜童  藤あや子  相田翔子  布施明

文化人

 鳥越俊太郎   平松元大阪市長  北川悦吏子

スポーツ選手

 田口荘  桑田真澄  川上憲伸  

俳優より音楽関係者が多いのは注目すべきことである

 2012.11.16


                               星を眺める 

 突難には高脂血症も関係していると言うので、夜の散歩を始めてからもう10カ月。ホタル、虫の音など季節的な楽しみもあるが、年中楽しめるのが星座。SF映画は好きだが、生まれてこの方、星なんぞまじまじ見つめたことはなかった。天文知識は貧しい。そういえば山を始める前は樹木も花もキノコも何も知らなかった。そういう意味で、新しいことを始めるのはいいことだ。誰でも良く分かるのは北斗七星とオリオンだが、今は地平すれすれなのか出ていない。秋に一番目立つのは白鳥座。そのなかでいっちゃん明るいのがデネブというらしい。白鳥の西にひときわ明るいのが名前だけは知っていたこと座のベガ。どこが琴なのかさっぱり分からないがベガは分かる。白鳥の飛ぶ先にはカシオペアのWが判別できる。首が痛くなるほど真上を見上げると大きな四角形が見える。これがペガサス。

 今の時期一番明るい星は東の地平近くにある。何だろうと思って調べると木星だった。ジュピターをジュピターであると確認して見るのは初めてで何だか嬉しい。難聴にならねば一生知らずに死んでいくところだった。春から夏に西の空に光り輝いているのが金星だと知ったときも感激した。そう、宵の明星すら知らなかったのである(^◇^)。まあこれらは惑星だから、明るさを恒星と比べても意味はない。

 現在は大気汚染のせいか、街灯や人家、工場の明かりのせいか天の川がよく分からない。子どもの頃は見えたような気がするが定かではない。星座もかなり明るいものしか分からない。天文図にはそれこそ星の数ほど星座の種類がある。昔の人はよほど視力がよく想像力も逞しかったのだろう。流れ星は散歩するようになってから数回見た。願いはかなわないが、やはり見ると嬉しい。

 2012.11.14


                               風邪の日は映画 

体の節々が痛く、口蓋に熱の吹き出しができていて、辛いものや熱いものを食べると痛い。どうやら風邪をひいたらしい。朝からの神社掃除は何とかこなしたが、山へはとても行けない。しかも雨が降り出したので、どの道、今年は紅葉に縁がなかったようだ。しかし雨が降ると心置きなく室内趣味に浸れる。午前中はPCオーディオ、午後は映画。

 何で予約したのか記憶がないがHDD目次に「ザ・ウォード/監禁病棟」という映画が入っている。せっかくなので見てみよう。どうもホラーのようなので、つまらなかったら途中でやめようと思った。だが主人公の女性があまりに美形なので最後まで見てしまった。ホラーにしては怖くないし、内容も新味はなく、多重人格ものの似たような映画が何本かあったような気がする。で、主演女優の名はアンバー・ハード。検索してみるとジョニー・デップの新恋人

! さすがデップはん、いいところに目をつけよる。ネット上で出てくるケバい写真より、すっぴんに近い映画の方がいいと思う。

 もう一本は「シン・レッド・ライン」。かのガダルカナル島が舞台の戦争映画だが、他の戦争映画とやや視点が違う 。それに相手が日本軍となると、アメリカの観客のように単純にエネミーと見ることはできず、我々日本人の受け取り方はさらに複雑なものとなる。戦争は狂気だから何を言ってもむなしいが、大国のエゴが現地の人々に大いに迷惑を掛けたことは確か。

2012.11.11


                              女は別の生き物

 昨日は最高の天気だったが、前々から娘のアパートへ補給に行く約束だったので涙を飲んで山を諦める。名古屋方面からはたくさんの登山者が鈴鹿へ行くのだろうな。こちらは逆向きだ。名古屋西から清州方面へ行くと遠回りだがETC割引が大きい。でもいつも同じルートではマンネリなので名古屋高速を使った。丸の内出口は北へUターンできるのかな。不明なので次の信号から大回り。1時間でアパート到着。
 食品、冬物衣類、毛布などを満載してアパートへ運ぶ。代わりに夏物、扇風機、ゴミ(^◇^)などを回収。もう社会人なのにいつまでご奉公せねばならんのか。今日はそれだけでは勘弁してもらえず、西区のMOZOというショッピングセンターに行けという。桑名のマイカルのような所だ。私は入り口で家内、娘と分かれ別行動。スポーショップのアウトドアコーナーとか書店をブラブラし、すぐに飽きて一冊だけ買った本をクルマの中で読みながら待つ。女どもは待てど暮らせど帰ってこない。とうとうしびれを切らせてケイタイを掛ける。「えーかげんにせーよ」

 やはり男と女は別の生き物だと悟る。

2012.11.05


                                ヒラタケ出現

 

 朝晩の冷え込みで暖房器具が恋しい季節になってきた。おととい初ヒラタケが顔を出していた。エノキを輪切りにした原木を裏庭に置いてあるのだ。菌を打った後は放ったらかしでも、秋になるとちゃんと出てくる。成長が早いので一旦顔を出したら毎日チェックしないと大変なことになる。特別おいしいキノコでもないが、出てくればやはり嬉しい。直径40cmくらいの木なら3年はでる。マイタケとかナメコもやってみたいが、これは手間が掛かるようである。

2012.10.31

 

 

 

 

 

 


                           中日ドラゴンズ 

 ドラゴンズがCSファイナルステージで負けた。私はドラファンだが、これでいいと思っている。
百数十試合に及ぶペナントレースの覇者巨人が、たった一試合のアドバンテージでまた2位とやり直すなんて馬鹿げている。
パリーグは順当に日本ハムが日本シリーズの権利を得てお目出度いことである。
セだけ二位の中日がのこのこ出ていっては礼を失する。これでよかったのである。

2012.10.23


                         初回なので過去、近況も含めて三題ばかり

1. 2012年正月早々右の耳が突発性難聴と言う奇病にかかった。正確な病名は「急性低音障害型感音難聴」という。突難とは別の病気でメニエールに近いという説もある。症状としては1KHz以下の低音の感度が極端に悪い。ただし左の耳が正常なので聞こえが悪いと言う感じはない。むしろ厄介なのは24時間つきまとう耳鳴りと、気圧差が抜けない時のような閉塞感。それと左右の聞こえが違うために騒々しい場所ではイヤな反響がある。

 この病気は原因も不明であるし、確固たる有効な治療法も確立していない難病である。しかし迅速な初期治療が有効であることは分かっている。私も発症翌日から耳鼻科で点滴と飲み薬の治療を受けた。しかし早期治療で治らない例もある。私は運悪く治らなかった方のグループに入ったようだ。もう10ヶ月になるので治る見込みはないだろう。ただし慣れのようなものはある。最初は逃げられない強烈な耳鳴りに、大袈裟ではなく、この先生きていく自信がなくなった。この病気はストレスがいけないらしいが、耳鳴り自体ががストレスになり不安になる。

 最近は耳鳴りが変化している。音量も音質も変わる。シーンとかミーンとかいうセミの合唱のような高音、ピーとかポーという中音、ブーンというような低音。それらが一つだけ、あるいは複数で鳴る。音量も週単位、一日単位、時間単位で変わる時もあれば続くときもあって予測不可能。そして不定期に目まいも発生する。強烈なのは今まで一回だけで嘔吐したが、あとは頭が3時間ばかりフラフラする症状。しばらく横になっていれば勝手に治る。山でなったらどうしようという不安はあるが、今まで一度もない。心臓発作のような急を要する病気ではなく、しばらく休んでいれば治るので遭難にはつながらないと思うが。

 何にしてもオーディオが趣味の私には最悪の病気になったと言える。今までそれほど悪いことをした覚えはないが、何の罰なのだろう。鼓膜の奥の内耳疾患であり、外科的に触れない箇所なので薬を飲むしか手はない。そしてその薬はサッパリ効かない。一生付き合うしかないのだろう。同情を引こうとは思わないが、外見上病人に見えないので誰も同情してくれないのは確かである。

 

2. 映画もあまり音量を上げられなくなったが、本数は見る。WOWOWで録ってあった「127時間」を今頃見た。クライミングの映画だと思っていたら、何も登らないうちにいきなり岩に挟まれてしまった。あらまー・・・である。主人公が動けないからカメラも現場を動けない。この先どうやって時間をもたせるのか心配になる。
 回想とか妄想でなんとか繋いでいくが、ちょっとダルイ。切羽詰まって例の残酷な決断になるのだが、私はグロいのが大嫌い。採血や予防注射さえ腕から目をそむける。だからとても正視できずチラ見で早送りした。大自然の映像は良かったが、山登りのシーンがなかったのは肩透かし。全体としてもイマイチの映画だった。保存せず消去。
 しかし「この岩は何億年前から、宇宙の隕石のときから俺が来るのをじっと待っていたんだ」というセリフは哲学的で心に響いた。出会うべくして出会った運命、そう仕組まれていたのだから誰を恨んでも仕方ない、過去の様々な選択を後悔しても意味はないということだろう。我々にも役立つ教訓として「単独登山は必ずルートをメモに書いて家人に渡しておく」ということだろう。バリルートで骨折して動けなくなり、救助もなくのたれ死ぬなんてことは大いにありうることだ。映画の主人公も居場所さえ分かれば救助員が水、食料やジャッキを持って駆け付け、五体満足で復帰できたろうに・・・それでは映画にならんか。冒頭で道を教えてあげた女の子たちは何の伏線でもなかったようだ。

 昨日はもう一本見た。米独合作の「狂気の行方」。これほど訳の分らん映画もない。いやストーリーは分かるのだが、何を言わんとしているのかが分からない。人質立てこもり事件としては銃撃戦のアクションもなければ、展開のサスペンスもない、サイコ野郎の恐怖感も弱く、怖さで言えば犯人よりママの方が怖い。映画をただの娯楽として見るならば零点に近いと言える。
 延々と異常者の戯言が続くダルさ。刑事やSWATは何も活躍せず、これはワザとこういうふうに作っているのだろうが狙いが見えない。意識的に客の期待を外しているようにも見える。デビッド・リンチといえばブームになった「ツインピークス」というドラマを思い出すが、あれも後半の展開が訳分からずグダグダで、作者のひとりよがりで視聴者置いてけぼりだったなあ。
 しかし人質がペットのフラミンゴだなんて、ひょっとしてお笑い映画なのかな。犯人が木の上に置いていったバスケットボールで御池岳の「ナイスキャッチの木」を思い出した。

 3. 耳が悪くなってもオーディオはやめていない。20年ぶりのメインスピーカーの買い替えも、耳が悪くなってからだ。ただ以前から予定していた機種からウーハーも小ぶりで、高音も穏やかな機種に変えた。結果的に予算が浮いた。本当はやめた方が耳にはよいのだろうが、娯楽のない人生はつまらない。ついこの間もパイオニアのN-50というネットワークプレーヤーを買った。音楽のソースとしてはLP、光ディスク(CD、DVD、BDなど)がメインであったが、配信にも手を出したわけだ。他にFM、ネットラジオ、YOUTUBEなどの音源もあるが、音質がショボイので興味はない。

 音楽ファイルのダウンロード先は今のところ「e-onkyo music」と「HQM STORE」にしている。海外サイトもあるが英語に自信がないので、とりあえず国内サイトから始めた。配信は流通コストが掛からないので安くなりそうなものだが、実際の価格はCDと同等、あるいは高い。では何が魅力なのかと言うと音質の可能性である。CDの規格はサンプリングレート44.1KHz、ビット深度16bitである。これは規格なので変えようがない。しかし配信は96KHz24bitや192KHz24bit(ハイレゾリューション、略してハイレゾ)と、CDをはるかに凌駕する。しかもアルバムをまるごと買わずに気に入った曲だけをバラでダウンロード可能である(アルバム売りのみもあるけど)。

 良くない点

1. 物理的にモノが手元にないので、物を買ったと言う満足感がないこと。

2. ハイレゾなら何でも高音質かと言うと、そうも言いきれないこと。試聴はできるがMP3なので確実とはいえない。けっこうハズレもあるのだ。

3. WAV(非圧縮)でダウンロードすると環境によっては凄く時間が掛かるなど。

 あと希に再生ができなかったり、音が飛んだりノイズが出たりとパソコン特有の不可解さもつきまとう。ハイレゾ再生はまだ始まったばかりでソフトもハードも未整備なところもあるが、未来の可能性はとても大きい。

    2012.10.22