2014年の日記


                       年末    2014.12.06

 今年も早や12月。大したこともなさず月日は流れていく。まあ、今頃大したことができる年齢でもないが。

 流行語大賞は日本エレキテル連合だとさ。初めて見たときは強烈な印象を受けたが、もう面白くない。やはりギャグの台本がうまくできても、アドリブのきかない人は消えていく。芸人さんも大変だ。それにしても小学生に朱美ちゃん人形の意味が分かるのだろうか。私の中での一番は「STAP細胞はありまぁす」である。これを聞いた時、やはりSTAP細胞はないのだと思った。妄想少女のままや。

 今年買ったブルーレイの中で大賞はどれか考えてみる。BBCの「ネイチャー 3D」かな。本当に森や砂漠や海の中へ放り出される感覚。目の前に動物や魚が呼吸をし、食べて、走っている。動物のつぶらな瞳に感情の動きが見て取れる。圧巻はヌーの大群を襲う獰猛なナイルワニ。ヌーのおびえた目とナイルワニの感情のない目。むき出しの弱肉強食の世界だ。だが海中シーンとかずっと見ていると寝落ちしてしまう。不思議だ。NHKの宇宙ものも大好きなのに必ず寝てしまう。やはりストーリーのないものに緊張感を持続するのは難しい。ひとつ残念なのは滝川クリステルのナレーション。本人の喉の調子がおかしかったのか、録音が悪かったのか、どうもパッとしない。

 さて山はと言えばメモによると16回行っている。最盛期の半分とはいえ、飽きた割にはよく行った感がある。半分以上は新版の取材で、行かざるを得ない山行だった。ということは2015年は5、6回になるかも知れない。


                      村八分のベーシスト    2014.11.07

 日本にジャズベーシストと呼ばれる人は何人くらいいるのだろう。有名無名併せて200人くらいだろうか。そのうちの一人、Mさんと古い知り合いである。といっても35年くらい前の知りあいで現在何の付き合いもない。ある日たまたまMさんのブログを見つけた。読んでみると確かに私の知っているMさんに間違いない。懐かしい・・・現在の肩書はジャズベーシストとなっているが、当時はちょくちょく遊びに行っていた山麓の喫茶兼録音スタジオで働いていた。そして私が原稿を書いていた四日市のタウン誌「おり〜ぶ」でもバイトみたいなことをしていた。無口で正体がよく分からない人だったが、京都の筆作りの老舗の若旦那だったようだ。しかも知る人ぞ知る伝説のロックバンド「村八分」のベーシストだったのだ。そういや風貌も細野晴臣みたいだ。まあ今どき「村八分」というバンドを知っている人がどれだけいるだろう。禁止用語満載の過激なグループだったが、メジャーにはなれなかった。登場した時代が早すぎたのだろうか。さすがにLPは入手難だが、CDは今も売っている。Mさんが何で当時三重に流れてきたのか知らないが、今も三重に住んでいるらしい。

 ブログにカキコしたら覚えてくれていたようだ。当時レコードを借りっぱなしで、消息も分からず35年も放置していた。「私は今も同じ所に居るから取りに来て下さい」と書いたら翌日Mさんが現れた。結構大事なレコードだったんだな。今はジャズ教室の先生をしたり、あちこちでライブ活動をしているらしい。久しぶりだからまあお上がり下さいと、自室でBDをかけた。BSプレミアムで放送された東京ジャズ。新進気鋭のサックス奏者寺久保エレナと大御所ベーシスト、ロン・カーターらのセッション。Mさんはひと言「遅れてる」と言った。私には分からないが、ロン・カーターのベースが遅れているということらしい。なるほどカーターは大汗をかいて必死で弾いている。さすがに歳には勝てんということか。私のように聞き専に比べて、さすがプロのミュージシャンは鋭い。


                            なんとなく    2014.10.28

 まあ特に書くこともないが、間が空いたのでなんとなく書こう。ひと月前の御嶽山のことについては気の毒過ぎて書きたくない。また映画の感想でも。

 「きっとうまくいく」 インド映画をハリウッドに対抗してボリウッドというそうな。ムンバイは一大映画生産地らしい。この映画を観た感想・・・長えな、これ。インドと言えば神秘的なイメージがあるが、この映画に関しては突然歌って踊りだす以外、普通の青春映画である。もはや世界中が平準化しているのか、どこにでもある学歴競争社会を描いている。レビューを見ると結構評価が高いが、何処がそんなにいいのだろう。名前は忘れたが、ランチョーに10年後の勝負を挑んだおマヌケな役者が、うちのお客さんにとても似ていて終始おかしかった。「Aal Izz Well」(all is well) は落ち込んだとき便利な言葉だ。私もこれでいこう。結局一番良かったのはラストのラダック地方パンゴン湖の風景だ。ひゃー、こんな所あるの! 吸い込まれるような神秘的な青にノックアウト。私もあの小学校に入りたい。でもジジイお断り。

 「デッドマンダウン」 飲酒運転の車に当てられて女の命である顔を傷だらけにされた女性の復讐劇が絡んでストーリーが発展していく。まあ飽きない程度に面白い。ヒロインが泣き崩れて部屋にこもったとき、突然聞きなれた音楽が鳴った。おおZAZだ。一気に感情が盛り上がる。やっぱ映画にBGMは大切だな。エンディングロールにもZAZがかかる。二コール・キッドマンのような雰囲気を持つこの女優さんはノオミ・ラパスというそうな。しかし、いま日本シリーズで奮闘中の阪神ノオミ投手と縁戚関係はない・・・当たり前やろ。

 しかし今年は週末もしくは連休の天気が悪い。26日も鎌へガイドブックの写真を撮りに行ったがガスで轟沈。今度の日曜も雨だそうな。そのくせ平日は無駄に抜けるような青空で余計腹が立つ。日記で八つ当たりじゃ!


            超話題作 「ゼログラビティー」&「アナと雪の女王」3D    2014.09.08

 今頃って言われそうだが、私が見るのは劇場公開から数カ月でBDが発売され、更にそれが安くなってから買って見るからタイムラグがある。発売直後はバカみたいな高値なのでスルー。特にアナ雪なんか要らないものまでセットでボッタクリ価格。抱き合わせ販売とはディズニーもあくどいわ。今回は3Dのディスクを単独で安くゲットできた。

 まずはグラビティー。一部の先行投資者が騒いでいたように、あまり画質は良くない。最初DVDと間違えたかと思った。3D効果もやや弱い。無重力宇宙空間は3D大画面にうってつけの素材なのでちょっと残念。身銭を切ってソフトを買う客には、やはりBDならではの画質に神経を使って提供してもらいたい。レンタルDVDで済ませる客層とは違うのだから。
 ぼんやり眺めている分にはきれいだが、細部の切れや純度が甘い。しかし宇宙空間や船内の描写は技術的には凄い。一昔前なら絶対撮れなかった映像だ。それだけに画質が甘いのが惜しまれる。映画としての内容は語るようなものではない。というか、これ映画なの?というレベル。ご都合主義も極まれり。アカデミー賞の基準が分からん。同じトラブルからの帰還なら苦労して苦労して生還を遂げた「アポロ13」のほうがはるかにドキドキして泣ける。不満はあるが、いちおう3Dで見る価値はあると言っておこう。

 次にアナ雪。空前のヒットを飛ばしたからには何かあるのだろうと思っていた。しかし見終わって何がそんなに良いのか分からなかった。ディズニーのCGアニメは「メリダとおそろしの森」「カーズ」「塔の上のラプンツェル」「ウォーリー」「ティンカーベル」等々見てきたがストーリーやキャラは塔の上のほうが面白い。雰囲気的に好きなのはウォーリー。ただ画質音質的にはアナと雪の女王BDは素晴らしい。3Dも違和感なく自然であるし、雪や氷がブリリアント。DTS-HDマスターオーディオの音声も素晴らしく、セリフに実在感がある。当然例の歌も映える。普通のテレビではBDの真価は発揮されない。

 錦織の活躍で独占契約を持つWOWOWに申し込みが殺到しているようだが、これを機会に映画ファンが増えるかも。

追加:清州会議

 三谷幸喜の映画はどれもつまらないし、くだらない。自分の感性には合わない。けどこの映画はまあまあかな。内容というよりメイク、衣装、小道具の凝り方に拍手。信長はじめ肖像画に近い骨格の役者やメイクで、古風にして新鮮ある。女優陣は置き眉にお歯黒。笑うと顔が怖いが陰湿さが出て良い。そして何より日本映画にしては超絶に画質が良く、豪華衣装の色や質感に目を奪われる。

 内容としては前半誰もがボケやマヌケぶりを発揮しているのに、後半は同じ人物が妙に分別臭くなるのが違和感ありまくり。
秀吉、長秀ははまり役、勝家はちょっと優しすぎか。利家は真面目すぎ、官兵衛はもう少し知性が感じられる役者の方がよい。
名古屋弁を採用したのはよかった。


                   どうでもいい話    2014.09.04

 私はNHK大河ドラマは毎年毎週見ているが、軍師官兵衛で黒田家の侍女役で出てきた女性に強い衝撃を覚えた。この忘れられない顔のインパクトは片桐はいり以来だ。最初チョイ役かと思ったが栗山善助と夫婦になって毎回出ている。顔がムンクの叫びに似ている。もっと分かりやすく言えばズバリ宇宙人。ところで先日ウルヴァリンsamuraiという映画を見ていたら、ソックリな女性が出ているではないか! かたや地味な和服、かたや赤い髪に近未来戦闘服ではあるが、絶対同一人物に違いないと思った。調べたら福島リラというモデルさんで、やはり同一人物だった。ハリウッドと大河ってすごいねえ。

          福島リラ嬢                   ムンクの「叫び」                バットマン ジョーカー編

 バットマンと言えば最近千葉県を中心にバットモービルに乗ったコスプレ野郎が出現しているらしい。どうせお笑いだろうと思ったが、ユーチューブで見たら「カッケー!」
バットモービルが本物と若干違うのはやむをえないが、乗車姿勢、バットスーツの出来具合は文句なしで萌えるわー。通称「千葉ットマン」

千葉の高速道路を走る千葉ットマン


                    三重高校決勝で散る    2014.08.25

 最近初戦負けがデフォだった県勢があれよあれよで決勝戦。今井投手にはアマテラスが降臨していたのかと思う。中村新監督手腕の評価もウナギ登り。だが今日の試合を見て監督評価型ガタ落ち。

1. 5回、押せ押せムードの無死1,2塁のとき、4番にバント命じてゲッツー。
  桐蔭の一塁手は3〜4点取られてもおかしくないところを1点に抑えたのが勝因と言っている。

2. 7回、これも押せ押せのときに見え見えのスクイズ命じて外される。桐蔭相手にセーフティーリードはないのに、流れ止めてチマチマ一点を取りに行くせこさ。
岡目八目という言葉があるが、一番流れが見えていなかったのが当事者の監督。桐蔭大助かり。

3.まだ諦める状態じゃない一点差で、チャンスに打てそうもない代打(思い出づくり)を出した。

試合終了時のファーストの足がベースに付いていたかどうかは問わない。負けたのは明らかに攻撃時の監督の余計な作戦。
監督インタビュー聞く限り、ご自分でそれを気付いていない模様。

それでもまあたくさんのタラ、レバを胸に飲み込んで先に散っていった高校が大半。今大会の三重高校は大殊勲。まさか6戦も楽しめるとは望外の幸せだった。MVPは投の今井、打の長野か。冷静沈着な中村監督が何故焦ったのか。それが決勝戦というものだろうか。

しかし三重高校は千載一遇のチャンスを逃した。これで次の決勝戦まで、また59年待つの?わし死んでるわ。50年忌も終わってるかも。


                        疑心暗鬼 病魔退散    2014.08.13

 知らぬ間にこの日記も三カ月放置か。時の流れは速い。だんだん歳くうなあ。そのせいか体のあちこちが不調である。突難と慢性前立腺炎はもはや治らない持病として付きあっていくしかない。ある日、寝違えなのか朝起きたら左肩と首が痛い。寝違えなら2、3日で治るはずだが、これが一週間経っても二週間経っても治らない。そうなると何ぞ悪い病気ではないかと、ネットで調べまくる。私の叔母さんは肩が痛い、治らないと言って整形や鍼灸に通っていたが、それは見当違いで、実は肺がんが原因だった。手遅れで亡くなった。これはどうも自分も危ないという疑心暗鬼に取り付かれる。病院へ行かねばならんかなと悩んでいるうちに、今度は右アキレス腱が痛くなってきて階段の下りが辛い。とうとう歩けなくなって整形外科へ。原因不明のまま痛み止めと湿布をもらっただけ。現在かなり良くなったがまだ少し痛い。

 間もなくして今度は胃もたれ、胸やけがひどくなり、これも胃薬を飲んでもちっとも治らない。医者は胃カメラを飲めというが混んでいて検査は10日後だという。胃もたれの苦しさは益々ひどくなってきて、怖々ネットで調べる。胃がんではなかろうかという疑いが心の中で大きくなってくる。10日も待っていては手遅れになるのではないかとヤキモキし、今自分が死んだら家庭はどうなるのか考えるようになる。完全に疑心暗鬼に陥っている。

 いよいよ検査の日。10年くらい前、口から胃カメラを飲んであまりの苦しさに失神しそうになり、生涯胃カメラは飲むまいと誓った。今度は鼻から入れる細いタイプなので比較的楽だそうな。とはいえ不安はある。カメラ自体の不安、ガンがあったらどうしようという不安。鼻の中になにやら麻酔薬みたいなものを入れられてしばらく待つ。待つ間がまた不安。やがて先生がやってきて、すぐカメラを突っ込まれる。何これ、全然苦しくない。先生はモニターを見て下さいという。内臓の生中継なんぞ見たくもないが、怖々眺めてみる。わりとはっきり映るもんだ。食道、胃、十二指腸とツアーガイドが終わり、結局何も異常はなかった。ガンどころか潰瘍もタダレもなくきれいなものだった。安心はしたが、またもや原因不明。これを書いている現在はだいぶ良くなっている。でもまだ薬は飲んでいる。要するに若いころはすぐ治った不調が、加齢で長引くようになったということか。自愛せねば。ところで肩の痛みは他の病気で忘れているうちに治ってしまった。

 今日はロビン・ウィリアムズが亡くなったというニュースが報じられた。映画好きとしては非常に残念。特に「今を生きる」「グッドモーニングベトナム」が印象に残っている。VHS時代から大切に保存した映画だ。そういえば先日フィリップ・シーモア・ホフマンも亡くなった。ハリウッド俳優で大金持ちでも悩みはあるんだねえ。麻薬と鬱病。二人とも性格俳優として知られるが、実生活でも複雑な性格だったのだろうか。

 ところで胃で苦しんでいる時に見た日本版「許されざる者」。暗すぎる内容で余計気分が滅入った。もともと文化風土が違うのに、あまりに忠実にイーストウッドの映画をなぞり過ぎ。しかも暴力だけは原作より凄い。あれだけの役者を揃えてこの出来ではもったいない。ただしカメラは良かった。美しい構図、画質も良く見どころ満載。


                       古い映画と取材登山    2014.05.19

 懐かしくて「怪獣総進撃」を録画してみた。昭和43年東宝。島に隔離された怪獣たちと管理施設が宇宙人に乗っ取られ、遠隔操縦された怪獣が世界中で暴れまわり、地球が危機に陥るというお目出度いストーリー。もはや懐かしさを通り越してチープさに呆れかえる。ヘリも自衛隊車両も電車も全部オモチャの動き丸出し、そのオモチャと張りぼてのビルが怪獣(ぬいぐるみ丸出し)に破壊される。プラモデルのような月ロケットが宇宙を飛ぶ姿は、もはや涙を禁じえない。宇宙人にいたっては普通の日本人がキラキラのタイツを着ているだけという凄まじさ。

 子どものときはこんなのを、手に汗握って見ていたのか。昔読んだ本を今読めば感想が違う。映画もそうだ。作品は変わらなくても、こちらの感性が別物になってしまっている。あの頃は二度と帰らない。だからこの映画を冒頭のように貶すのは間違いで、チープさを含めて鑑賞せねばならないのだろう。あるいは映画における特撮の技術的変遷を研究する歴史的資料だと思えばよい。そういう意味で当時の映画をデジタル修復する場合、ゴジラの尻尾やロケットを吊っているピアノ線を消してしまうという作業は厳禁である。

 同じ古い映画でも「乱れる」は初見。加山雄三の初々しい演技が、返って律儀な性格をよく表している。圧巻は高峰秀子。ばあちゃんのイメージしかなかったが、凄い女優さんだったんだな。この映画は拾いものだった。前半と後半がちぐはぐ、ラストが唐突などの難点があるが、不思議な魅力を持つ映画だ。

 「三重県の山」が来春改訂になるので、今のうちに準備しておくべしという指令が下った。怠けてもおれんということで11日は御在所岳アカヤシオ、昨日は竜ヶ岳シロヤシオの撮影とコース下見に出掛けた。アカヤシオはやや遅く、シロヤシオは殆ど咲いていなかった。私の人生はこんなものである。しかし2週連続登山というのは今の私にとって快挙以外の何物でもない。


                       思い出は美化される   2014.05.05

 三菱の絵が忘れられなくて、中古としてオーディオ店に預けてあったものを、また引き取ってきた。しかしソニーと併用するには置き場所を考えねばならない。二段積みにするしかないので、ホームセンターで板を買って自作した。設計、切断、組み立て、塗装とけっこう手間要り。次はBDプレーヤーからの信号をどうするか。三菱は後面端子なので繋ぎ換えが厄介だ。分配するしかないだろうとアマゾンでHDMIスプリッターを注文。あと短いHDMIケーブルも二本要る。それから三菱の方は稼働時間が4000時間(映画2000本相当!)に達しているので、そろそろ高圧水銀ランプを交換せねばならない。これもアマゾンで注文。小遣いが消えていく。

 ようやく三菱電源ON。映像を試写する。なに〜、このボケボケで暗い絵は。すっかりソニーのハイコントラストに慣れた目には昭和の香りさえする。せっかく大枚はたいて投射ランプも替えたのに、全く力感のない虚弱な絵だ。ランプだけではなく、パネル焼けも進んでいるのかもしれない。それでもまあ一時間ばかり見ていると目が馴染んできた。こればっかり見ていれば割と不満は少ないかも。ソニーも電源オンで同時投射。片方のレンズを本で隠し、交互に見比べる。投射パワーも解像感も全然違う。やっぱり三菱はレトロだ。まあこちらはニュースやドラマ、ドキュメンタリーなどテレビ代わりに使おう。そうすればソニーのランプ寿命が節約できる。

 今回感じたのは思い出は美化されやすいということ。学生時代や若い時に憧れた女性にもう一度会いたいなどと、決して思ってはいけない。


               プロジェクターの絵    2014.04.18

 2月にソニーのVPL-HW50ESというプロジェクターを買って使っているわけだが、ちょっと失敗したかなという気もする。派手でギラギラ、ザラザラとした液晶TV風の絵であり、フィルム撮りの映画には合わないようだ。無論画質調整はいくらでもできるが、本性は変わらないものだ。前に使っていたのは三菱のLVP-HC7000という機種。ちょっと暗いがしっとりとした画質で映画の味を良く伝える。何故変えたのかと言えば3Dを見たかったからである。世代は違えど、もともとHC7000の方が格上であり、投射レンズががオールガラスであり、50ESはプラスチックレンズである。デジカメでもレンズにより絵の品格が違ってくる。ズームやピント合わせもリモコンと手動という違いもある。それならソニーの上級機を買えばよかったのか。しかしソニーの上級機は4Kであり、まだソフトも放送も対応していない。それらが始まれば4K機種も画質がこなれてくるだろう。まだ4K機種を買うには冒険である。三菱は上級機どころか、プロジェクター事業から撤退する模様である。やはりTVに比べるとマイナーな市場なのだろう。

 「バクダットカフェ」というLD時代に特殊な色遣いで話題になった作品がある。この前放送があったので久しぶりに見てみたが、ザラツキが強調されて大袈裟にいえば砂嵐状態だった。リアリティークリエーションという機能が曲者だ。これをオンにすると精細感、解像感が飛躍的にアップするが、背景のザラザラノイズも増す。何度もオンオフを見比べたが、副作用承知で使わざるを得ない。オフではピントがかなり甘いからだ。オフでもフォーカス感があればいいのだが、わざとのように甘い。しかしオンでは必ずザラザラになるかというと、そうでもないソースもある。不思議だ。フィルムグレインの多い作品がダメなことは確かである。

 しかし2Dではすべての面で50ESが劣るかというと、そうでもない。画素開口率の高さからくる色のパワー、ランプの輝度パワーの高さで、時おりハッとする絵を見せることがある。「華麗なるギャッツビー」はなかなか凄かった。豪邸でのパーティーでは「ムーランルージュ」ふうの色の饗宴だが、立体感を催すほどの彫りの深い絵を堪能した。特にギャッツビーが想い続けた女性を単独で豪邸に招く場面。家具調度、衣服、寄木細工の床、人の肌など、質感がリアルに浮きたつ。こうした絵はHC7000では味わえない良さだ。できれば2台体制でいきたいところだが、場所的にそうもいかないのが悩ましい。


                      また映画     2014.04.07

 こんなとこに書いてもしょうがないんだけど、映画見ると感想書きたくなる。「デヴァイド」。予備知識なしで見たがエログロ、不潔さ満載の不快映画。後味の悪さで全然娯楽にならない。99%密室映画で予算要らず。冒頭核爆発でシェルタに避難した10人ほどの人間が徐々に狂っていく様を描く。シェルタと言ってもハイテクなものではなく、このビルの管理人用のただの地下室である。水や食料は管理人の私物であるが、それを分け与える。しかし客人たちは感謝するどころか非常に傲慢である。

 密室劇でも閉じ込められた場所から皆が協力して脱出計画を練るなら希望があるが、この場合、外は放射能が充満して出られない。食料が亡くなった時点でアウトである。もともと希望なんてない設定だ。戦争のいきさつ、一度侵入してきた防護服の男たちの正体、目的など謎を仕掛けながら、その後一切語れない。ひたすら不潔な男女の狂態がだらだら続き、さすがに早送りした。どんな形で終わるのか、興味はそこだけ。しかしラストも、え、これで終わりてなもんである。

 突っ込みどころはやはり換気。外は防護服なしではいられない汚染環境なのに、ハイテク換気装置もないボロ地下室では外と変わらないだろう。誰も窒息しないしタバコ吸いまくってるし。謎を解かないのはそういう演出なのだろうが狙いは不明。視聴者まる無げほったらかし。「デリカテッセン」といい、やっぱフランス人はド変態だな。

 「オブリビオン」 SFにしては静かな展開。画面も猥雑な色がなく、清潔で画質が良い。そこは「2001年宇宙の旅」を彷彿とさせる。赤いレンズの目を見てHALが蘇った。人類が移住して誰もいなくなった地球を管理する孤独な雰囲気は「ウォーリー」も思い出す。冷たい美しさというか、宇宙ってそんな場所なんだろうな。でもトムさんがいる建物は宇宙船風だが地球だったか。ストーリーもどんでん返しがあるが、一回では理解しづらい。室内の機器や乗り物のメカデザインや動きは秀逸。画質の良さは七難隠す。やや退屈な場面でも人肌やメカの高細密画質にみ見とれて飽きなかった。対照的な湖畔の隠れ家の緑も引き立つ。オルガ・キュリレンコもブリリアント。トム・クルーズはやや老けたが、こういう映画が似合う。同じ宇宙ものの「ゼログラビティー」に期待。


                        日本人の名字    2014.03.19

 毎日新聞紙上は様々な事件事故で賑わっている。クリミア紛争、マレーシア航空、ゴーストライター、ベビーシッター、STAP細胞・・・等々。よく当事者が記者会見で「世間を騒がせて申し訳ありません」とか謝っているが、その言い方は非常に違和感がある。別に世間を騒がせること自体、謝るようなことではないだろう。むしろ眼前のマスコミに対してネタを供給している訳で、感謝されてもいいくらいだ。

 それはそれとして小保方、佐村河内、物袋などという姓は何十年も生きていて初めて聞いた。全くピント外れな感想であるが、私はむしろそちらに興味が湧いた。珍名、奇名などでググると日本には様々な姓があるものだと感動する。名字は自分のルーツを探る重要な手掛かりでもある。遊びのテーマがひとつ増えたかな。


                         映画三昧    2014.03.17

 家の仕事や地区の奉仕作業が多くてなかなか山へ行けない。といっても渇望感がないからそれほど堪えない。昨日も地区のゴミゼロ運動で朝のタイムロスあり。近くの山へセツブンソウでも見に行こうかと一瞬思ったが、やはり安楽なホームシアターに落ち着く。

砂漠でサーモンフィッシング」 なかなか意外なタイトルで興味をそそる。しかし期待していた釣りや鮭の生態学、如何に冷水を作るかなど技術的なことは何もなし。ホントに内容のない恋愛映画で肩透かしだった。「サハラ/熱砂の愛」 偶然また砂漠もの。砂漠で行方不明になった恋人を探す常軌を逸した女の執念ばかりが目立つ映画。必然性が分からない。ラクダが可哀そうぐらいしか感想はない。ただ砂漠の風景は素晴らしい。「アラビアのロレンス」に匹敵する美しさである。

ゼロダークサーティ」 ウサマ・ビンラディン殺害計画をフィクションも少し入れながら描写する。テロ撲滅というより報復合戦だ。根本で手法が間違ってないか?取り調べもなく裁判もなく殺戮の嵐。アメリカは何をしても許されるのか?しかも他国の領土で! 世界の秩序というものが全く分からない。まあ娯楽映画としては手に汗握る面白さはあるが、実話に基づいているのが気分を暗くさせる。「ジャッジドレッド」 これも裁判抜きの問答無用の警察兼執行官の話。近未来の架空の話だから、こちらはお気楽だ。だが根は「ゼロダークサーティ」とつながって米国の病巣が垣間見える。超能力者の女性主人公が美人なので最後まで見れた。男の主役は特殊ヘルメットで最後まで口しか見えず。まったくお気の毒。

ジャンゴ/繋がれざる者」 奴隷を題材とした「リンカーン」と合わせて見た。タランティーノ監督としては怪人物の歯医者や不撓不屈のジャンゴなど面白く見れた。ただやはりタラちゃんお得意の殺しまくって血が飛び散る場面が多いのにはうんざり。なぜあそこまで執拗なのか。監督でなければただの異常者だ。「リンカーン」は政治的駆け引きが延々と続き少々退屈。しかしこちらの執念は正義という共感があるからいい。日本の総理の執念はいったい何がしたいのか恐ろしくなる。


                        3D家庭劇場    2014.02.25

 数年前家電メーカーが新製品を売ろうとテレビの3D化を画策し、量販店でもデモが行われた。しかしどうもブームに乗れないばかりか下火になってきたようである。そういう状況ではあるが我がシアタールームもようやく3D化を果たした。別にそれを目的にしなくても何処のメーカーのプロジェクターやBDレコーダーを買っても3D機能は自動的に付いてくる時代になった。プロジェクターは安くない買い物なので消費増税前に買い替えたのである。消費税にかこつけて買ったというのが本当かも。三管から数えて5台目である。今回はSONYをチョイスした。

 何故3Dが不評なのか。メガネがうっとおしい、画面が暗い、目が疲れる等の意見は聞く。あと初期の店頭デモが悪かった。飛び出す絵本的に切り絵が数枚前後に重なったような映像だった。こんなのイラネエと思われても仕方なし。しかし早速最近のブルーレイ映画を見た限り・・・相当良い。スクリーンで見る3Dはハマりそうな予感。映画館で見たのより数段良い。普及しない一因は大画面でちゃんとブルーレイで見たことがない人が多いのではないか。放送の3Dであるサイドバイサイド方式は解像度が悪くて論外。やはりブルーレイに限る。最近のプロジェクターは明るいし、あまりメガネで色が犠牲になることはない。メガネも軽くなりあまり負担はない。

 ともかく今までスクリーンに張り付いていた映像が奥にも手前にも広がる世界は格別だ。まるで窓を開け放って実景を見ているような感じ。思わず手を伸ばして触れたくなる。人物や物に質量感があるのが凄い。ただやはり長時間見ると疲れる。あと激しいアクションシーンは破綻して駄目だ。静かなシーンこそ3Dの醍醐味がある。

 手持ちの3Dディスク

アバター  対応ブルーレイレコーダーを買った時の特典(非売品)。プロジェクター未対応で今まで死蔵。やっと日の目を見た。初期のものながら今のところ3D満足度でこれを凌ぐものはない。森の中のシーンは圧巻だ。画質も最高。ガラス越しのヘリの操縦席など恐ろしくリアル。

アイスエイジ CGアニメ。何で持っているのだろう。これも特典だったか? 3D以前に内容がお子様向けで最後まで見るのがつらい。

石川遼ゴルフレッスン  これもおまけ。バンカーショットで砂とボールがこちらへ飛び出してくるこけおどし。ゴルフに興味がない私には内容なし。

ヒューゴの不思議な発明 パリの駅舎の俯瞰。立体的に雪が舞うシーン。時計塔の内部の歯車の立体感。絵的な見どころは多いが、あまり面白い映画ではない。

ライフオブパイ 2Dでも幻想的だったが3Dではそれが倍加する。これは3Dの必然性がある。冒頭の動物園の絵は凄い。これがあれば動物園へ行かなくても良い?

パシフィックリム ロボット対怪獣というアホらしい構図だが、ありえないとかの突っ込みの必要はない。ゴジラやウルトラマンで育った世代なら素直に迫力を楽しむ映画。3Dで見るとありえない世界が現実の世界になるのだ。絵も音も怒涛の迫力でノックアウト。

IMAX Deep Sea  本物の水族館を眺めているようだ。水族館と違うのは、本物の海の底知れない深さや奥行きが感じ取れること。息苦しい恐ろしさがある。これは2Dでは絶対分からないだろう。アバターの木の精のような奥に手前に浮遊するクラゲ。色鮮やかなサンゴや魚たちが立体的に迫る。海中の浮遊物がリアルだ。浦島太郎でなくても竜宮城ご案内である。試しに2Dでも見てみたが、豪華ディナーのあとのお茶漬けのようだった。ジョニー・デップとケイト・ウィンスレットがナレーションをやっている。

ともかく放送の3Dを見てがっかりした人も、ブルーレイで体験することをお勧めする。それも出来る限り大画面で。2Dとは別物の世界ではあるが、まだ現在の技術では完璧とはいえない。目(脳?)が疲れるのがその証拠。動きの激しい場面では特に疲れる。無数の小魚が動き回るシーンなども立体感がそがれる。これは帯域を制限されるデジタル圧縮の弊害もあるだろう。2Dでも同じで動きの激しい部分はノイズが出る。それが3Dでは増幅される感じだ。視線移動が疲れるので洋画は字幕のない吹き替えの方がなじむ。


                     科学は万能か    2014.01.28

 結論から言ってしまえば科学は万能である。物質は方程式以外のふるまいはしない。しかし残念ながらその科学はこの世の事象を総べて説明できるほどに発達していない。現に明日の天気も分からないのが実態である。空から衛星で観察しようがスーパーコンピューターを駆使しようが天気は分からない。膨大な要素が複雑に絡み合っているからだ。映画ジュラシックパークでマルコム博士が語っていたカオス理論である。生命に関することも分からないことだらけ。

 科学がこの体たらくだから異説、怪説が蔓延する。私は怪説が大好きだ。先日TVタックルで「極論」を取り上げていた。先ず炭水化物は有害だから一切摂る必要がないという説。こらまた驚天動地の説だ。弥生時代から連綿と続いてきた日本人の米食を真っ向から否定。もう一つは二酸化炭素と地球温暖化は無関係という説。これまた常識をひっくり返す考え。京都会議は何だったの? 二つともれっきとした医者や科学者の説である。事の真偽はともかく、世の中未解明なことに満ちている証拠である。人間はその浅知恵に基づいて無駄なこと、いや無駄だけならともかく有害なことまで正しいと思って励んでいる。滑稽であり、悲劇であり、喜劇でもある。何も考えず本能で生きている野生動物の方がかなりマシな生き物と言える。

 過去の非常識が今の常識、今の常識が未来において非常識となる事象はいくらでもあるだろう。現に医学の常識はコロコロ変って何が真実やら分からない。食と健康も同様。そんなものに振り回されないで好きなものを食べて、いつか重い病気になったら素直に死んでいくのがよろしかろう。


                 宇宙人王(ワン)さんとの遭遇     2014.01.13

 こんな映画ありか? タイトルを見れば絶対SFコメディーと考える。しかし笑いどころは殆どない。ハチャメチャな「宇宙人ポール」と違って王さんは至って誠実なのだ。SF的な見せ場もなければアクションもない。宇宙船が飛んでくるシーンのチープさが笑いどころなのだろうか? 中国の重要参考人を尋問しているつもりが、目隠しをとったら目の前にいたのは宇宙人・・・というシーンは演出が上手なら爆笑シーンのハズである。

 殆どが取調室のシーンで、もの凄い低予算映画。短いだけが救いだ。あと出ずっぱりの通訳の女性がきれいなのも、止めずに最後まで見られた一因。で、オチは人権主義者の女性通訳が実はお花畑的めでたさで、一見憎たらしい取調官が正しく、王さんはワルだったという現実的なもの。こんだけの題材で映画にしてしまうとは世の中をなめているしか思えない。しかしこの作品はベネチア国際映画祭で創造産業賞を受賞している。なんか深遠なメッセージでもあるのか? まさか中国の国民性を風刺しているのか? 私ならチープさに敬意を表して「人を食ったで賞」を授ける。

 突っ込みどころ
@ アナウンサーのような完璧な中国語をマスターしている宇宙人。通訳使わなくてもイタリア語なんかすぐできるやろ。実は分かっていたのだろうか。
A なんで極秘事項なのに民間人の通訳に依頼する? 政府関係者にいるだろ。
B 大男の警備員がか弱い女性通訳にKOされるなんてありえん。

我ながらまじめに突っ込んでいる自分がアホに思えてきた。
それにしても宇宙人の容姿や乗り物がどのSF映画でも定型的である。もっと斬新な発想で観客を唸らせてほしい。