2016年の日記
映画 「独裁者と小さな孫」 「タイム・トゥ・ラン」 2016.11.16
独裁者〜は久しぶりに昔のテイストを持った映画らしい映画だと感じた。クーデターで追われる身となった老大統領と小さな孫。何不自由なく育った孫の中性的な愛くるしい魅力が異彩を放つ。大統領は叩き上げからのし上がった人のようで、逃亡中の知恵や度胸はなかなかのもの。劇中のギターが哀愁を帯びてなんともいい味を出している。不自由な生活を強いられる意味が分らず駄々をこねる孫をなだめるおじいちゃん。人民を虐げたしっぺ返しにじっと耐える。ついに捉えられてラストはどうなったか・・・突然エンディングロールが入って不明である。独裁者がいなくなっていい国になるかはイラクを見れば分るだろう。
タイム〜。主人公が難病の娘の手術代を捻出するために雇い主のカジノ経営者に借金を申し込むが断られる。仕方なく用心棒の計画に乗ってボスから金を奪う話。ストーリは単純である。ボス(デ・ニーロ)と警察の両方に追われバスジャックをする羽目に。主人公のジェフリー・ディーン・モーガンは目が善人な役者でハマり役である。ちょっとご都合主義の展開やラストのボスの甘さなど???なところもあるが、裏社会のボスでも病気で余命幾ばくもないとなれば死ぬ前に善をなしておきたくなるのかな。
追加 オデッセイ ブルーレイ3D版
AV誌によれば3Dで見るべしと書いてあったので少々お高いが3D版を買った。なるほど赤茶けて荒涼とした広がりは火星に行った気分だ。ロケ地はヨルダンの砂漠だそうな。大筋としてはゼログラビティーやアポロ13に似ている。どうしても比較されるだろうが、やや中だるみで眠いところはゼログラと同じだ。アポロ13は終始手に汗握る緊張感と助かった時の現場の高揚感、カタルシスは最高で涙が出た。それと比べちゃ質は落ちる。
火星の重力は地球の1/3のはずだが、そこの動きは描けていない。難しいのでハナから捨てたのかな。中国が国家の大計を捨ててまで自発的に一人の外国人の命を救うのに協力するというところも全然リアリティーがない。御冗談を・・・と言いたくなる。しかし絵的に美しいと思ったのは見守る中国の民衆の上に舞う雪。これは3Dならではだ。冒頭の砂嵐の部分も3D的に面白いが、火星のような薄い大気圧で、あのような強烈な嵐が起きるのだろうか。そこは私の乏しい知識では不明。あと火星の土で作物を育てる場面があるが、バクテリアや菌もいない土で育つのだろうか。植物はそういうものと共生関係にあるのでは?肥料の排泄物に適した菌がいるのかな。光合成に必要な光も乏しいはず。一応主人公は植物博士ということだからぬかりはないと思うが、火星でのサバイバルとなると地球の常識が通じないことがたくさんある。船長の「最悪の趣味」と言われる音楽が要所で活躍する。宇宙ものに古い音楽はつきものなのかな。
映画 「ガールズ&パンツアー」 「レヴェナント 蘇えりし者」 2016.11.04
ガルパンなるもの見始めて15分でギブアップ。少女たちがキャーキャー言って戦車で走りまくって砲撃している。意味が分からん。しかもこの映画のレビューを見ると殆どが★4〜5の高評価! 何なのだろう。どうもこれは世代間の感覚の違いと思われる。★一つの人の内容を読むとやはり私と同世代だ。若年層の感覚はジジイに理解できんということか。私はミリタリーものも嫌いではないし、砲撃音も好物だ。だがこのアニメはいかん。このアニメ映画と、ともちん(稲田朋美)の防衛大臣姿がだぶって見える。
ブルーレイ 「レヴェナント 蘇えりし者」 。デカプリオがデカプリオに見えない。なるほど賞に値する怪演である。ストーリーは単純であるが、バードマンという理解不能な映画を撮った監督だから、何処かにアナザーストーリーが隠されているのかもしれない。単純なストーリーに飽きるかと言えばそうではない。北米大陸の冬の大自然が美しくて見惚れる。ぱっと見、派手な色づかいがなく寒色系で地味に見えるが、ジワリと目にしみる高画質である。シネスコスクリーン画角いっぱいにズームしても画素が荒れないのが素晴らしい。同じ舞台でも「ダンスウィズウルブス」は秋を描いた暖色系だったなあ。音声はDTS-HDである。DTS:Xはハードばかりが普及してちっともソフトが増えない。とは言え、高いところの枝のきしみや雫の落ちる音、小枝を踏む音など小さい効果音が優秀。滝や激流の音も凄い。登山者ならこういう場所でのサバイバルが如何に過酷か分るだろう。
それにしてもこんなタフな男がいるのか?灰色グマに襲われても死なない(ツキノワグマとはわけが違うのだが)。重症の体で凍てつく激流に流されても死なない。馬とともに崖から落ちても死なない。なんかさすがにそこだけは笑える。魚だってそう簡単に捕れないと思うが。あとグロくてえげつない描写が多くて、私は苦手。映画は匂いが伝わらないのでいいが、あんな生活してちゃ臭いだろうなと思う。砦でお湯を浴びられて良かったね。西部開拓時代は先住民族との戦いでもある。彼らの土地を取り上げて築いた国でのうのうと暮らしているアメリカが、他国の人権問題に口出しするのはギャグなのだろうか。
映画 「神々の山嶺」 2016.10.18
これはいかん。ストーリーが原作の表面をなぞっているだけで、読んでない人には登場人物の行動が唐突過ぎて「そんなアホな」と思うだろう。それなのにセリフがクサくて、荘重なBGMとともに無理に感動を押し付けられている感がある。登山シーンも高度順応もせずにどんどん登っていくし、壁以外は無酸素単独で誰でも登れそうな誤解を与える。これだけちぐはぐだと見ようによってはコントかいなと思う。映画としては駄作である。装備も使い込んだベテラン山ヤの風格がない。モンベルの宣伝映画なのかな。
良かった点は阿部寛が絵になる男だということ。一部の映像が荘厳であること。吹雪のサラウンド感。それくらいか。
オーディオ店巡り 2016.09.02
先日M君と愛知県のオーディオ店巡りをしてきた。場所は北名古屋、大須、岡崎と飛び飛び。今をときめく英国B社のペア100万円程のブックシェルフスピーカーと同じく350万円程のフロア型スピーカーを、持参のCDで試聴してきた。もちろんアンプもプレーヤーも一流製品である。私は冷やかしだが、M君は買う気満々なので試聴の熱の入り方が違う。自分の聞いた感じ言えば良いスピーカーではあるが、さほどの感動はなかった。実は魂を震わせる音が出て、自宅のしょぼい装置を聴けなくなったらどうしようと心配していたのである。しかしこれだけ予算をつぎ込んだ装置でも私には感動できないことが分った。これでグレードアップ病に掛からずに済む安心感を得たが、逆に目標を失った失望感もある。
若い時は高級オーディオ機器を聞いて大いに感動し、頑張ろうと思った。何が変わってしまったのだろう。思い当たることがいくつかある。一つは自分の感性が変わった、あるいは古い思い出で昔は良かったというバイアスが掛かっている。 もう一つは耳の性能。若い時は16〜17kHzまで聞こえた。40代では13kHz、今では10kHzも怪しい。しかも数年前の突発性難聴で右耳の性能が落ちた。でも全く聞こえないわけではないから方向性は分る。目と同じで左右の合成を健常な方に合わせて脳が補正するのだと思う。とは言え健常な方の耳をふさぐと聞こえにくいし、歪んだ音質になる。たぶん若くて健常な耳のM君と私は、同じ音を聴きながら違った聞え方であることが想像される。しかしこんなガラクタ耳でも生演奏とスピーカーの違いは分る。
もうひとつ考えられる原因はCDやハイレゾのデジタル音源とアナログレコードの違いである。昔はレコードやオープンリールしかなかったし、レコードプレーヤーの性能が頂点に達していた。近頃アナログが復権といえど、新品はおもちゃのようなプレーヤーしかない。高性能なものは目玉が飛び出るほどの値段である。当時と生産規模が違うので仕方ない。では当時の中古はどうかというと35年以上経過していて初期の性能があるかどうかは疑問である。他に考えられるのは高能率スピーカーが消えたこと。今のスタイルは低能率スピーカーに大パワーをぶち込むのが主流である。私のような古い人間は、まだ高能率ホーンで感動できる道があるかな?
それから映像機器。E社から現実的な価格の4K対応プロジェクターが発売された。これは大いに楽しみだったが、リアル4Kではなく画素ずらしによる疑似4Kなので一抹の不安も。メーカーから派遣された営業の人の解説付きで色々なシーンを見た。結果はうちの2Kと大して変わらんという感想。SDからフルハイビジョンになった時の圧倒的な改善を期待すると肩すかしを食う。あとHDR対応とあるが、直視型ならともかくプロジェクターでこれに対応するのは至難の業と思う。色域も含めて新規格を満たす表示機器はどのメーカーも実現できていない。UHDブルーレイ規格は器が大きすぎてハードが追いつかないのだが、徐々に向上していく楽しみはある。
このE社の視聴会で意外な収穫があった。映像ではなく音の方。使用されていたスピーカーは見慣れぬ物。聞いたらフランスのC社製とのこと。人の声がとても自然で、楽器の音色も生に近いものがある。最近O社が代理店になって輸入しているそうだ。まだ無名に近いが私はいいと思った。値段も安い。安い耳にできていて良かった^^
リオオリンピック 2016.08.22
リオでは東京に繋がる好成績を収めたのではないだろうか。無論選手たちは誰もが挫折を乗り越え血を吐くような努力をしてきたのは間違いないが、私的な意見ではあるがあえてMVPを選んでみる。
MVP オリンピックでは前半の柔道、競泳、レスリングが終わり、陸上が始まったら日本の五輪も終了と言うのが恒例だった。しかし今回一番興奮し、ウッソー!キャー!と言わせたのが何と陸上男子4×100mリレー。基本的に身体能力が異なる黒人選手が殆どの中で、日本が銀とは驚嘆すべき快挙である。北京でも同種目銅を獲得しているが、そのときはアメリカが予選で失格して不在だった。今回はアメリカをガチで下しての2位だから恐れ入る。強豪国が予選でエースを温存する中、日本は予選を全力で走り好コースを獲得したのと、4人の息の合ったバトンパス技術の勝利ではないだろうか。というわけで、MVPは山県、飯塚、桐生、ケンブリッジ。
準MVP ともに日本の新境地を開いた、男子は卓球侍こと水谷選手と女子はバトミントンの高松ペア。感動しました。
殊勲賞 水泳の萩野と金藤。
敢闘賞 カヌーの羽根田とラグビーチームと競歩荒井とテニス錦織。
功労賞 長年輝かしい実績を残し、今期限りで引退を示唆している男子体操の内村、女子レスリングの吉田、伊調。
外国人功労賞として陸上のボルト。自国の壁どころか人類の壁を破った偉大なる選手。これほど全世界の目を釘付けにするスーパースターは今後現れないかもしれない。
それから如何にお家芸と言えど、柔道やレスリングの選手は金メダルを取れなかったと言って悔し涙を流したり、謝ったりしないでほしい。銀や銅を無価値のように言うのは他のメダリストに対して失礼だ。せめて表彰式ぐらいにこやかにいきましょう。しかし吉田でも負けるんだね。これで霊長類から人類になれて肩の荷が下りたんじゃないかな。でも決勝の相手がゴリラみたいな女子ならともかく、けっこう美人だったことが癪に障る^^。アネキの立場ないやん。
何か書いておこう 2016.08.06
連日の猛暑で鈴鹿登山は無理。かといってテント持ってアルプスへ行く時間もなし。商売人は辛い。日帰り+家内もいける涼しい山ということで木曽駒へ行くことにした。車の中ではゆっくり寝られないので家で早めに寝て午前3時出発。高速はガラガラ。朝6時のバスに乗ってロープウェイも待ち時間なし。快晴と絶景の中、一時間半ほどの登りで山頂に着く。気温15度。全身に浴びる天然エアコンの心地よさ。やはり高山はいい。下山も早めにしてロープウェイと高速の渋滞を避けた。唯一物足りなかったのは花。ちょっと遅かった感じ。十数年前に来た時は雪渓もあったし、凄い花だった。やはり7月がよいが、天気のいい日が少ない。
富士と南アルプス 宝剣岳 空木岳 南駒 三の沢岳
ちょっとおもしろかった映画 「激戦 ハート・オブ・ファイト」
バリバリの格闘系アクション映画のような題名だが、実際はヒューマンドラマである。大筋としては弟子と師匠の二人三脚で猛練習を重ねて総合格闘技の試合に臨むという、ロッキーとかカラテキッドみたいなものであるが、他にも色々見所がある。トレーニング中の街の風景の切り取りが絵的に素晴らしい。BGMも良い。主人公が居候している家の情緒不安定な母親や、その小さな娘との交流。おっさんとクソガキという構図は味がある。あとニック・チョンとエディ・ポンの格闘家としての肉体美が素晴らしい。試合シーンは如何にも痛そうで、みている方も身が縮む。猛烈に痛そうな肩の関節をはめるシーンはどこかで見たなと思えば、リーサルウェポンだったか。そういえばメル・ギブソンも痛そうなシーンの映画が多い。変態?
4Kへの道のり、はるか遠し 2016.06.08
今までアナログ衛星放送、デジタルハイビジョンなど新規格に移る時は誰よりも早く対応してきた。出はじめは対応機器が高いので無駄ガネを使ってきたともいえる。そしていよいよ試験放送やウルトラHDブルーレイの発売が開始され4K時代が到来した。テレビはすでに半数ほどが対応している。でも今回ばかりは私も足踏みである。テレビはともかく4Kフル画素のプロジェクターがやたらに高くて、ちっとも安くなってこないのだ。それもフル画素はSONY一社だけという寂しい状態。UHDブルーレイもソフトは発売されたが再生できるのはパナソニックの超高価なレコーダー一機種のみという状態。この業界ヤル気あるのかと疑いたくなる。斜陽業界に身を置くものとしては、昔のような無駄ガネを使うわけにはいかない。対応機器が増え、庶民的な価格になるのを願うばかり。
しかも一般の人はよく知らないだろうが、現在の4K機器はまだ発展途上である。技術的な話は避けるが、新規格は単に画素が増えるだけではないのである。今の機器はその辺の対応ができていないから、あわてて買うと損だと言えよう。でもまあいち早く買って人柱になる人がいないと安くならないから、こんなことバラしちゃあかんのかなあ。
あと音声規格としてちょっと前から登場してきたドルビーアトモスにもまだ対応していない。故障もしていない機器を次々買い替えさせようというメーカーの策略にまんまと嵌るのもしゃくだ。ソフトだってまた同じ映画を買い替える羽目になる。バカバカしい限りだ。もうレコードと真空管とフルレンジスピ−カーだけの世界に回帰するかな。ブラウン管テレビも生きてるし。昭和の人間にふさわしいラインナップだ。あ、カセットデッキとFMチューナーも欲しいな。
スピーカー工作第二弾 2016.05.17
釣りの世界ではヘラに始まり、ヘラに終わると言う。シンプルなものほど奥が深いということだろうか。スピーカーではロクハンに始まりロクハンに終わるという。ロクハンとは6インチ半、つまり16cm口径のフルレンジスピーカーである。ウーハーもツイーターも使わない。これ一発ですべて賄う。一発で済まそうと思うと高音上限、低音下限である程度妥協が必要となる。そのバランスがちょうど良いのがロクハンとされ、昔はユニットの名機が色々あった。現在は技術の進歩なのか高音寄りが好まれるのか、8〜12cmが使われることが多い。16cm以上ではどうしても高音が物足りなくなってツイーターを追加するハメになる。それではネットワークを使わないというフルレンジの意味がない。私はフォステクスから出ているFF125WKというユニットを使用することにした。
一から箱を作るとなるとタンノイもどきを作った時よりさらなる苦労がのしかかってくる。ダイヤトーンのDS-500の中身を捨て、箱だけ使うことにした。せっかくウーハーのエッジを張り替えたのに満足な音がしないので見切ることにする。買ってからもう30年以上経ってるからしょうがない。箱だけでも生き残れば成仏してくれるだろう。
(左)次女が生まれ手ぜまになったので、大型スピーカーを売って手に入れたブックシェルフのDS-500。
(中)分解して中身を全部出す。密閉型なのでたっぷり入っていた吸音材も半分以上出した。
(右)ただの箱になったが、一から作ることを思えば手間は大幅短縮。しかし新ユニットには大きすぎる穴が大問題。
穴を埋めつつ、FF125WK用の穴を開けたドーナツ状のサブバッフルが必要となる。それを作るのに今回一番の苦労。上の穴はバスレフポートに利用。
小さい穴はホールソーで開くが、大きいドーナツ外周の円は鋸で切り出した。出来はガタガタ(笑) グラインダーとヤスリで修正。
(左)ドーナツ二つと、バスレフダクト(塩ビ管)を取り付けたところ。fdを60Hzとして箱の容量から塩ビ管の長さを計算する。
(中)いよいよFF125KWを取り付け。フレームが四角いのでデザイン的に変だが、そもそも素人工作だし・・・。
(右)このままでは耳の高さよりかなり低いので上下逆さにする。DIATONEのロゴが逆さになるが、もはやダイヤトーンじゃないし(笑)
さて結線ののち緊張しつつ音出し。スピーカーは出来上がってすぐはひどい音が出るのが自作マニアの常識。だがしかし今回は最初からいい音が出た。押尾コータローの生ギターがフレッシュだ。これがコイルやコンデンサを通さない良さなのかまだ分らない。曲をとっ替えひっ替え試聴を続ける。やはりまだ高音が硬いな。ボーカルにも艶がない。エージング(慣らし)によって良くなっていくのか、そのままなのかはまだ不明。一個6500円のユニットに過度な期待は酷であるが、良くなれば嬉しい。
ヴァイオリンは明らかにメインのKEFと違う鳴り方をするが、これはこれで味がある。不思議とKEFに匹敵する鳴りをする曲と、大きく及ばない曲がある。これが相性というものか。ジャズ、クラシック、ロック全般を通じて言えることは低音不足。これは12cm一発だから予想通りで期待はしていなかった。むしろドラムのキックなどは予想より迫力がある。このスピーカーだけ聞いていればほぼ不満のないレベルだが、メインと比べるとグンと沈み込むベースの深い低音は出ていないのが分る。部屋全体の空気を震わせる風のような気配はスッパリと無い。当たり前のことである。むしろその弊害がなくて清々しい。今後どう変わっていくのか楽しみだ。
映画 エベレスト 2016.05.05
買おうかどうか迷っていたブルーレイだが、友人が貸してくれたのでとりあえず見た。ちなみに3Dではない。画質は最高クラスではないが、厳しい現場なのでしょうがない。20年前の事実に基づいた映画なので結末は分っている。難波康子さんが亡くなったロブ・ホール率いる営業公募登山で、当時話題になったものだ。
映画はまあよくできた部類かな。しかし山に興味がない人が、ストーリーやアクションに期待して見る映画ではない。結局当時の論争を蒸し返すようだが、危機になれば自分の身を守ることもままならないのに、登頂を商業ベースに乗せることの罪を思う。それもあんなに大勢連れていくとは常軌を逸している。普通ならリーダーや隊長の命令に絶対服従しなければ統率がとれないが、大金を払ったのだから登りたい客、金を受けたった側も登らせたいという情に流されて判断を誤ることになる。 それとこういう危険な山に執着することの罪を思う。自分はそれでいいかもしれないが、残された家族はどうなるのか。それでも挑戦したいなら妻や子を持たないことだと思う。
家庭でこの作品を体感したいなら画面は大きいに越した事はないが、音はもっと大事。天地をどよもす雪崩の音や地獄から鳴り響く暴風雪、心臓を鷲掴みするように轟く雷鳴など、もの凄い効果音が入っているので、TV内蔵のスピーカーでは十分鑑賞したことにはならないだろう。
不器用思い知る 2016.04.01
パソコンの音を鳴らすデスクトップスピーカーを作ろうと思い立った。正確には作り直すことにした。近頃はオーディオ雑誌が売れないのか、付録商法が盛んである。デジタルアンプやDAC、スピーカーなどが付いてくる。まるで本が付録のようだ。その中で以前スキャンスピークのスピーカーユニットが付録の号を買った。たった5cmの可愛いユニットだがメーカーは一流で素姓が良い。箱に入れなければ使い物にならないが、板を切るのが面倒で、箱の付いてくる本も買った。抱き合わせ商法みたいなものだ。スピーカーの箱をエンクロージャと言い、低音の処理で色々方式がある。私はバックロードホンという特殊な方式にした。さすが商品は板のカットが正確無比で、ボンドだけで簡単に出来上がった。ところが音出ししてみると、これはムゴい。土管の中に頭を突っ込んでいるような音だ。ちょっと容積が不足しているようだ。その後、机の下に仕舞ったままとなっていた。
今パソコン用に使っているメーカー製のスピーカーを他に転用することになったので、この机の下の邪魔者を再び活用することにした。バックロードは懲りたのでオーソドックスなバスレフとする。エンクロージャは作り直し。四角四面の鳥の巣箱みたいなのは味気ないのでどうしようかと悩んでいて、ふと思いついたのがTANNOY社のプレスティッジシリーズ。タンノイと言えば昔舶来の中でJBLと人気を二分していたメーカーで、私もかつてアーデンMK2という機種を所有していた。今でもクラシックタイプの製品も出している。その中でターンベリーGRという機種の1/4モデルを作ろうと思った。木工技術はド素人だが、外観だけでも似たものを作ってみたいと思った。スキャンピークの外形は7cm。本物のターンベリーは10インチ(25cm)ユニットで外径はもう少し大きい。ほぼ1/4となる。タンノイのカタログから寸法を割り出し、図面を描く。90cm×30cmのMDF板一枚で賄えることが分った。いざホームセンターへ。MDF板、鋸、クランプ、金色ポスターカラー、1cmのミニ角材(飾り用)を買う。家にあるのはホールソー(丸穴開け)、曲尺、ボンド、水性カラーニス、一般的な工具など。
基本的には6枚の板(ステレオで12枚)を切りだして四角い箱を作るだけだが、これがなかなか頭を使う。どの面を表に出すか、接着剤で多少寸法が増えると、どの板の寸法を増やすか。鋸の目の幅も計算に入れねば・・・そして何よりの難関はコグチを直角に切ること、直線をまっすぐに切ること。これは機械にかなわない。手で切ると自分の不器用さを思い知ることになる。ホームセンターカットサービスもあるが、これは人によって2、3ミリの誤差を平気で出す。長けりゃいいが、短かったら全部ゴミだ。今回は手切りに挑戦。直角に切るにはソーガイドという器具があるらしいが、近くのホムセンになかった。なくて幸い、あればまた無駄遣いで製作費が膨らむところだった。5cm程の角材をクランプで固定してその側面に鋸の刃を当てて垂直に切る作戦。手で切った割にまずまずの板が12枚切りだせた。これは神経を使う重労働だった。仮組してみるとバッフルや裏板が僅かに入らない。やはりカットの直線性が悪かった。あたる部分をヤスリで気長に削る。すると今度は他の部分に隙間ができる。いかにも素人細工だが、そんなことは織り込み済み。隙間は内側からボンドで徹底的に埋める。空気漏れさえしなければいいい。飾り枠の工作にも難儀する。本物は細かい装飾がされているがそれは無理。角のカットやサイドの三角削りだしに四苦八苦。ヒノキ天然木なので節のところが固くてまっすぐ行かない。もうどうでもなれだ。
こうして不細工な巣箱が二つ出来上がった。スピーカーの穴は手持ちのホールソーできれいに開いた。軽くペーパーで磨いて今度は塗装。ウォルナット水性カラーニスをたっぷり刷毛につけて塗ってみた。撫でれば撫でるほどムラができる。いかんなあ。塗りムラが木目に見えんこともないのでいいか。しかしコグチは真っ黒になるし、はみ出たボンドを拭いたところが塗料をはじく。天然木の節も塗装をはじいて色が付かない。見栄えが悪過ぎていやになってきた。ちょっとネットで調べる。ふーむ、そもそもMDFの塗装に水性塗料は向かないそうな。塗る前ではなく塗ってから調べるお粗末さ。乾いてからペーパーを掛けて塗るということを何度もやると光沢が出るそうな。3回で多少マシになったが、最初の塗りムラは致命的で消えない。売り物じゃなし、まあいいさ。
さてユニット周りのゴールドリングとロゴの入った金色プレートはプレスティッジらしさを出す演出として欠かせない。買ってきた金色ポスカをユニットの周囲に筆で塗ってみる・・・あかんがな。はじきまくって均一にならない。しかもこすったら取れてしまう。完全に失敗。紙や木にしか使えないみたい。さてどうするか。とりあえずホムセンにGo。アルミの薄板に交じって、真鍮の薄板めっけ。美しい!0.1ミリ厚とある。これならハサミで切れそうだ。必要量の10倍以上の面積しか買えなくて無駄だが仕方ない。プレートの方は只の四角で問題ないが、難物はユニット周囲のリングである。製図用デバイダで円を描き、金切りばさみで外周を切る。厚みがないのはいいが、それゆえ切り口が波打つ現象に悩む。プレスで打ち抜けばきれいにいくだろうがそんな機械があるはずない。さて難関は内周である。これはハサミでは切れない。悩んだ挙句、丸型彫刻刀で抜く作業をすこしづづ移動しながらやってみた。薄いとはいえ金属なのでなかなか重労働である。何のためにこんな面倒なことやってるのかと思い、空しくなる。で、一周切ってもきれいなリングができるわけではない。バリでギザギザ。ヤスリを掛けるのも薄すぎて一苦労。しかし出来上がったブツを貼りつけるとなかなかいい感じである。ただし、遠目限定。近くで見たら、あちこち素人細工丸出しである。あとは吸音材入れて、配線して裏ぶたを接着するのみ。もうできたも同然だ。
翌々日ボンド乾燥して試聴。バックロードのような癖はなく、なかなか素直で上品な音がする。ただ元気とかガッツがない。しばらく大音量で鳴らしておいて夜のウォーキングに出かけ、風呂に入って部屋に戻る。おー、なかなかいい感じになじんできた。所詮5センチだから低音は期待しても無理。ただ想像力で補えばそれらしく聞こえる。机上のパソコンで鳴らすにはちょうどいい。ときおり、ハッとする良い音が鳴る。アコギとか女性ボーカルが合う感じ。
写真上 TANNOY Turnberry GR 本物
写真下 1/4自作モデル
映画諸々 2016.2.12
放送録画、買ったBD、借りたBD、ちょっと忙しい。インド映画「チェイス!」はアジア映画とは思えないハリウッドかぶれぶり。バイクチェイスは「MI5/ローグネーション」を彷彿とさせる。それでもお約束の歌と踊りがしつこいぐらい出てくるので時間が長くなる。美女といいサーカスの舞台といい、映像がゴージャス。しかも高画質で見入ってしまう。「きっとうまくいく」と同じ主人公で、その特徴的な顔が脳裏に焼きつく。インドのトム・クルーズなのかな。
「バードマンあるいは(無知〜 」 この映画はアカデミー賞はじめ評価の高い作品だが、私にはどこがいいのかさっぱり分らん。アメリカの演劇界に対する知識がないからだろうか。超能力をどう生かすのかと思ったらどうやら妄想だったようだ。初老の情けないブリーフ姿はやめてくれ。この映画は時間の無駄だった。
「セッション」 事前情報で狂気の暴力鬼コーチぶりを聞いていたので、実際見たときのインパクトが減ってしまった。この程度の鬼コーチなら何の世界でも実在するのではないだろうか。ラストの鬼気迫るドラムソロは見応えがあった。そこそこよい映画。「マッドマックス/怒りのデスロード」「群盗」「美女と野獣2014」どれも可もなく不可もなく・・・なかなか自分の星5つには巡り合えない。
奇跡の邂逅 2016.02.06
わずかな雪を貰っただけで今年の冬も終盤を迎えた。暖冬と言うが暖冬が続けばそれが平年値になる。昔に比べて気温の平年値が高くなっている。当町ではスタッドレスタイヤが本当に必要なのか疑問になってきた。一回目の雪を貰ったあと岩ヶ峰へ登ってきた。思ったより雪は多く、あわよくば釈迦という欲は消えた。腰痛を患ってもいたし。このような寂しいコース、しかも冬。誰にも会うまいと思ったら二人も出会ってしまった。このうちの一人は足が攣ったとのことで岩ヶ峰の下で撤退。もう一人(Mさん)とは下山後の駐車場でまた出会った。彼は元気で釈迦に登って周回してきたそうな。山の話をして、全然更新していないけど私のHPの宣伝をしておいた。
後日HPから連絡をもらい、彼が映画やオーディオマニアであることを知り仰天。登山者でここまで同じ趣味の人は珍しい。やぶこぎネットでは六右衛門さんのオーディオ、最近ホームシアターを始めたKEIKOKUさんが近い。Mさんはオーディオ、AV(オーディオビジュアル)ともに別建てで結構な機器を所有しているらしい。私の言うマニアとは機器に愛着を持ち、常に良い音、良い映像を求めている人たちのことである。映画が好きで映画館に通ったり、レンタルDVDを借りて映画の内容を語る人ではない。そして音楽が好きで蘊蓄があり、コンサートに出かける人でもない。言わば、自宅でより良く再生しようと情熱を傾ける機器偏愛者である。音響映像機器はそれこそピンキリであるが、高額な機器を備える人が必ずしもマニアではない。そこは個々の甲斐性に任せるとして、その範囲でより良くを求めて努力する情熱こそがマニアたる条件であると思う。で、そのMさんがブルーレイソフトを50枚も貸してくれた(意外とご近所)。こりゃ益々山に登れなくなってきたわい^^