雨乞岳はもう冬の装い 12.12.02
H君と山へ行くときは天気が悪いと相場が決まっていたが、どういうわけか今朝は上天気。早朝の道路から見上げる御在所岳は、朝日を受けた紅葉と新雪が赤く染まってそれは見事だった。クルマを停めて写真を撮るべきだったと悔やむ。スカイラインは御在所登山者で満車。武平峠も数台の車がいて登山仕度をしていた。道路端に雪が点在しているのでスパッツを付けて出発。
この道も随分久しぶりのような気がする。もっともあまり登らなくなったので、何処へ行っても久しぶりなのだが。ここもご多分に洩れず所々雨にやられて若干付け替えられている。途中で朝日を浴びてキラキラと輝く枝越しに鎌ヶ岳が見えた。沢谷峠までに何人かに追いつく。この道は登山口が高いので楽そうだが、水平距離がけっこう長い。源流部への下りは快適。雪は浅いながら一面が白くなってきた。久しぶりの雪の感触を楽しみながら歩く。要所に「ここは○番です」という地図付きの案内板がある。いつ建ったのか知らないが迷いやすいルートなので結構なことだ。
小尾根を乗り越せば豊かな水が流れるクラ谷源流部。お気に入りの場所だ。水は七人山コル直前まであるので、往路に使うと水を持って上がらなくてもよいという利点がある。しかしながら記憶より長くて少し疲れた。コルで大休止。積雪は5cm程度。ここからの登りは雪がどっさり積もれば何処でも歩けるが、まだササが元気なので踏み跡を追わねばならない。少し高度が上がるたびに背後の景色が雄大になってくる。上部には期待していなかった樹氷まであってご機嫌だ。東雨乞岳山頂はいつものごとく雪がない。風が強くて飛ばされるのだろう。誰もいない山頂で360度のパノラマを楽しみ写真を撮る。絶景であるが地平線付近に雲があり、遠くの御嶽や白山は見えなかった。
本峰から戻ってきた人に「ハリマオさん?」と聞かれた。見覚えがない人だ。「以前何処かで出会いましたか?」と聞きかえす。御池岳の捜索でご一緒した方のようだ。誠に申し訳ないことながら、私は人の顔は10回くらい会わないと覚えられないのである。この方は本日山頂一番乗りだった由。少し話をしてから本峰へ向かう。ササがビショビショである。露払いの人はけっこう濡れたようだ。しかし雨乞岳からササが消えたら悪夢だ。
登るに従って背景が広がる ササにも霧氷がびっしり 雨乞岳で鈴鹿7mt完登のH君
無人の山頂に着いた。これでH君はセブンマウンテン完登となった。静かだったのもつかの間、人が続々と登ってきて十数人になった。ヤブをかき分けて池を見に行く。やがて雪に埋もれるのだが、今は全面氷結だった。こういう姿は初めて見る。怖々片足を載せてみたらミシミシと音をたてた。靴を濡らすと大変なので、あわててひっこめる。誰も池を見に来ないが、知らないのだろうか。山頂で食事をしている人もいるが、こんな落ち着かない場所でやらなくてもねえ。
霧氷と鎌尾根 本峰から東雨乞と御在所岳 氷結した山頂池
下山は予定通り郡界尾根。地図に赤線がないだけで、もはや登山道同然だ。東雨乞岳で出会った人がこの尾根から登ってきたと言っていた。1100m付近の横にそれた平坦地で昼食にする。空が曇ってやや寒くなってきた。ガスカートリッジは夏用で、それも残り少ない。それでもブースターを付ければちゃんと湯が湧く。おっさん二人でラーメンとは侘びしいが、それでも雪の上のラーメンはうまい。ときおり細かい雪が降ってきて、じっとしていると寒い。さっさと帰ろう。
目印は三人山を巻いているが、我々はピークを踏んで郡界に忠実に下る。往路と違って誰にも出会わない。ときおり鎌ヶ岳の展望がよい。雪が溶け始めて靴がドロドロになる。やがて967に向かって登りになる。下山中の登りは何か損した気分である。そうは言いながら武平峠までクルマで標高を稼いでいるので文句は言えない。やはり朝明から登ることを思えば楽である。体は正直で翌日の疲れはなかった。