西尾根から藤原岳 98.11.22
同行者 内田
車で茨川まで入ろうかと思ったが、内田君が治田峠へ行ったことが無いというので青川峡から入渓した。ここは渡渉が必要なので長靴を履いていってトンネルの向こうででデポした。ジグザグの急登を経て中尾地蔵で一息入れる。以前夏の雨の日にここへ踏み込んで、ヒルの猛襲に遭い相当量の献血をした。(山と渓谷のバックナンバーをお持ちの方は98年1月号、271ページを見てね)11月なら安心だ。
峠からは調子よく下ったが、途中から台風10号(野登寺の杉や入道の避難小屋を押し倒したやつです)による植林地の崩壊で谷は埋め尽くされ、通過は困難を極めた。倒木をくぐったり跨いだり、斜面を巻いたりで体力を消耗し時間も取られた。茨川で小休止し、茶屋川を遡行する。青い淵を見ると釣りの虫がうずく。三筋の滝で昼食とする。こういう素晴らし場所でお昼を食べると山にきた幸せを感じる。ここは何ぼでも水があるのでいいが、源流のテント場でゴミをする人がいるので安心はできない。
西尾根の取り付きがわからなかったので、善右エ門谷を少し行って木につかまりながら急斜面を這い上がった。息も絶え絶えの急登。尾根筋をキープしていくと、赤テープを発見。傾斜が緩慢になって、やがて平らな場所に出た。一瞬鹿を目撃した。樹林の間から天狗岩がのぞく。キノコがあったり、鹿の角の跡と思われるものが木についていた。ここはいい所だ。機会があればテントを張ってみたい。
高度が1000mを越えると雪が出てきた。昨夜少し降ったのだろう。落ち葉と相乗してズルズルのいやなトラバースが延々と続く。最後はびしょ濡れの藪漕ぎで十字路に出た。山頂はパスしたいところだが、今日は治田峠へ戻らなければならないので、イヤでも登るしかない。足元は雪解けでグチャグチャ。展望台はまだけっこう人がいた。しばらく休んでいると雪がちらちら降ってきた。今年はじめてみる雪。空は鉛色でなんだか物悲しい雰囲気だ。
治田峠へ向かって潅木の道を下りだすとまた誰もいなくなった。皆さん駅か聖宝寺へ下るのだろう。アップダウンが延々と続き80分かかって治田峠へたどり着いた。腹が減って行動食をたべつくした。疲れた足に青川への急降下がこたえる。デポした長靴に履き替えて、車へたどり着いたときには短い晩秋の陽が暮れかかっていた。今日はよく歩いて満足した。