第五回ミルキーあんぱん吟行 05.11・27
参加者 (敬称略) 小田、やまぼうし、pana、RIN
石垣、Bone、長谷川、マンテマ、通風山、たま、KEIKOKU、東雲、いわなっち、ハリマオ
ミルキーあんぱんも第五回を迎えたので、少し過去を振り返ってみよう。最初は戯れ歌同人の御池杣人さんと私が、晩秋の御池岳を吟行しようと始めたものである。名前の由来は次の歌による。
本歌 をぐら山 峰の紅葉ば 心あらば 今ひとたびの みゆきまたなん (貞信公)
御池岳 尾根の小径は そぞろゆかば いかにも秋の ミルキー あんぱん (御池杣人)
現代語訳 コグルミ谷から娘さんの峠へ出て、御池岳へと至るあの心地よい小径(緑水氏によれば法楽の小径)を、もうすぐ池に会えると心もそぞろに歩いていて、丸山への直登手前の分岐の窯跡で一休みするのにもっともふさわしいのは、いかにも秋のペコちゃんポコちゃんとあんぱんであることよ。
記 録 メ モ
日付 |
天気 |
コース |
参加人数 |
|
第一回 |
01.10.28 |
曇り一時雨 |
T 字尾根・奥の平・土倉岳 |
11 |
第二回 |
02.11.17 |
薄曇り |
真の谷・亀尾・奥の平 |
11 |
第三回 |
03.11.09 |
雨のち曇り |
池巡り・夕日のテラス・小竜の穴 |
10 |
第四回 |
04.12.20 |
曇り |
木和田尾・白舟峠・丸尾・寒山 |
15 |
第五回 |
05.11.27 |
曇り一時アラレ |
コグルミ右岸尾根・奥の平・近藤岩 |
14 |
☆ 皆勤賞 小田さん やまぼうしさん ハリマオ
☆ 4回出席 御池杣人さん KEIKOKUさん panaちゃん
☆ 3回出席 たろぼうさん マンテマさん 隊長 東雲さん とっちゃん RINさん
秋なのに一度も快晴になったことがないのも特徴であるが、その風情も良い
今回は会の中心である御池杣人さんが病欠となり中止しようと思ったが、氏の強い意向で予定通り実行の運びとなった。同人の作品こそが病床の慰めとなるだろう。曇り空の藤原パーキングには14名の参加者が集まり、骨折中のとっちゃんが見送りに来てくれた。今回は長谷川さんにコース設定と先導をお願いし、御池杣人さんがいないので私は最後尾を歩こうと思う。
集合場所から車に分乗し、コグルミ谷の下側の駐車場に置く。ここから長谷川さんはダイレクトに右岸尾根へ取り付いた。体が温まらないうちに植林の急登で皆さんゼイゼイ。しかしラストのペースに合わせるのは楽だ。小田さんの例の「ドッコイショ」に合わせて登っていく。やがて尾根の東側が自然林になり、散り残った黄葉に朝日が透ける。ああきれいとか言ってちんたらしていると、先頭ははるか頭上だ。
630mの、西に鞍掛トンネルが見える辺りで休息。同高度くらいのはずだが、トンネルのほうが低く見える。イタドリバ上部までは、進むほどに傾斜が緩くなって快適だ。しかし調子が出てくると同時に、最後尾を歩くことの難しさを感じる。前に人がいると追いつけ追い越せの本能が顔を出してくるのだ。ちんたら道の修行が足らんということだろう。高度が上がるにつれて葉の数も減じていくが、西の斜面など紅葉散りぎわの美が感じられる。
いきなり急登じゃ、ドッコイショ 東斜面には紅葉が残る ちょっと一服しよまいか
最後の一踏ん張りをこなすと天ヶ平。ここで昨年のようにBoneさんが長餅をたくさん用意していただいていて、皆さんおいしい、おいしいと好評だった。休息後県境の登山道を登る。県境尾根先端の乗越しでKEIKOKUさんの地図が出るGPSを囲み、あーたらこーたら言っていたら先頭グループが消えていた。よく見たら丸山分岐へ向かわずに、南へ下りて真の谷の深い溝の向こう側にいた。なるほど、登山道の一本東から奥の平ですか。さすがに長谷川さん渋い選択。
少し上にサワグルミの大木があり、近づいて写真を撮る。オニグルミなら実があるのに残念と言っていたら、地面に真っ黒の実が落ちていて、擦ったらクルミだった。マンテマさんが少し離れた木をオニグルミと断定。他の木も名前を教えてもらえるので有難い。葉もないのに何で分かるのだろう。豊作でリスも食べきれないのか、実の入ったクルミは無数に落ちていた。小田さんやいわなっちさんと石で叩いて割ってみた。半分は腐っていたが、半分は白い実が詰まっていた。小枝でほじって食べてみたら、じんわり油の味がした。二つの実を手の中で弄んでいると、チャリチャリ音がして気持ちいい。指を使うのでボケ防止になりそうだ。
束のようなサワグルミの大木 輪郭の苔が朝日に光っていた
panaさんが落ち葉の中にキノコを見つけた。クリタケと思うが二人とも断定できないので、鍋入りは見送られた。「疑わしきは罰せず」はキノコにも当てはまる。しばらく登ると苔むした石灰岩の群れに出会う。その群れに朝日が当たり、輪郭が白く神々しく輝いている。これは凄いとみんなが写真を撮る。皆がまた同じ写真を載せるのかなと笑いあう。
この高度ではもはや散り残りもなく、初冬の明るい裸木の中を登っていく。天気は崩れると思っていたが、今のところ予想よりよい。ときおり青空ものぞく。まもなく奥の平1241ピークに着いた。昔の本を見ると、ここが最高点だとしている。
とりあえず南峰へ行こう。ササは益々枯れて殆ど抵抗はない。奥の平南峰からの風景はおなじみになったが、何度見てもいいものだ。しかしやや霞がかかっている。ここで昼食と決めるが、風が当たるので少し東へ移動する。平らな場所に腰を落ち着けると、やまぼうし&panaラーメン店やクラブRINの開店である。ママのお酌でボジョレヌーボーをいただき、ラーメン屋さんで豆乳と豆板醤特製をいただく。このラーメン「まいう〜っ」で、おかわりしてしまった。自分のおにぎりを食べてしまったあとなのに。
奥の平1241の開放感にひたる 同場所からボタンブチと天狗堂 南峰でラーメン屋さん開店
一時間ほど昼食タイムのあと、帰るにはまだ早いので東池、青のドリーネ、奥の池、東端峰を巡る。奥の池の水は黒い鏡面になって、冬枯れの木々を映していた。初夏の生命感溢れる様子とは対照的な佇まいを見せ、静寂の世界が支配している。これから深い雪に閉ざされる準備のようにも思える。
東端峰からの景色は霞んでいたが、釈迦ヶ岳までは何とか見える。山間をうねる真の谷に沿って、紅葉の残滓が雲間のスポットライトを浴びている。しかし盛期のそれとは違い、幽かでなんとなく物悲しい光である。
女性陣から「杣人さ〜ん」の声が名古屋に向かって発せられる。KEIKOKUさんが 「なんだか故人をしのぶ山行みたいだね」 と言ったので一同爆笑。雪が溶ければ奥の平にも春が来る。
満腹のおなかをさすって東池へ 青のドリーネ近くのブナ 静寂の鏡面 奥の池
帰路はそのまま北へ進み、真の谷へと下りる。トラバースしながら下るのはけっこう足に負担がかかる。いつもならシカに出会う場所だが、今日は賑やかすぎて警戒されたのかもしれない。気付いたら任務を忘れ、KEIKOKUさんや長谷川さんと先頭を歩いていた。どうもいかん。しかし皆さんベテランなので、帰路は放し飼い状態でも迷うような人はいない。
途中でポツリと当たったなと思ったら、雨交じりの霰が文字通りアメアラレと降り注いできた。ここで全員カッパを着用する。そういえばミルキーではカッパを着ることが多い。遠目に見ると枯れた山にカラフルな花が咲いたようである。
奥の平からはデタラメに下りても、だいたいテント場に命中することになっている。その直前で小康状態であった霰が猛烈に降ってきた。カッパがパラパラと音を立て、白い粒が無秩序な方向に跳ね返って落下する。幾何学的な数式によって跳ね返る角度は決まるのだろうが、そんなことは霰の知ったことではない。好き勝手に跳ねて、楽しく踊っているように見える。手で受けてなめてみると初冬の味がした。トチノキのコバで休息するころには霰祭りも終息した。
真の谷へ向かって斜面をトラバース下降 天からのプレゼントを両手で受ける
天ガ平からは登山道を下った。近藤岩では皆で病気平癒の願掛けをする(写真上)。コグルミ谷は雨に濡れると非常に滑りやすい。通風山さんはまだ骨のヒビが完治していないのでヒヤヒヤする。長命水で最後の休息。不思議なことに真の谷のトチは全散していたのに、ここのトチノキは見事に黄金色の葉を纏って美しい。善意の補修をされつつあるコグルミ谷下部を通って、16時ちょうどに無事下山した。これからはあっという間に暗くなるので、程よい下山時刻であった。病気、怪我、仕事等で参加できなかった方も、春の花見山行にはご一緒しましょう。