神崎川核心部    01.07.22

 朝明の見返り橋駐車場を通過しようとしたら、腕章を巻いたおじさんに止められた。迷惑駐車が多いので登山者の人はここから歩いて欲しいと言う事。迷惑にならない場所は幾つか知っているが、一台づつ声を枯らして頑張っているおじさんに免じて言う事を聞く。

 白滝谷の滝ハト峰峠へ出る近道を歩いていたら大声が聞こえてきた。石積み堰堤を巻くロープの下がった急斜面でリーダーが三点確保を説いている。連れて行くほうも連れられて行くほうも大変ですね。昨夜の雨で道は湿り、蒸し暑い事この上ない。他の山域だったら蛭の格好の餌食だ。釈迦ヶ岳周辺には全くいないので助かる。尾根の急な登りにかかると汗が噴出す。愛知川で泳げると思うと耐えられるが、山登りだったらかなわんな。

 白滝谷下降路は歩きやすくて涼しい。汗が引いていった。滑を横切る所で木漏れ日が差してきた。天気が回復傾向にあるようだ。長い山道を川を横目に下っていると、一刻も早く水に入りたくて出合までに渓流シューズに替えて川の中へ。しばらく下ると7mほどの垂直の滝。真中の岩場を木をつかんで下降。その下の釜でザックを降ろして水没。最初は水圧と冷たさで胸がキューとなる。やはり支流は冷たいわ。

 神崎川との出合に着くと3人ばかり人が休んでいた。ここからヒロ沢出合までが神崎川の核心部と言っていいだろう。登山道は右岸を大高巻きしているのでつまらない。しかし忠実に川通しで行くと廊下は泳がねば通過できない。夏はそれができるので嬉しい。

 休んでいると下流から沢ヤの大パーティーがやってきた。やっぱ、夏はいるなあ。ザックの中のビニール袋の口を縛って出発。相前後して歩いていると長い列に溶け込んでしまった。岸を歩ける所でもわざと水中を行く。たまらんわ、この涼しさ。本流はさほど冷たくもなくいい湯加減だ。

 天狗滝の大プール谷尻谷出合の滝の大淵で泳ぐ。ここで秘密兵器を取り出す。テント用のサーマレストエアマット。これに空気を吹き込んで乗っかって漂う。オモロイなあ。他にも数人が泳いだり滝に打たれたりしている。実はリールとルアーを持ってきたのだが、こう人がいては釣りどころではない。滝に打たれてみるとすごい水圧だ。大人一人を背負っているぐらいの圧力がある。

 谷尻谷出合を過ぎると長い廊下があり、背の立たない流れが詰まっている。30mほど泳ぐ。ザックが浮きすぎて泳ぎづらい。途中岸壁のホールドに手をかけて休む。このような清流で泳げる事は幸せだ。ビキニのおねえちゃんはいないが、汚い海で泳ぐよりはるかにいい。もう一泳ぎして岸の岩をつかんで這い上がる。水から出ると体が重い。

 程なく天狗滝。この滝壷もやたらに広くていいプールだ。ザックの防水を解いて写真をとる。この作業が面倒でなかなか撮影ができない。ライフジャケットを着た人たちが滝の途中から飛び込んで遊んでいる。一泳ぎしてから滝を巻く。

 七丈淵を歩いたり泳いだりしているうちに喉が渇いてきた。水中にいて喉が渇くというのも変だが、本流の水は飲みたくない。やっと左岸からの小沢を見つけてそこで昼食。誰もいない。パーティーは天狗滝付近でお昼らしい。静かだ。食後、平らな花崗岩の上に寝そべってウトウト。濃緑に茂る樹間の空はもう真っ青に晴れている。川からの風が涼しくていい心持ちだ。七丈淵

 さてもう一泳ぎと思ったら、じきにヒロ沢出合に着いてしまった。ブッツケの淵にまたマットを浮かべて漂う。寒くなってきた。まだ時間は早いが、この先は大トロ以外平凡な河原歩きとなるのでやめた。靴を履き替えて帰ることにしよう。

 朝明の小屋や売店のあるところでは、狭い河原にびっしりとバーベキューのパラソルが咲いている。林道が伸びれば神崎川もやがてこうなる運命か。生ゴミの袋がたくさん積まれていて見苦しい。