田 麻 呂

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       たおやめに みおくられて そまのおね あられちらふる みるきーあんぱん  

 


 たおやめとはケガで登れないのに、甲賀の田舎からはるばる見送りにこられた某女のことか。たおやめとは「手弱女」と書くが、手より足の骨が弱かったようだ。あとは難解な箇所もなく、写実のままである。ただ三句には古の杣道という以外に、杣人氏の慣れ親しんだ尾根という意味も込められているようだ。巧みに人の温かさを織り込んだ歌。

葉里麻呂


うえるぱぱす※の田麻呂殿。今回お目にかかりたかったのに無念じゃ。この歌は、@すべてひらがなで、という視覚的要素も加わり、五七五七七のリズムを奏でている。A「そまのおね」、「みるき−あんぱん」と体言止めを2回繰り返す。それゆえの歯切れよさ。

このリズミカルな調子に、この日の、テンポよく快適に歩き通せた吟行のこころのさまも反映しているか。

 

 うえるぱぱすを毎号楽しみにしている。かつての連載「立ち飲み人生劇場」はまことに見事な企画で、その視点の斬新さ、確かさ、描く筆の暖かさ等、まさに生きた人生道場そのものだった。この連載終了後、多分いろいろ苦労があるのだろうけど、どちらかといえば、うえるぱぱすは(うえー上)(るー流)ぱぱすになっているよう。多様なおやじたち、おじさんたちの人生模様、喜怒哀楽を、庶民の眼、視点で描くことを忘れないで。このえげつない時代に、ばらばらにされ、人間としてのプライドや自尊心をずたずたにされているおやじたち、おじさんたちに、同じ時代を生きるおやじ・おじさんとして、遊び心を貫きながら、生きることの熱いエールを送り続けてほしい。一読者からのエールなり。

御池杣人