海老忠
明日がある 長生きするぞ 嫌われ爺 命の水
右岸尾根 真赤なモミジ 自然に歌声 谷にこだま
コグルミ谷 突然の銀座 重いよー老木 とち けやき
短歌でもない俳句でもない、四句でぽつんと切れる不思議な歌?。海老忠氏独自の世界を展開する。
@ 短歌にすれば 「明日がある 長生きするぞ 嫌われ爺 命の水を たらふく飲んで」 とでもなろうか。
五句なんぞ言わずもがなじゃ・・・と言われそうである。気概の伝わる元気な歌。爺になろうが嫌われようが、もちろん明日はある。長生きは三文の得?。人間は生きて何ぼである。ガンガン登って長命水をガブガブ飲んで、どんどん長生きしましょうぞ。
A 明るく楽しくを地でいく世界。本当に楽しい時って、思わず鼻歌が出ますね。
B 掲示板同様、海老忠節炸裂。言語明瞭意味不明。「突然の銀座」は、ほんに突然。「重いよー」から解釈すれば、銀世界のことか。あの程度の雪が重いかとも思うが、若いころと同じ目方の荷物が倍に感じる今日この頃。今になってよく分かります。
こうしてみると四句切れもありかなと思う。
葉里麻呂
名詞で文を結ぶ。体言止めが3作品にみちている。歯止めのよさ。響く。
1 海老忠殿は元気じゃのう。うらやましいほどの迫力。でも繰り返しこの作品(「短詩」と表現しておこうか)を味わっていると、不思議なことに元気になりそう。また、ゲートからてくてく歩いて、コグルミ谷の長命水を飲みに行こ。そんな気分になる。
2 そうでしたね。右岸尾根を下る楽しさ。雪はやみ一気に冬から秋へと場面は転換して、はじけていましたね。その「はじけ具合」が体言止めでより響いている。
3 「銀座」とは突然の「銀世界」のことか。あるいは、キャッキャッのご一行様で突然にぎやかになったことか。
両方の意味か。深いのう。
「重いよ」−これはご一行がこの老木に遊んでもらったことか。
3作とも、不思議な、だけどなんとも言えぬ味が出ている。
御池杣人