奈 月
・ 手にとった ルーペの先は 別世界 ピンクの花は せんこう花火
・ 元池に 命はぐくむ おにやんま 神秘的だよ 今日この時
・ 時わすれ ヨメナの花に かさの花 モデル体験 笑いのこだま
・ 御池の地 幼子ごとく 杣人氏 はしゃぐ姿 夕日のテラス
1、「去りがたいほど 心惹かれて」が悦女。奈月はササクサのピンクをせんこう花火とうたう。
ミリ単位の精緻な構造。ルーペが見せてくれる驚きの世界。まさに「別世界」がこんなにも小さくてさりげない意外な場所に。
2、この吟行の期せずしてメインの場面となった、元池のヤンマの群。こうして命が続いていく。途方もない年月と人間のあずかり知らぬところで、連綿と継続して。神秘じゃ。
3、この場面もメインの場面。僕は心込めてシャッターを押した。100ミリレンズの人物描写の出来はいかが?
「笑いのこだま」。そこにはいい笑顔、いいポーズが弾けている。体言止めが3つ続き、軽やかにそれらが弾けているのが伝わってくる。(誰じゃ、夢に見てうなされたのは?)
4、写真集『御池岳・憧』41頁の再現をしてみたかった。夕日のテラスで二人の仙女様と。役者は揃っている。はしゃぐのは当然なり。
あのときは11月、今回は9月。葉の茂りが違う。また雲海が違うけれども、絶景に位置するモデルは同じ。こうしたことがなぜかとてもうれしい。
@ ルーペでもマクロで撮った写真でも、その神秘さはまさに「別世界」。肉眼では気付かなかった自然の造形の凄さを思うのである。
A五句の「今日この時」に、一期一会の喜びが表現されている。水は生命の源。御池岳の名の源。
B御池杣人氏が朝明で発見した傘の効用。御池のお花畑で再現である。
撮るほうも撮られるほうもどこまでが本気で、どこまでがシャレなのか分からない、オチャメで不思議な夢の撮影会。
「私はいいですう」なんて遠慮はなしに、ノリノリで参加してくれる明るさがうれしい。さすがに寒い中、淵に飛び込んだ面々である。
C「御池の子」が御池へ戻った喜びということか。ひととき浮世のことは忘れたのか、常に頭の片隅にあったのか。
それは本人にしか分からないが、精神的良薬であったことは疑いなし。あの雲海の日が思い出される。