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シナノ フォールダーTWIST 115 を購入した

シナノ製のトレッキングポール フォールダーTWIST 115 を購入したので、SGマークの基準とともに詮索してみた。

1 概要

使用者の身長の目安が141-167cmとある中間サイズの「115」を選択した。「125」より収納サイズが1cm短くなる。収納は折りたたみ式。定価22,550円(税込)のお高い一品であり、入手日は2022年5月28日だ。

シナノ フォールダーTWIST 115

シナノはトレッキングポールのSG工場認定を受けているようだが、SGマークの表示は見当たらない。台湾製であるためか。仕様は次のとおり。

付属品は取扱説明書、ゴムキャップ、バスケット、黒い布製の収納袋。スノーバスケットは附属しない。ブラックダイヤモンド製のトレイル用スノーバスケットをねじ込もうとしたが固いので、面倒なことになる前に諦めた。

2 購入理由

ブラックダイアモンド製のトレッキングポールである「トレイル」が歩行中に突然に収縮し、大変に危険と感じた。ところが、現場でレバーによる固定を確実なものにしようとしても工具がなくては調整できないことを知って失望した。

シャフトを固定するためのネジが緩むことは仕方ない。緩みに気付いたらネジを締め込んでやれば良い。しかし、「トレイル」の調整には工具としてドライバーが必要だ。同様にトレッキングポールの収納・再使用でも工具による調整なしでは不安が残る。

ドライバーを持って山登りをしたくはない。現場で、工具不要で、容易にシャフトの確実な固定ができるトレッキングポールが欲しくなった。

3 製品の選択

耐荷重が気になるが、見やすい場所に明瞭に記載されているものは見つけられなかった。購入したシナノでさえ、小さなタグに小さな文字で表示されているに過ぎない。したがって、トレッキングポールの強度を選定の目安にできなかった。もっとも、その表示基準が不統一では比較のしようもないのだが。

明確なものは、伸縮機構(シャフトの固定方法)、重量、材質、グリップの構造、スノーバスケットの取り付けの可否くらいか。なお、収納方法はサイズが短くなる折りたたみ式とした。この方式は初めの購入になる。残念ながら、店頭で展示品を試用できる機会は少ないので、使い勝手など分からないままに購入するしかないのだけれど。

シナノ フォールダーTWIST 115

まず、伸縮機構はレバー式、回転式、ラチェット式があるが、回転式は固着させた経験がある(レキ)ので対象外。購入したものはレバーとラチェットの併用だ。

工具なしでシャフトの固定を調整できるものは、調整ダイアルが装備されたもの(レキ)と、コインを調整工具として使用できるもの(モンベル、シナノ)の二種類があった。しかし、レキは値段相当なのか気になる(黒いグリップがベタついたことを忘れない)し、比較的安価で1本単位で購入できるモンベル(グリップがチャチに見える)は人気があるのか店頭在庫がなくて現物確認できずに時間・交通費を無駄にした。

結局、初めて購入するシナノに落ち着いた。コインで問題なく調整できる。ラチェットはピン周辺の厚手部品により保護され、意図せずにピンを押し込んで固定が解除されることはなさそうだ。なお、材質がカーボンであることが懸念材料だ。折りたたみ式はカーボンしか選択肢がなかったので妥協したが悩ましい。

4 SG基準

民間制度だが製品安全協会に「トレッキング用ポールの認定基準及び基準確認方法」がある。基準の内容は通常のA型と軽量なB型の2種類があり、試験や取扱説明書の記載内容が異なっている。購入したものはB型で、A型より要求されるレベルが低い項目があった。

気になる伸縮機構については理解できないことがある。例えば、伸縮機構の試験は300N(=30.6kgf)の力を加えたときに「破損、滑り等が生じない」とされている。しかし、実験によれば転倒回避時に480Nの力が発生すると解説にある。ならば、何故に480Nで試験がされないのか。また、実験現場の写真では荷物を背負っていないように見える。下り坂での転倒回避のような危険な人体実験も実施して480Nを導き出したのだろうか。

SG基準には疑問を持ったが、試験内容や取扱説明書の記載基準は明確にされている。製品安全協会は、SGマークの登録工場や表示事業者名を公表しているが、現在、このなかにブラックダイアモンド(ロストアロー)、モンベルの名称が見当たらない。また、チェコの工場が登録されているレキ(キャラバン)の取扱説明書はSG基準が求める内容ではない。結局、主要メーカーの安全性評価の内容は知りようもない。

トレッキングポールの安全性評価は墓石が建つまでは闇の中か。自分の墓石にならないことを祈ろう。なお、シナノはSGマークは表示されていなかったが、取扱説明書はSG基準に従っているように思われる。同基準に従っていれば良いとも思えないけれど。どこか緩まない伸縮機構を開発してくれないだろうか。

(作成 2022.06.14)