鈴鹿の山 第一輯 日歸行篇
- 編者:中京山岳会
- 発行:名古屋新聞社
- 1940 (S15) 62p B6
鈴鹿のガイドブック。奥付には昭和15年1月15日発行とある。中京山岳会50年史「山と谷へ」(昭57)には、発行年月:昭和14年12月、発行所:中部日本新聞社と書かれている。中部日本新聞社の設立は昭和17年なので、この記述をそのまま信用できないが、多分この本のことなのだろう。
「鈴鹿では尾根から尾根へ進むことは御在所、鎌ヶ岳間だけで、あとは猛烈な灌木とヤブのブッシュをつきぬけなくては尾根通しを敢行することが出来ない。ヤブ潜りがいたるところに必要とされることを考へてをく必要がある。それが鈴鹿登山の一つの特色でもある。やがては尾根通しの快適な山旅を楽しむ時代も来るであろうが、現在においては鈴鹿へ入らうと思ふ山人は、すべて先駆者的な気持ちを持って楽しむといふよりも苦しむといつた気持ちで入らなくてはならない。」
山越えの峠道や仕事道を除けば、戦前の鈴鹿の山はこんな様子だったらしい。収録範囲は以下のとおり。

- 藤原岳・龍ヶ岳
- 三國岳・時峠付近
- 御在所岳・鎌ヶ岳・雨乞岳・釈迦岳
- 野登山・仙ヶ岳
- 入道岳
- 霊山岳
- 鞍掛峠付近
収録された登山道は多くはない。なお、ヴァリエーションルート篇の計画があったようだが発行された様子がない。やはり時節というものか。(作成 2005-04-10)
鈴鹿の山(アルパインガイド22)
- 編者:中京山岳会
- 発行:山と渓谷社
- 1964 (S39) 167p B6
- 国立国会図書館:送信資料
アルパインガイドの一冊。収録範囲は霊仙山から仙ヶ岳・野登山まで。収録ルートは、次の17項目に区分された90コース。(うち、岩場は5ヶ所)
- 霊仙山 三国岳と烏帽子岳 御池岳とその付近
- 藤原岳 竜ヶ岳と石槫峠 釈迦ヶ岳
- 愛知川 御在所岳 雨乞岳
- 銚子ヶ口岳とイブネ岳 日本コバ 綿向山
- 鎌ヶ岳 入道ヶ岳 野登山と仙ヶ岳
- 縦走コース 鈴鹿の岩場
炭焼き、鉱山、杣人などの仕事の道を歩くもの。伊勢と近江を結ぶ峠道を歩くもの。深いヤブを歩くもの。炭焼小屋や鉱山事務所跡などが、登山道の目標物として当然のように登場してくる。現在は廃れてしまった道もあるが興味は尽きない。
愛知県図書館にて閲覧した。なお、国立国会図書館デジタルコレクションに1961年版の「鈴鹿の山」があり、個人送信により閲覧できる。(作成 2004-02-07、更新 2022-07-19)
鈴鹿の山(アルパインガイド7)
- 著者:山口温夫、山口 昭
- 発行:山と渓谷社
- 1971(S46) 192p B6 書誌
アルパインガイドの一冊。地域毎に主要な登山道とサブルートが紹介され、巻末に藤内壁の概略が記載されている。コース数や情報量が豊富だった。
炭焼きの衰退とともに多くの道が藪をかぶった。一方で、送電線の巡視路が利用できるようになり、自治体などによる林道開設や登山道整備も加わって、鈴鹿の登山道はその姿を変えていく。この本の改訂版は、私が初めて手にしたガイドブックであり、何度も暗記するほどに読み返した。内容は古くなったが、本棚から出しては拾い読みをしている。とても思い入れのある一冊。(更新 2012-07-14)
鈴鹿山系の全域に渡る研究書。全6巻の大著。収録山域は紹介されることのなかった美濃、近江、伊勢の低山にまで及び、記述内容は歴史や伝承にまで広がっている。
本書の概念地図には多くの山道が書き込まれている。ガイドブックや登山地図に記載のない道が沢山あること、それを辿るだけの力量が自分にないことは承知していた。そんな道をあこがれながらも、山へ通わなかった数年の間、毎年、続刊が出ることを楽しみにしていた。いろいろな方面へ案内してくれた本だが、登山道ガイドとしては古くなった。しかし、年とともに主役が変わる私の本棚で、この本はいまも最前列で頑張っている。(更新 2012-07-14)
- 第1巻 第2巻 第3巻
- 今須川周辺の山 八ツ尾山と宇曽川周辺の山 龍ヶ岳と宇賀渓
- 梓河内と枝折 犬上川源流の山 八風峠と三池岳の周辺
- 霊仙山とその周辺 御池岳と藤原岳 神崎川とその支流
- 男鬼の周辺 茶屋川を巡る山と谷 愛知川流域の谷
- 鍋尻山と高室山の周辺 天狗堂と御池川流域 日本コバの周辺
- 烏帽子岳と三国岳周辺 静ヶ岳と青川峡周辺
- 第4巻 第5巻 第6巻
- 釈迦ヶ岳と朝明渓谷 鎌ヶ岳と雲母峰周辺 仙ヶ岳と野登山周辺
- 御在所山とその周辺 入道ヶ岳と小岐須渓谷 四方草山と三子山周辺
- 雨乞岳とイブネ付近 野洲川源流の山と谷 那須ヶ原山とその周辺
- 銚子ヶ口とカクレグラの付近 日野とその周辺の山
- 綿向山とイハイガ岳
鈴鹿 私達の山
- 編集:グリンデルワルト
- 発行:成文堂
- 1993(H05) 125p A5 書誌
伊吹山を含む鈴鹿の一般的な登山道のうち、24ルートを挿し絵とともに収録している。この時期には手頃な鈴鹿のガイドブックがなく、中高年登山愛好者への資料提供を意図して企画されたとのこと。
制作は愛知学院大学山岳部の女子部員たち。編集のグリンデル・ワルト(廃業)は四日市のアウトドアショップ。収録された山とルート数は次のとおり。(改訂 2012-07-15)
- 伊吹山(1) 霊仙山(2) 御池岳(1)
- 藤原岳(2) 竜ヶ岳(2) 釈迦ヶ岳(3)
- 愛知川(2) 国見岳(1) 御在所岳(2)
- 鎌ヶ岳(1) 入道ヶ岳(3) 雨乞岳(1)
- 宮指路岳(1) 仙ヶ岳(1) 野登山(1)
鈴鹿を歩く
- 著者:吉住友一、笠井道男他
- 発行:山と渓谷社
- 1995(H07) 143p A5 書誌
フルカラー特選ガイドの一冊。表紙カバーに使われてたアカヤシオが咲く御在所岳中道の写真が印象的。
春山10コース、夏・秋山10コース、積雪期5コースを豊富なカラー写真とともに収録している。文中や巻末などの情報類は、現在入手できる他のガイドブックには見られなくなったもので、とても気に入っている。「鈴鹿の教科書」のような匂いがするが、それで良いと思っている。(作成 2003-01-13)
鈴鹿の山 完全82コース
- 著者:山中保一
- 発行:風媒社
- 1998(H10) 154P A5 書誌
まさに「ガイドブック」であることを目指した一冊。むしろ山行記録集としての色彩が強いガイドブックもあるが、この本は鈴鹿の一般登山道を総体的にガイドすることを試みている。
収録された82コースは、地域などにより14区分に分類され、まとまりのある総論・各論形式で整理されている。巻末には、山頂に無縁の峠越えコースを含んでおり、一般登山道のガイドブックとして好感を持っている一冊。(作成 2003-09-22)
鈴鹿山系
- 著者:竹尾勝治
- 発行:日地出版
- 1998(H10) 127p B6変 書誌
同社の登山ガイド・地球の風シリーズの一冊。カラー印刷の冊子に登山地図1枚が付属している。その後、出版元はゼンリンに変更されている。
付属する登山地図の収録範囲は、五僧越から安楽越の間。ただし、正直なところ、藤原岳西尾根や野登山中山道の記載を見ると現状と異なるところがあるようで信頼する気になれない。(西尾根は地形図の破線とは異なり蛇谷側からが現実的、中山道は赤の実線に値しないと思っている。)また、冊子の方は観光ガイド的な色彩が強い。それなりの需要があると企画されたのだろう。改訂を重ねれば良いものになるだろうが、最近は書店で見かけなくなった。(作成 2003-01-13、更新 2004-01-25)
鈴鹿の山ハイキング
- 21世紀の山歩き
- 著者:西内正弘
- 発行:中日新聞社
- 2000(H12) 230p B5 書誌
地図で歩く鈴鹿の山
- ハイキング100選
- 著者:西内正弘
- 発行:中日新聞社
- 2003(H15) 221p B5 書誌
鈴鹿の山 万能ガイド
- ハイキングマップで歩く
- 著者:西内正弘
- 発行:中日新聞社
- 2006(H18) 238p B5 書誌
多数のバリエーション・ルートを含むガイドブック。1、2冊目は各100ルートを収録。3冊目は89ルートと高齢者を想定した東海自然歩道・山麓ルートを掲載。道がないところを地図とコンパスで歩くものを含む。
各ルートを案内文1ページ、地図1ページの見開き構成で掲載。地図は概念的なイラストだが、目標物など詳細に書き込まれてルート把握に役立つ。もっとも、これだけ手を尽くしてもルート間違えを起こすのは、私の力量不足が主原因とはいえ、ガイドブックという方法の限界なのだろう。これ以上はGPSによる軌跡を配布して案内するしかない。ガイドブックに囚われずに、歩きたいように歩くことを教わった。
掲載された地図は見ているだけで楽しい。ただ、以前から地形図を眺めて詮索していたルートも掲載されており、試験回答を覗き見したような複雑な気分になってしまう。従って、3冊目はほとんんど読んではいない。
山中にて、この本のコピーを持った登山者と出会うことがある。一般登山道でないルートが多数収録をされている。(更新 2012-07-15)
鈴鹿の山を歩く
- 著者:草川啓三
- 発行:ナカニシヤ出版
- 2003(H15) 334p B5 書誌
フォト&エッセイ、プロフィール&ガイド(鈴鹿80山の概説)、フィールドノート(尾根歩きの山行記録)、あるく・みる・きくの4部構成。
本書の主要部分はガイドブックとしての部分である。「プロフィール&ガイド」で鈴鹿とその登山道の現状を概説し、「フィールドノート」には一般登山道を離れた尾根歩き20コースの記録がまとめられている。この尾根歩きコースは、ことごとく自分自身の「行ってみたいよ」リストと合致してしまい、最初は読むことをためらわれた。
現在の鈴鹿のありさまを伝える文章の行間に、著者の思いもつづられて興味深く読ませていただいた。(作成 2003-07-03)