読者投稿  panaちゃん

 


本歌          天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に いでし月かも

            笹の原 ふりさけみれば 奥の畑  鈴鹿の山の 想い夢幻に

管理人解説   「天の原」を「笹の原」としたのはスマートな置き換え。しかもその一言で鈴鹿の特徴を
         いい得て素晴らしい。柳澤様も「わたのはら」を同様に置き換えました。私は「ガマの腹」と
         いう品性のカケラも無い歌を作ってしまいました。

   清水(しょうず)の頭の向こうに山並みが見えたと言う状況と、もう少し原作に忠実にということで
  笹の原 ふりさけみれば はるかなる  清水のかなたに いでし山影 というのはどうでしょうか。


本歌        さびしさに 宿を立出で 詠(なが)むれば いづくもおなじ あきのゆふぐれ

           淋しさに テントを出でて 眺むれば  星降る夜空に 涙なりけり

現代語訳      御池岳で一人でテント泊していると、鹿の鳴き声が遠くでする。淋しくなって出てみると
          星が降るようにきらきら輝いている。あまりの綺麗さに涙が出てしまった。


本歌       久堅の ひかりのどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ

          ひさかたの 光覗けき 春の日に ブナを求めて イブネクラシへ

現代語訳    暖かな春の日にブナを求めてイブネへ行きました。


本歌       君がため 春の野に出で 若菜つむ 我が衣手に 雪はふりつつ

         君がため 春の野に出で ワラビ摘む タラの芽アブラ芽 ざるに盛りつつ

現代語訳   愛する貴方の為にワラビを摘んでいます。タラの芽やアブラ芽もザルいっぱいになりました。


本歌       花のいろは うつりにけりな いたづらに  我身よにふる ながめせしまに

          花のいろは うつりにけりな イワウチワ  カタクリの脇で 昼寝せしまに


本歌       あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る

          あかねさす 四日市行き 鈴鹿行き 希望荘より われ袖を振る

管理人解説    ざるに盛りつつ、昼寝せしまに、希望荘・・・ブナと温泉と額田王が好きなpanaちゃんの
          本領発揮は後半三首やね。実にほのぼのとしてる。


本歌        いにしへの ならのみやこの 八重桜  けふ九重に にほいぬるかな

           いにしえの 鈴鹿の山は 春爛漫 明日は三重へと 心弾ます

管理人解説   大阪からご苦労様です。九重と三重と掛けとるわけやね。


本歌         世中よ みちこそなけれ おもひ入る やまのおくにも 鹿ぞなくなる

            世の中よ 道こそなけれ 我が恋は 御池の奥の ブナの権現

管理人解説     山人さんの世界にはまってますな。道などあっても無くても、地図とコンパスとやる気
           があれば何処へでも行けるものです。


近藤郁夫氏のコメント

 どこかかわいい作品群となっていて、鈴鹿へのひたむきな、かつ熱い想いが伝わってきてうれしい。御池岳を謳った作品の現代語訳など、御池杣人−御池岳評論家として鑑賞すれば、テントを出て星空に涙する人のこんな豊かで率直な感性に心うたれ、僕も涙しそう。
 「世の中よ 道こそなけれ 我が恋は 御池の奥の ブナの権現」 などはパロディーというよりも、それだけであの遠く美しい地に対する憧れの清い発露、一つの作品。ブナの権現の名付け親−緑水氏がこの歌を知れば、彼もまた涙するんじゃないか。

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