金 麻 呂

   

    @  木和田尾根 心ときめき 穴巡り 穴に始まり 穴で幕引き



    A  木和田尾根 皆に見せたい 穴がある 心ときめく 御池そま人



    B  頬に汗 息を切らせて 先を行く 皆に見せたい 山の横穴



    C  木和田尾根 強者どもの 穴さがし 穴より他に 知りたくもなし



    D  鹿の角 授かるひとが うらやまし われらをよそめに かけぬける鹿



    E  山に来て 積もる話は 山談義 山より他に 話すこと無し

 

 

  第一首から四首まで穴の歌である。まさに穴に始まり穴で締めくくった吟行だった。御池杣人氏案内の横穴はなかなかの穴であり、下に敷くものさえあれば長期滞在にも耐えうるだろう。管理人も「息を切らせて」 「皆に見せたい」穴があるのだが、残念ながらコース外。そういう心理状態がよく詠まれている。

  第五首の列を横切った鹿は、先頭にいたので見られず残念。大きい手形は見逃したが(東雲氏は目がいい)、基部が化石化した珍しい手形を拾った。これは初めてなので持ち帰った。こうしたものは拾うのではなく、歌にあるように授かると言う表現が的を射ている。

 第四首と六首は行尊の下の句 「花よりほかに  知る人もなし」 のパロディーか。

葉里麻呂


 

・今回はガイドブックや花の図鑑をものになさる方々、わけのわからぬところを出没されている方々、HPでしぶい山行きを報告されている方々、山行きを点から線、線から面へと飛躍されている方々などが参加される。だから僕が御案内できる(自慢できる)ところはあの洞穴「木和田庵」一カ所のみ。だから、第一首から第四首までとなる。あそこまでは、僕の外面・内面はまさしくこの歌の通り。

 そこへ案内できれば、「あとはもう、わしゃー知らん。葉里麻呂さん、先頭お任せだよ」となった。

・第六首−日常は多種多様な仕事、生活、憂さ多き日々。「山より他に 話すこと無し」。その通り。それでいい。山という共通点で僕たちは集っている。同時に僕たちは「山」を語りながら、実はお互いの「人生」の一端も語っているはず。

 第五回にも、しっかりと「山」を語れるように、何気ない日常を丁寧に生きていきたいものだ。

御池杣人