妙 女
冬の木和田
山に抱かれて 樹林の中
体中の血がサラサラと流れる
汗がふき出し 笑顔がこぼれる
二人遅れて 静寂の中
きつつきのドラミングに耳をすます
胸が躍り 笑顔がこぼれる
よかったね よかったね
また これからも一緒だよ
感じたままを素直に表現する。管理人がヘタな技巧を弄するために悪あがきするのとは全く対照的な作品だ。ただ、素直に表現するだけなら簡単かといえば決してそうではない。当然言葉を選ぶ表現力が必要だ。そういう作為を感じさせないのはさすがと言える。
読んでいると心が洗われる。体中の血がサラサラと流れる
・・・そうだ、その感覚を得るために山に登るのかもしれない。心身ともに浄化されて笑顔になる。「二人遅れて」や「一緒だよ」は復帰かなった都茶女のことを指す。お二人の感性に非常に近しいものがあるのは昨年の歌会作品を見れば分かる。
葉里麻呂
なぜ妙女はこんな詩が出てくるのか。日常のすべてをカサカサにならずにこの感性で生きておられるのだろうか。いや、こんな時代・社会だ。お互いあれこれある人間だ。時にカサカサになるかもしれぬ。しかし、山行けば「体中の血がサラサラと流れ」だす。「笑顔がこぼれ」だす。この不思議。だから僕たちは山行きを続けている。
・この詩には彼女の感性がそのまま表出されている。
「よかったね よかったね/また これからも一緒だよ」
年に一度の逢瀬でも、かく言い切れるうれしさ。やはり僕たちには物理的距離など問題ではない。
御池杣人