通風山 

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つふやんま

 

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ゆうじょうを

うれしく思う

ひとたちと

のりだして見た

てんぐどう

らっきーらっきー

すばらしきかな

 

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もけい持つ

となりの親父

いつまでも

けんじゃの頭脳で

んちゃな

まなこ

 

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しょうじょらの

ろけ地に映える

よきすがた

めに焼き付ける

なつのおわりに

 

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おもいでは

いつものかおり

けせもせず

だかれるような

けしきとともに

 

                          (改行は作者指定のまま)

 


 

 

つふやんま氏のミルキーあんぱん吟行の記念すべき初の作品。驚きました。

あいうえお作文で、かつ5字と7字を主調とする高度な技。この技法を全作品に駆使している。

 

1、夕日のテラス

    このお題とあそこの場面が見事に一致している。「のりだして見た 天狗堂」がリアリ

    テーあって、この作品を際立てている。

 

 

2、元池 やんま

    もといけやんまの中に、葉里麻呂の労作「御池岳模型」と戯れている僕や破地輪駆氏

    を込めてうたう。

あの模型はいろんな角度や眺めることができる。

    新幹線米原過ぎあたりから眺める鈴ヶ岳をしたがえた御池岳の姿。あるいは東名阪自動

    車道から、銚子岳と藤原岳の間に1箇所のみ見える奥の平のもっこり姿。鈴ヶ岳から見

る鈴北、元池の丘、お花の尾根。どの角度から見てもうれしい作品。はしゃいで何度も

みていたよ。

 

3、しろよめな

これは美しい作品。しろよめなに包まれた「少女ら」の「よき姿」。「夏の終わり」。

つふやんま氏のさわやかなまなこに映る傘のカラフルな4人。

 

4、おいけだけ

御池岳に包まれて、抱かれてー僕の思いー想いそのもの。

 

杣人の付録

 

このあいうえお作文でよく学生諸君と知的に遊んでいる。今回、つふやんま氏の作品に

触発され僕も一作。

 

稀有な花                    けうなはな

ただ眺めおり                    ただながめおり

今朝咲くよ                   けささくよ

命いろいろ                   いのちいろいろ

御池の四季ぞ      御池杣人     おいけのしきぞ

 

さかさまにある言葉を二つ入れました。上級編なり。

 


 最初読んでみて、まずまずの詩であるが何処かぎこちないなと感じた。分からないのは何ゆえ「やんちゃ」の「や」で改行してあるのかだった。しかも 「改行はこのままでお願いしますね」との注意書き。だからミスではない。しばらく眺めている間に、鈍い私にもようやく分かった。なるほど、言葉遊びと分かれば「ん」を冒頭に持ってくる苦心も理解できた。
 これの単純なやつが、砂糖、塩、酢、せうゆ(醤油)、味噌か。単純といえど単なる駄洒落ではなく、料理の味付けに使う順番になっているそうで、科学的な根拠もあるという。こうした二重の仕掛けが鈴鹿百人一首に通じる。

 通氏の作品にも仕掛けがあるのか。それは左タテ一列に表されるテーマと詩の内容が一致することにある。そうしてみると夕日のテラスやシロヨメナの作品はお見事。中でも、シを「少女らの」としたのは管理人の「うば桜」と極めて対照的で、女性陣の得点を大いに稼いだと見なければならない。くそー、やられたな。
 むずかしいラ行をロケ地としたのはポイント高し。この作品は短歌としても、すばらしいまとまりで絶賛。

 ただ元池ヤンマは詩の内容と関連がないことが惜しい。ただしこれに苦情を言っては罰が当たる。管理人作の等高線モデルを題材にしていただき、感謝する次第である。あの模型はウチに置いてあっても家人は見向きもしない。猫に小判、豚に真珠、馬の耳に念仏である。いっぺんに言えば 豚の耳に小判? ともかく御池庵においてようやく日の目を見たと言えるだろう。矯めつ、眇めつ、眺めて頂ける人があったことは作った甲斐があったというもの。
 それにしても「賢者の頭脳で やんちゃなまなこ」とは言い得て妙。最初の文字に制約のある中で、御池杣人氏の特徴をズバリ表現するとはお見事。かような才能があるなら次回は是非鈴鹿百人一首にも挑戦していただきたい。

 御池杣人氏の作品はクロスワードパズルの趣。ただしまだ時間をかければ、工夫の余地は残されている気がする。縦横すべてに意味を持たせられたら凄いだろう。注意しなければならないのは、字を当てはめることに気をとられて、元の詩(歌)が不自然になってしまうことである。
 私も遊んでみたいが、次々届く作品・写真のコメント書きやら編集に時間をとられて余裕がない・・・と、ひとまず逃げておこう。