当山の御本尊は、聖武天皇が小野の湊に出現したと伝えられる如意輪観音に帰依し、開創の由来ともなった尊像です。頭が八つ、足が四本ある霊鳥の背に坐す観音のお姿から、「四足八鳥観音」の名で呼ばれ、今日まで本堂内にまつられています。
台座から広がる大きな翼と、幾つもの鳥の頭が支える姿は、他に類を見ない特異な図像です。慶長十年(一六〇五)、四日市代官・大谷光勝を通じて徳川家康に訴願した際にも、この尊像の由緒が寺領回復の拠り所となりました。
如意輪観音は通常六本の腕を持ち、右膝を立てて座るお姿で表わされることが多いのですが、当山の尊像が特徴的なのは、四本の足と八つの頭部を持つ霊鳥の背に座っていることで、「四足八鳥観音」(しそくはっちょうかんのん)と名付けられています。
座高は29.8cmで、天冠台の様式や見開きの狭い伏目の形、柔らかな衣の襞や幅の狭い、特に腹前の垂れ先を細くした条帛などは平安時代後期の特色が表われており、平成八年の修理で像内に久安元年(一一四五)の銘文が確認されました。
また、金箔を押さず彩色も髪や唇に限られ、木肌のあらわな素地仕上げであることから、檀像として作られたことがわかります。檀像とは、白檀の木を用いて彩色を施さず細かいところまで精緻に彫る像で、日本では白檀の代わりの木材を使って作ることが平安時代に流行りました。この像は榧(かや)で作られています。
平成十一年三月十七日に、三重県指定有形文化財(彫刻)として登録されました。
通常は厨子の中に安置されており秘仏で、御開帳は住職一代に一回限りです。通常は御前立(おまえだち)を拝みます。
| 尊名 | 四足八鳥観音(如意輪観音) |
|---|---|
| 宗派 | 浄土宗 |
| 安置場所 | 本堂内陣(厨子内・秘仏) |
| 由来 | 神亀四年(七二七)、小野の湊への出現伝承に基づく開創本尊 |
| 座高 | 29.8cm |
| 制作年代 | 平安時代後期(像内銘 久安元年〔一一四五〕) |
| 素材 | 榧(かや)材 檀像 |
| 文化財指定 | 三重県指定有形文化財(彫刻) 平成十一年三月十七日指定 |
| 御開帳 | 秘仏のため住職一代に一回限り。通常は御前立を拝観 |
宝冠を戴き、静かに目を伏せた観音のお顔立ち。
金泥の残る光背と、大きく広げられた翼の意匠。
岩座に立つ、伝承にある「四本の足」の表現。