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  3. 1998年11月29日

鈴鹿:茶屋川

三重県側から治田峠、茨川(廃村)を経由して茶屋川へ入り、白船峠から坂本谷を下って戻った。茶屋川は三筋の滝からしばらくの区間が歩き難い。なお、治田峠から茨川へ降りる伊勢谷の登山道は、台風によると思われる斜面崩壊が至るところで発生し、滑り落ちた植林のスギが谷を埋めて通行困難な状態だった。このルートは一般向きでない。

登山日
1998年11月29日日曜日
ルート
伊勢治田駅-新町-治田峠-茨川-茶屋川-白船峠-坂本谷-西藤原駅

治田峠

夜明け前、伊勢治田駅から新町まで、快晴の西空に傾いたオリオン座を見ながら歩いた。新町バス停、採石場を過ぎ、青川の両岸が迫って谷幅が狭くなると川に水音がした。見ると対岸をイノシシがゆっくりと登って行った。

舗装された林道を歩き、終点で青川に降りて治田峠への登山道に入る。広河原を過ぎると河原に小型テントが1張り。持参のストックが岩を打つ音に単独の露営者が顔をのぞかせた。邪魔をしたようだ。素堀のトンネル、日丘稲荷、中尾地蔵を経て治田峠へ至る。

伊勢谷・茨川

写真1 伊勢谷の崩壊斜面写真2 茨川
写真3 茨川

治田峠から茨川を目指して急坂を降りる。道は良いが、谷筋へ降りるとスギの倒木で歩きにくくなった。さらに進むと右岸斜面の植林帯がいたるところで崩壊している。先週、治田峠から銚子岳へ登る途中、伊勢谷に見える白い地肌を不審に思ったのだが、この有様とは想像もつかなかった。滑り落ちた大量のスギが谷を埋め、壊れたジャングルジムのようになって道を塞いでいる。茨川まで随分と時間を要した。

廃村・茨川には建物が何棟か残っており、その集落の庭先のように茶屋川の河原が広がっている。林道終点にオフロード車ばかりが5台駐車しており、周辺に人を見かける。ちょうどノタノ坂を降りてきた登山者と会話を交わす。伊勢谷の様子がひどいので気になったが、茶屋川上流へ出発した。集落の上流には神社があり、立派に維持されていた。

茶屋川

写真4 茶屋川写真5 茶屋川・蛇谷出合

最初、茶屋川は穏やかで(写真3)何処でも歩ける。川岸に踏み跡が残るが、すぐに崩壊して途切れる。本流が右へカーブしたところで右岸から細流が入ってくるが木谷か。さらに10分で左へカーブする地点が蛇谷出合と思われる。出合は狭く、蛇谷右岸の斜面を赤テープが登っていく。また10分ほどで谷中に三角の岩が座っていた。今度は善右エ門谷の出合だろうか。ここには地形図の藤原岳西尾根の道は見あたらない。

しばらく歩くと、緩いカーブの向こう側から突然に壁のような三筋の滝が現れた。わずかに右端を一条の水流が落ちている。左に巻き道を探すが見つからない。仕方なく右から巻いたが相当に危険。滝の上部は広く、前方の尾根に送電線の鉄塔が見える。右から白い土砂が押し出しており、荒涼とした雰囲気だ。

やがて谷が狭くなり、送電線の下を通過すると土倉谷出合だ。右岸の台地上にカマ跡と、君ヶ畑、茨川、御池岳への道標がある。この付近から谷は岩床になり、廊下のような雰囲気に変わる。薄暗く、奇妙に浸食された石灰岩の間を全身運動で登る。最後に4mほどの滝があり、両岸に巻き道を示すテープがある。左岸は取付きが崩壊していたので右岸を選んだ。しかし、木の幹だけを頼りに、かなり高く登るので怖い。降りたところは二俣で穏やかな雰囲気にもどった。

ゴーロになった谷を登ると、右岸の木の幹に土倉岳への表示がある。河倉峠は通行困難との記載。砂地が混じって歩きやすくなると、もう少しで白船峠への取付点である。やはり木の幹に表示があったが下流側を向いているので、真ノ谷から下降してきたときは見逃すかも知れない。

白船峠

写真6 白船峠

この付近まで来ると、さすがに疲れた。取付点から浅い谷沿いに登る。落ち葉に埋まっており歩きにくく、踏み跡は全く判別できない。左に谷が分かれて行くがそのまま登る。続いて二俣になると右へ入り、やがて中央の尾根に登るとジグザグの尾根道が現れた。落葉した林のなかの道、背後の御池岳が逆光のなかにせり上がってくる。前方に空が広がると、この尾根をはずれて左の鞍部を目指す。峠の南側に小さな祠跡があり、ご神体の鏡が置かれていた。左手から御池岳からの良い道が合流して白船峠に登り着いた。

坂本谷

木和田尾根との十字路から坂本谷へ下ると僅かに紅葉が残っていた。歩きにくい石灰岩の涸れ谷をひたすら下降するのみ。坂本へ降りたときには、もう薄暗かった。

行程表

5:48伊勢治田駅
6:22新町バス停
7:07登山口、林道南河内先起点
8:39治田峠(休憩6分)
10:07茨川(10:07-10:29)
11:56三筋の滝に出会う
12:47土倉谷出合、君ヶ畑への道標あり
13:06滝(4m)に出会う
13:56白船峠の取付点(休憩8分)
14:34白船峠(昼食休憩9分)、坂本谷へ
16:45道路へ出る
17:15西藤原駅

追記 2004年11月5日

坂本谷は1999年8月19日の土石流以降、入山禁止が続いている。

(改訂/書式等 2012.07.08)