1. 鈴鹿山脈/登山日記
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  3. 1999年9月18日

鈴鹿・藤原岳

今年の夏は天候に恵まれない週末が多かった。昨日も曇り空だったが、藤原町に入ると路面が濡れている。明け方に雨が降ったようだ。灰色の空の下、306号線から見上げる藤原岳は3合目くらいまでガスに覆われていた。8月19日の大雨で西藤原駅近くの西之貝戸川で土石流が発生し、民家まで100mに迫ったとのニュース報道があった。心配しながらの入山である。

登山日
1999年9月18日土曜日
ルート
聖宝寺道-藤原岳-大貝戸道

聖宝寺道

聖宝寺の登山口の林道終点から山道へ入る。長命水周辺は少し水量が多い。登山道は所々で夏草が茂っており、ズボンが露で濡れる。

2合目半で涸谷を左岸へ渡ったころ、右手に異様な感触がある。見るとヤマビルが1匹張り付いていた。小指付近が血でべったり。ストックを登ってきたのか。見るとズボンを登ってくるやつもいる。ストックの先で払い落とす。5合目の植林帯はガスに包まれて薄暗い。(写真1)植林帯を出ると6合目手前まで茂っているので急いで通り抜ける。

写真1写真2

6合目の標識を過ぎ、いつもの岩混じりの谷道へ入ると様子が違う。(写真2)なんと、谷の中央に、幅2m、深さ1.5mくらいの溝ができている。この溝は8合目への登り口付近から断続的に続いており、下流の坂本谷へ流れ去っている。底面は泥や岩床になり、所々に水たまりがある。相当量の岩や土砂が押し流されたようだ。あの苔むした岩の堆積はどこかへ消えてしまった。それでも、まる裸になった谷底の脇には7合目道標が残されていた。周辺の樹林はガスで白く、ほとんど視界がない。遠くにシカの鳴き声聞こえる。

ズボンを這い登るヤマビルをタオルで叩き落としながら、谷を離れて8合目への斜面を登る。ヤマビルとガスで意気消沈しており、8合目からは大貝戸に下ってしまおうかと思っていたところへ、その大貝戸道からの単独行者と出会った。やはり足下を気にしており、白いズボンに出血の跡が見える。浜松から早立ちで来たとのこと。結局、展望丘までいっしょに登り、大川入山のことなど聞かせてもらった。さいわい、8合目以降はヒルに悩まされることはなかった。

山頂

山頂(展望丘)はガスの中で展望は皆無、少し風があって涼しい。トリカブトの花が咲いていた。避難小屋を出発しようとしていると3人組が登ってきた。調べてみると全員がヤマビルに取り付かれていた。「オッ、オーーー」などと言っている。

大貝戸道

登りに気付いていた花の写真を撮りながら下る。ヤマビルが嫌なので、8合目以降は大貝戸を目指してさっさと下った。

2合目を過ぎると右手から沢音が聞こえ、やがて沢沿いになる。水が濁っており少し荒れていた。土石流が発生したのはこの上流か。登山道の入口には土石流対策の雨量計などを設置したとの表示があった。

写真3

大貝戸に降りて藤井電器の角から西藤原駅へ向かうと、すぐに西之貝戸川(写真3=土石流危険渓流)を示す標識があった。以前からあったのだが、まったく気に留めていなかった。民家の間の狭い川で、褐色に濁った水が流れている。

駐車場に戻り、山頂では開けなかったスパッツを脱ぐと、タオルで撃退した効果があったのか、足首周辺に出血が4カ所。スパッツの内側にはヤマビルが3匹。4匹目は見つからなかった。

藤原岳の四季を見たいと思い、今年は毎月の登山をしている。普段なら、この時期に雨後の登山道へ入ることはない。

行程表

7:27農協駐車場、出発
7:48聖宝寺裏、登山道入口(休憩5分)
8:546合目
9:278合目
10:05避難小屋(休憩20分)
10:40展望丘(休憩40分)
11:20出発
12:328合目、大貝戸道へ
13:411合目
(改訂/書式等 2012.09.08)