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  3. 2000年12月9日

鈴鹿:ソノド・谷山

鈴鹿山脈の北端に位置する霊仙山の支峰、谷山(992.8m)から南東へ派生する尾根がある。この尾根の中央ピークであるソノド(926m)から、道形が残る雑木の尾根を谷山へと歩き、柏原道の登山道へ降りてJR柏原駅に下山した。歩いたルートは柏原道を除けば踏み跡が薄く、一般道とは言い難い。

登山日
2000年12月9日土曜日
ルート
時-藪ヶ谷-ソノド-藪谷峠-谷山-柏原道

時山・藪谷林道

写真1写真2

始発電車、始発バスを乗り継いで時へ向う。バスの乗客は一人だけ。運転手と話をして時バス停で降りる。「鉄砲撃ちがいるので気をつけて。時々間違えて撃たれる」と忠告をいただいた。

バス停から時山集落を目指して西へ歩く。ゴルフ場へ行くものか相変わらず猛スピードで自動車が追い越していく。そのなかに、犬の鳴き声のする自動車が混じる。「鉄砲撃ち」だ。道端に炭焼小屋(写真1)を見て時山の集落に入ると、アスファルト舗装の路面が霜で真っ白だ。山間の集落には、まだ朝日が差し込んでおらず寒い。売店の自販機で暖かい缶飲料を買ってひと休みする。

藪谷林道は、藪谷橋の手前で右上へと分岐している。地道の林道は最初は暗い植林帯だが、やがて藪ヶ谷の流れに近づくと明るい日が射し込むようになった。林道は砂防ダムで終点になる。神戸ナンバーの自動車がゆっくりと追い越して行った。

ソノド

写真3写真4写真5

ソノドの登山道は、林道終点の少し手前から右へ入る狭い谷にある。(写真3)日陰の湿っぽい谷で、入口の鉄杭に赤テープが巻かれていた。そして、鉄砲撃ちの自動車が2台。どこへ行ったのか気になるところ。

谷へ入ると薄いが踏み跡が続いている。黒っぽい石がごろごろしており、流れを跨ぎながら歩けるところを登る。やがて先行の登山者が休んでいるところに出会った。夫婦の二人連れ。神戸を6時に出発したとのこと。お先にと言って先へ進む。

谷が広くなると雰囲気も変わる。両岸は落葉した広葉樹につつまれて日差しが明るい。カマ跡を見ながら登ると谷中に石組みが現れた。ワサビ田だが現在は使われていない。(写真4)踏み跡がはっきりしないので歩けるところを登る。

やがて、水が消えて涸谷になる。足下から褐色のノウサギが飛び出して逃げていった。背後の青空に霊仙山方面の展望が広がる。踏み跡は相変わらず不明瞭。赤テープも少ない。谷の中央に灰色の露岩が現れると右へ入る。土に小石が混じった崩れやすい急斜面をジグザグに登るが、とにかく苦しい。どこか遠くから猟犬たちの鳴き声が聞こえてきた。生え込みが多くなると、ようやく右の尾根上の道となった。

密生した落葉樹林のなか、落ち葉を踏んでしばらく登るとようやく山頂(写真5)に着いた。展望はまったくなく、日差しばかりが暖かい。反射板跡の広場はススキに覆われてしまった。踏み跡を探して入ってみたが展望は得られない。

幾里山(鹿アソビ)

ソノドから北進する尾根が西へ折れ曲がる所にある小ピークが幾里山である。

ソノドの山頂から北へ進むと溝状の道形が残る尾根になる。鞍部があり、登りに変わると尾根が曖昧になるが、赤テープや道形の溝を探して進む。

再び鞍部になると、「柏原道」と書かれた小さな銘板が幹に付けられていた。ここから急斜面の登りになる。勾配が緩くなると、密生した落葉樹のなかを適当に道を選びながら進む。しかし、いつの間にか下り始めたので山頂を探して引き返した。幾里山はどこが山頂かはっきりしない。以前ぶら下げられていた「幾里山」の小さな銘板も見つけられなかった。

藪谷峠

幾里山から北へ進み適当なところで左折し、ヌタ場を見ながら西行きの尾根に乗った。樹間から覗くと、なんと谷山の東斜面が伐採されている。

写真6

尾根が狭くなるが、通過に困るような所はない。この付近、春にはイワウチワの花が一面に咲く。ほどなく赤テープの巻かれたところに到着。藪谷峠だろう。この上にも藪ヶ谷からの道があるので、それを探して歩き始めると様子がおかしい。なんと伐採がこの付近まで及び、尾根の藪ヶ谷側斜面が丸裸になっている。登るとすぐに新しい林道が尾根を横切った。この林道は幾里谷方向から延びてきており、谷山の南東斜面を水平に巻いている。

この尾根の北側の植生は残されているものの、南側は伐採されてしまった。とにかく伐採のおかげで、登るに従って展望が大きく広がる。(写真6:幾里山-ソノドの稜線)あえぎながら伐採地の最上部まで登り、谷山の山頂を目指した。(写真7)

谷山

写真7

伐採地は、谷山の相当上部まで達している。赤テープに従いササの中に突入する。ほどなく足下に三角点を見つけたが、周辺のササがひどいので早々に退去する。

西へ降りるが背丈を超えるササはやっかいもの。ササから顔が出ると、ようやく霊仙山の山頂部が望まれた。ササが途切れると赤テープも途切れた。不安な気持ちで尾根を西へ歩くと、再びテープが北西斜面を阿弥陀ヶ峰の方向へ下っており、柏原道へ降りることができた。右へ緩く登ると8合目の道標に到着。ちょうど、柏原方面から単独行者がやって来るのに出会った。

柏原道

柏原道をしばらく下ると幾里谷の源流部だ。標識があり時山への道が右に分岐している。さらに下ると継子穴の小さな標識があり、左上へわずかで底の見えない縦穴の縁に着く。ロープが張られているが、突然こんなものに出会ったら危険このうえない。

写真8

稜線の西を歩き、阿弥陀ヶ峰が見え始めると7合目。標識で左へ梓河内道を分けている。柏原道は緩やかに起伏を繰り返す。稜線の東を歩くようになると6合目。右下に林道が接近してくる。幾里谷左岸上の林道が藪谷峠方面へ延びている様が見て取れる。林道周辺は植林から日が浅く、丸裸に近い状態だ。

4合目(写真)は、黄色いコンテナが置かれた小さな広場。北には伊吹山が見える。ひと休みしていると体が冷えてきた。

スギの大木2本がある1合目からは谷沿いに下る。なにやらコツコツと音がするので見上げると、おじさんが一人で枝打ちをしていた。スギの幹の高いところにいる。思わず見上げていると、天気の話題であいさつが飛んできた。あいさつを返し、いい天気だったが登山者が少ないというと、「今日はいつもより少なかった、7人くらいかな」とのこと。

地道の林道に飛び出し、大きな堰堤が現れると一旦コンクリート舗装になる。谷の前方には大きくなった伊吹山が夕日に赤い。橋を右岸へ渡ると登山者への案内看板がある。やがて、大きな養鶏場が現れて名神高速の下をくくる。JR柏原駅に着いたときには薄暗く、街路灯が灯っていた。

行程表

7:53時バス停、出発
9:07藪谷林道、入口
9:52林道終点、ソノドへ
10:36ソノド(散策11分)
12:35幾里山
12:56藪谷峠
13:46谷山三角点
14:11柏原道:8合目(休憩5分)
15:20柏原道:4合目、避難小屋(休憩9分)
15:58柏原道:1合目
16:11林道に出る
17:00柏原駅

追記 2004年11月2日

阿下喜駅から時へ行くバス路線は廃止された。その後、藪谷峠の伐採地は東へ延び、幾里山も禿げ山になってしまったようだ。

(改訂/書式等 2012.09.29)