鈴鹿:那須ヶ原山
参道橋から那須ヶ原山に登り、坂下峠経由で周回した。
鈴鹿山脈には神社が祀られている山頂が多数ある。那須ヶ原山頂の施設は良く解らなかったが、今年発行の「滋賀県の山」に「大鳥神社奥宮の祠と参籠所」と書かれており疑問に思ったので、下山後、その大鳥神社に立ち寄った。
- 登山日
- 2017年11月9日木曜日
- ルート
- 参道橋-那須ヶ原山-坂下峠-参道橋
那須ヶ原山
国道1号の蟹が坂から南下し、県道を神大滝林道へ左折するところに「那須ヶ原登山道」の小さな案内標識と石標がある。彫られている文字は「右山、左伊勢」、右側面は「道路改良發起人・・・」か。
林道は大原ダムの南を通過すると植林の狭い道になる。付近が伐採され明るくなるとアスファルト路面が傷んでいるが、直ぐに登山口の参道橋に到着する。そのまま林道を進んで広い駐車スペースに自動車を置いた。




トラロープで閉鎖された参道橋に戻り、植林の伐採作業の残滓が散乱するコンクリート舗装の那須ヶ原林道を登る。落石が目立つようになる舗装路を荒れた川沿いに歩くと橋があり、右岸上流を見ると奥に整備された参道(山道)があった。しばらく歩くと小屋があって二合目、直ぐに黒部ノ滝があり、左岸に渡ると石段の道が植林帯に続いている。
五合目でネットフェンスを通過すると背後に展望が拡がるが、近江側に雲があり残念。八合目で再度ネットフェンスを通過し、良く手入れされた植林帯を登って山頂に達した。参道橋からの標高差は400mだが、登山道が良く整備されており疲れを感じない。



那須ヶ原山の山頂には山名板が多数。展望はほとんどない。半地下式の避難所(参籠所)はガラス戸の下部が割れている。三角点は石祠の裏。その石祠には「この扉の中に参拝記念の記帳ノートがあります。御自由にお書きください」とテプラの名残がある。貫木を外して扉を開けると白木の祠が現れて驚く。慌てて二礼二拍手一礼。石祠前には「那須ヶ原神社」、石祠内の白旗にも「那須が原神社」とあった。
那須ヶ原神社の裏から県境に出て坂下峠まで歩く。以前、逆方向で歩いているが記憶がほとんどない。手元にメモが残っていないので、少なくとも35年以上前のこと。爺さんになったものだ。嫌になるね。

県境尾根は那須ヶ原山から300m程の間は滋賀県側に植林があるが、それ以降は雑木林だ。下草がない歩きやすい道が大半だが、所々で稜線が切れて急下降・急上昇を強いられる。植林終点から三ツ頭山(774m)の間、県営林のプラスチック杭67~74の間、そして唐木キレットなどだ。地面に砂が浮いていたり、掴まるモノが少なかったり、唐木キレットの巻き道でさえ危険を感じる。三点確保の注意書を何度も見せられた。
展望がない雑木林の道だが、ときには三重県側(明星ヶ岳、仏ヶ平、錫杖ヶ岳)や進行方向(溝干山、高畑山)の展望が拡がり、見慣れぬ景色が嬉しい。



坂下峠を見下ろす尾根に立つと危険と思われる強風が吹き付けた。下山ルートは三重県側の風陰にあったので安心した。ササ枯の道を歩くと坂下峠の東側に下りる。峠は雨水に削られ、斜面が崩壊し、大変に荒れている。滋賀県側に歩くと単車の残骸が転がり、大規模な崩壊もある。



それでも、坂下峠から400m程で良いアスファルト舗装が現れた。転石などあるが歩くには支障ない。路肩の崩壊など補修されていないが、この神大滝林道の設置目的は何だったのだろう。長石山への道はシダに埋もれている。何故か、路面を横断する水路にグレージングが見当たらない。この付近まで Google マップのストリートビューがあり、舗装の終端近くまで来て、路面が凍結していたのか引き返している。これを見ると、2012年12月にはグレージングがあったね。

山中でヒトに出合うことはなかった。大原ダムの紅葉を横目に、ダムから西へ5km余りの大鳥神社に向かう。
大鳥神社


両部鳥居を見上げて石段を上がると朱塗りの楼門が現れる。中へ入れば拝殿前で菊花展をやっており、どこか隅の方で人声が聞こえるが大鳥神社は至って静か。
境内の由緒書によれば、大鳥神社は隣国・伊賀国阿拝郡河合郷篠山嶽から勧請されたとのこと。また、大正元年に旧大原村九ヵ字内の神社を合祀、同五年には本殿を残して火事で焼失、大正9年に復興とある。大鳥神社と那須ヶ原山は無関係と思われるが、那須ヶ原山がある神・櫟野は大鳥神社の氏子だ。
土山図書館で、その神地区の「ふるさと神村(かむら)」(平成11年発行)に記載を見つけた。那須ヶ原神社は「旧大原村民が治山治水、育林の願いを込め、石造りの社殿を大正五年に建設された。春の祭日は四月十日とし、大鳥神社宮司の増井神官によって式典が行われている」とのこと。祭神は、大地主神(おおとこぬしのかみ)、天照大神、水分大神。社殿そばの「避難所」は昭和中期に建設された。更新されていないが神地区のサイトもあった。
合祀や火災を巡って、何かと考えがあったのだろう。地域の最も高い山に、新たに地主の神様が祀られたのだと知った。
行程表
10:21 | 参道橋の駐車地 |
11:26 | 那須ヶ原山山頂(11:26-11:36) |
12:12 | 三ツ頭山(P774) |
13:20 | 坂下峠 |
14:10 | 駐車地 |