1. 鈴鹿山脈/登山日記
  2. 本棚
  3. 書籍一覧表
  4. 植物(読書の憶え書き)

彩色された植物図鑑。採取地は御在所岳・鎌ヶ岳・入道ヶ岳など。図は丁寧で綺麗。

冒頭、白棠子樹一種ムラシキシキブはともかく、御風草で早々に行き詰まる。桑螵蛸はカマキリの卵かと思ったら正解。金毛狗脊(きんもうくせき)とか、神農本草経の世界らしい。素人は眺めるのみ。「菰山温泉渓間ニ産スル…岩ザクラノ種類多シ」、そんな時代もあったのかと思う。採取地が明記されるが、何処だか解らないことが多い。

また、巻末に同地で採取した無機物(鉱石など)の一覧があり、「石鍾乳」を小岐須渓谷の屏風岩で採取している。鉛鑛には「千種村より江州越の通路あらい谷北辺を検査するに鉛銅の気あれども別に鉱石の類得難し」とあり、三国地誌の三重郡に「鉛山 按、千種村の上方にあり」が気に係る。治田鉱山では精錬に鉛の需要があっただろう。

なお、「伊勢國ヨリ近江國土山驛ヘ越ル間道アリ古歌ニ云スゝカ山フルノ中道コレナリ今山女原越ト云フ」とある。これは『勢陽五鈴遺響』が否定しているけれど。

最後に、澳地利國(オーストリア)のウィーン万国博覧会について何かと書かれているが読めない。

国立国会図書館デジタルコレクションにて閲覧した。(作成 2019-05-30、更新 2019-06-27)

彩色された植物図鑑。採取地は御在所岳・鎌ヶ岳・入道ヶ岳など北勢地域の山岳周辺。絵は上記『鎌井氏勢州有機無機品物録』に比べると雑な印象。

例えば、ショウジョウバカマアケボノソウは似ているような、そうでもないような。イナモリ草は名称の由来が書かれていたり。赤車使者(ウハバミソウ)の「蛇過食スル時ニ食ヘバ忽チ消ス」は落語のネタ(蛇含草)ではなかったのか。

採取地の手書き地図が二枚ある。一枚目は中央に「水無瀬山」があり『伊勢国細見図』にも見えるが特定の山頂を比定できそうにない。「鳥居戸山ヨリユルキ山へ相続く是ヲ千種越ト云」はどうかと思うが『細見伊勢国絵図』のような書き方だ。二枚目は鎌ヶ嶽と冠ヶ嶽を別の山としている。これも『伊勢国細見図』、『細見伊勢国絵図』に同じ。

三岳寺旧蹟と千種氏古城趾が並んでおり、この地図に客観性を期待できそうにはない。ただ、冒頭には「御在所ヶ岳冠ヶ岳の絶頂攀登り」とあったり、イワザクラの採取地を雲母谷と明記するなどしており、心象的には正確なのかも知れない。この場合、登ったという冠ヶ岳が何処なのか気になる。採取地が鎌ヶ岳北峪(エンレイソウ)、冠ヶ岳北岨の谷(キンバイ?)に別れているのだから。

国立国会図書館デジタルコレクションにて閲覧した。(作成 2019-05-30、更新 2019-06-27)

  • 鈴鹿山系の花暦

  • 著者:山根虎治
  • 発行:山華虎洞出版部
  • 1958(S33) 88p B6 書誌

植物採取のガイドブック。主な内容は「鈴鹿山系の花暦」と「鈴鹿山系の植物目録」。前者は鈴鹿に自生する花について、花ごとに300字程度の解説が付されている。「鈴鹿山系の植物目録」は自生地(鈴鹿北部・南部)、開花期(春・夏・秋)、花色(白花・黄花・紅紫花など)を記載した一覧表である。

「植物採取上の注意」には、「むだな採取をせないこと。稀品珍品、又は少ない種類は採取をせないこと。又多くても乱獲せないこと。現地で繁殖さしてそれをたのしみ、賞美し、観察する・・」と記され、巻末には名古屋市西区の山草会の案内が掲載されている。

しかし、残念なことに、昭和40年発行の『名古屋からの行楽ガイド』では、藤原岳・聖宝寺谷で「無駄な採取や多数の採取会が、近年この谷に集中するので、沿道の春は年毎に寂しくなっている。」と見られる。

著者は植物愛好家を自称し、序文の寄稿者が大げさなので調べと、終戦前後の名古屋市議会議員の名簿に西区選出として名前があった。古い本なので興味を持ったが、詳しくは読んでいない。複雑な気持ちが残る1冊だった。

  • 目 次
  • 序文      厚生大臣 堀木鎌三
  • 序文      名古屋市長 小林橘川
  • はしがき    岐阜大学講師 岡田善敏
  • 著者のことば  山根虎治
  • 写真
  • 鈴鹿山系の地勢       1
  • 鈴鹿山系の登路       1
  • 植物採集登山コース     3
  • 植物採取上の注意      4
  • 鈴鹿山系の花暦       7
  • 鈴鹿山系の植物目録    47
  • 鈴鹿山系の薬用植物目録  78
  • 鈴鹿山系の有毒植物目録  86
  • あとがき         87

愛知県図書館にて閲覧した。(作成 2001-11-10、更新 2008-08-23)

  • 鈴鹿の山に咲く花

写真集。写真のサイズが大きいので、私のような初心者にとっては、山で見た花と照合するのに都合がよい。専門家による監修の労もとられている。

それにしても、いまだに見たことのないような花が一面に咲く様子には驚嘆する。いまも人知れず、どこかで咲いているのだろうか。自己満足のために、これらの草花を持ち去る人々がなくなることを願うばかり。

発行当時、中日新聞の記事でこの本の存在を知ったが、定価3900円には手が出せずに後で悔やんだ。それなりに給料をもらえるようになってから、名古屋市内の古本屋(上前津・三松堂書店)を歩いて入手した。現在は国立国会図書館デジタルコレクションにて個人送信されている。(作成 2001-12-01、更新 2025-05-02)


植物102種の写真、及びその植物に因んだ短歌・俳句と共に各1ページ程度の解説を附したもの。著者は『鈴鹿の山に咲く花』の編集同人のひとり。

「あとがき」によれば、『鈴鹿の山に咲く花』の制作と並行して中日新聞『夕刊三重』に1年間連載したものから102編を選んで単行本化したとのこと。姉妹編の「続」は同様に103種を掲載している。いずれも面白く読ませていただいた。

「近くの山」とは、概ね鈴鹿の山を指している。執筆時から10年ほど前であれば、路傍や畦道に見られた花が、開発や下草処理がされないなどの環境変化により、あるいは採取により山奥でないと見られなくなったとある。

菰野町図書館などで閲覧した。現在は国立国会図書館デジタルコレクションにて『近くの山で出会う花』、『続・近くの山で出会う花』ともに個人送信されている。(作成 2008-08-23、更新 2025-05-02)

旧脇ヶ畑村(滋賀県多賀町)周辺のカルスト地帯をテーマに、過疎化が進む村落とともに、そこに咲く花の様子などを書き残したもの。前半84ページまではカラー写真が占めている。

ツチアケビを人に採られた話のところで放り出していたものを読み直した。初読のときは嫌な感じがした。共著者の文書が挟み込まれて、まとまりに欠ける印象もあったためか。権現谷などを案内された田中澄江も短文を寄せている。共著者とタイトルはつぎのとおり。

  • 本田太郎 変わりゆく旧芹谷地区
  • 田中澄江 霊仙山
  • 北村敏子 大君ヶ畑の花ごよみ
  • 野部博子 山の子らのあそび
  • 村長昭義 御池岳の自然

入手の経緯が記憶にない。現在は国立国会図書館デジタルコレクションにて個人送信されている。(作成 2008-08-24、更新 2025-05-02)

  • 鈴鹿山系の薬用植物

  • 編集:鈴鹿山系薬用植物自然調査専門委員会
  • 発行:三重県薬系技術員協会
  • 1988(S63) 94p B5 書誌

薬用植物の資源調査報告書。主な内容は、主要登山道沿いの薬用植物の分布調査と、薬用植物118種の各論。各論にはそれぞれ小さなカラー写真が付されている。

なお、1971年に三重県薬事環境衛生課から同名の書籍(未読)が出されており、本書は2次調査のようだ。

四日市市立図書館にて閲覧した。(作成 2001-11-24)

  • 御在所岳花かたろぐ

  • 編集:財団法人日本カモシカセンター
  • 発行:同上
  • 1992(H04) 48p はがき

はがきサイズの小冊子。御在所岳とその周辺地域に咲く花45種の写真と解説文が掲載されている。山上、中腹、温泉街での開花期も記載されているので便利。巻末に絵はがき一枚が挿入されている。

持ち歩き用と本棚用の2冊を持っている。御在所岳山頂の日本カモシカセンター(閉館)で500円くらいで購入した記憶がある。(作成 2002-01-05)

  • 山野の植物 上石津の野山を歩く

  • 著者:井上 理
  • 発行:上石津町教育委員会
  • 1995(H07) 105p B6

鈴鹿山脈北東端と養老山地に挟まれた旧上石津町(現岐阜県大垣市)の地域に咲く花の写真を季節順に掲載して解説を附したもの。『広報かみいしず』に掲載されたものを始め105種が紹介されている。

上石津郷土資料館にて入手した。(作成 2002-08-24)

  • 鈴鹿の野山で出あう万葉の植物

  • 発行:財団法人日本カモシカセンター
  • 1999(H11) 64p B6

万葉集に詠まれた草木のうち鈴鹿山系の周辺で見られるものを収めた小冊子。116種の写真が掲載され、和歌と解説が付されている。

綺麗な感じの本。カモシカセンターに飾られた「万葉の植物」が好評で冊子の要望があったとのこと。これもカモシカセンターで購入したが、当センターは2006年11月末で閉館してしまった。(作成 2002-01-05、改訂 2008-08-23)

  • 花かおる御在所岳

  • 著者:市橋 甫
  • 発行:ほおずき書籍
  • 2000(H12) 80p 新書版 書誌

新書版の小冊子。御在所岳に咲く花と、御在所岳の動物や昆虫、さらには観光施設・行事のガイドブック。カラー写真が豊富に掲載され、閉館となった財団法人日本カモシカセンターのことなど、小冊子にぎっしりと詰め込まれている。

四日市市内の一般書店にて購入した。(作成 2002-01-05、更新 2012-07-16)

  • 鈴鹿・伊吹山 花の山旅13

  • 著者:金丸勝実
  • 発行:山と渓谷社
  • 2001(H13) 111p A5変形版 書誌

登山道周辺に咲く花を楽しむためのガイドブック。霊仙山、御池岳、藤原岳、御在所岳、伊吹山を対象に花図鑑、登山道ガイド、花マップ(時期別の開花場所)などが掲載されている。

携帯しやすいサイズで都合が良い。シリーズ最終巻として『鈴鹿・伊吹山』が出版されたことは有り難く、携帯用と保存用に2冊を購入した。ただ、使い方次第とはいえ、採取ガイドブックのようなシリーズの企画には、行状の酷い人があることを思えば、はらはらとする思いがある。(作成 2004-12-12、更新 2008-08-23)

  • 鈴鹿の山で見られる花

  • 著者:鈴鹿の山 花散策会
  • 発行:今村悦子
  • 2004(H07) 199p B6 書誌

表題のとおり鈴鹿の山で見られる花の写真集。500種ほど納められ、写真には解説が附されている。

小型の本で持ち歩くことができる。花は科毎に並べられ、巻末の索引で調べられる。また、「見分け方」が7ページ分掲載され、たとえばシロモジ、アブラチャン、ダンコウバイなど類似していて自信が持てなかった花の判別について参考になる。写真には撮影年月日の記載があって開花時期を確認できて良い。同種の書籍では、撮影場所はともかく、年月日のないものが多いのは何故だろう。

シャモニ(登山用具店・四日市市)にて購入した。(作成 2008-08-23、更新 2012-07-16)

  • いなべ市に咲く花とその果実

  • 著者:いなべ市教育委員会
  • 発行:いなべ市教育委員会
  • 2013(H25) 139p B6 書誌

いなべ市内に咲く木本(一部に草本を含む)55科134種について解説されている。

1ページ1種の構成で、花と果実の写真を収め、生えている場所の区分(山地、丘陵地、山麓)など150字程度の解説がある。アイウエオ順でなく科毎に並べられおり、種名一覧は巻末にある。持ち歩きを考慮して、小さめの本にしたとある。

フクジュソウ、セツブンソウは掲載されているが、ほとんどは木本。盗掘を憂慮してのことか。収録されたものは地味な花が多い印象を受けるが、秋になれば赤・橙・紫・黒などの果実が美しい。ただ、この本だけでは判定は難しそう。

藤原文化センターにて購入した。(作成 2014-08-30)

  • よっかいちの自然 第1集 丘陵地や山地の林

  • 著者:「よっかいちの自然」編集委員会
  • 発行:四日市市環境部
  • 2018(H30) 93p 書誌
  • 四日市市

写真集。よっかいちの自然 第1集(1994)のリニューアル版。四日市市のサイトからダウンロード可。

冒頭、宮妻峡のヤマザクラが見事。次のスプリング・エフェメラには派手なものはなし。四季を追って動植物の写真が並ぶ。多くは鎌尾根、雲母峰、宮妻峡周辺でのもの。四日市も鈴鹿山脈の一部だ。

続卷も発行された。詳細は四日市市の冊子「よっかいちの自然」にて。(作成 2019-06-23、更新 2019-12-07)