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  3. 2001年11月23日

鈴鹿:雨乞岳

大納言谷の林道跡を奥へ入り、雨乞岳から南下する尾根の鞍部から、展望の良い尾根を山頂へ向かった。林道跡はススキに埋め尽くされており、谷を離れて尾根へ登るポイントは現地の状況と地形図で判断するばかり。尾根には薄い践み跡があるが、上部ではヤブに突っ込んだりっする。テープマークは期待できない。

登山日
2001年11月23日金曜日
ルート
大納言谷-南雨乞岳-雨乞岳-稲ヶ谷

登路

ガイドブック「鈴鹿の山ハイキング」のお世話になる。この本では大納言谷は下山路として紹介されているが、私の実力では不安なので登路とした。そして、経験のある稲ヶ谷を下山路とするルートとした。

写真1

鈴鹿スカイライン(国道477号)を武平峠から滋賀県側へ下り、料金所跡、浦谷橋園地、スカイライン終点看板(オーボラ谷入口)を過ぎると、道路の北側に自動車数台を停められるスペースがある。これが大納言谷の林道跡への入口だ。(写真1)ただし、フタの無い側溝があるので直角に入らないと脱輪しかねない。特に滋賀県側から来ると危ない。以前、ある林道でやってしまい登山どころではなかった。

日ノ出の時刻に出発した。林道跡には草が茂っており、崩壊も多い。堰堤に着いたら右岸へ渡る。再度、林道跡を歩くがススキが茂ってくる。やがて左岸へ渡るが、背丈を超すススキと足下のイバラが嫌になり、川中を歩くことにする。また、堰堤があってポツンと赤テープ。右側から越した。

林道跡は相変わらずススキに覆われている。地形図によれば林道はもっと奥まで入っているはずだが、もはや形を留めていない。それでも、ススキを分けて歩いていると自動車が1台捨て置かれていた。奥でさらにもう一台。土管が転がっていたりするので、林道だったに違いない。践み跡は不明瞭。朝露で濡れたズボンが冷たい。体からは白い湯気が立ちのぼっている。

写真2写真3 小尾根を登る写真4 雨乞岳への尾根

周辺の斜面は伐採されて丸裸になっており、そこにススキが繁茂している。谷の前方には、ススキに覆われた尾根が朝日に照らされて立ちふさがっていた。(写真2)下部の一帯は植林されており、その付近で谷は二俣になっている。右手の近いところには廃材がひとかたまり。伐採された雑木の残骸か。林道跡はまだ奥へ続いているようだ。

どこから、丸裸の西の尾根に取り付こうかと考えていたところ、左に小谷があり、その次の小尾根に小さな土の崩壊があった。人の歩いた跡か。この丸裸の小尾根をすこし登り、大納言谷の様子を見渡して地形図と照合する。どうやら25000分の1図の継ぎ目上の小尾根にいるようだ。

この小尾根を登る。不明瞭ながら伐採時の践み跡が残っていた。尾根の上方に切り残された樹木(写真3)を見上げながら登ると、日影から飛び出して朝日のなかに出た。逆光に照らされてススキの穂が白く浮き上がる。まもなく、枝を広げたマツの木にたどり着いた。

さらに、何本か立木を辿ると南北に続く尾根の鞍部付近に登り着いた。北には雨乞岳へと尾根が続いているがまだ遠い。東にはススキにおおわれた広大な斜面が大納言谷へ落ちており、その向こうには御在所岳や鎌ヶ岳がそびえる。そして、南には820mほどのススキに覆われたピーク。これへ立ち寄ってから雨乞岳を目指した。(写真4:左奥が雨乞岳、中央が966mピーク、中央右に立木がある尾根を登りに使った)

写真5写真6

尾根の東面はススキ、西面は落葉した広葉樹の疎林だ。尾根上はちょっとヤブっぽいので西側の薄い践み跡を辿る。たまに、古いテープの目印が残っているのを見つける。966mピークを過ぎて登りに変わると、樹下の尾根に低いササが現れた。樹間から左右の清水頭や稲ヶ谷を見透せる。

やがて樹林を抜けてササ原に変わると、践み跡もはっきりしてきた。しかし、2ヵ所ほどで、その踏み跡が消えて、背丈を超すササと低木のヤブに突っ込む。なんとか突破すると、ようやく前方に南雨乞岳が見えた。(写真5 左が南雨乞岳、右が山頂)

南雨乞岳は小さなピークだが展望が良い。ここからは背丈を超すササの中に道が続く。さすがに疲労感を覚えた。途中、清水頭や綿向山の展望の良いところで立ち止まって休んでいると、ここで初めて登山者と出会った。最後になんだか解らなくなったが、人声を頼りにササを漕ぐと山頂の切開きへ飛び出した。登山者が多い。

山頂・北側のササのなかにある大峠の沢(写真6)に水があることを確認する。さすがに雨乞いの山。いままで、水が涸れたのを見たことはない。

下山路

写真7

立ち寄った東雨乞岳にはいっそう登山者が多い。杉峠からの尾根にも人の姿が見える。山頂との鞍部へ戻って、小さな標識から稲ヶ谷へ下降する。最初の急斜面は小石で滑りやすいが、水流が現れると良い雰囲気の谷に変わった。南に開いた浅い谷は日に照らされて明るい。(写真7)しかし、下流域では急下降や高巻き道などあって危なっかしい。鈴鹿スカイラインへ飛び出してほっとした。

スカイラインを歩いて大納言谷まで戻る。付近には崩壊したトタン小屋。大納言橋の上から谷の紅葉を見ていると谷底でサルが騒ぎ出した。風のない穏やかな一日だった。

追記 2023.10.04

稲ヶ谷登山道の現状を知らないが、2012年の様子(鈴鹿:雨乞岳:2012-11-25)では、この登山道の大滝の巻き道(640m~720m)は危険です。特に下山の利用は良くないと思われます。

行程表

6:50大納言谷、出発
7:35小尾根に取り付く
8:05尾根上の鞍部・820mピークを往復(8:05-8:47)
9:33966mピーク
10:40南雨乞岳(10:40-10:47)
11:11雨乞岳山頂(11:11-11:55)
12:05鞍部から稲ヶ谷へ下降
13:37スカイラインに出た
14:25大納言谷、到着
(作成 2001.11.24、改訂/書式等 2013.01.03、追記 2023.10.04)