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  3. 2004年2月28日

鈴鹿:入道ヶ岳

入道ヶ岳東面の大ガレ(オオハゲ)を源流としているのが鍋川だ。砂防工事が施工されるまでは土石流を発生させていた。この鍋川の右岸から、オオハゲの南側を登り二本松尾根に合流する尾根(以下、オオハゲ南尾根)には、地形図に破線が書き込まれている。この尾根を登るのは三度目のこと。今回は鍋川へ下りてみた。下山路の井戸谷登山道では「イシグラ」の磐座に立ち寄った。

登山日
2004年2月28日土曜日
ルート
オオハゲ南尾根(鍋川)-二本松尾根-入道ヶ岳-井戸谷

オオハゲ南尾根

写真1

椿大神社に自動車を置いて林道を歩き、大堰堤から二本松尾根登山道へ入る。左に大きな堰堤が現れたところで右の植林に入ると、地形図の破線路だろうか、道形が残されている。すぐに林道を横断するが、植林帯に入ると道形を見失う。それでも、斜面をゆったりと登る道をまた見つけた。地形図のように一直線に登っているばかりではないようだ。(写真1)

尾根上の小さなピーク(480m)に登り着くと植林帯が終わる。小さな鞍部にて、右側の大岩を左から巻いて尾根をしばらく急登すると明瞭な道が右側に現れる。この道は尾根を離れて、ほぼ水平に続いているが、崩壊したものか途切れてしまう。今日は、この道の行方を追ってみる。

鍋川

写真2 鍋川写真3写真4

崩壊地点から獣道を使って北西へ歩いてみるが、道はまったく見当たらない。やがて、灰色の岩屑におおわれた急斜面に出た。これを水平に横断して次の急斜面に出たが、これ以上は進むことが出来ないので、これを下降して水音がする鍋川の本流に降りる。

降りたところには砂防堰堤の石組みがあり、下流にもうひとつ見える。そこには水面が光っていた。(標高500mくらい)

付近は石屑の堆積で、まるで採石の置き場のようだ。ここから鍋川を登る。(写真2、3)

広い河原はすべて石屑におおわれており、樹木など見当たらない。両岸の岩壁は崩壊を続けており、ときおり小石が落ちてくる。地形図には水線が書き込まれているが、さきほどの砂防堰堤から上流に水はない。

左岸側には、高い位置に砂防の石組みが数カ所に見られる。よくもあんな所にと驚く。昭和9年頃には、この砂防工事で死者3名が出ているとのこと。

一転して、本流は広い谷底から岩盤を削る細流に変わった。黒い小滝が3段あり、雪解け水が流れ落ちている。

さらに登ったところで行き詰まった。狭い谷底へは、何時、岩が落ちて来てもおかしくない。現に、足下にゴロゴロしている。こんなところにも、小規模な砂防の石組みが残っていた。

この谷の奥には、オオハゲの最上部(本岩磐、あるいは主座の磐座)が見えている。(写真4)3m足らずの小滝に取り付いてみたが、粘板岩なのか足を乗せると岩が板状に崩れ落ちた。ここを越えればオオハゲの直下へ行けそうな雰囲気だが、ケガをせぬうちに撤退することにした。(710m付近)

入道ヶ岳・井戸谷

砂防堰堤まで引き返したが、往路が解らなくなったので適当にオオハゲ南尾根へ戻る。

写真5写真6

とても道があったとは思えない急勾配の尾根を登り、二本松尾根に合流した頃に正午のサイレンを聞く。間もなく到着する山頂で、まだ雪が残る鈴鹿の山々を眺めて座り込んだ。頭上には雲。期待したポカポカ陽気は何処へやら。

山頂のササ原から井戸谷登山道を樹林帯へ降りる。ずいぶん以前からある「頂上まであと30分 ×2」の標識付近からは、急勾配の小谷が南西へと突き上げている。日影で雪が残っているが、雪崩があったものか、沸き立つような雪面がそのまま凍り付いていた。その先端は、登山道から50mほど上で止まっている。(写真5)

せっかくだから、右岸尾根上の「イシグラ」へも登った。今日は新しい注連縄が張り巡らされている。(写真6)ここからはオオハゲ上部を望めるが、鍋川の谷底は良く見えないのが残念なり。(入道ヶ岳・磐座めぐり

本岩磐参拝所・富士社

鈴鹿の山と谷」には、「椿大社図絵」が引用されている。そこには、本岩磐の参拝所や、短山国見岳付近の富士社が書き込まれているが、その所在地が良く解らなかった。

写真7 案内図

今日、鍋川を歩いた感じでは、この谷に参拝所があるとは思えない。やはり、井戸谷登山道の登山口付近のもの、または「イシグラ」がこの参拝所に相当するように思える。

一方、富士社も短山国見岳付近には見当たらない。現在、椿大神社の手水舎あたりに掲げられている案内図には、大堰堤(広河原)付近に富士社が書き込まれているが、愛宕社の位置を見ても解るように相当に大雑把な書き方だ。神社の他の資料では井戸谷登山道の石神の祠を富士社としている。その背後に磐座があるが、コノハナサクヤヒメを奉っているものだろうか。井戸谷には、この他にも人の営みの痕跡があちこちに残されているようだ。

行程表

8:04椿大神社
8:46オオハゲ南尾根・小ピーク(8:46-8:53)
9:02道形あり、鍋川へ向かう
10:29鍋川最深部・撤退
12:04入道ヶ岳(12:04-12:20)
15:10椿大神社
(作成 2004.02.29、改訂/書式等 2012.11.11)