鈴鹿:国見岳・御在所岳
アカヤシオの花見登山。花の良い場所はヤシオ尾根から御在所岳の山頂部へ移動していた。
- 登山日
- 2025年5月3日土曜日
- ルート
- 裏道-ヤシオ尾根-国見岳-御在所岳-峠道
裏道、腰越峠道
湯の山かもしか大橋北詰に自動車を置いて6:09に出発した。昨日は雨、蒼滝大橋からは補聴器なしでも北谷の水音が大きく聞こえる。ここから裏道へ入り、前回(4月30日)と同じルートを歩く。
藤内小屋からは北谷を徒渉して腰越峠道へ入るが、今日は足場の石が浅く水没していた。念のためにストック1本を引っ張り出してバランス確保用に使う。
昭和5年(1930)に出版の『伊勢ゆのやま』(国立国会図書館・送信資料)に五月のこととして御在所岳登山の短文がある。裏道・岳不動・ユルギ岩のルートと思われるが、シャクナゲ、シロヤシオ、アケボノツツジが書かれている。地球温暖化の以前は同じ日に花を見られたのだろうか。(アカヤシオ - 鈴鹿山脈・御在所岳周辺にて)
三岳寺跡への不動谷の徒渉は、標識付近は岩が濡れており滑りそうなので僅かながら下流側で渡った。ここの足場は水没していない。
鐘撞堂跡の標識から落ち葉で滑る尾根を登り、朝明観光協会の標識で県境尾根・青岳方面へ入る。急斜面を固定ロープで横断(885m)して右折し、涸れ沢から右の尾根に登れば落葉樹林に変わる。尾根の端部(935m)では風陰側にアカヤシオの花がたくさん残っていた。ストックを仕舞い、短距離ながら花崗岩が砂と化した斜面を這い上がる。右側が急斜面なので嫌なところだ。年齢相応で、このルートを下山に使わなくなった。
怪しい風 - 御在所岳の怪
昨日の四日市の降雨量は63.5mm、風速は11:00に3.1m/sだった。夕刻の西空は晴れていたので御在所岳周辺は雨が止んだはずだ。御在所ロープウエイは11:00の風速が15m/s以上とあり、強風のため終日運休と告知していた。
ところが、三重県大気環境情報では同時刻の御在所測定局(山頂)の風速は2.5m/sになっている。風速を整理してみた。
観測場所と時刻 | 9:00 | 11:00 | 13:00 | 15:00 | 17:00 | 19:00 |
---|---|---|---|---|---|---|
四日市(気象庁) | 3.2 | 3.1 | 0.5 | 3.1 | 4.9 | 4.1 |
土山(気象庁) | 4.0 | 1.0 | 2.1 | 1.4 | 2.0 | 1.2 |
御在所測定局 | 2.3 | 2.5 | 2.0 | 5.2 | 12.4 | 13.8 |
御在所ロープウエイ | 13 | >15 | - | - | - | - |
観測場所や風速の定義に差があるとしても11:00の風速は違いすぎる。いずれにせよ御在所測定局も19:00に13.8m/sを観測しているので、昨日は強風が吹いたのだろう。
ヤシオ尾根


1081mを通過し、水溜まりになったヌタ場から登るとアカヤシオが多くなるが、北側斜面に花がほとんどない。前回も少なかったが、怪しい風で残りも散ったか。
県境尾根が近づくと尾根中央から南側では良く咲いているが、前回に比べると精彩を欠くようだ。それでも遅咲きのアカヤシオが濃い色の花を咲かせており素晴らしい。
国見岳


県境尾根を国見岳へ登る。良い状態のアカヤシオは標高が高い場所へ移動していると期待したがそうでもない。良い年に比べると花の数が少ないし、傷んで褐色になったものが多いので花の色が良くない。
御在所岳


裏道から遊歩道に上がると朝陽台北面の開花は進んでおり見頃になっている。往来するロープウェイの観光客が多い。

12時前だが、朝陽台から中部国際空港の向こうに武豊火力発電所の貯炭施設が見えた。大気の透明度が高ければ、さらに碧南火力発電所の発電機も並んで見えるが、さすがに今日は無理だ。
碧南火力も石炭を燃料にしており、アンモニアと混焼させる計画が発表されている。嘘くさいEVと同じで温暖化対策として機能するだろうか。腐食性がある毒性ガスの取扱も面倒くさそう。
のんびりアカヤシオを撮影しながら三角点へ向かうと、ベンチは昼食の時刻なので大方が塞がっている。その三角点から御嶽大権現の北西斜面に咲くアカヤシオが見えるので、そこへ潜り込んで昼食にした。おにぎりを食べるだけだけれど。




アケボノツツジに比べて、アカヤシオは雄しべ10本のうち上部の短いもの5本の基部に毛があり、花柄にも毛があるらしい。「アケボノツツジとアカヤシオの遺伝的分化は明瞭ではないため、この2変種を区別した管理は妥当ではない」と書いたものがある。アケボノツツジとアカヤシオは実質的には別種ではなく、別名でしかないとのことだ。

武平峠へ下りて湯の山温泉を歩いた。数ヶ所にシャクナゲがあるが散り始めている。三嶽寺のハナノキは赤色から緑色に変わり始めた。道路脇のシャガが五部咲きだ。
今年、アカヤシオの開花は表年になった。咲き始めは遅れたが、その後は気温が上昇して急速に開花が進んだ。しかし、山頂周辺で早咲きのアカヤシオが開花した頃には平年並みの気温に戻ったので、山頂部では花が長持ちしたように思う。
咲いた花の数は普通の表年並か。上部での開花時期に風の被害がなければと悔やまれるが何時ものことではある。強い寒波はなかった。近年は五合目以下の開花が良くないが、これも地球温暖化で環境が良くないのか。
行程表
6:09 | 湯の山かもしか大橋北詰、出発 |
6:22 | 蒼滝大橋東詰、出発 |
7:03 | 藤内小屋 |
7:30 | 三嶽寺跡 |
8:36 | ハライドからの道に合流 |
9:09 | 県境尾根 |
9:48 | 国見岳山頂 |
12:31 | 御在所岳三角点 |
13:26 | 遊歩道、武平峠下山口 |
14:22 | 鈴鹿スカイラインに下りる |
16:03 | 湯の山かもしか大橋北詰、到着 |