アクセシビリティのメモ帳3

  3.階段などでの視覚障害者に対する援助の方法(手引きの仕方)(2002年12月4日)(2003年10月11日更新)

  桑員(そういん)バリアフリーの会のメンバーの I さんから、先日、階段で視覚障害のかたを手引きするときの方法についてメールをいただきました。
  わたし自身、まだはっきりとわからないところがあったテーマだったので助かりました(やっぱり仲間はありがたい。ここがボランティア活動のいいところです)。紹介します。

 階段へのガイド

  『基本的な手引きのかたちである肘(ひじ)の上部を軽く持ってもらった状態で手引きをし、階段に近づいたら、上り(下り)階段があることを伝えます。

  階段を上る場合は、階段に対して直角に近づき、直前で止まります。
  「上ります」と声をかけて一段上り、視覚障害者が一段目に足をかけるのを確認して次の段に移ります。ガイドは常に1段上を上るようにします。
  上り終わりはガイドが半歩前に出て止まり、「終わりです」と声をかけて相手が上り終わるのを確かめてから歩き始めます。

  階段を下りるときは、踏み外すと落下の危険がありますので慎重にガイドします。階段に対して直角に近づき、直前で止まります。
  「下ります」と声をかけて1段下りて待ちます。視覚障害者が1段目に足を下ろすのを確認して次の段に移ります。ガイドは常に1段下を下りるようにします。
下り終わりは、ガイドが半歩前に出て止まり、「終わりです」と声をかけて、相手が下り終わるのを確かめてから歩き始めます。

  階段に不慣れな人や不安感の強い人の場合には、ガイドしながらもう一方の手で手すりも持ってもらうとよいでしょう。
  白杖を使い慣れている場合は、階段昇降時に白杖を使って段を確認してもらうと安全性が高まります。

I 』


 視覚障害者を援助する方法

このほかに、階段に限らず視覚障害者を援助する方法について、三重県のユニバーサルデザインチームからもらった資料を読んでいて参考となるところがありましたので、紹介します。

1 「お手伝いしましょうか。」ではなく、「どちらに行かれますか。」と、声をかける。

  障害を持ったかたを援助する場合、まず声をかけることが大切で、そのかけ方は「お手伝いしましょうか。」と、よく習うんですが、視覚障害者に対しての場合だと、「お手伝いしましょうか」と言ったとすると、「はい、お願いします」となり、次に「どちらに行かれますか」と尋ね、「どこどこです」となります。ここでこの「どこどこ」が援助しようとする人がこれから行こうと思っていた方向とまったく逆だった場合に、はたと困ったとなってしまうからだそうです。
  したがって、「どちらに行かれますか。」「どこそこです。」「方向が同じですのでごいっしょしましょうか。」「ええお願いします。」、こういうかたちがいいということです。

A 援助する人はリラックッスして肩の力を抜く。

 肩に力が入っているとなぜいかないかというと、階段や、1,2段の段差のところにさしかかった場合、リラックスしていると段差が下りれば肩が落ちるので、手引きをされている人も「ああ、次は段差があるんだな」ということがわかりますが、緊張している人は体がこわばっていて肩が落ちないので、結果として手引きをされている人がつまづいたりして、段差から落ちてしまったりするおそれがあるからです。
 わたしなんか、手引きをしているんだというだけで緊張してしまうほうなので、きっと肩は下がってないと思います。これからはリラックスするぞ。

B 視覚障害者が立ち止まっている場合に、声をかける。

 視覚障害のかたが普通に歩いている場合は、援助は必要でなく、立ち止まっている場合に、援助を必要としていること(迷ったり、困ったりしていること。)が多いので、声をかける。

C 視覚障害者を、道の真ん中で待たせない。

 手引きをしている途中で、ちょっと道をきいてきたりするために、視覚障害者のかたに待っていてもらう必要があった場合、「じゃあ、ちょっとここで待っていてください」となってしまいがちですが、広いところ、まわりに何もないところで、「ここで待っていて」と言われると、非常に不安になるそうです。ここがどこかがわからないためで、たとえば壁の前などで、「ここが壁ですので、ここで待っていてください」というと、心理的に安心するそうです。


 手引きをするときの基本姿勢

最後に、順序が逆になりましたが、手引きをするときの基本姿勢について、これもユニバーサルデザインチーム発行の冊子から引用して、紹介します。

基本姿勢のイラスト

  手引きの基本姿勢
です。
 手引きをする人は視覚障害者の斜め前に立ち、視覚障害の人に片手で自分の肘の上あたりを軽くつかんでもらいます。
身長が異なる人同士のときのイラスト

  身長が異なる人同士による手引きの場合です。
  状況に応じて、自分の手首をもってもらったり、肩に手を置いてもらったりします。
狭い道の場合のイラスト
  狭い道や混雑しているところでは、まず状況を説明して、つかまれている腕を自分の背中の方にまわし、視覚障害の人には必要に応じてつかむ位置を変えてもらいながら、手引きをする人の真後ろに入ってもらい、一列になって進みます。

【姿勢のイラストの出典】
パンフレット「バリアフリーのまちづくり」・2001年3月・三重県バリアフリーのまちづくり推進室

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