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鈴鹿:火頭子山

田村神社を起点にして、土山町黒川の西にある植林の山・火頭子山(482m)へ登った。また、下山後に「大岩」を探して北土山の地内を徘徊したが成果はなかった。

登山日
2023年12月20日水曜日
ルート
田村神社-火頭古神社-火頭子山-北土山の地内-田村神社

土山宿から大岩を遠望する

写真1 大岩山

鈴鹿峠の滋賀県側にある田村神社に自動車を置き、土山宿東端の道の駅「あいの土山」から旧東海道を西へ250mほど歩けば、国道1号北側の山の向こうに大岩山(505.1m)を望むことができる。写真の白い建物の上方が大岩山の山頂だ。その山々の連なりの西端にあるピークの写真を拡大すると大きな岩が見える。

写真2 大岩らしいもの

これが、江戸期の『東海道分間絵図』(国立国会図書館)や 『東海道分間延絵図』に「大岩」として記載されたものだろうか。絵図の形に似てはいる。大岩山の名称は、この大岩に由来するのかも知れない。

地形図でこの大岩の所在を調べると、下図のOlive01付近のピークが候補になった。

今日の第一目標は登山者にあまり相手にされていない植林の低山・火頭子山を登ること。そして、第二目標はこの大岩を確認することだったが、こちらは体力と時間の不足で達成できなかった。

火頭古神社

田村神社を出発し、田村川沿いの舗装路を東へ歩いて火頭古神社を目指す。この道は広くて良好な路面状態だが、火頭古神社の付近までは人も自動車も全く見なかった。

南向きに歩くようになると耕作地に出た。右側に小規模な建物があり、左の山側には地形図にある破線路の入口らしいものがある。入口に立てられた低い板は土砂の流出防止の意図か。ここから火頭子山へ登れば良いと思うが、見送って火頭古神社へ向かう。

写真3 火頭古神社写真4 火頭古神社前から火頭子山

その火頭古神社の前には石碑があり、そこから見る北側の植林の山が火頭子山らしい。『甲賀郡志』(国立国会図書館・送信資料)の火頭古神社の項には「明治の初所在地の山名を採りて社号とす」とあるので、火頭古という名称の山が存在することは間違いない。なお、設置された案内板では「火頭古」に「ひずこ」の振り仮名がある。

地図の大きさ:600×150 600×500

地図の大きさ:600×150 600×500 地図表示について

赤線:登山ルート、:田村神社、:火頭古神社、:火頭子山、:滋賀県中継局、:大岩の推定位置

この地図は Garmin eTrex32x により取得した軌跡を編集して国土地理院の地形図(地理院タイル)に重ねて表示したものです。位置精度には限界があります。

火頭子山

火頭古神社から山側にネットフェンスが続く県道を東へ歩く。地形図の標高360mには建物があり、おそらく配水池と思われるので、これを経由して登ることにする。

歩けばフェンスに扉があり、小綺麗で施錠されていない。中へ入ると擬木の階段があるけれど、あまりの急斜面に躊躇われる。仕方ない。

登るに従い勾配は増し、階段の杭は傾いて崩れそうだ。頼りない感じの補助ロープまで現れた。地形図の破線路を登っておけば良かったと後悔しながら、這うようにして壊れそうな階段を登れば施錠された門が現れて「土山町上水道黒川配水池」とある。点検作業に通う人は大変だと思う。

写真5 擬木の階段写真6 火頭子山 P482

配水池の緑色フェンスを反時計方向に廻り込んで尾根に登り、以降は歩きやすい踏み跡を選択して山頂部の南北の尾根に乗った。

北へ歩けば482mの独標(写真・右上)だが何があるわけでもない。僅かに地面が膨らんでいるように見えたが、感覚的な誤差かも知れない。火頭子山という名称から、三子山北峰・中峰のように、雨乞のために山頂で火を焚いた跡を期待していたが何もない。黄色のヒモは登山者の仕業と思うが、歩くうちに見なくなった。

写真7 尾根道写真8 滋賀県土山中継局

独標から尾根を北上する。480mほどの小ピークを過ぎると西側にネットが現れ、その先に滋賀県土山中継局の施設がある。下って430mがネットの終端。そのまま尾根を下り、地道の林道に下りて北へ向かうと幅広の舗装路に出た。左折して西へ向かい、出発地の田村神社方向へ歩いた。

北土山の地内を徘徊する

国道1号と並行するトラバースロードの入口でGPSの軌跡を中断し、西へ向かって徘徊を始める。しかし、障害物があって第二目標の「大岩」は見えない。候補地Olive01付近の茶畑からも木立があって見えない。火頭子山からは展望がなく、大岩方面を見ることは出来なかった。

もう現場まで登るしかないが、2ヶ所ある伐採地はフェンスがあって入れない。時間と体力に余裕がないので、大岩の確認は次の機会とした。

行程表

9:58田村神社、出発
10:39火頭古神社 (10:39-10:46)
10:53配水池登山口(フェンスの扉)
11:32火頭子山 P482
11:48滋賀県土山中継所
12:03林道へ下りた
12:45トラバースロード、田村神社まで約400m

備考1:火頭子山について

火頭子山は、大正14年発行の『甲賀郡志』に記載がある。

「火頭古、比頭古とも書す。山内村大字黒川の西方に聳立し、南は猪鼻、西は北土山、東北は当大字に各分属す。全山茅茨密生して喬木なし、当大字黒川より登ること七町四十間にして頂上に達す。その南麓を流るゝを田村川と云う。口碑に往昔此山頂に田村将軍の霊を祀りしが後世土山町大字北土山に遷すと云う。」

火頭子山は猪鼻、北土山、黒川の境界にあるので、P482の山を火頭子山と見て良さそうだ。現在は植林の山であり、山頂に坂上田村麻呂を祀った場所があったとしても見当のつけようがない。火頭古神社と火頭子山の表記は甲賀郡志の記載に従った。

備考2:『鈴鹿の山と谷』第6巻について

『鈴鹿の山と谷』の最終巻である第6巻は、仙ヶ岳・野登山、四方草山・三子山、那須ヶ原山の3部構成になっている。

しかし、同書第5巻にある次巻の広告によれば4部構成の予定だった。削除された項目は「大岩山の周辺 大岩山、地蔵ヶ平、火頭子山、その他」だ。事情を知らないが、青土ダム周辺の山々が『鈴鹿の山と谷』に収録されないままに終わってしまった。とても残念に思っている。

追記:2024.02.15

再度、「大岩」を探しに大岩山を歩いた。記録は「鈴鹿:大岩山 2024-02-14」にて。

(作成 2023.12.23、追記 2024.02.15)