養老:養老山
上石津町・前ヶ瀬から林道を歩き、阿弥陀滝に立ち寄って養老山を往復した。阿弥陀滝から養老山間の伐採地ではネットフェンスに苦しみ、植林後の伐採地には近づくものでないと知らされた。
- 登山日
- 2010年12月19日日曜日
- ルート
- 前ヶ瀬-養老高原スカイライン-阿弥陀滝-養老山-養老高原スカイライン-前ヶ瀬
養老高原スカイライン
「探訪かみいしづ」(平成16年、上石津町教育委員会)に上石津町・前ヶ瀬から養老山頂まで徒歩3時間とある。この道は「養老高原スカイライン」として計画され、広報かみいしづ(昭和42年)に「前ヶ瀬を起点に、佐谷の尾根から養老山頂をめざす『養老スカイライン』(仮称)は、東海自動車(社長山田三逸氏)の手で開発されている。」と掲載されたが、計画は破棄されて私設林道として残った。


また、戦前、鉄道省によるハイキングコースには、時から阿弥陀滝、防火道、スキー場、三方山、養老の滝のコースがある。この道は、上述の道から佐谷を挟んだ南側の尾根を歩いたものと思われる。まずは「養老高原スカイライン」へ出かけた。
上石津地域事務所(旧役場)に自動車を置き、国道を南へ歩いて13分で朱色の公民館・前ヶ瀬コミュニティセンターに着く。ここから「養老高原スカイライン」に入った。集落を抜ければ田園の道。背後のソノド(宗ノ堂)は霜が降りたように白い。小さな墓地から急坂の舗装路となって、閉鎖ゲート(一般車両の通行禁止標識あり)で地道に変わる。アンテナ施設、植林帯を過ぎると明るい雑木林の道になった。林道としては幅員が広い。鉄塔23号では阿弥陀滝への林道(ゲートあり)が分岐する。
次の地形図は、GPS(Garmin eTrexH)で取得した軌跡を編集して地形図に描画したもの。 赤色は林道歩きの区間だ。
地図の大きさ:600×150 600×450 説明:地図表示について
:ゲート、
:23号鉄塔、
:阿弥陀滝
阿弥陀滝

この23号鉄塔にて伊吹山、笙ヶ岳方面を展望し、スカイラインを離れて林道を阿弥陀滝へ向かう。(上石津町図書館の資料によれば、名称は阿弥陀ヶ滝、阿弥陀の滝ともある。)
植林帯の林道は下り坂。「探訪かみいしづ」は、分岐から阿弥陀滝まで30分と記載しているが到着しない。小石の落下音に振り返れば、急斜面にシカの白いお尻がチラホラ見えた。阿弥陀滝は曲がり角で突然に現れる。立派な滝だが滝壺は林道から奥にあり、容易には入れそうにない。戦前にこの林道はなかったようなので、鉄道省のハイキングコースでは、この滝を尾根から見下ろしたのか。
養老山
分岐まで戻れば良かったのだが、上部が伐採されたと見える養老山へ続く植林尾根に取り付いてしまった。やがて、右側は伐採地となってネットフェンス越しに展望が広がるが、左側もフェンスが現れて袋小路になる。人が通れる穴があったので寝転ぶように両足を入れて体を通し、囲いの中の人になった。


伐採された尾根からの展望は雄大。週末の雪で伊吹山には積雪がある。持参した地形図に未記載(電子国土には記載あり)の林道に飛び出して間違いが発生した。正解は林道を横断するフェンスの下を、濡れた地面に腹をこすり着けて通り抜け、早々に伐採地を離れてスカイラインに戻ること。実際は、登ってきた尾根がイバラの藪と化すので、歩き良い伐採地を腹こすりと穴抜けで通過し、なんとか養老山でスカイライン終点に到着した。
帰路
雑木の養老山頂で一等三角点を確認、大洞林道の登山道を帰路にする予定だったが、全長を歩きたくなり「養老高原スカイライン」を帰った。現在、養老山西面は広大な伐採地で展望は良好。道の佐谷側にはフェンスが続く。この伐採地は763m標高点の東200mで終わり、代わって成長した植林帯が鉄塔23号まで続いた。なお、電子国土にも未記載の林道分岐がある。


保安林の看板に「養老高原スカイライン」が残されており、実際にこの名称が使われたことを知る。実現していれば、養老側にロープウェイ、庭田からの山稜には観光道路が寂しい姿を見せていたかも知れない。
ネットフェンス
伐採、地ごしらえの段階は良いとしても、植林が終わった伐採地へは立ち入るものでないと実感した。シカ、カモシカ対策の上に、ウサギ対策なのかフェンスの裾部分も目の細かい網できっちり施工されており、容易には通り抜けられない。締め忘れが危惧される開閉式の扉は見当たらず、ヒト用は中空に開いたぎりぎりサイズの穴2ヶ所のみだった。
行程表
8:20 | 前ヶ瀬コミュニティセンター |
8:40 | ゲート |
9:27 | 林道分岐・西部幹線23号鉄塔 |
10:15 | 阿弥陀滝(11:15 - 11:47) |
13:08 | 養老山 |
15:09 | 前ヶ瀬コミュニティセンター |
追記 2016.10.26
当時、「養老高原スカイライン」で検索しても情報を得られなかったが、2件がヒットするようになった。この付近はツキノワグマが出没するかも知れない。昨年に話題となったクマ騒動だ。念のため。
追記 2017.09.03
養老山地を徘徊して騒ぎになっていたクマは、7月10日に養老町でククリワナに捕捉されて射殺された。このルートでは何かと無用のことをした。林業関係者に迷惑を掛けたくないので、普段は火気を持ち歩かない。予定通りに養老高原スカイラインを歩き、大洞林道を下山すべきだったと反省している。