パーキンソン病(PD)
m. 運動療法にひと言・・・ +音楽療法
パーキンソン病では、病気の進行とともに身体が思うように動かなくなることから、毎日できるだけ体を動かすようにして、機能の衰えの防止や日常動作の改善に努めないといけない、その方法の一つとして運動療法(リハビリテーション)が有効であるので、無理せず疲れない程度からはじめ、少しずつ増やしていけばよい、目標を定めてそれを達成するようにすると、精神面でも充足感が得られる、・・・・というような説明が、Web上でもよく出てきます。
具体的にどのようなリハビリテーションを行ったらいいのかについては、リンク集3で紹介している二つのサイトが双璧をなします。
日本イーライリリー株式会社のサイト「Parkinsons.co.jp」のリハビリテーションのページと、と、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社のサイトの小冊子「パーキンソン病と上手に付き合う─第3号 パーキンソン病患者の日常生活の向上─療養生活のノウハウについて─」のページです。ともにイラストをふんだんに取り入れ、運動のやり方だけでなく、日常生活での工夫についても言及している点でも共通しています。
2006年11月に参加したパーキンソン病に係る学術講演会でも、リハビリテーション(運動療法)は、「1回20分程度のものを週3回、からだを回転させるような運動を行うのが効果的で、介助者に手伝ってもらうのではなく自力で回転させることが大切」との話がありました。
ペイスケは、二つの点から少し疑問があります。
一つは、「運動しすぎると、せっかく飲んだ薬が早く使われてしまって効いている時間が短くなる」(「参考文献1」21ページ)ということにならないのかということから。
もう一つは、一つめのことがあるからかもしれませんが、運動療法などについて説明するサイトやリーフレットなどに必ず付記されている「決して無理せず、主治医または理学療法士から指導を受け、指示どおりに行いましょう。」という注意書きからです。
この「主治医または理学療法士の指導を受ける」ということって、簡単なのでしょうか。
今のパーキンソン患者の現実って、"この先生に"ってすがったわずかの大病院の神経内科に、地域の大半の患者さんが集中し、4週間か8週間に一度の診察日には、長い待ち時間をつらい姿勢を我慢しながら待って、しかも、先生には聞きたいことがいっぱいあるのでそれを書いたメモまで握り締めて待って、そうして漸く回ってきた自分の診察では、先生は丁寧に話を聞いたり説明したりしてくださるのですが、自分のほうは、あがってしまっていたり、構音障害(「こうおんしょうがい」。独り言dを参照してください。)のためだったりして、メモに書いたことを十分に聞けないまま診察が終わって、診察室から出ると"あーこれも聞きたかったのに忘れた"、ということの繰り返しなのではないでしょうか。
実際に主治医の先生から運動療法をすすめられたり、理学療法士さんのもとへ回った患者さんって、どのくらいの割合なのでしょうか。待合室でも、運動療法についての会話を聞いた記憶がないように感じます。
私たち患者のほうにも、かかりつけ医を持たない・通わないという問題もあるかもしれませんが、医療を提供くださる側も、2006年11月の学術講演会のテーマの一つにもなっていたのですが、病診連携(かかりつけ医と専門医との連携)をもっと進めるとか、医師、理学療法士と保健所や保健センターなどの行政職員が連携し合って、医師、複数の理学療法士、保健師が集結した「パーキンソン病患者リハビリ(運動療法)教室」を保健所または保健センターで企画・開催するなどの施策を打ち出していかないと、前には進まないのではないでしょうか。
最近よくその有効性について耳にする「パーキンソン病治療における音楽療法」(注)でも、同じことが言えると思います。
でも、体を動かすことの大切さは、ペイスケもわかっています。
- 長く座ったままでいるときは、ときどき手を休め、両肩を大きく回したり、両肩を耳元まで上げたり下げたりする運動をする。
- スペースがあるときは、体を前後に曲げたり、回転させたりする運動をゆっくりする。
- 調子がいいときはできるかぎり階段を使う。ただし、手すりをしっかり持って。
- 休みの日は、あまり家の中に引きこもってばかりいないで、短い時間でもいいので散歩に出る。
などに、心がけていきたいと思っています。これがなかなか続かないのですが・・・。
(注)
「パーキンソン病治療における音楽療法」の有効性については、かねてから研究がされているようで、音楽を聴くことにより癒しを得る受動的音楽療法にとどまらず、一緒に歌ったり演奏したりする中で、身体を動かしたくなる衝動が出てくることや、音楽のリズムに合わせることで歩行のリズムが改善することなどをねらった能動的音楽療法が注目されているようです。(リンク集2の「APPLE─明るく生きるパーキンソン病患者のホームページ」の「補助療法」のページが参考になります。)
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