昭和の歌,平成元年〜,平成3年〜,平成5年〜,平成7年,平成8年,平成9年〜,平成11年〜,平成13年〜,平成15年〜,平成17年〜,平成19年〜,平成21年〜,平成23年〜,平成25年〜,平成27年〜,平成29年〜
目次
平成元年
あいにきてI・NEED・YOU!,あした,ANNIVERSARY~無限にCALLING YOU~[なぜこんなこと],嵐の素顔, エリー・マイ・ラブ〜いとしのエリー,ENDLESS RAIN,男の情話,語りつぐ愛に,河内おとこ節,川の流れのように,学園天国,キ・ツ・イ,CROSS TO YOU,GLORIA,激愛,限界LOVERS,恋のロックンロールサーカス,黄砂に吹かれて,ごめんよ涙,SUMMER GAME,淋しい熱帯魚,SOMEBODY’S NIGHT,ベイビー,Cherie,しょっぱい三日月の夜,白いクリスマス,シングル・アゲイン,17才,世界でいちばん熱い夏,TIME ZONE,太陽がいっぱい,Diamonds,DIVE INTO YOUR BODY,地球をさがして,Dear Friends,TRUE LOVE[愛と同じだけの],ともだち,トラブルメーカー[TVに映った],ドリームラッシュ,涙はどこへいったの,涙を見せないで~Boys Don’t Cry~,虹をみたかい,NEVERLAND,Virgin Eyes,瞳が微笑むから,BE MY BABY,FUNK FUJIYAMA,まいったネ今夜,MISTY〜微妙に〜,麦畑,ムーンライトダンス,勇気のしるし〜リゲインのテーマ〜,LIAR,Lambada,リゾ・ラバ-resort lovers-,Return to Myself,Room[君が窓辺に],ROCKIN’ MY SOUL,ROSE COLOR,One Night in Heaven〜真夜中のエンジェル〜
平成2年
会いたい,愛は勝つ,悪の華,あー夏休み,Easy Some Easy Go!,今すぐKiss Me,WEEK END,WON’T BE LONG,笑顔の行方,OH YEAH![眠れない夜が],小樽運河,踊るポンポコリン,ギンギラパラダイス,くちびるから媚薬,恋唄綴り,恋しくて,荒野のメガロポリス,告白,CO CO
RO,心の旅,壊れかけのRadio,サイレント・イヴ,酒場,サマータイムブルース,さよなら人類,THE POINT OF LOVERS
NIGHT,Shake Hip!,忍ぶ雨,少年時代,JEALOUSYを眠らせて,JEEP,ジプシー,ジュリアン,情熱の薔薇,ZUTTO,Sexy Music,千流の雫,TIME TO CPUNT DOWN,太陽のKOMACHI ANGEL,天と地と〜HEAVEN
AND EARTH〜,Dear Friend,Dream On抱きしめて,虹の都へ,にちようび,ニュー・ムーンに逢いましょう,NO TITLIST,働く男,BE THERE,P.S. I LOVE YOU,プレゼント,Boys Kiss Girls,真夏の果実,見逃してくれよ!,夢を信じて,夜明けのブレス,夜にはぐれて〜Where Were You Last
Night〜,らんちう,Little Birthday,浪漫飛行,私について
あいにきて I・NEED・YOU! (2021.1.24)
平成元年,詞:森若香織,曲:森若香織,唄:GO-BANG’S
「あいにきて I・NEED・YOU」と始まる。このフレーズはその後何度も繰り返され耳に残る。
内容は平成風としか言いようがない。
「きみから電話かけてくるのが あたりまえと思った」などというのは昭和風だとも言えるが,「あいにきて」と要求し,「このくらいのわがまま 適当に魅力だわ」「無理を言う私は 素直だわ」などと,確かに素直だが昭和の時代はこうではなかったように思う。
「これくらいなら ナイショにしちゃえば 気づかないよ」などとよからぬことをたくらんで「これくらいの出来事 適当に刺激だわ」と進んでいく。これが平成か。
あした(2024.6.20)
平成元年,詞:中島みゆき,曲:中島みゆき,唄:中島みゆき
「イヤリングを外して 綺麗じゃなくなっても まだ私のことを見失ってしまわないでね」と始まる。
デビュー当時の中島は思考の方向がネガティブな場合が多かったような気がするが,ここでは「形のないものに 誰が 愛なんて つけたのだろう 教えてよ」と哲学的になっている。
「ガラスなら あなたの手の中で壊れたい ナイフなら あなたを傷つけながら折れてしまいたい」とはどういう心境なのだろう。私には理解しがたい心境だが,昭和演歌でこのような歌詞を聞いた記憶がある。
「何もかも 愛を追い越してく どしゃ降りの 1車線の人生」。これも私には理解できない。
ANNIVERSARY~無限にCALLING YOU~(2020.11.15)
平成元年,詞:松任谷由実,曲:松任谷由実,唄:松任谷由実
「なぜこんなこと 気づかないでいたの」と始まる。
「探し続けた愛がここにあるの」。失ってから『ここにあった』ことに気付くのが少なくない中,気付いたのだからハッピー・ソングだ。
「いつかは会えなくなると 知っていても」がこんなところに現れるとはやや意外だが,全体から受ける感じは『死がふたりを分かつまで』という言葉に対抗して,『たとえ会えなくなってもこの愛は変わらない』という強い思いが伝わって来る。
嵐の素顔(2020.8.5)
平成元年,詞:三浦徳子,曲:後藤次利,唄:工藤静香
「嵐を起こしてすべてを壊すの」と始まる。
「君は素敵だから 一人で平気さ」などと言われて,「冷たいピリオド」という結末になってしまった。「強い女 気取る くせがついた」けど・・・。
「嵐を起こして 全てを壊すの 嵐を起こして 素顔を見せるわ」という歌。
ウィミンズ・リブの定着により『強い女』を演じなければと感じる『強くない女』もいたのだろう。しかし,この詞の女性は演じていた『強い女』の仮面を外すと,中から現れるのは『弱い女』ではなく,演じていたのとは違うタイプの『強い女』が現れるようだ。それが「嵐の素顔」というわけだ。
エリー・マイ・ラブ〜いとしのエリー(2023.12.28)
平成元年,詞:桑田佳祐,英詞:Rumiko Varnes & Pete Hawkins,曲:桑田佳祐,唄:Ray Charles
「There were times I left your heart in pain Time again I’ve turned and walked away」と始まる。
昭和54年にサザンオールスターズが唄った『いとしのエリー』のカバー。
インターネットには,日本の洋酒メーカーがCMのために,金に物を言わせてレイチャールズにカバ―させたとの記事を見ることができる。
歌詞は平易な英語だが,私には元の歌詞との対応が理解できない。
夏目漱石は学生に「I love you」を「月が綺麗ですね」とでも訳しておきなさいと言ったとか。このような文系の意訳に私はついていけない。
Ellie, my love〜いとしのエリー(2024.5.16)
平成元年,詞:桑田佳祐,英詞:Rumiko Varnes & Pete Hawkins,曲:桑田佳祐,唄:Ray Charles
「There were times, I left your heart in pain Time again I’ve turned and walked away I get to where I’m goig just to find Won’t be happy in this world If you’re not by my side Ellie, my love so sweet」と始まる。
昭和54年のサザンオールスターズの歌の英語版カバー。
日本のウィスキー会社がCMのために依頼して実現したとか。米国内ではRay Charlesの歌としての認知度は低いらしい。
ENDLESS RAIN(2021.7.7)
平成元年,詞:YOSHIKI,曲:YOSHIKI,唄:X
「I’m walking in the rain 行くあてもなく 傷ついた身体濡らし 絡みつく 凍りのざわめき」と始まる。
歌詞の多くが英語だが,比較的平易な英語なので歌詞を読めば何となく解ったような気になる。「You’re just an illusion」などと説明もあるので誤解の恐れは極めて少ない。
素直な詞だから日本語で書けばいいのにと思うが,海外進出を目指すには日本語ではダメだということなのだろう。聞いただけでは詞が頭に入って来ず,歌が心に響くことはないが,曲は嫌いなタイプじゃない。
バンドは平成4年にX JAPANと改名した。
男の情話(2022.12.12)
平成元年,詞:松井由利夫,曲:猪俣公章,唄:坂本冬美
「意地を通せば 情けが枯れる 夢にすがれば つき当たる」と始まる。
「惚れた女に 惚れたと言えば 片がつくのに 胸の内」などとあって「恋におぼれりゃ 流される」と「惚れた」とは言わないようだ。粋がっているのは解るが,「俺がやらなきゃ 誰がやる」と終わっても,具体的に何をしようとしているのかはわからない。情を捨て,意地を通そうという決意だけが感じられる。昔の有名な芝居を題材にとった歌では皆が芝居の内容を知っていたから,このような感じの歌でもどのような意地なのかが皆知っていたのでもっと感情移入できたのだが。
なお,これは坂本の4枚目シングル曲だが,5枚目は「男の情話〜セリフ入り〜」である。
第15回日本演歌大賞受賞。
語りつぐ愛に(2024.4.12)
平成元年,詞:来生えつこ,曲:来生たかお,唄:薬師丸ひろ子
「雨上がり 窓辺に たたずみ 風のざわめきを 冷たく 感じて そっとブラインドを 下しかける」と始まる。
「愛を語りつぐために みんな生まれる 言い尽くされた 言葉でもいいさ」、「さよなら 悲しめの 思い出の反乱 心の時計 自分に合わせ 夢見る時間は すぐに過ぎる」。
来生えつこは自分の感覚で詞を書いたのだろうが,薬師丸の若さには似合わない大人の詞だ。
日本テレビ系ドラマ『水曜グランドロマン』テーマソング。
河内おとこ節(2023.11.24)
平成元年,詞:石本美由起,曲:岡千秋,唄:中村美律子
「河内生まれの 風来坊は 生きのいゝのが あゝ…売りもんや」と始まる。
ウィキペディアには河内音頭風のリズムを取り入れた演歌と書いてあるが,そのとおりだ。
中村はNHK紅白歌合戦に15回出場しているが,そのうち8回はこの「河内おとこ節」を唄っているから,この歌が彼女の代表作なのだろう。
昭和末期から演歌の人気は下降気味だったが,彼女は平成13年大阪ドームでの公演を成功させている。それまでにドーム公演を成功させた演歌歌手は美空ひばり,五木ひろし,北島三郎(いずれも東京ドーム)くらいらしい。
川の流れのように(2022.7.6)
平成元年,詞:秋元康,曲:見岳章,唄:美空ひばり
「知らず知らず 歩いて来た 細く長い この道」と始まる。
ひばりの遺作で,『柔』1)を超える最大のヒット曲でもある。晩年に近づくと声が出なくなる歌手が多い中,よく声が出ていると感じる。52歳と年齢が若かったということもあるかもしれないが病魔により立っていられぬほどの激痛を耐えてである。昭和歌謡の女王の名に恥じない
「ああ 川の流れのように ゆるやかに いくつも 時代は過ぎて」という歌詞にひばりは自分の人生を重ねていたのだろう。
当時,多くの作詞家が昭和の詞を脱却し,平成的な詞を書いていた。秋元も世代としては松本隆などより後の世代だが,秋元のこの詞は昭和ど真ん中の詞で,おニャン子に書いていた詞と全く異なる。こんな詞が書けるんだと思っていたが,後にAKBなどに書いている詞の中にも昭和っぽい詞がある。秋元の中に昭和っぽい部分がかなり残っているのだろう。
ひばりも最後にこの歌に出会えて幸せだっただろう。自分で書いたら気恥ずかしく思うだろう陳腐に感じる昭和テイストの詞を,堂々と書く秋元は流石だと思う。
TBS系のテレビドラマ『ああわが家』(長山藍子,前田吟ほか)の主題歌。このドラマは昭和51年のNHKドラマ『となりの芝生』のリメイク。
1) 「柔」(昭和39年,詞:関沢新一,曲:古賀政男,唄:美空ひばり)
学園天国(2023.9.16)
平成元年,詞:阿久悠,曲:井上忠夫,唄:小泉今日子
前奏中に「アー・ユー・レディ?!」と掛け声があり,「へーイヘイヘイ・・・」と始まる。
本格的な「あいつもこいつもあの席を ただ一つねらっているんだよ このクラスで一番の 美人の隣りを」と始まる。
クラスの席替えなのだろう。「運命の女神さまよ このぼくにほほえんで 一度だけでも」と言っているがくじ引きか何かできめるのだろうか。先生が決めるのなら女神に祈っても無駄なのではないか。
「勉強する気もしない気も この時にかかっているんだよ」は嘘だろう。近くでも遠くでも気になって勉強どころではないのだろう
「へーイヘイヘイ・・・」は間奏時にも繰り返され,印象に残る。
昭和49年にフィンガー5が唄った歌のカバー。小泉のカバーは昭和63年のカバー・アルバム『ナツメロ』に収録され,平成元年にシングルが発売された。
フジテレビ系ドラマ『愛しあってるかい!』(陣内孝則,小泉今日子,柳葉敏郎ほか)主題歌。
キ・ツ・イ(2024.11.28)
平成元年,詞:松井五郎,曲:玉置浩二,唄:玉置浩二
「魔法にかけられてるDancin’ shoes 走り出したO-A-OH-A 涙も見せあえればいいじゃない 男と女O-A-OH-A」と始まる。
歌詞は聞こえることは聞こえるのだが,何が言いたいのか私にはよく解らない。「燃えつきちゃって 魅せられちゃって いつまでだって 踊りつづけて 邪魔されたって 苦しくたって いつまでだって 踊りつづけて」というのだからダンス・ミュージックのようだ。実際,ユーロビート程ではないが朝まで踊れそうな程リズムが明確に刻まれている。
TBS系テレビドラマ『キツイ奴ら』(小林薫,玉置浩二,柳葉敏郎,篠ひろ子)主題歌。
CROSS TO YOU
平成元年,詞:平井森太郎,曲:Mark Davis,唄:男闘呼組
「風が吹き抜けてく むなしい心を 何も見えないのさ ここに居るうちは」と始まる。
詩人がイメージしている景色がぼんやりと想像できるような気がしないでもないが,詩人でない私には結局何のことか理解できない歌。ところどころ英語が挿入されている。それほど難しい英語ではなさそうだが,唄の途中で聴いても全く理解できないうちに次に進んでしまう。平成人は皆英語が得意なのだろう。私など,タイトルからしてよく意味が解らないが。こちら側からそちら側へ行ってしまうということか?
Mark Davisは馬飼野康二のペンネーム。馬飼野は他にもJimmy JohnsonとかMichael Korgenなどのペンネームを持つ。外国人アーティストが登場するCMなど,外国人風がいいと判断したとき,これらの名前を使い分けたそうだ。
GLORIA(2020.12.1)
平成元年,詞:森重樹一,曲:森重樹一,唄:ZIGGY
「歪んだ煙を見つめながら あてにならない明日を占えば」と始まる。
若い頃にはこんな歌を好んでいた時代もあった。しかし年齢と共にこのような歌を聴く比重が減った。
何度も繰り返される「LONELY NIGHT もう二度と見せないで」というのが主題なのだろう。一応その都度相手に「GLORIA, I NEED YOUR LOVE」などと呼びかけてはいるが,印象としては相手のことを想ってというより,自分の欲求が主体のように感じられる。つまり,目の前にいるのがGLORIA以外の別の誰かでもよさそうに感じてしまう。
一緒にこの歌の世界に入りたいと思うよりは,勝手にどうぞという年齢に平成元年当時ですらなってしまっていた。
激愛(2020.10.15)
平成元年,詞:TSUYOSHI NAGABUCHI,曲:TSUYOSHI NAGABUCHI,唄:長渕剛
「舌を噛み切った からみ合う口唇の中」と始まる。
曲には違和感がある。ユーミンのときも最初違和感があったが,次第に慣れた。この歌のメロディーも聞き続けると慣れるのだろうか。
この歌では歌詞も感情移入ができない。激情は感じるが愛はあまり感じない。激愛とはどういう意味なのだろう。長渕の愛と私の愛は違うもののような気がする。
限界LOVERS(2024.7.25)
平成元年,詞:安藤芳彦,曲:寺田惠子・五十嵐美貴,唄:SHOW-YA
「激しさを 胸に秘めて 何かを追いかけたい You are the No.1」と始まる。
ヘビメタ系なのだろう。何しろ騒々しい。このような曲はフラストレーションをため込んだ若者のための曲だろう。年をとると耳のダイナミックレンジが狭まり,周波数特性もあちこちディップがでたりしてよく聞き取れない上に,例え音が聞こえても意味を理解するのに時間がかかるようになるので速い曲にはついて行けない。
「天使よりも 悪魔よりも 刺激的な 愛が欲しい 昨日よりも 明日よりも 火花散らす 今が欲しい」などいかにも若者だ。
恋のロックンロールサーカス(2025.4.23)
平成元年,詞:売野雅勇,曲:NOBODY,唄:浅香唯
「C・I・R・C・U・S,C・I・R・C・U・S,C・I・R・C・U・S 恋のロックン・ロール・サーカス」と始まる。
「生き方がいいネ」,「男っぽくて」,「夢見る人って」,「危ない魅力ね」。
「ジェラシーのナイフを 咬えて 綱渡り」というのでサーカスということなのだろう。
私には歌詞全体のつながりがよく解らないが,作詞者の中ではきちんと完結しているのだろう。
平成になったばかりなのについて行けないとは。
黄砂に吹かれて(2020.8.26)
平成元年,詞:中島みゆき,曲:後藤次利,唄:工藤静香
「黄砂に吹かれて きこえる歌は」と始まる。
「微笑ずくで 終わらせた恋が 夢の中 悲鳴あげる」と詞はいかにも中島だ。
後藤の曲とマッチしないと感じたのだが,別に中島のセルフカバーがあり,こちらはいかにもみゆきワールドだ。曲が同じなのに印象が全く違う。違いは編曲なのだろう。編曲と歌唱の違いにより,全く違う曲に聴こえる。
そのような曲を作った後藤が凄いのかもしれないが,私には工藤の歌をも自分の歌にしてしまう(ある意味,元から自分の歌だが)中島の凄さを感じる。
ごめんよ涙(2021.4.21)
平成元年,詞:松井五郎,曲:都志見隆,唄:田原俊彦
「最後に一度だけと 唇かみしめて」と始まる。
そんなことがある筈はないと思って何度も聴き直しても,自己中男の歌にしか聞こえない。
どう聞いても,別れて行く男の歌なのだが,「風をみつけた男は 夢を追いかけてく」と夢を追いかけるために別れるとしか思えない。「さみしさもわかるけど ひきとめず いかせてくれ」というのだから。その理由が「胸の夕日が赤いから」というのでから,何を勝手なことをと感じてしまう。
昭和の歌では相手に一方的に去られた歌は数多くあったが,相手に対して良かれと思って別れる場合以外,別れる理由をグダグダいう歌はあまりなかったように思う。例外は義理には勝てず別れるというものだ。別れる方からは,運命だから仕方ないという諦めが感じられる別れが多かったように感じる。
SUMMER GAME(2021.3.7)
平成元年,詞:氷室京介,曲:氷室京介,唄:氷室京介
「SUNRISE 罪な南風 甘い旋律(リズム)のランデブー」と始まるようだ。歌詞を見るとそう書いてある。しかし私の耳では何と言っているのか聞き取れない。以後も同様。歌詞を見ながら聞いていると,あっ今ここだと解る程度にしか聞き取れない。
聞き取れないだけでなく,詞を読んでも理解できない。使われている言葉が単語レベルでしか理解できず,単語と単語の関係が納得できないので全体が全く解らない。「YOU JUST STEAL MY HEART」というのが全体に関係しそうだということくらいしか解らない。
若い頃なら聞き取れたかも知れないし,聞き取れなくてもロックのリズムに身を任せるだけで心地よく感じたかも知れないのだが。
淋しい熱帯魚(2020.7.17)
平成元年,詞:及川眠子,曲:尾関昌也,唄:Wink
「Stop 星屑で髪を飾り」と始まる。
歌詞を読んでみると,「幻でもいい 逢いたいのに」「あなたは来ない」ということらしく,歌われている感情はよくあるもので,解らないものではない。しかし,いかにもバブル時代という感じのディスコ・サウンドにのった形で聴くと,聴いただけでは内容が入って来ない。私には歌詞の内容と曲が合っていないように感じられる。あちこちに英語が挿入されていることも解りにくい原因だろうが,曲と詞のアンバランスを解消するための仕掛けがこの英語かもしれない。この時代の若者は英語も日本語同様に理解できたのだろうか。
ところで,タイトルの読み方だが,JASRACには「さびしい」と登録されているが,作詞者は「さみしい」と言っているらしい。作詞者には「さびしい」を「寂しい」,「さみしい」を「淋しい」と書き分けるほどのこだわりがあるそうだから,作詞者の意図を尊重して「さみしい」とするべきだろう。
SOMEBODY’S NIGHT(2025.1.18)
平成元年,詞:売野雅勇,曲:矢沢永吉,唄:矢沢永吉
「偽名のサインが 切ない避暑地 せめても魂は 裸にしなよ Somebody’s Night…Sweet Lady」と始まる。
「愛してはいけないと 接吻で泣くひと」とか「毒薬の接吻で 俺を殺しなよ」とかあるが,私の日常からはかけ離れ過ぎて状況の理解が追い付かない。
矢沢の歌だから当然なのかもしれないが,この曲はロックに分類されているようだ。私がイメージするロックとは違う気がする。まあ,歌詞はロックのようだ。
さよならベイビー(2022.2.21)
平成元年,詞:桑田佳祐,曲:桑田佳祐,唄:サザンオールスターズ
「消えた夏灯り 戻れない乙女 恋におぼれた日々は Oh Oh」と始まる。
「互いに大事な 他人だときめてた」というのだから,最初から別れることはいうまでもないことだったようだ。「君だけが辛いわけじゃない」などとも言っているが,二人とも辛いなら別れなければいいんじゃないかと思うがそういうものではないのだろう。「泣い:たりしないで 大人になれない」というのは,大人というのは別れ際を綺麗にするものだということなのだろうか。
映画『彼女が水着にきがえたら』(原田知世,織田裕二)の主題歌。
Cherie(2024.9.8)
平成元年,詞:藤井郁弥,曲:鶴久政治,唄:チェッカーズ
「遠ざかる雨雲を 濡れたまま見詰めていたのさ 追い掛けて抱きしめたら 悲しみを今は繰り返す」と始まる。
「バスの窓を叩いた」とか、「走り出す硝子越し」などとあることから,バスでの別れなのだろう。別れの前に出会いがあったはずだが,その際「出会いが眩しすぎて 恋人はいないと嘘をついた」ようだ。これが別れの原因か。
それにしても,私には全体像がよく解らない歌。
尚、「Cherie」は「シェリー」と発音するようだ。
しょっぱい三日月の夜(2021.6.10)
平成元年,詞:長渕剛,曲:長渕剛,唄:長渕剛
「うおう!うおう!うおう!うおう!・・・」と始まる。
満月の夜なら狼男が吠えているのかと思ってしまう。
「逃れようとする この俺と 突っ走る俺が 憎みあいながら腹の底でひっくりかえってる」。三日月の夜なので狼男には変身できず,葛藤しているのだろうか。
「真面目に生きぬく事がなぜにバカバカしいんだろう」などということを考えるというところに昭和の残滓を見る。平成世代はこの「なぜに」という疑問を抱かないのではないか。
「あゝあたりまえの男に会いたくて しかめっ面したしょっぱい三日月の夜」ということだが,会いたいのは昭和の魂を持った男ではなかろうか。
白いクリスマス(2022.4.27)
平成元年,詞:宮田和弥,曲:森純太,唄:JUN SKY WALKER(S)
「寒い晴れた空は 君が遠くに見えた」と始まる。
「今日はクリスマス どしゃぶりの雨もそうさ」と何度も繰り返されるのでそうなのだろう。そんなに繰り返さなくても疑わない。そうすると最初の「寒い晴れた空」というのはいつのことだあろう。もちろん作詞者は解っているのだろうが,初めて聞く私には理解できない。どうもこれから別れるようなのだがなぜなのかは全く解らない。別れる相手のことにはまったく触れず,「今日はクリスマス」と繰り返すのは,相手のことよりクリスマスに一人ということのほうが大きな問題と考えているのではないか。
シングル・アゲイン(2021.3.29)
平成元年,詞:竹内まりや,曲:竹内まりや,唄:竹内まりや
「あなたを連れ去る あの女性(ひと)の影に 怯えて暮らした 日々はもう遠い」と始まる。
結局別れてしまったが,「また独りに帰ったと 風の便りに聞いて」「電話ぐらいくれてもいいのに」とまだ少しだけ心残りがある。
しかし再びよりを戻そうというわけではない。「手放した恋を今 あなたも悔やんでいるなら やっと本当のさよならできる」と複雑な感情が丁寧に描かれている。
シングル・アゲイン(2024.2.2)
平成元年,詞:竹内まりや,曲:竹内まりや,唄:竹内まりや
「あなたを連れ去る あの女性(ひと)の影に 怯えて暮らした 日々はもう遠い」と始ま
「離れてしまえば 薄れゆく記憶」などと言っているが,「また独りに返ったと 風の便りに聞いてから 忘れかけた想いが 胸の中でざわめく」「私と同じ痛みを あなたも感じてるなら 電話ぐらいくれてもいいのに」と忘れていないことが明らかだ。
この忘れられない想いも,最後の「手放した恋を今 あなたも悔やんでいるなら やっと本当のさよならできる」というフレーズで,そういうことなのかと初めて意味が解る。私などの想いはまだまだ浅いと思い知る。
日本テレビ『火曜サスペンス劇場』8代目(平成元年6月〜平成2年9月)主題歌。
17才(2023.3.25)
平成元年,詞:有馬三恵子,曲:筒美京平,唄:森高千里
「誰もいない海 二人の愛をたしかめたくて あなたの腕を すりぬけてみたの」と始まる。
昔?南沙織が唄った歌1)のカバー。歌自体は南の唄でおなじみのものだが,森高のミニスカートと脚の長さには驚いた。
1) 「17才」(昭和46年,詞:有馬三恵子,曲:筒美京平,唄:南沙織)
世界でいちばん熱い夏(2020.8.15)
平成元年,詞:富田京子,曲:奥井香,唄:プリンセス・プリンセス
「8月の風を 両手で抱きしめたら イマジネーション 飛び立つの サヴァンナへ」と始まる。
バブリーな時代でも,イマジネーションの世界に脱出するしか救済がえられなかったのだろうか。
「ふたりの夢の中で」だから行きたい所へ行け,「世界でいちばん おおきな太陽
世界でいちばん 熱く光る夏 世界でいちばん 愛してる」ということだから,リアルでも充実していて,だからこそハッピーな夢をみることができるのだろう。
この曲は昭和62年に発売されたEP盤セカンド・シングルだが,そのときは売れなかった。『Diamonds』のヒットを承け,新たにCDで販売してこのときはオリコン1位を獲得した。売れるか売れないかは紙一重の差と運なのだろう。
TIME ZONE(2020.10.30)
平成元年,詞:大津あきら,曲:MARKDAVIS,唄:男闘呼組
「胸に愛を刻むぜ WOW・・・IT’S TIME ZONE」と始まる。
詞が理解できないので,アイドルソングの一種なのだろう。
ファンなら内容に関係なく支持したか,理解できる人々がファンになったかだ。ファンは多数いたから,世の中が変わり,私がそれについていけていないのかもしれない。
太陽がいっぱい(2020.7.28)
平成元年,詞:大江千里,曲:大江千里,唄:光GENJI
「幾千分もの奇跡をこえて 巡りあった夢」と始まる。
詞を読むと,私はもう,20才以上年齢の異なる,このような若者とは世代が違うのだと感じる曲だが,フレーズの最後で音を跳ね上げるのは,私の親戚にもこのような唄い方をする者がいて,馴染がある歌い方だ。どんな歌でも,フレーズの最後を跳ね上げるのだ。久しぶりにこのような唄い方を聴くと懐かしくなる。
ところで「太陽がいっぱい」と聞くと,私などはアラン・ドロンを思い出すのだが,この曲にはあの映画1)を思い出させるものは全くない。世代の違いを感じる。
1)「太陽がいっぱい」:昭和35年の映画。フランス・イタリア合作。主演:アラン・ドロン。
Diamonds(2020.7.4)
平成元年,詞:中山加奈子,曲:奥居香,唄:プリンセス・プリンセス
「冷たい泉に 素足をひたして 見上げるスカイクレイパー」と始まる。
プリ・プリは昭和58年に活動開始。この曲は7枚目のシングルで,彼女達にとって初のオリコン一位獲得曲。成功した初の女性ロックバンドだとか。ロックを唄った女性はこれまでにも何人もいるだろう。わたしに強烈な印象を与えたのは,歌手ではないが野際陽子だ。彼女が唄った『非情のライセンス』は私が少し前に習ったロックのリズムそのものだった。もっとも,私はいまだにロックとは何かを理解していないのだが。
詞に「ブラウン管じゃわからない」とあるが,これから当時はブラウン管が主流だったことが判る。ディスプレイはその後液晶・プラズマ・有機ELなど各種新技術が出現した。
詞全体としては「いくつも恋して」とあるが,『一途な恋』こそ歌になるべきと考える私には,この歌詞はあまり心に入って来ない。ただ,繰り返される「ダイアモンドだね」は耳に残る。
1) 「非情のライセンス」(昭和43年,詞:佐藤純弥,曲:菊池俊輔,唄:野際陽子)
DIVE INTO YOUR BODY(2021.5.16)
平成元年,詞:小室みつ子,曲:小室哲哉,唄:TM NETWORK
「口づけ交わしてる ドアの陰の恋人たち」と始まる。
歌詞は単語レベルしか理解できない。単語間,フレーズ間などの関係が理解できない全体としても理解できない。例えば「踊る地上の熱帯魚」とか「真夜中に昇る太陽」とは何かなど,何を表しているのだろう。「エレファントの歌」とは何か,「ゼブラが夜空に飛ぶ」など,何のことかさっぱりわからない。
タイトルの「DIVE INTO YOUR BODY」からして何のことか解らないので,私なんぞが解ろうとするのが無理なのだろう。別世界の歌だ。
地球をさがして(2020.9.20)
平成元年,詞:吉沢久美子,曲:都志見隆,唄:光GENJI
「信じておくれ 冥王星の 闇の中から」と始まる。
テレビなどでは「大きく広げた手のひらに」から始めている。
「地球の軌道を確かめに とんできたよ」なととあるがサイエンティフィックなところは感じられず,ファンタジーの一種なのだろう。最後は「地球をさがして WE'RE STANDING ON THE EARTH」と終わるのだが,地球とEARTHが別のものなのか,今どこにいるのかなど具体的には不明な点が多い。
歌詞を聴くための歌ではなく,ステージパフォーマンスを観るための歌だと思えば,意味はよく解らなくとも「愛のために」という言葉を入れて雰囲気を盛り上げておけばいいというのだろう。
Dear Friends(2025.6.9)
平成元年,詞:JILL,曲:渡邉貢,唄:PERSONZ
「Ah どれだけ 涙流しても 傷ついた心 いやせやしない」とはじまる。
「Ah どんなに 悪い夢見ても そばにいていつも 待っててくれる Ah いつでも そんな仲間たち」という感じの歌。
TBS系ドラマ『ママハハ・ブギ』(浅野温子,織田裕二ほか)主題歌。
当時は歌を聴く時間的余裕もなかったので聴いていない。今聴いてみての感想は,私が歳をとりすぎたということだ。
TRUE LOVE(2023.8.12)
平成元年,詞:吉元由美,曲:井上ヨシマサ,唄:浅香唯
「愛と同じだけの淋しさがあるのね Stardust逢いたくても逢えない想いは 長い夜さまよう」と始まる。
「そっと瞳(め)を閉じて夢へ連れてって 星の草原で涙よりも出逢えた 幸せを生きてゆくの」。オジさんには何のことかわからないが,まあ幸せそうではある。
最後は「True Love そうよ信じてる 愛は奇跡なのと」と終わるので,論理的には説明できない奇跡だというのだろう。
アイドルソングのようだから歌詞の解り難い点については目をつぶろう。
ともだち(2021.10.29)
平成元年,詞:中村あゆみ,曲:中村あゆみ,唄:中村あゆみ
「青空に描いた ビジョンを抱きしめ 学校の中じゃ 笑っているけど」と始まる。
「秘密や悩みも 言える様なパートナーほしいから」というのは珍しくない希望だが,「捕まえるのさ きっと本当の友達」とまで思い込む者となると少し減るだろう。「本当の友達」が何を指しているかやや不明だが,私の感覚では「本当の友達」は「捕まえる」ものではなく,仲間の中から友達は自然に生まれるのではないだろうか。
「秘密や悩み」が話せるなどと自分に都合のよいことを考えるのではなく,相手の話を聞いてどのように対応できるかということを考えるべきだろう。
トラブルメーカー(2023.7.8)
平成元年,詞:南野陽子,曲:輝度泰弘,唄:南野陽子
「TVに映った 海のリゾート 一人旅したいと 訊ねてみた」と始まる。
「行ってもいいよ」でも「行っちゃダメだよ」でも「どんな答えでも今はダメなのよ ただのわがまま 私はトラブルメーカー?」ということでタイトルになっているようだ。
「ほら怒るかしら 笑うかしら 試す私最低かしら 本気じゃないのよ 心配させたいの あなたを…」
アイドルソングなので内容は重要ではないかもしれないが,相手を試すというのはほどほどにしておかないといけない。
ドリームラッシュ(2021.8.4)
平成元年,詞:川村真澄,曲:小室哲哉,唄:宮沢りえ
「きらめくレールを照らしてwow wow wow」と始まる。
「今だけ 今のために 二人はいるはずだから」などと勝手な思いを垂れ流し,更に「今だけ 今のために 生まれてきたはずだから」とエスカレートする。カップルのはずだが,一人の想いしか聞こえてこないのが少し気になるが,幸せ気分に浸っているようだから,まあ,勝手にやってくれ。
曲はリズムがしっかりしており私の様なリズム音痴でもリズムを外すことはなさそうだが,この曲で踊るとなるとややテンポが速く,私には身体がついていかない。
涙はどこへいったの(2023.1.16)
平成元年,詞:康珍化,曲:柴矢俊彦,唄:南野陽子
「君の胸の悲しみ それは 僕の悲しみ 優しく響く声を 今も覚えてる」と始まる。
「出逢ったあの頃より ぎこちないのね さよなら ささやく時は」と破局のようだ。
「もう帰れない二人は 恋人にも 友達にも」と分っているようだ。それでも「愛よはやく ここまで来て」と終わるのはアイドル・シングらしい。
涙をみせないで〜Boys Don’t Cry〜(2020.9.7)
平成元年,詞:Matjaz Kosi/及川眠子,曲:Matjaz Kosi,唄:Wink
「You 揺れるジュエルな星空に」と始まる。
私には理解できない詞の歌。
歌詞中に何度も「Boys don’t cry」と出てくるが,これはboysに泣かないで,即ちタイトルの「涙を見せないで」と呼びかけているのだろう。しかし「こんなにも好きなのに 好きよ」と呼びかけているのは誰に対してなのだろうか。呼びかけられているのだろうboyが泣いているのは何故なのか。boysのsは複数のsではないかと思うのだが,複数人に同時に呼びかけているのだろうか。
恐らくどこかに私の誤解があるのだろうが,この世代の歌は解らない歌が多い。
虹をみたかい(2024.3.8)
平成元年,詞:渡辺美里,曲:岡村靖幸,唄:渡辺美里
「はじめての taste of kiss 急に風が 止まった 肩越しに 君は あの虹を みたかい」と始まる。
渡辺のいう「虹」の意味が感じ取れない時点で私にはこの歌を聴く資格はないのだろう。
意味を聞き取ろうとせずに,唄声も楽器の一種だと思って聞けば悪くない曲。
NEVERLAND(2024.10.17)
平成元年,詞:麻生圭子,曲:NOBODY,唄:浅香唯
「人は愛に助けられ生きてるのさ一人じゃない」と始まる。これは「あなたの言葉」だ。
「傷ついた夜明けは 大事なことみえてくるね」「涙の先につづく 理想の国 見つけるわ あなたの愛信じて」。この理想の国が「NEVERLAND」のようだ。この国がピーター・パンが住んでいた国なのかどうかは私は知らない。
東宝映画『YAWARA!』(浅香唯,小林桂樹,菅原文太ほか)主題歌。映画の原作は浦沢直樹がビッグコミックスピリッツに玲奈以していた漫画。この漫画以降,女子の柔道競技者が増えた。
Virgin Eyes(2022.1.1)
平成元年,詞:吉元由美,曲:杏里,唄:中山美穂
「Touch me ありったけの笑顔で Side seat 滑り込むの」と始まる。
「あなたに逢うまでは週末の不良たち」とあるが,自分がそうだったということだろう。
「肩で風切っていた もう卒業だわ」と続く。
「恋はステキなRevue連れて」とはどういうことだろう。よく解らないところは聞き流し,次の「私変えてゆく こんな気持ちを愛と呼ぶの?」へと続くがこれはまだ愛ではなく恋の範囲内だろう。「ずっとI’m in your eyes!」というのはダ洒落だろう。(日本語と英語なのでこれに合わせてカタカナと漢字で表現してみた。)
詞は燃え上がりつつある恋の詞で,曲は平成っぽいダンスミュージックだ。
東宝配給の映画『どっちにするの。』の主題歌。この映画の原作は赤川次郎の『女社長に完敗!』。映画の主演は中山美穂だが,宮沢りえがこの映画で第2回日刊スポーツ映画大賞新人賞を受賞している。
瞳がほほえむから
平成元年,詞:岩里祐穂,曲:上田知華,唄:今井美樹
「ねえ この世に生まれて最初の朝に何が見えたの? 今 その輝きであなただけを見つめている」と始まる。
「一面に咲いた菜の花の色 ほら拍手のように揺れてる」とまさに昭和のイメージだ。私が子供の頃,一面の菜の花畑はごく身近にあったが最近では特別な場所に行かなければ菜の花畑など見ることはできない。
「ねえ 憶えてますか めぐり逢いはいたずらだよね」などのフレーズの後,最後は「うれしい あなただけが私だけをさがしていた 見つめて ふたつの瞳に言葉はいらないの ほら 瞳に映るあなたが今ほほえむから…」と終わる。
日本テレビ系『水曜グランドロマン』主題歌。
BE MY BABY(2022.10.18)
平成元年,詞:吉川晃司,曲:布袋寅泰,唄:COMPLEX
「BE MY BABY」が何度も繰り返される。
私でも解りそうな歌詞は「愛しているのさ 狂おしいほど 会えない時間が 教えてくれたよ」と始まる。
スローな曲だが吉川と布袋の雰囲気がロックだから,曲もロックなのだろう。「瞳を閉じれば いつも君がいる」という歌詞があるが,このころすでに『瞳を閉じる』という表現があるようだ。自由に開閉できるのは瞼だと思うのだが,誰が最初に瞳を自由に開閉しようとしたのだろう。
歌自体は「俺をゆるしてよ」という歌詞があるので何かそのようなことをしたのだろう。その上で「君がすべてさ」などというのはご都合主義だと感じるが,もともとロックは自己中心的なものかもしれない。
関西テレビ・フジテレビ系のバラエティ『R-1ぐらんぷり』のテーマソング。
FUNK FUJIYAMA(2023.10.21)
平成元年,詞:米米CLUB,曲:米米CLUB,唄:米米CLUB
「ワタシハ NIHON ハジメテデス GINZA トッテモ さんデスGOOD!」と始まる。
「えーびばでぃ SAMURAI SUSHI GEISHA! びゆーていほー FUJIYAMA HA!HA!HA!」という歌。
コロナが蔓延する前,平成31年(令和元年)の訪日外国人数は3,188万人あまりだが,平成元年の訪日外国人数は283万人,初めて東京オリンピックが開催された昭和39年は35万人あまりだった。現代ではこのように来日経験のある外国人数は桁違いに増加している。また,以前にはなかったSNS等で紹介されることも多くなったので,FUJIYAMA GEISHAだけが日本のイメージではなくなったと信じたいが,私自身が外国についてどれだけ知っているかを考えると,外国人が日本のことを知らないのは無理のないことだ。
当時はバブルの頃だから,日本の物価も高かっただろう。どういう人が日本にやってきたのだろうか。この歌ではわざとコミカルな歌詞にしているのだろうが,このような一面もあったに違いない。
まいったネ今夜(2023.2.20)
平成元年,詞:宮下智,曲:宮下智,唄:少年隊
「銀色のリムジンに 君はすいこまれて サヨウナラと僕に 別れの手を振った」と始まる。
「Ah 夜更けのダンステリアで レイザリアム浴びながら」などと私の知らない世界の話だ。
「ダンステリア」1)は昭和末期の言葉ではないかと思うが,よく知らない。私でも知っているほど有名な踊れる場所は『ダンス・ホール』や『ディスコ』だろうか。私が十代の頃には一時『ゴーゴー喫茶』が流行った。テナーサックスが印象的なムード歌謡には『クラブ』がしばしば登場していた。
「レイザリアム」はレーザを使った光のショーらしい。これは,物は知ってはいたが名前は知らなかった。
リムジンなどの登場もバブル期の雰囲気が現れているが,バブルとはほとんど無関係な生活をしていた私にはこの歌の世界は全く別世界だ。
1) 「ハイ・スクールはダンステリア」:昭和59年(?),シンディ・ローバーの ”Girls Just Want to Have Fun” が日本で発売されたときの邦題。この邦題は原題にも内容にも一致しないということで,後に原題をカタカナ表記して再発売された
MISTY〜微妙に〜(2021.11.29)
平成元年,詞:松井五郎,曲:氷室京介、唄:氷室京介
「薔薇のシルエット デリカシー 盗みたくなる瞳(め)が俺を見る」と始まる。
「戸惑いなど忘れてくれ」とか「胸のKeyをはずしてくれ」とか,クサい口説き文句だ。まあこういう言葉が好きな者もいるだろうが。
ところで,歌詞のKeyはLockの誤りではないのだろうか。ひょっとしたら,日本語でも鍵と錠の区別がついていないのではないか。開錠するときに使うのが鍵だ。施錠するときは鍵が不要な錠もいろいろある。
麦畑(2021.2.14)
平成元年,詞:榎戸若子・上田長政,曲:榎戸若子・上田長政,唄:オヨネーズ
「俺らと一緒に暮らすのは およね おめえだと ずーと前から決めていた 嫁っこさ来ておくれ」と始まる。
急なプロポーズにも,およねは「俺も前から松っあんを 好きだと思ってた」と返す。
「俺ら本当にハッピー 俺らも本当にハッピー 愛の花咲く 麦畑」と終わる。
具体的な地方は不明だが,田舎風の言葉づかい。言葉のせいでコミカルに感じるかもしれないが,内容は真面目?なハッピー・デュエット・ソングだ。
ムーンライトダンス(2023.6.4)
平成元年,詞:渡辺美里,曲:小室哲哉,唄:渡辺美里
「ラジオから流れてくる あの Old Fashioned Love Song たとえ5年たっても 10年たっても 君のとなりにいたい」と始まる。
いくつかのフレーズは絵をみるように解り易い。しかしフレーズ間は次々と違う絵を見せられるようで,関係がよく解らない。恐らく想い出なのだろう。
最後は「あの夏の日の輝きは どこへいってしまったの 悲しむだけが 恋じゃない もう 泣かずに 歩けるように」と終わる。何となく自分だけ解っている想い出を取りとめもなく並べたようで「ムーンライトダンス」がどのような位置を占めるのかも私には理解できない。また「もう 泣かずに 歩けるように」も他のフレーズとどのような関係にあるのかが理解できない。昭和に近いのだが,平成の歌だ。
勇気のしるし〜リゲインのテーマ〜(2021.1.5)
平成元年,詞:黒田秀樹,曲:近藤達郎,唄:牛若丸三郎太
「黄色と黒は勇気のしるし 24時間戦えますか」と始まる。
栄養ドリンクのCMソング。牛若丸三郎太は時任三郎の変名。
「ビジネスマン ビジネスマン ジャパニーズ ビジネスマン」と終わる。
バブル絶頂期の歌と言うべきか。
モーレツ・サラリーマンは昭和44年の小川ローザの石油のCM『Oh! モーレツ』の頃が最盛期で,昭和45年の『モーレツからビューティフルへ』という複写機のCMで終わったように思っていたが,なんのことはない,昭和の間中モーレツ・サラリーマンは生き延びていたのだ。
LIAR(2021.9.29)
平成元年,詞:白峰美津子,曲:和泉一弥,唄:中森明菜
「Platinaの 月明かり こんな切なさを 夜更けのせいだと 思ってた」とはじまる。(2021.9.28)
中森に低音域の多いこのような歌を唄わせないほうがいいのではないかと思うのだが。
詞は昭和の残滓を感じるのでやや解り易いように思う。タイトルが日本語でないのは気に入らない。
「ただ泣けばいいと 思う女と 貴方には見られたくないわ」というのは平成なのかもしれない。昭和なら,涙は女の最強の武器で,これをいかに使いこなすかに腐心したのではないか。そんな武器は使いたくないというのだろう。
しかし,涙が女の武器だった時代は昭和35〜45年位ではなかろうかという気もする。昔は女の涙は単に無視されるだけだったから無駄に泣くこともなかったのだろう。男女平等が叫ばれ,女性を泣かせることは許せないという社会圧力があった時代には女の涙が有効な武器だったが,ウィミンズ・リブで実際に強くなったから,涙に頼ること必要もなくなったということだろう。
ウィミンズ・リブ運動よりも後に,涙?を武器として嘘泣き○○子と有名だったアイドルもいたが。
Lambada(2023.5.1)
平成元年,詞:BRAZ VIEIRA LOALVA,曲:BRAZ VIEIRA LOALVA,唄:KAOMA
「Chorando se foi Quem um dia so me fez chorar」と始まる。
南米から新しく入って来たダンス音楽。
男女ペアで踊るこのダンスがあまりにもエロチックであるため,当時,ランバダを踊ることが禁じられていたディスコもあったとか。しかし,南米ではエロでも何でもなく,南米文化に無知な下種の勘繰りなのだそうだ。異文化が出会う際にはいろんなことがある。
リゾ・ラバ-resort lovers-(2020.12.19)
平成元年,詞:サンプラザ中野,曲:Newファンキー末吉,唄:爆風スランプ
「全部嘘さ そんなもんさ 夏の恋はまぼろし」と始まる。
「南風に誘われて 浜辺で君に出逢った」その後いろいろあったが「全部嘘さ そんなもんさ」となる。
次は「ゲレンデで君をみつけた」このときもいろいろあったが「全部嘘さ そんなもんさ 冬の恋はまぼろし」となる。
その次は「街で みかけたけど 声は かけなかったよ」となる。
まとめは「夏の恋はまぼろし」「夏の女は ひやかし」であり,「冬の恋はまぼろし」「冬の女は まやかし」だ。
バブルの頃はリゾート地での遊びも派手だっただろうと,バブルに取り残された者としては想像するだけだ。
Return to Myself(2020.10.2)
平成元年,詞:浜田麻里,曲:大槻啓之,唄:浜田麻里
「Return to myself all is a message for me」と始まる。
ロックだということは解る。ロックにもいろんなジャンルがあるようだが,私には区別できない。昭和末期から女性のややハードなロックシンガーが増えて来ていたようだが,平成になり,従来の歌謡曲の人気が落ちると共に,相対的に人気が急上昇したようだ。
全部英語で歌っているのではないかと思うほど歌詞は聞き取れない。私の耳のせいなのだろう。そこで歌詞を読んでみると斬新だ。
「心まで着がえずに愛されたなら」ということに気づき,「心染めなおし しない」恋こそが自分らしい恋だと気づく。
何世代にもわたり,女性は婚家の色に染まるよう教育されてきた。昭和の時代でも『あなた好みの 女になりたい』1)と歌っていた。それが平成になり,自分のありのままを主張しようとする女性が現れたのだ。
1) 「恋の奴隷」(昭和44年,詞:なかにし礼,曲:鈴木邦彦,唄:奥村チヨ)
Room(2022.8.10)
平成元年,詞:藤井郁弥,曲:鶴久政治,唄:チェッカーズ
「君が窓辺に 挿した薔薇を もうどれくらい 眺めてたのか」と始まる。
「花は色褪せ 二度と愛はもどらないことをしったよ」と続く。別れた後の歌だ。
「俯いたまま そっと鍵を 差し出した時 動けなかった」とあるがこのように別れを告げる方法もあるのだ。勉強になる。
「何も告げずに出てゆくつもりさ」とあるが,相手は既に鍵を残して出て行ってしまったのではないのか。「出てゆくつもり」なのが自分なら,何かを告げようにも相手はいないだろう,部屋の荷物はどうするのだろうなどと思ってしまうが,本人はそんなことを考える余裕もないのだろう。
「初めて悲しみ知ったよ Heart Break Room」と終わる。
ROCKIN’ MY SOUL (2022.5.31)
平成元年,詞:大津あきら,曲:Mark Davis,唄:男闘呼組
「誰も探してるぜ 魂をかけて燃やせる何かを」と始まる。
もちろん,この「何か」が解らないから「探して」いるのだろう。「闘いながら 駆け抜けていけばいいのさ 終わりはしない夢のために」とあるが,具体的な「夢」があるのなら「探して」いる「何か」は既に見つかっているはずだが,見つかっていないのだろう。そのような抽象的な「夢」のために,「READY TO FIGHT 見えない全てに」などと言っているようだが,切実さが全く感じられない。
ROSE COLOR(2021.8.31)
平成元年,詞:康珍化,曲:CINDY,唄:中山美穂
「素肌の狩人が 目覚める 腕の中で」と始まる。
「わたしをバラにして あなたの掌で」のほか何度も「バラ」が登場する。「バラ」でない箇所には「綺麗な花にして」とある。ということで意味は解り易いと思ったのだが,聞き取れない英語部分の歌詞を見ると「Rose Color Shinin’ Bright For Me」とある。日本語の部分ではバラになりたいのは自分なんだろうと解釈していたのだが「For Me」はどのような意味なのだろうか。
One Night in Heaven〜真夜中のエンジェル〜(2022.9.13)
平成元年,詞:松本隆,曲:スティーブ・リロー二(ドイツ語版),ダン・ナヴァ―ロ(英語版),唄:Wink
「都会(まち)はシャンデリア 光の硝子細工 禁じられた恋を飾ってくれる」と始まる。
「翼なくした 天使の夜」とあるが,どういう意味だろう。「禁じられた恋」と関係があるのだろうか。
「未来なんて 欲しくないの」「今一瞬が 宝石なの」ともあり,刹那的な恋の歌なのだろうか。「Heaven」とはどういう場所と松本は認識しているのだろう。
なお,この歌にも「瞳を閉じて」と出てくるが,瞳は明るさに応じて自動的に開閉し,自分の意志では制御できない。自分の意志で開閉できるのは瞼だ。
会いたい(2021.2.13)
平成2年,詞:沢ちひろ,曲:財津和夫,唄:沢田知可子
「ビルが見える教室で ふたりは机 並べて 同じ月日を過ごした」と始まる。
それが,突然「あなた 夢のように 死んでしまったの」となるが,信じられないようだ。いろんなことを思い出し,「約束したじゃない あなた 約束したじゃない 会いたい・・・」と歌は終わるが,心の区切りはとてもつきそうにない。
愛は勝つ(2020.9.19)
平成2年,詞;KAN,曲;KAN,唄:KAN
「心配ないからね 君の想いが 誰かにとどく 明日がきっとある」と始まる。
「どんなに困難で くじけそうでも 信じることを決してやめないで」と人生の応援歌だ。若干宗教的匂いがしないでもないが。
「必ず最後に愛は勝つ」というメッセージが強く伝わって来る。平成の名曲のひとつだろう。
昭和以前ならば『正義は勝つ』が主流だったとは思うが現実には正義が勝てない場合も少なくなかった。平成では愛が勝てたのだろうか。
悪の華(2024.6.19)
平成2年,詞:桜井敦司,曲:今井寿,唄:BUCK-TICK
「遊びはここで 終わりにしようぜ 息の根止めて Braking down その手を貸せよ 全て捨てるのさ 狂ったピエロ Bad Blood」と始まる。
私にはよく理解できない詞。「夢見たはずが ブザマを見るのさ」,「熱くキラメク ナイフ 胸に抱きしめ」,「Lonely nights 凍える夜に叫び続ける 狂いだせ Blind-Blue-Boy」などの詞から,現状に満足していないということは解るのだが。
曲は聞き馴染みのある比較的ソフトなロックだ。
あー夏休み(2023.12.29)
平成2年,詞:前田亘輝,曲:春畑道哉・前田亘輝,唄:チューブ
「湘南で見た 葦簀(よしず)の君は 誰かれ振り向く切れ込み feel so Good!」と始まる。
「夏の少女 一度お願いしたいね I love you 連発する渚のオオカミboy」。いかにも私がイメージする平成boyだ。昭和boyにもこういうのはいたかもしれないが,昭和の場合にはプチブル1)以上の避暑地での出来事のイメージであるのに対し,平成では庶民にまで広がっているイメージがある。
「あー夏休み」と叫ぶ箇所はいかにも日頃の種々の制約から解放された夏休みという雰囲気がよく出ている。
1) 「プチブル」:昭和40年代に流行した学生運動用語。プチ・ブルジョワ。ここでは学生運動家がこの語に込めた意味とは無関係に,単に避暑に行くような小金持ち以上という意味で使っている。
Easy Some, Easy Go! (2022.4.26)
平成2年,詞:稲葉浩志,曲:松本孝弘,唄:B’z
「さよなら言われた後で もう振り向かない 別れにすがって生きる 女にはなれない」と始まる。
「別れにすがって生きる」からどういう意味か解らない。そもそもこの詞の主体は男なのか女なのか。男性の視点で複数の女性が歌われているようにも感じるが,人物の書き分けが不明瞭でよく解らない。
「踊ろよLADY」と何度か出てくるが,結局それだけのように感じる。「幸も不幸もEASY COME, EAASY GO!」とお気楽そうだが。
今すぐKiss Me (2020.7.27)
平成2年,詞:朝野深雪,曲:平川達也,唄:LINDBERG
「歩道橋の上から 見かけた皮ジャンに 息切らし駆け寄った」と始まる。
何度も「ドキドキすること やめられない」と出てくるが,敢えてドキドキすることをしているという意味と,ドキドキが止まらないという両方の意味があるのだろう。
ドキドキ感は解らなくもないが,ドキドキの状況は4半世紀前とは大分変わっているようで,この歌の状況は理解できない。
WEEK END(2022.8.9)
平成2年,詞:YOSHIKI,曲:YOSHIKI,唄:X
「I hear a knock on the door 激しくせまる 失いかけた意識のなかで」と始まる。
続く歌詞は世の中に背を向けているような印象だ。このような曲はかなり好みが別れるのではないか。
この曲のようなヘビメタ系は歌謡曲とはかなり距離があり,レッド・ツエッペリンなどが歌謡曲と一緒に論じられることはなかったが,昭和末期から歌謡曲が落ち目になり,J-POPの勢力が強くなり,ハードロックでも何でも日本発ならJ-POPの一部に抱え込むようになったらしい。
WON’T BE LONG(2021.3.28)
平成2年,詞:Bro. KORN,曲:Bro. KORN,唄:バブルガム・ブラザーズ
「OLY OLY OLY OH! YELY YELY YELY YEAH!!」と始まる。しばらくこの掛け声のようなフレーズが繰り返された後「たりない頭なら 知恵を盗みゃいい」と続く。その先がよくわからないのだが,「もうすぐさ 笑えるのは」というメッセージは伝わって来る。
歌詞よく解らないが,曲は単調というか,繰り返しが多いので聴くのに緊張を強いられず,気楽に聴くことができる。
WON’T BE LONG(2023.1.15)
平成2年,詞:Bro.KORN,曲:Bro.KORN,唄:バブルガム・ブラザーズ
「OLY OLY OLY OH! YELY YELY YELY YEAH!! THE UP, TOWN TOKIO, SLAMIN’ NIGHT!!」と始まる。
「たりない頭なら 知恵を盗みゃいい ちょうじり合わすなら うそも必要さ」などの歌詞もあるが,全体の意味が理解できない。「もうすぐさ どどくまで」とか「もうすぐさ 笑えるのは」などというのも解りそうだが解らない。重要なフレーズは「おまえのために すべて」なのだろうが,「おまえ」がどんな人物なのか(ひょっとしたら人ではないのかもしれないが)すら全く不明で,消化できない歌だ。
笑顔の行方(2021.1.4)
平成2年,詞:吉田美和,曲;中村正人,唄:DREAMS COME TRUE
「卒業アルバムの 最初の春のページ 無邪気に笑う私がいる」と始まる。
聴こえないわけではないのだが,作詞者と思考パターンが違うのだろう,詞が頭に入って来ない。
何度か聴いていると内容が解るような気がしてくる。
どうもイントロ部では,以前は無邪気だったと言いたいようだ。それが今では「手を伸ばす勇気」があると言いたいようだ。「ベクトルの行方は あなただけに向かっている」とあり,全体の構成が解るとこの意味も解る。「たった一言がいつも言えなくて」というのも,どんな一言なのかは明示されていないが,今なら「きっと言える きっと届く」と思える。「今ならもっと」「素直に笑える」ということなのだろう。
詞を読めばそう書いてあるではないかと言う人も居るだろう。しかし,私にはそう聞こえなかったのだ。恐らく,言葉の配置が私の予想と違っているからなのだろう。私の対応力が鈍っているのだ。
OH YEAH! (2020.8.25)
平成2年,詞:中山加奈子,曲:奥井香,唄:PRINCESS PRINCESS
「眠れない夜が続き ウロウロとオリの中」と始まる。
やはり若者向けの歌というしかない。今の私にはもちろん,当時の私にもついて行けない。10代の私だったら曲としては好んで聴くこともあっただろう。しかし,詞は10代の私でも理解・共感できない。年齢差よりも時代差なのだろう。
ロックが嫌いという訳ではないのでこの曲が流れていれば身体はリズムに反応するだろう。
小樽運河(2024.4.11)
平成2年,詞:吉岡治,曲:弦哲也,唄:都はるみ
「精進おとしの 酒をのみ 別の生き方 あったねと… 四十路半ばの 秋が逝き セピア色した 雨が降る」と始まる。
作詞・作曲・歌手からはどう見ても演歌なのだが典型的演歌とはやや雰囲気が異なる。まあ出だしは演歌ととしても全く違和感なしだが。
最初に「イエスタデイを聴きながら」と出てきたときには当然ビートルズの曲を思い浮かべている。ところが次は「イエスタデイを抱きしめて」とくる。これは文脈からは『昨日』あるいは近い過去のようだ。そして最後に「イエスタデイをもう一度」とくるともうカーペンターズの曲しか思い浮かばず,演歌とは程遠くなってしまう。
踊るポンポコリン(2020.7.16)
平成2年,詞:さくらももこ/亜蘭知子,曲:織田哲郎,唄:B.B.クィーンズ
「なんでもかんでもみんな おどりをおどっているよ」と始まる。
「エジソンは えらい人」など,この歌の中でとどんな役割があるのかわからないが,わからないうちに「ピーヒャラ ピーヒャラ」と終わっていく。バブリーな時代を象徴するような歌だが,数多くの賞を受賞している。
テレビアニメ『ちびまる子ちゃん』のエンディングテーマ。長期間使われているのでオープニングテーマとして使用されている場合もある。
ギンギラパラダイス(2021.8.3)
平成2年,詞:長戸大幸,曲:織田哲郎,唄:B.B.クイーンズ
「やって来ました あこがれの Seaside 冬だと思えば 暖かいけど 夏だとおもえば 暑いだけ」と始まる。
「今頃 日本は 雪の中」というのだから外国なのだろう。「焦げつく素肌に Ocean View」とか「風が止まれば サウナ風呂」「焦げつく素肌 大ヤケド」とか,いかにも暑そうだ。
遊びならば暑くてもいいだろうが,仕事なら暑いのは大変だ。「ギンギラ」は暑いことを表しているのだろうし,「パラダイス」というと仕事よりは遊びだろう。楽しんでくれ。
くちびるから媚薬(2020.10.14)
平成2年,詞:松井五郎,曲:後藤次利,唄:工藤静香
「ちょっと待ってよ ねえ なんて言ったの いま」と始まる。
軽快なメロディーだ。工藤に軽快なメロディーが似合うかどうかは疑問だと思うが,この曲はよく合っている。歌詞も良く聞き取れるのだが,全体として何が言いたいか解らない。作詞者の思考の流れが,私が持っているいくつかの思考の流れのパターンのどれとも合致しないからだろう。歌詞を読んでも理解できないが,その理由は各フレーズの主語が自分なのか相手なのかが私にはすぐに判断できないからではないかと感じる。
恋唄綴り(2021.1.23)
平成2年,詞:荒木とよひさ,曲:堀内孝雄,唄:堀内孝雄
「涙まじりの 恋唄は 胸の痛さか 思い出か」と始まる。
平成には珍しい定型詩だ。作られるのが珍しい訳ではなく,ヒット曲になるのが珍しいだけで,荒木にとってみれば,普通に書いただけなのだろう。
堀内はアリス時代にも演歌テイストに近い歌1)なども書いていたが,ソロになってからはニューアダルトミュージック路線などとより演歌テイストに近づいたようだ。
ところで,私はいろんな歌の歌詞に文句をつけていることを自覚しているが,この歌では歌詞に対する文句はない。歌詞が予定調和の範囲にあることとと,メロディーに違和感がないので曲の途中で引っかかることがないからだろう。
1) 「秋止符」(昭和54年,詞:谷村新司,曲:堀内孝雄,唄;アリス)
恋しくて(2024.7.24)
平成2年,詞:BEGIN,曲:BEGIN,唄:BEGIN
「恋しくて泣きだした 日々などもう 忘れたの 今さらは 戻れない キズつけあった日々がながすぎたの」と始まる。
「かわす言葉 ゆきづまりのウソ 好きなら好きと Say again 言えばよかった」と後悔しても遅いことは昭和人間なら知っていた。
曲は聞き馴染みがないが,歌詞には「切なくて 悲しくて 恋しくて 泣きたくなる そんな夜は OH ブルース OHブルース」とあるのでブルースなのかという気もする。昔,社交ダンスの入門講習で最初に教えられるのがブルースだったが,この曲で踊るのは初心者には難しそうだ。念のためWikipediaを煮たらJ-POPとあった。どうもほとんどの和製の歌がJ-POPに分類されているようだ。
TBS系ドラマ『新金色夜叉 百年の恋』(石橋保,横山めぐみ)主題歌。
荒野のメガロポリス(2023.3.24)
平成2年,詞:飛鳥涼,曲:飛鳥涼,唄:光GENJI
「青い空が 消えて行く 寒い寒い 夢の中」と始まる。
「赤い羽根の 馬が飛ぶ」などと出てくると私にはもう理解できない。解らないフレーズが多いだけでなく,フレーズ間の関係も理解できない。要するに私には理解できない歌。いろんなヒットチャートで上位を獲得しているようなので,私が時代についていけなくなったということなのだろう。
頭が固くなり,浸み込んだ固定概念に反することは受け付けなくなる。これが老いるということなのだろうか。
告白(2024.3.7)
平成2年,詞:竹内まりや,曲:竹内まりや,唄:竹内まりや
「Why? 寝付かれぬ夜 鳴り響く電話のベル Sigh… 虚ろな耳に 懐かしい貴方の声」と始まる。
どうも元彼から電話のようだ。「違う道を選んだあなたに 今ごろ愛打ち明けられても 引き返せないと知ってるから この暮らし壊さないで」とは言ったが「受話器置いて せつなさに泣き崩れた 女心はいつも言葉と 裏はらな企みかくしてる どんない遅すぎても告白 待ちわびて生きているの」と歌詞中の説明が詳しく,私のような鈍い者にも状況がよく解る。
「Ah,失ったあとで 真実に気付くのは何故」とあるが,これは古来よくあることで仕方がない。経験した後では既に遅く,経験に学ぶことができないからだ。
日本テレビ系『火曜サスペンス劇場』の9代目主題歌。
CO CO RO(2025.3.8)
平成2年,詞:森浩美,曲:馬飼野康二,唄:光GENJI
「信じてない 信じている だけどいつか Wake Up, Baby」と始まる。
「CO CO RO だけは裸になれ すべてを見せればいいのさ カンジながら 磨きながら HEARTの奥までも…」などと言っているが,自分は心の全てを見せているのだろうか。自己中心的な歌詞が明確にあるわけではないが,何となく自己中心的な雰囲気を感じる。平成の歌にはこのような歌が多いような気がする。
心の旅(2024.5.16)
平成2年,詞:財津和夫,曲:財津和夫,唄:吉田栄作
「あーだから今夜だけは 君をだいていたい あー明日の今頃は 僕は汽車の中」と始まる。
「旅立つ僕の心を 知っていたのか 遠く離れてしまえば 愛は終わるといった」。そう,昔は遠距離恋愛は破局の元だった。交通は不便,電話代も高価,通信手段は郵便だけだから日が経てば次第に関係が薄れる。
「いつもいつも時でも 僕は忘れはしない 愛の終りがあって 心の旅がはじまる」というしかなかった時代だ。
昭和48年にチューリップが唄った歌のカバー。
壊れかけのRadio(2021.6.9)
平成2年,詞:徳永英明,曲:徳永英明,唄:徳永英明
「何も聞こえない 何も聞かせてくれない」と始まる。「ベッドに置いていた 初めて買った黒いラジオ」のことなのだろう。
「思春期に少年から 大人に変わる 道を探していた 汚れもないままに」とあり,何となく少年は汚れが無いことが自明のようなフレーズだが,汚れが無いかどうかは人によるのであって年齢によるわけではない。
ともあれ,以前は「ラジオは知っていた 僕の心をノックした」のに最近は「何も聞こえない」のだ。「本当の幸せ教えてよ 壊れかけのRadio」と終わる。
「本当の幸せ」などというものを探しているということはまだ若いということかも知れない。
TBS系列の金曜ドラマ『都会の森』のオープニングテーマ。
サイレント・イヴ(2021.3.6)
平成2年,詞:辛島美登里,曲:辛島美登里,唄:辛島美登里
「真白な粉雪 人は立ち止まり 心が求める場所を思いだすの」と始まる。
「なぜ 大事な夜にあなたはいないの」と言っているが,「さようならを決めた」のは自分なのだ。あからさまには述べていないが,「もう二度と二人のことを邪魔したりしない」とあるので,「邪魔しないため」に「さようならを決めた」のだろう。中島みゆきの世界に近いが中島の詞より別れの理由がオブラートに包まれていて直接的ではない。曲もニュー・ミュージックの一人の旗頭である中島より昭和の歌の路線を濃く受け継いでいるようだが流行歌の系統ではなく,童謡・唱歌の系統のように感じる。
酒場(2025.1.17)
平成2年,詞:三浦康照,曲:叶弦大,唄:冠二郎
「どこにもあるような 酒場の片隅で ひとりで呑む酒に あいつが眼に浮かぶ」と始まる。
「酒場の止まり木で あいつを見つけたよ」とあるので客のようだ。昭和なら酒場の女となるところ,さすが平成,一人客のようだ。
「一緒に暮らそうと あのとき言えたら」と後悔があり,「あいつは あいつは… どこにいる」という歌。
平成になっても,このような酒場は残っているようだ。
サマータイムブルース(2023.4.30)
平成2年,詞:渡辺美里,曲:渡辺美里,唄:渡辺美里
「天気図は 曇りのち晴れの予報 週明けの第三京浜 選んだ」と始まる。
「とりのこされたの 私のほうで きっと自由になったのは きみね」。これだけで状況が解る。あと」は海岸の描写。絵を見るようだ。
「見えない永遠よりも」「すぐそばの きみと今日 信じていた」とあるが,後悔している様子はない。「次の波 やってきたら」「もう一度 駆け出すよ 裸足のままで」と前向きなようだから成長の過程にあるのだろう。
さよなら人類(2020.8.4)
平成2年,詞:柳原幼一郎,曲:柳原幼一郎,唄:たま
「二酸化炭素をはきだして あの子が呼吸をしているよ」と始まる。
歌声だが,地声では内容で,作り声のようには聞こえるが,歌を正式に学んだ発声のようには聞こえない。昭和49年代から,このような唄が増えてきた。
歌詞に「野良犬は僕の骨くわえ」と出て来たところで普通の歌ではないことが解る。歌詞の意味を深く理解しようとしても無理なようだ。意味の解らない歌を積極的に聴くことはないのだが,「ピテカントロプスになる日も 近づいたんだよ」の一節は耳に残っており,いつの間にか聞いていたのだろう。
THE POINT OF LOVERS NIGHT(2021.8.30)
平成2年,詞:小室哲哉,曲:小室哲哉,唄:TMN
「電話ボックスに忘れたカセットで 君のメッセージ僕に伝わった」と始まる。
小室にしては詞も曲も昭和的な歌だ。まあ電子音は昭和末期以降のものだが。
「ただ寄り添って時を感じていたら 一人じゃなくて二人だけの明日が来る」などというのは聞き流してもいいのだが,どのような意味だろうと考えだすと解らなくなる。やはり平成の歌らしく,詞は自分の気分を表しているようだ。ストーリーテラーの昭和の作詞家が書いた詞のように状況を理解することは難しい。
Shake Hip! (2021.12.31)
平成2年,詞:米米CLUB,曲:米米CLUB,唄:米米CLUB
「Youの心 ヒュージョン ルージュからレイザー発してるよ」と始まる。
最初から解らない。歌声が聞こえないわけではないのだが,意味がわからないので聞き取れない。歌詞を読むとそれほど難しいことを言っているわけではないようだ。というか「Shake Hip! ゆれる度に Oh! SEXY Shock!」が全てのようだ。だから歌詞など聞きとれなくてもいいと考えているのではないか。
曲は私が中学生だった頃なら魅かれたかもしれない。しかしこの曲の当時,既に私は世間から中年と呼ばれる年齢だった。このような曲に身を任せつつ身体を動かしているには,日々の仕事で疲れ切っていた。
忍ぶ雨(2024.11.27)
平成2年,詞:たきのえいじ,曲:市川昭介,唄:伍代夏子
「人目に触れる 花よりも 影で 寄り添う 花がいい」と始まる。
七五調の定型詩,曲も典型的昭和演歌だ。歌詞の内容も「あなたを真似て 飲むお酒」「うわべで飾る しあわせは しょせん ふたりの 身につかぬ」と平成的な雰囲気は感じられない。内容に感動を覚える訳ではないが,昭和人には安心して聴いていられる歌。
少年時代(2021.9.28)
平成2年,詞:井上陽水,曲:井上陽水・平井夏美,唄:井上陽水
「夏が過ぎ 風あざみ 誰のあこがれに さまよう」と始まる。
初期の陽水には違和感だけをもっていた。陽水だけではなくユーミンにも違和感があった。しかし,どちらも,何回も聴くと慣れてきて,昭和の代表的シンガー・ソング・ライターだと感じるようになった。最初から違和感なしに聴くことができたのは中島みゆきと小椋佳かもしれない。
個人名を挙げてしまって,困ったことになった。ほかにも挙げるべき名前が次々に浮かんでくる。列挙して,書き忘れがあると申し訳ないのでこれ以上書かずにおこう。
陽水は最初は違和感があったが,平成になってからも昭和感を残していて遥かに聴きやすくなった。この歌でも「私の心は夏模様」という解るような解らないフレーズで終わっているにも関わらず昭和の雰囲気で聴きやすい。
JEALOUSYを眠らせて(2020.11.14)
平成2年,詞:KYOSUKE HIMURO・GORO MATSUI,曲:KYOSUKE HIMURO,歌:氷室京介
「風を追い越してMidnight Cruise 今ふたりは 流星に変るのさ」と始まる。
詞の各フレーズには理解困難なものは無いが,フレーズ間の繫がりが私には解らない箇所が少なくない。
「Baby I’m in blue いつだってジェラシー」と何度も繰り返されているが,何がどうしてこうなのかということが解らない。解らないから共感できない。
ひょっとしたらblueな理由は自分でも解っていないのかもしれない。若者にはありうることかも知れない。
JEEP (2022.5.30)
平成2年,詞:長渕剛,曲:長渕剛,唄:長渕剛
「ワークブーツにはきかえ 赤いジャンパーひっかけ 夜明け前の湾岸道路を俺は西へと走らせ」と始まる。
「悲しくてやりきれなかった」,「愛されていなかったのかも」,「不安ばかりの夜だった」ということで夜明け前から海を見るためにジープを走らせているようだ。走っているうちに「すべてを許してみよう」,「あいつを愛してやろう」と心が落ち着き思いが変わってきた。
曲の特徴としては,フレーズの末尾にアクセントが置かれていることだ。脚韻も踏んでいるようで,ラップの真似をしているのかとも思うが,フレーズ末アクセントというと大学紛争時代のアジ演説を思い出す。アジ演説ではではアクセントがあるだけでなく音の長さも伸ばしており,この曲では末尾の音の長さは短いのでラップ調に聞こえることは聞こえるのだが,私はそれがいいとは思わない。
ジプシー(2021.11.28)
平成2年,詞:魚住勉,曲:馬飼野康二,唄:児島未散
「昨日(きのう)から 降りつづく 雨の日は」と始まる。
「だれか悲しい恋を 忘れさせてほしい あなたの傷あと 痛むから」という歌。
「捨てられた姿の 愛のジプシーよ」と終わるのだが,「ジプシー」という言葉は差別語であるとして使用しない方向に流れている。
山口百恵の『謝肉祭』の歌詞に「ジプシー」がでてくるが,引退コンサートが最初にDVD化されたときはこの問題のせいか『謝肉祭』1)は収録されなかったそうだから,このころ「ジプシー」が避けるべき言葉とされたようだ。その後再びDVD化されたときには『謝肉祭』も完全版で収録されているらしいので,その後「ジプシー」の使用が解禁された可能性もある。
あまり関係はないが,山口百恵には『プレイバックpart2』2)の『真っ赤なポルシェ』という歌詞を紅白では『真っ赤なクルマ』と唄わされたという都市伝説?がある。私もそのような記憶をもっていたが,紅白の録画を見ると『真っ赤なポルシェ』と唄っているらしい。紅白以前にNHKでこの歌を唄ったときは『真っ赤なクルマ』と唄っていたビデオがいくつも残っているらしい。どうも,初期には『クルマ』と唄っていたのが,紅白で『ポルシェ』と唄って以来、NHKでも『ポルシェ』が黙認されたようだ。このような事情が混同され,伝説になったらしい。
さて,「ジプシー」だが,元はどこからやってきたかわからぬ集団に対してエジプトからやってきた人々(エジプシャン)と呼んだことにあるようだ。もちろんエジプトから来たとは限らない。社会に溶け込もうとしないので,社会の底辺に位置することになる。もとは単にエジプトから来た人々の意味だったのに,社会の底辺の人々との意味が加わり,差別語とみなされるようになった。もとがエジプシャンなのだから何ら差別的な意味はないという説もあるらしい。しかしジプシーと呼ばれる移動型民族が自分たちをジプシーと呼んでいるわけではなく,外部のものがそう呼ぶのだ。移動型民族は幾つもあるらしいが,中東欧に住む移動型民族の代表が北インドのロマで,彼らは自称『ロマ』と呼ぶらしい。これを受け,NHKは「ジプシー」は使わず『ロマ』と言い換えるようだ。
この歌の「愛のジプシー」はエジプトから来た民族という意味より,下層民という印象が強く,だとすれば差別語として使われている印象を受けるので,このような使い方の是非は再検討すべきではないか。
ジュリアン(2021.5.15)
平成2年,詞:中山加奈子,曲:奥居香,唄:PRINCESS PRINCESS
「ジュリアン あなたの笑顔は日ごとにそっと にじんでゆくのに」と語りかけるように始まるバラード。
プリプリのイメージと違う曲だがこれもそう悪くはない。
「せめて夢の中 姿を見せて」と願うが「時間だけが過ぎてゆく」。
「あきらめようとするけれど つぼみのまま この想いつつむなんてできない」「でも
もう二度と会えないね」「さようなら」とジュリアンへの想いがあふれる詞だが,ジュリアンの描写がほとんどないのでジュリアンの人物像が頭に描けず,やや感情移入しにくい。
情熱の薔薇(2020.10.1)
平成2年,詞:甲本ヒロト,曲:甲本ヒロト,唄:THE BLUE HEARTS
「永遠なのか本当か 時の流れは続くのか」と始まる。
「心のずっと奥の方」と言うフレーズが5回登場する。この歌の重要な主題なのだろう。しかし,心の奥と言っても心は眼に見えないし,その奥ももちろん見えない。
見えない物は信じないというのは科学的態度ではない。見えない物が存在することはいろんな方法で証明される。しかし,「情熱の真赤な薔薇」を「心のずっと奥の方」に咲かせようとなると感性の世界になる。この歌の感性の世界は私の感性の世界とは微妙にずれているようで,情熱の薔薇を心の奥に咲かせるというイメージは理解できるのだが,他の箇所で随所に違和感を持つ。これが世代の差なのかもしれない。
ZUTTO(2021.10.28)
平成2年,詞:亜伊林,曲:藤井宏一,唄:永井真理子
「ほどけた靴ひも そのままでいたい夜」と始まる。
二人でいながら「孤独(ひとり)にしといてなの あなたはそれをわかってくれる たった一人の人」と歌には珍しい二人の関係だ。
「二人は違う人間だから 一緒にいられるの そばにいてもね別々の夢 みられるよ」
二人で同じ夢に向かって進もうというのだが,別々の夢を見ることを是とする。同床異夢という言葉は夢の方向が相反する印象を受けるが,この歌の別々の夢というのはこれとは違う。背反するわけではないが同じ方向の夢というわけでもない。
昔なら一体化を望んだと思うのだが,平成では相手に干渉されたくない,自分がされたくないことは相手にしないというのが普通になって来るのだろうか。
Sexy Music(2021.7.6)
平成2年,詞:B.Findon, M.Myers, B.Pusey,日本語詞:及川眠子,曲:B.Findon, M.Myers, B.Pusey,唄:Wink
「まつ毛を伏せてCafe In The Dream」と始まる。
「Sexy Music」と何度も繰り返される間にところどころ日本語の歌詞があるような歌。
おおよそ30年後,日本の環境相が国連気候行動サミットで「On tackling such a big-scale issue like climate change, it’s gotta be fun, it’s gotta be cool, it’s gotta be sexy, too.」と発言したらしい。「sexy」と言葉はこのように使うらしいが,語感がよく解らない。「sexy music」といわれてもどんな音楽か解らない。私なぞ,ポールモーリアのイージーリスニングなどがセクシーだと思うのだが,どうも違うようだ。
「せつなさに似た 不思議な気持ち あなたの腕で愛に変えて」が結論らしい。不思議な気持ちでsexyという以外に説明のしようがないということか。
千流の雫(2022.7.5)
平成2年,詞:愛絵理,曲:後藤次利,唄:工藤静香
「吐息のさけぶ声 かすかに聞こえてる もう一度かきあげて からむ長い髪」と始まる。
具体的な昭和の歌から,抽象的な平成の歌への過渡期の歌だと感じる。
「あゝ 思いはつのる程 貴方しか愛せない」と「貴方」は一応登場はするのだが,具体的描写はなく,抽象的なままで終わってしまう。
「何千年先の今でさえ」などとあるのでリアルの話ではなさそうだからリアリティが感じられないのも当然かもしれない。
歌唱としては昭和のアイドル歌謡の流れを引く唄だ。
尚,愛絵理は工藤のペンネーム。
TIME TO COUNT DOWN(2023.8.11)
平成2年,詞:小室みつ子,曲:小室哲哉,唄:TMN
長いイントロの後,「What do you think is going on? 悲しげに スパークしているサーキット・シティ」と始まる。
唄のスピードが特に速いわけではないが,バックミュージックのリズムがアップテンポでせわしなく,かつ歌詞に英語が多用されているので私には聞き取れない。歌詞を読んでも意味が理解できないので,もし聞き取れたとしても理解はできない。
唄を聴こうと思わず,曲に身をゆだねるだけならこのようなロックも悪くない。特にフラストレーションが溜まっていた10代の頃なら曲に没入できたかもしれないが,年齢と共に歌詞を聞こうという意思が強くなり,意味不明な歌は聴かなくなっていった。
太陽のKOMACHI ANGEL(2022.3.24)
平成2年,詞:稲葉浩志,曲:松本孝弘,唄:B’z
「あの娘は 太陽のKomachi Angel!」と始まる。
「やや乱れて Yo! Say, yeah yeah! いざ今宵酔わん I love you, my Angel! 理屈抜きで Now we can say yeah, yeah!」と続くがこの一群のフレーズは何度も繰り返される。
詞に関しては好き好きがあるのだろうから特に言うことはない。曲に関しては私にはこの詞に合うとは思えないのだが,このように激しい曲を好む人もいるのだろう。
天と地と〜HEAVEN AND EARTH〜(2024.9.7)
平成2年,詞:小室哲哉,曲:小室哲哉,唄:小室哲哉
「永遠に流れる川を流れゆく水の音は 幾千の月日越え 響く耳元に…」と始まる。
小室は昭和末期から作詞・作曲をしており,当時は昭和テイストの残った歌をかなり書いていた。この歌はその系統の最後に近い曲かも知れない。
平成になると小室は日本で一・二のヒットメーカーとなる。平成ではステージパフォーマンスが重要になり,昭和時代よりリズムを明確に刻むダンス音楽的な曲が小室に限らず平成の流行のように感じる。同時に歌詞の日本語イントネーションを無視した曲も増える。私が理解できない歌の時代の始まりだ。この歌はその時代に入る前の最後の歌かもしれない。
Dear Friend(2020.9.6)
平成2年,詞:伊東真由美,曲:和泉一弥,唄:中森明菜
「回転ドアの向こうで 手を振る 彼女の影」と始まる。
詞・曲・歌唱が小さくまとまりすぎているようで私は気に入らない。詞に英語が含まれているのも気に入らない。ただ,唄を聴くのでなく,歌詞を読んでみると全体の意味がはっきりと理解できるわけではないが,詞は明菜のイメージに合っているようにも感じる。しかし,曲と歌唱が優しすぎるというか,明菜の音域と合っておらず,十分声を出せていないのではないか。明菜のイメージはもっとパンチがあるようなイメージなのだが,私が抱いているイメージが間違いなのかもしれない。
Dream On 抱きしめて(2025.4.22)
平成2年,詞:朝野深雪,曲:平川達也,唄:LINDBERG
「地下鉄 降りれば 蒼ざめてる 街に着く 定刻通りの 週明けには 手を振るわ」と始まる。
解るような解らないような。このフレーズが後のフレーズとどのような関係にあるのかすら解らない。日本語の部分ですらよく解らないのに何度も繰り返し登場する「Dream On」が解らないのでもちろん全体を理解することができない。
日本語の各文字にそれなりの音符の長さが与えられているようで,日本語の特徴である子音+母音の母音が良く聞こえるので日本語の箇所が日本語っぽく聞こえるのが救いだ。やはり母音が綺麗に聞こえると,私には歌声が綺麗に聞こえる。
虹の都へ(2022.12.11)
平成2年,詞:高野寛,曲:高野寛,唄:高野寛
「君と僕はいつでもここで会っているのさ 太陽しか知らない 二人だけの秘密」と始まる。このフレーズは何度も何度も繰り返される。
「昨日よりもっと 今日の方がいい そして 世界は廻ってる」とあることから解るように,ポジティブ思考の歌だ。
昭和のJ-POPのような曲。平成になるとJ-POPの概念が大幅に広がって,日本発なら何でもJ-POPのような印象だが。
にちようび(2022.2.20)
平成2年,詞:破矢ジンタ,曲:破矢ジンタ,唄:JITTERIN’ JINN
「マンデー つまったスケジュール イライラしている チューズデー」と始まる。
軽快な曲。というか,全く私の誤解かもしれないが,ごく軽い気持ちで作った曲だったのではなかろうか。
「ダーリン ラムネを買ってきて 二人で飲みましょ散歩道」というのが何度か出てくる。歌の途中の歌詞ではラブレターやピクニックの計画などいろいろ登場している。
Wikipediaによれば,フジテレビ系の『爆買い☆スター恩返し』の主題歌だそうだ。
ニュー・ムーンに逢いましょう(2024.10.16)
平成2年,詞:及川眠子,曲:門倉有希,唄:Wink
「瑠璃色のベールをまとい 月影に秘密をあずけ この都会(まち)で あなたと出逢う」と始まる。
「凍(い)てついた舗道にふたり 哀しみのピアスをはずし 禁断のダンスを踊る」とあるがダンス音楽だろう。リズムがディスコっぽい。ユーロビートというのだろうか。
ダンスに詳しいわけではないが,ディスコダンスの雰囲気は盆踊りの雰囲気に似ていると感じる。
ジルバとかツイストは流行った当時のレコードがEPレコードだったのだろう。EPレコードに収まるくらいの3分少々の長さの曲が多い。一方盆踊りの歌はまだレコードが無かった時代ということなのか,比較的短い曲に次から次へと歌詞を載せ,延々と踊り続ける。これがディスコの時代になるとLPレコードかCDだろうからどんどん長い曲が作られたのだろうが,長いといっても比較的短い曲の繰り返しだ。これが盆踊りに近いと感じる所以だ。
NO TITLIST(2023.10.20 )
平成2年,詞:川村真澄,曲:小室哲哉,唄:宮沢りえ
「ターミナル前のシグナル いっせいに変わるブルー 虚ろな目のスクランブル 肩がぶつかる」と始まる。
SPレコードの時代は録音時間が5分程度で,ターンテーブルを止める信号を出すためにレコード盤の最後の箇所には音を入れてなかったので,当時の歌謡曲は1番から3番までで3分強のものが多かった。時間に制限があるステージの場合2番の歌唱を省略することもよくあった。LPレコードの時代になっても1曲の長さはあまり変わらなかった。CDの登場により長い歌謡曲も登場するようになった。
平成では曲自体が長いうえに,以前は定型詩が多かった歌詞が散文化し,1小節に詰め込む歌詞の文字数が増えたりして歌詞を書き起こすと以前に比べて長くなることが普通になって来た。
この歌も長い歌詞があるが,「誰かのまねを したくはない」,「誰かのまねじゃ つまらないよ」,「誰かの後を 行きたくない」,「誰より先を歩いていたい」等々,似た表現が何度も繰り返されているのでこれが訴えたいことなのだろう。要するに何のタイトルも持っていないが,タイトリストになりたいということなのだろう。これで意味不明のように思われた表題の意味が解った。ところでこの表題は「ノン タイトリスト」と読ませるようだ。もっと解り易いタイトルにして欲しい。
曲は昔の歌のようではなく,抑揚をつけて語り掛けているようで,これが新工夫なのかもしれない。
フジテレビ系ドラマ『いつも誰かに恋してるッ』(宮沢りえ)主題歌。
働く男(2023.2.19)
平成2年,詞:奥田民生,曲:奥田民生,唄:ユニコーン
「仕事できる男 それが彼女の好み 気合入れて勤めたのだが 忙しいわ つまんないわ」と始まる。
「いつも僕はひとりきり フロに入って寝るだけ」「眺める事さえできない 君の髪を 歩く姿を 眠る事しかできない せめて夢の中ででも 君に逢いたい」という歌。
仕事がつまんないと感じているようだが,そのような人間が増えて日本経済が停滞したのか。ついこの前まで牛若丸三郎太1)はペキン・モスクワ・パリ・ニューヨークと世界中を股にかけ,24時間戦うのがジャパニーズ・ビジネスマンだと唄っていたのに。
フジテレビ系バラエティ『夢で逢えたら』のオープニングテーマ。
1) 「勇気のしるし〜リゲインのテーマ〜」(平成元年,詞:黒田秀樹,曲:近藤達郎,唄:牛若丸三郎太)
BE THERE(2025.6.7)
平成2年,詞:稲葉浩志,曲:松本孝弘,唄:B’z
「色とりどりの灯が街を飾り 人は流れる 楽しく哀しく歌って踊ってみんな まとめて寂しがり屋」と始まる。
簡単な英語なのだが,何度も英語が登場する。その度に私の頭には大きな負荷がかかって歌詞が言いたいことが頭に入って来ない。
なんとか言いたいことを想像してみると,「何かが動き出している」「君のまわりでも少しずつ」「どんなに時代が流れても」「君だけはそこにいて」ということのようだ。「そこにいて」というのは『変わらないでいて』ということなのだろうが,周囲が変わっても変わらずに居ることができるのだろうか。「新しいrevolution 自分も変わらなけりゃと思いはじめれば」とあって自分は変わってしまうのに,君が変わらずにいたらどうなるのだろうか。なぜ一緒に変わろうと云わないのか私にはわからない。「流行りすたり・・・」「変わらない君の笑顔にあえばくだらないことみたい」と答えのようなものも書き込まれてはいるのだが,私の理解力を越えているようだ。
P.S. I LOVE YOU(2020.11.30)
平成2年,詞:石田美紀,曲:小路隆,唄:PINK SAPPHIRE
「こんなに悲しすぎて 涙が止まらないのは何故」と始まる。
ロックは嫌いじゃない。しかし,ロックならもっと激しいほうが好きかもしれない。(『激しい』という言葉は私の思いと違う『激しさ』もあるように思うので適切とは思えないが適切な言葉を思いつかないのでとりあえずこう書いておく。)
要するにもっと激しく唄っても良いのではないかということだ。メリハリは大切だろうし,詞の内容も最初は静かに唄う方が適していそうな内容だ。曲も最後に向けて盛り上げて行こうというイメージは理解できるが,やはりロックは最初から全開でいくべきだろう。
要してばかりだが,要するに私の好みは終盤のハイテンションを最初から出して欲しいということだ。
プレゼント(2023.7.7)
平成2年,詞:破矢ジンタ,曲:破矢ジンタ,唄:JITTERIN’JINN
「あなたが私にくれたもの キリンがさかだちしたピアス」と始まる。
以下「あなたが私にくれたもの フラッグチェックのハンチング あなたが私にくれたもの ユニオンジャックのランニング」と次々とプレゼントを列挙する。同じメロディーで24品目列挙されているが,この繰り返しは中毒になりそうだ。
「あなたが私にくれたもの」の最後は「あの日生まれた恋心」なのだが,「大好きだったけど彼女がいたなんて」ということで「さよならしてあげるわ」と終わる。
失恋を笑い飛ばそうという歌だろう。
Boys Kiss Girls(2023.6.3)
平成2年,詞:渡辺美里,曲:伊秩弘将,唄:渡辺美里
「男の子は 居眠りしてる ライオン 女の子は 夢見る ペンギン」と始まる。
「勇気を出して心開けばサインはみつかる」から行動に移せということのようだ。行動に移れば「動きだす若さは誰も 止められない」。ペンギンとしては「引き寄せる 不思議な力 届け」ということだ。
「すぐそばで待ってる愛に 気づいてよ」という歌。
昭和の歌なら「気づいてよ」も,もっとお願い調子のメロディーになったのだろうが,流石平成,言葉こそお願い調子だが曲は威勢が良く命令調に感じる。これが昭和と平成の違いかもしれない。
真夏の果実(2020.10.29)
平成2年,詞:桑田佳祐,曲:桑田佳祐,唄:サザンオールスターズ
「涙があふれる 悲しい季節は 誰かに抱かれた夢を見る」と始まる。
「マイナス100度の太陽みたいに 身体を湿らす恋をして」のように,何を言いたいのか全く理解できない箇所もあり,全体もよくは解らないが,要は「遠く離れても 黄昏時は 熱い面影が胸に迫る」というのだろう。
私は恋と愛とは別物と思っているが,この詞では恋と愛の区別がよく解らない。このような点が全体が解りにくい原因ではないか。
曲は単調に感じるが,好みの問題だろう。
見逃してくれよ!(2023.9.15)
平成2年,詞:活発委員会,曲:加藤英彦,唄:小泉今日子
「会議室でお弁当食べても[いいじゃん いいじゃん] ブレーキきかない私を許して」と始まる。
「なんでもアリの世の中よ 気にせずに進め乙女よ 結局人生 やったもん勝ちよ」「ガマンをするのはソンだわ アタマばっかしでっかくなるわよ」という歌。
何でもかんでも「[いいじゃん]見逃してくれよ[いいじゃん]見逃してくれよ いいじゃん」と終わる。
これが女性解放運動の成果か。あるいはバブルの副産物か。
夢を信じて(2020.12.18)
平成2年,詞:篠原仁志,曲:徳永英明,唄:徳永英明
「いくつの街を 超えてゆくのだろう 明日へと続く この道は」と始まる。
傷ついた君が再起しようとしているのを励ます歌のようなのだが,詞に書かれているフレーズのいくつもがそれぞれ複数の意味を持っているようで,全体としての理解がいまひとつできにくい。しかし,これは作詞者が意図したことなのだろうか。
夢を追い続ける若者はこの歌のメッセージを感じ取ることができるかもしれない。
夜明けのブレス(2022.10.17)
平成2年,詞:藤井郁弥,曲:鶴久政治,唄:チェッカーズ
「消えかけた街が静かに色づく 夜明けのブレスが傷跡に染みる」と始まる。
「群れからはずれた一羽のカモメが」「羽ばたくことさえ 疲れはてた時」「君のことを守りたい」というラブソング。弱っている相手だから守りたいというのか。相手が弱っているのに付け込んでよからぬことを企んでいるのではないかなどというのは下種の勘繰りなのだろう。
夜にはぐれて〜Where Were You Last Night〜(2022.9.12)
平成2年,日本語詞:及川眠子,曲:アレクサンダー・バード,ティム・ノレル,オーラ・ハーンカンソン,唄:Wink
前年にアンキ―・バッカ―が発表した曲のカバ―。原曲はスウェーデン語版と英語版があり,スウェーデン語の詞は作曲者全員,英語の詞はティムを除く作曲者全員が作詞者としてクレジットされている。
「No! サヨナラだけを 残して切れた電話 Why? どうしてなの こころが凍りつく」と始まる。
「No! ほかに誰かがいること 気付いてた Why? だけどきっと 遊びと信じてた」と予感はあったようだ。
「くちびるが忘れない」とか「指先が憶えてる」とか「あなた逃げないで」などと言っているが、無駄だろう。
私の印象では詞の内容に比べて曲が明るすぎる。踊っている場合ではないだろうと言いたい。
らんちう(2021.4.20)
平成2年,詞:知久寿焼,曲:知久寿焼,唄:たま
「あんまりのこころさむさに うらにわをほじくりかえしていると」と始まる。
ファンタジーなのだろうが,私の理性ではついて行けない歌。私には妄想としか聞こえない。
まあ,穴を掘れば水が湧くのは不思議ではない。しかしそこに砂漠の隊商が水を汲みに来るという発想には私の思考との乖離がある。突然鉄棒がでてきたり,金魚が登場するのはどういう訳だ。それぞれは何かの象徴なのだろうか。
解らない。
Little Birthday(2024.2.1)
平成2年,詞:飛鳥涼,曲:飛鳥涼・佐藤準,唄:光GENJI
「プールに飛び込む時の 胸の高鳴りを忘れ いつの間にか魚の気分でいたから」と始まる。
「何処かにあわせたはずの 目覚まし時計が切れた」。何のことだろう。あまりよさそうなことには感じられないが。
「キラキラの水を破り 僕は空に飛び出した」。この辺りから何のことかわからなくなる。「魚」というのはそのような「気分」だっただけなんだろう?
「君は僕にHappy Birthday歌ってくれるね」はどういう状況での言葉なのだろう。
タイトルが「Little Birthday」になっているのはどのような意味があるのだろう。私には理解できないことばかりの歌詞だ。
浪漫飛行(2020.8.14)
平成2年,詞:米米クラブ,曲:米米クラブ,唄:米米クラブ
「『逢いたい』と思うことが 何よりも大切だよ」と始まる。
口語の散文で書かれている詞だが,完璧に理解できるとは言い難い。まあ,気分はわからなくもない。この時代の若者はこれで内容を理解したのだろうか。あるいは気分だけ受け取って満足していたのだろうか。
まあ,このバンドはじっくり歌を聴くというより,パフォーマンスを観るバンドだろう。
私について(2023.11.23)
平成2年,詞:中島みゆき,曲:後藤次利,唄:工藤静香
「私について 語られる出来事 もれなく聞いてから 愛し始めて 私について 誰も知らない あなたのその瞳は 何処(どこ)を見てたの」と始まる。
「光りだす前の 小石を ひろいますか それとも捨てますか 薔薇かもしれない 毒があるかもしれない 薔薇ならどうする あぁ毒ならどうする」。
「光だす前の 小石」という言い方は将来その小石が光るということを知っているからだろう。昔の中島なら「光りだす前の」は付けなかったのではないか。将来光るというような自信はたとえ心の底に持っていたとしても人前には出さなかっただろう。
後藤の曲は工藤には合っているかもしれない。しかし私は中島自身が曲を付け歌うのを聴いてみたい。
「私について 知らなさすぎるのは どんな人より たぶん私よ」と終わるところも中島らしい。