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目次                                          

平成27

I am a HERO、愛を叫べ,青空の下キミのとなり,Unfair World,命は美しい,今話したい誰かがいる,AAO,カラフルEyes,華麗なる逆襲,Kiss魂,キミアトラクション,唇にBe My BabyGreen Flash,コケティッシュ渋滞中,コップの中の木漏れ日,コロニー,最後もやっぱり君,Sakura[思い出した]Summer Madness,しぇからしか,12秒,starting over,太陽ノック,強く強く強く,Dead or Alive,ドリアン少年,Don’t look back!,ハロウィン・ナイト,Hello world!,僕たちは戦わない,前のめり,前向きスクリーム!,Must be now,ユーモアしちゃうよ,Love Me Rightromantic universe〜,RED

平成28

I seekANOTHER STARTING LINE,甘噛み姫,UNLOCK君はメロディー,金の愛銀の愛,Give Me LoveGravity,恋,最高かよ,サイレントマジョリティー,サヨナラの意味,しあわせを分けなさい,Sha la la Summer Time,世界には愛しかない,チキンLINE,翼はいらない,罪と夏,Daylight74億分の1の君へ,NOROSHI,ハイテンション,裸足でSummerハルジオンが咲く頃,薔薇と太陽,パノラマ,Power of the ParadiseFantastic Time,二人セゾン,復活LOVE,僕以外の誰か,僕はいない,真剣SUNSHINE,道は手ずから夢の花,YAMATODancingLOVE TRIP

 

I am a HERO(2024.9.17)

平成27年,詞:福山雅治,曲:福山雅治,唄:福山雅治

 「僕は出来る いやもっと出来る 偉大な人とまでは言わない 『頼れる人』くらいにはなれる」と始まる。

 「どんな仕事だって逃げない きっと誰かが僕を見てるよ」「ジンジンジンジン人生のど真ん中で いっぺんくらい調子に乗りたい」「10年経ってまだこれ言ってるけど 待たせたな本物に変身するんだ」とのことだ。本当かなと思わないでもないが,まあ頑張ってくれ。

 「日本テレビ系ドラマ『花咲舞が黙ってない』(杏,上川隆也)第2シリーズ主題歌。

 

愛を叫べ(2022.10.27)

平成27年,詞:100+,曲:100+,唄:嵐

 「思えば長い付き合いだけど (今日は)世界中の誰よりもきれいだぜ」と始まる。

 「あいつはおまえにお似合いさ みんな降参だぜ」と昔の仲間が集まってお祝いのようだ。「おまえは今でもアイドルさみんな大好きだぜ」「しあわせになってくれなきゃ困るぜ ベイベー」と言いながら「泣きながら笑え」と自分(達)の想いを歌っている。

 嵐の歌は私には理解できない歌が多いように感じるが,この歌は平易でよく解る。仲間内での互いの牽制が強く,抜け駆けする者が出る前に,仲間全員が泣きながら祝う状況になってしまったのだろう。

 

青空の下,キミのとなり(2022.7.15)

平成27年,詞:wonder notes-Tnk,曲:Gigiwonder note,唄:嵐

「グルグル彷徨って混ざって 暗闇にほどけて」と始まる。

 何度も繰り返され,最後にも現れるので「君と つながっていたいんだ」というのが主題なのだろうが,他の箇所の歌詞から私に訴えかけてくるものを感じない。「ない」で終わるフレーズを並べ,韻を踏んでいるつもりなのかもしれないが,私には語尾に工夫をすることを省略した手抜きの歌詞のように聞こえる。

85回ザテレビジョンドラマアカデミー賞ドラマソング賞を受賞しているらしいから,私の感覚が世間とずれているのだろう。

フジテレビ系ドラマ『ようこそ,わが家へ』(相葉雅紀)主題歌。

 

Unfair World(2024.6.29)

平成27年,詞:小竹正人,曲:Mitsu.J,唄:三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE

 「『あなただけは信じてる』呟(つぶや)いて君は目を逸(そ)らす 何を見ているの?と 僕が問いかけたなら 『星を見てる』そう言った」と始まる。

 「夜空に星なんて見えなくて ビルの上の航空障害灯が 点滅するだけなのに」「涙こぼれないように 九十度に首を曲げて もどかしいほど 空を見る」

 平成には珍しいほど解り易い歌。情景が目に見えるようで,登場人物の思いも感じ取れる。

 「泣いていいんだよ この腕の中 疲れ果てて眠るくらい 泣けばいいさ その哀しみに 触れられない僕は ただ君を抱きしめていよう」

 唄声も優しくて素敵だ。

 第57回日本レコード大賞で大賞受賞。東宝系映画『アンフェアthe end』(篠原涼子)主題歌。

 

命は美しい(2022.6.9)

平成27年,詞:秋元康,曲:Hiroki Sagawa,唄:乃木坂46

「月の雫を背に受けて 一枚の葉が風に揺れる その手 放せば楽なのに しがみつくのはなぜだろう」と始まる。

「何のためにいきるのか?」などとアイドルらしくない問題提起。それでも,若いのに「命は美しい 初めて気づいた日から すべての悲しみ 消えて行くんだ」などとある意味悟りを開いているようだ。「永遠ではないもの 花の儚さに似て その一瞬 一瞬が 生きてる意味」。

重いテーマのせいか,十分に声がでないほど低音が多く,アイドルの歌としては華やかさがない。どこかから借りてきた歌を唄っているようにも聞こえてしまう。

センターは西野七瀬。

 

今,話したい誰かがいる(2022.4.1)

平成27年,詞:秋元康,曲:Akira SunsetAPAZZI,唄:乃木坂46

 「一人でいるのが 一番楽だった」と始まる。

 「気づけば君はいつのまにか 僕のすぐ近くにいるのに」,「それが恋と知ってしまったなら こんな自然に話せなくなるよ」と恋の予感にためらいながら「気の合う友達だと思っている」と言いつつも,「あきらめるなら一人でいいけど 夢を見るなら君と一緒がいい 話したい誰かがいるってしあわせだ」とすでに恋の領域だ。まあ,若いんだからいいんじゃないの。

 もちろん「一人でいるのが 一番楽」と感じることもあるだろうが,いつもいつもではいけない。まずは二人で。次第に社会性を増していくといいと思うのだが,曲は私には盛り上がりに欠けているように感じられ,集団の中心的存在になるには道が遠そうだ。もちろん人には適所があるから中心にいるべきだなどとは言わないが。

アニメーション映画『心が叫びたがってるんだ。』のエンディングで用いられた。

この歌のセンターポジションは白石麻衣と西野七瀬。

 

AAO(2024.1.7)

平成27年,詞:ナオト・インティライミ,ラップ詞:IGOR,曲:ナオト・インティライミ,唄:Kis-My-Ft2

 「AAO 手を突き出して 太陽のエナジーもらって AAO 『いざいくぞ!!』って 声に心託してAAO」と始まる。

 タイトルの「AAO」から解らない。日本語の掛け声「エイエイオー」かとも思ったがアクセントが違う。

 珍しく聞き取り易いと一瞬感じるが,英語が入ってくるともうだめだ。ラップ部は日本語でも聞き取れない。これはリズムとメロディーが日本語アクセントと全く合っていなっからだろう。

 かろうじて『踊ろう』と言ってようなのが理解できる。「太陽のエナジーもらって」とあるのでテナーサックスがかなでる音楽でチークダンスを踊ろうというわけではなく『Sunlight twist1)のような雰囲気なのだろう。私も中・高生の頃はこのような歌を解りもしないのに聴いていた。

 私のような年寄りには理解不能なこの歌も,若い人には人気があるのかもしれない。

 読売テレビ・日本テレビ系ドラマ『青春探偵ハルヤ〜大人の悪を許さない!〜』(玉森裕太)主題

1)      SUNLIGHT TWIST(昭和38年,詞:ルチアーノ・サルチェ,曲:エンニオ・モリコーネ,唄:Gianni Morandi) カトリーヌ・スパーク主演のイタリア映画『太陽の下の18歳』の挿入歌。「GO CART TWIST」いう別タイトルでも知られている。

 

カラフルEyes(2025.2.6)

平成27年,詞:久保田洋司,曲:Andreas OhrnHenrik SmithAndreas Oberg,唄:Sexy Zone

 「愛す 愛す 愛すYou said?  Loving you, Loving you」と始まる。

 「今 僕のことを好きだと言ったの? ねぇ ちょっとまってよ 心の準備がね」。

 「女の子のことは わからないけれど 案外大胆」と昭和時代とは男女の関係が逆転している。伊邪那美命が伊邪那岐命に先に誘いの言葉を発して最初は失敗した国生みも順序を改め成功した。それ以来女性から誘うのは(建前として)慎まれてきたが,ウィミンズ・リブが日本に上陸して50年以上になると,このような時代になったらしい。

 

華麗なる逆襲(2024.12.9)

平成27年,詞:椎名林檎,曲:椎名林檎,唄:SMAP

「さあ本当の敵はだれだっけ そうかんがえても判らない 今日たった今の瞬間運命が 動いているんだ」と始まる。

うーん。歌詞は日本語だし,メロディも歌詞の日本語と大きな乖離があるわけではない。意味も頭ではわかるような気がするが腑に落ちない。たとえば,歌全体にどのような関係があるのかはよく解らないが,「行儀ばっか気にしていちゃ 勿体ないし はしたないぜ」という歌詞があり,意味は理解できるつもりだが,共感できないのだ。

若者の心と私の心の重なり合う部分がどんどん少なくなっていっているようだ。

フジテレビ系ドラマ『銭の戦争』(草g剛,大島優子,木村文乃ほか)主題歌。

 

Kiss(2023.5.9)

平成27年,詞:KOMU,曲:原一博,唄:Kis-My-Ft2

 歌詞の半分は英語のようで,私には日本語の箇所も含め聞き取れないだけでなく,歌詞を読んでもよく解らない。「Rock the party」「Kiss me baby」というのが主題のようだが,私にはお手上げの歌。

 

キミアトラクション(2023.10.29)

平成27年,詞:MiNE・川口進,曲:CHOKKAKU・川口進・Christofer ErixonJoakim Bjornberg,唄:Hey! Say! JUMP

 「君はNo.1!! 僕のワンダーランド You Are My Only 1」と始まる。

 「Baby もう“キミチュウドク”」の表現の意味は解るが,私に言わせれば軽薄だ。「予測不可能で誰もが羨むアトラクション」と君をアトラクションにたとえるなど,昭和ならアングラソングだろう。

 テレビ朝日系『2017世界体操競技選手権』エンディング・テーマ。

 いずれにせよ,自分の気持ちだけを垂れ流した典型的な平成ソングで体操競技との関係は私には理解不能だ。

 

唇にBe My Baby(2022.1.8)

平成27年,詞:秋元康,曲;小内嘉文,唄:AKB48

WOW WOW (WOW WOW)大好きなのに(言葉にはできない)」と始まる。

KISS & KISS 2人にとって 究極のLOVE SONGかもね」とあるのでそのような曲なのだろう。

バスに乗るときキスしようとか,バスの最後尾の席でキスしたとかいうような歌詞があるが,目障りにならないようにして欲しいものだ。

センターは高橋みなみ。

 

唇にBe My Baby(2025.5.6)

平成27年,詞:秋元康,曲:小内喜文,唄:AKB48                                       

 「WOWOW(WOWOW)大好きなのに(言葉にはできない) この(この)胸が切ない(どうすればいい?)」と始まる。

 バスの中で「盗むようにキスをしよう!」というのか,「いたずらっぽくキスをされた」のか知らないがこの辺りの感性が秋元と私が違うところだ。秋山は同世代と感じることもあるのだが,この歌では世代が違うことを強く感じる。

センターは高橋みなみ。

 

Green Flash(2021.12.6)

平成27年,詞:秋元康,曲:Carlos K.,唄:AKB48

「片隅で一人泣くより 人混みの中で泣きなよ」と始まる。

「別れの日近づいたことくらい わかってたはずなのになぜつらい?」などと言われても何の慰めにもならず,愚問だ。これが自問なら制御できない自分の心へのものだから納得できるのだが。

「振り向くと寂しくなるよ 前だけを向いて行けばいい」などと,言われても何の慰めにもならないことは解っているが,つい,言ってしまう陳腐な慰め。

突然,グリーンフラッシュ1)を見たら幸せになれる,などいう詞がでてきて,これがタイトルになっているようなのだが,他の箇所との関係はよく解らない。

「涙がいっぱい流れるのは心を消毒してるんだ つらくなるだけの恋のウイルスは洗い流してしまおう 失恋をしたその数だけ 人は誰かと出逢うんだ」などといかにもクサい歌詞だが,前半は私の記憶では他にないものだ。オリジナルと言えるのだろう。

「もう少し強くなれたら そうきっと君にも見える しあわせが君にも見える」と励ましソングだ。

あれこれ文句を並べたが,解り易い詞で,このような詞は嫌いではない。

曲については可もなく不可もなくと言いたいところだが,途中ラップもどきの平坦な音程の箇所など不要で,普通のメロディーにすればいいのにと思うが,流行りなのだろうから仕方ない。

なお,この曲は柏木由紀と小嶋陽菜のダブルセンター。

1)      グリーンフラッシュ:赤い夕日が沈んだ直後に緑の光が見える現象。太陽光が清浄な空気中を長距離通過しているときにまれに見られる。長距離が条件なので,水平線や地平線に沈む太陽でみられる場合が多く,近くの山に日が沈む場合などには見られない。清浄空気でない場合,赤い夕日の原因であるレイリー散乱以外に種々の光散乱が生じ,この現象は見られない。グリーンフラッシュをみると幸せになれるというような言い伝えなどがあり,映画や小説などでも紹介されている。

 

コケティッシュ渋滞中(2022.2.27)

平成27年,詞:秋元康,曲:フジノタカフミ,唄:SKE48

「新しい服 似合ってるよ 髪を下したせいかな」と始まる。

どう聞いてもアイドル・ソング。大した内容があるようにも思えないが,次々とそれなりのヒット曲を出す秋元には脱帽だ。日本のGDPの一部になっているのだろう。怪しげな机上の景気浮揚策などいじくりまわしているよりずっと役にたっているのではないか。

 「ハート奪われて 誰も彼も 足を止めてしまう フェロモンガール」と終わる。

センターは松井珠理奈と松井玲奈。

 

コップの中の木漏れ日(2023.12.3)

平成27年,詞:秋元康,曲:外山大輔,唄:ラブ・クレッシェンド

 「風に木々が揺れた一瞬の影に そばにいて欲しいと君を想った」と始まる。

 「何も遮らずに君の瞳 見つめながら ただ好きだと一言だけ 言葉にできたらいい」と思うのだが。「僕は君の何を知っているのだろう? 遠くから眺める愛しさの森」などと自分の気持ちだけ高ぶっている。「片想い ささやかなこの願いを叶えておくれ」という歌。

 ところで「ささやかなこの願い」というのは何のことだろう。文脈からは「ただ好きだと一言だけ 言葉にできたらいい」ということのようだが,言葉にするのが願いならば誰かに願いを叶えてもらうようなものではなく,自分で決断すればいいことだ。恐らく言葉を発した後のことをいろいろと願っているのだろう。それらは「ささやか」なことなのか。心の中の大きな望みを隠すつもりがあるとは思えないが,それに気づかぬようではまだまだ人生修行が足りない。

 曲は素人でも唄いやすそうな平板なメロディーで,サビの高音が出るか不安だが私でも唄えそうだ。私は唄わないが。

 ラブ・クレッシェンドはSKE48メンバーから選抜されたユニット。この歌でのセンターは松井珠理奈。

 

コロニー(2024.3.17)

平成27年,詞:藤原基央,曲:藤原基央,唄:BUMP OF CHICKEN

 「どこだろう 今痛んだのは 手を当ててから解らなくなる 名前のない 涙がこぼれて 体の壁が解らなくなる」と始まる。

 東宝映画『寄生獣 完結篇』(染谷将太,阿部サダヲ,深津絵里ほか)の主題歌として書き下ろされたそうだが,私には『寄生獣』 との関係は感じ取れない。藤原は『寄生獣』を基にこのような詞を書いたのだ。

 「世界は蜃気楼 張りぼての城 消えそうで消えない生き物 ありがとう あなたは光 それだけが続ける理由」。「あなた」とは『ミギー』(主人公の右手に寄生した生物)のことなのだろうか。それとも登場人物の内の誰かなのだろうか。

 浦島太郎1)のように良く知っている話でも『帰ってみればこはいかに』を聴いて,亀の次は蟹かと思ったりするレベルの私が,詩文を理解するのは難しい。

1) 「浦島太郎」(明治44年,文部省唱歌)

 

最後もやっぱり君(2024.4.21)

平成27年,詞:つんく,曲:つんく,唄:Kis-My-Ft2

 「よく泣いた よく笑った けんかもする 口もきかず 変な空気の日も『あるだろう』」と始まる。

 ジャニーズ系の歌というか,平成の歌は歌詞が聞き取れない歌が多いが,作詞・作曲がつんくだからか,この歌は聞き取り易い。

 「理由は何もないよ 根拠はもっとないよ ただただずっとずっと 一緒に過ごしたいだけ それじゃダメなのかい」という歌。

 「未来の事はどんな誰も 絶対なんて有り得ない だからこそ努力をしてるんだ」などと言いながら「最後もやっぱり君」と終わる。

 特に好みというわけではないが,何が何だか解らない音楽が少なくないご時世で,何となく解りそうな歌というのは好感が持てる。

映画『レインツリーの国』(玉森裕太,西内まりや)主題歌。

 

Sakura(2022.9.22)

平成27年,詞:eltvo,曲:eltvo,唄:嵐

 「思い出した 声の温もりに 振り返れば 息をするように」と始まる。

 私には歌詞の意味が理解できない。個々のフレーズは解るような気もするのだが,フレーズ間のつながりが理解できず,全体としても理解できない。たとえば最後は「そして 明日も何かを探し続けて 何度だって脱ぎ捨てる 始まりを告げて いつまでも いつまでも この心に響け」と終わるのだが,なんのことかさっぱりわからない。

まずは「そして」は何と何をつないでいるのですか?「何かを探し」で探してるのは何ですか?探しているものが解らないなら,実際は探している振りをしているだけではないですか?何を「脱ぎ捨てる」のですか?何が「始まりを告げて」なのですか?

曲というか,メロディラインも単調に感じる。唄っている箇所も伴奏の音がにぎやかで,編曲も含め曲として単調というわけではないが。昭和の歌の多くは,歌手が歌っている箇所は伴奏を控えめにし,歌手の声やメロディラインを強調するようにしていたように思う。

 TBS系テレビドラマ『ウロボロス〜この愛こそ,正義』(生田斗真,小栗旬)の主題歌。

 

Summer Madness(2023.9.25)

平成27年,詞:STY,曲:AfrojackSTY,唄:三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE

 「熟れた果実のような太陽が 雲に洗われ沈んで行くサンセット 夢か幻か曖昧 そう白日夢の中で 動き出すヒストリー hey」と始まる。

 「色彩,アンビアンス,フィーリング、そして音色」とか言われても私には具体的なイメージがわかない。曲も私には乗れないし,この歌は私のための歌ではなさそうだ。

 

しぇからしか!(2023.8.21)

平成27年,詞:秋元康,曲:大分Ken,唄:HKT48 feat.氣志團

 「しぇ!しぇ!しぇ!しぇ! しぇ!しぇ!しぇか!しぇか! しぇ!しぇ!しぇ!しぇか!しぇか! しぇ!しぇ!しぇか!しぇか! しぇからしか!」と掛け声のようなものがあった後,今度は本当に掛け声なのか「アホーイ! アホーイ! アホ―イ!」とあって「オッス! 一歩も引かねえ! オッス! バリバリ全開!」と始まる。

 イキがったいろんな詞があるが,全体で言いたいのは「好きだ!」「好きだ!誰よりも!」「好きだ!大好きだ!」ということらしい。

 それでも,「人は誰も恋をして 思い通りに行かずに ずっと忘れられない 痛みだけが青春」とか「漢(おとこ)泣き!」などの詞もあることから状況は理解できる。せいぜいこの歌を唄って憂さを晴らしてくれ。

 センターは兒玉遥。

 日本テレビ『マジすか学園0 木更津乱闘編』(指原莉乃,宮脇咲良,児玉遥,綾小路翔ほか)主題歌。

 

12(2023.6.12)

平成27年,詞:秋元康,曲:Linia,唄:HKT48

 「世界中で一番キレイな 宝石をあげる だからちょっと目を閉じてなんて いたずらっぽく言われた」と始まる。

 「唇に触れたのは 柔らかなダイヤモンド」「唇を離したら すぐ消えるダイヤモンド」ということなので,要するにキスされたらしい。タイトルの「12秒」はこのキスの継続時間らしい。

 勝手にしてくれ。秋元の考えは私には理解できない。

 センターは兒玉遥と宮脇咲良。

 

starting over(2023.1.25)

平成27年,詞:小竹正人,曲:FAST LANE, MATS LIE SKARE, 220, BCHO,唄:三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE

 「一体何処から聞こえるのだろう? 誰かが僕を呼んでいる」と始まる。

 「巡り巡ってたどり着く場所に きっと幸せはある」と極めて楽観的である。まあ,悲観的過ぎるよりは良いが。

歌詞が聞き取り易いので聴いた感じは良いのだが,「この星で もしも僕が 何か伝えることができるとしたら」とか「この星に生まれ生きる その意味を今 もっと深く見つめたい」など,私が住む精神世界に比べ,あまりにも広大な世界の歌で,聴いていても呆然として,狭い私の心には入りきらない。

 

太陽ノック(2022.5.5)

平成27年,詞:秋元康,曲:黒須克彦,唄:乃木坂46

「ねえ 夏の強い陽射しに 街が乱反射しているよ」と始まる。

「一人きり 閉じ籠ってた 心から飛び出してみよう」と閉じ籠ってた人への外に出ようという呼びかけ,応援歌だ。「太陽ノック 誘っているよ 空の下は自由だと言ってる」とかなりお気楽のようだが,アイドルソングだからこんなものなのかもしれない。いや,お気楽な呼びかけのほうが良いのかもしれない。

センターポジションは生駒里奈。

 

強く強く強く(2025.6.21)

平成27年,詞:前原利次,曲:前原利次,唄:関ジャニ∞

 「君が手をのばした空の青が眩しくて」と始まる。

 「信じられるモノを見つけただけなのに 君はいつでも『これじゃない』と 作った景色をなぐってはこわした」。うーん,君は私には理解できない天才のようだ。その君が「手をのばした空」とは何のメタファーなのか。私には難解すぎる歌だ。

 日本テレビ系ドラマ『ドS刑事』(多部未華子)主題歌。

 

Dead or Alive(2024.5.25)

平成27年,詞:Jovette Rivera, Maiko Kawabe Rivera,曲:Jovette rivera, Maiko Kawabe Rivera,唄:KAT-TUN

 「LOST IN THE RAIN 何度も失って 孤独の影を映しだす MOONRISE HEAL BY THE FLAME 逃れた隙間から 涙と傷を隠して I LIVE」と始まる。

 歌詞の半分以上が英語という印象で,それも同じフレーズの繰り返しというわけではないので私には理解できない。映画はスパイ物らしいが,「挑んだGAMEはリセットできない 背負う闇も連れて」などは雰囲気が出ているような気がしないでもないが,何せ全体が解らない。それよりも「Dead or Alive」なんていうのは昔の西部劇のお尋ね者ポスターを感じさせてならないが。

 曲はスパイ映画らしい雰囲気を感じる。

 東宝配給映画『ジョーカー・ゲーム』(亀梨和也,伊勢谷祐介,深田恭子)主題歌。

 

ドリアン少年(2023.3.1)

平成27年,詞:秋元康,曲:藤本貴則,唄:NMB48

 「Hey! Hey! Hey!  Fu! Fu!...」と掛け声があって,「大好きな彼の写真 友達に見せた瞬間『ありえないでしょ!』『趣味が悪い!』とどん引きされたよ」と始まる。

 「キャンディーより ケーキより ほやの塩辛」とか「ドールとか ドレスより 高枝バサミ」という,他人とは違った嗜好の少女?の歌。その彼が世間的には「ブサイク」らしく,「ドリアン少年」と密かに?名付けているようだ。

 昔から『美人は3日で飽きる,ブスは3日で慣れる』と言われている。また,『蓼食う虫も好き好き』とか『あばたもえくぼ』など,人の趣味や嗜好は様々だということは良く知られている。

 私が驚いたのは,この歌では面と向かって「趣味が悪い!」と言われたらしいことだ。平成人は言葉をオブラートで包まないのだろうか。

 昭和時代のある時期,3Kという言葉があった。高学歴・高収入・高身長の意味だ。3K仕事は,きつい・汚い・危険な仕事を表していたのでこの3Kと混同されないように三高とも呼ばれていた。『私の彼です』などと写真を見せられた場合,三高ならばまずそれを褒める。三高でなくても,ひとつでも高があればそれを褒める。なにも褒めるところがない場合,『優しそうな人ね』などと言う。これが昭和人のオブラートに包んだ物言いだ。

 『イケメン』や『ブサメン』などと言う言葉は聞いたことがなかった。男は顔で評価するものではなかった。『しょうゆ顔』『ソース顔』などというのはあったが,どちらが上というわけでもなく,目玉焼きに醤油をかけるかソースをかけるかという単に好みの問題で,塩でも,胡椒でも,マヨネーズでも何でも良かったのだ。

センターは須藤凛々花。

 

Don’t look back! (2022.8.18)

平成27年,詞:秋元康,曲:Carlos K.,唄:NMB48

 「振り向くな! 昨日より前に出ろ!」と始まる。

 「選んだ未来なら そう死ぬ気で行くしかない」「叩きのめされても また立ち上がれ!」と昭和以前の根性至上主義のようだ。

「次のチャンスをあてにするな!」などと秋元に唄わされているのかと思うと,アイドルグループに所属して活躍するのも大変そうだと思う。歌自体は応援歌なのだろうが,唄はグループアイドルの唄で,他人を応援するというより,各メンバーが自分自身を叱咤激励する歌のように感じる。

センターは山田菜々。

 

ハロウィン・ナイト(2021.11.3)

平成27年,詞:秋元康,曲:井上ヨシマサ,唄:AKB48

「扉 開けたら まるで タイムマシーン! 巻き戻された夢のディスコティック」と始まる。

歌詞のとおり,懐かしいディスコ・サウンド。

「今夜は誰も馬鹿になれ!」「さあ 踊れ! 言葉はいらないよ もう 嫌なことを忘れよう!」と本来のハロウィンとは違ってきた日本の若者のハロウィン。盆踊りが形を変えたようにも感じられる。まあ,ハロウィンは西洋のお盆らしいが。

センターは指原莉乃。

 

Hello, world! (2024.2.11)

平成27年,詞:藤原基央,曲:藤原基央,唄:BUMP OF CHICKEN

 「扉開けば 捻れた昼の夜  昨日どうやって帰った 体だけが確か」と始まる。

  テレビアニメ『血界戦線』オープニングテーマ。

 「もう駄目って思ってから わりと何だかやれている 死にきらないくらいに丈夫 何かちょっと恥ずかしい」「悲鳴をあげたヒーロー 世界の真ん中で 終わるまで出突っ張り 自分が見ている だからもう 死んだふりも意味ない」とアニメの内容を知っていたらもっとよく解りそうな歌詞だが,知らないのでどうしようもない。

 

僕たちは戦わない(2021.10.4)

平成27年,詞:秋元康,曲:Yo-Hey,歌:AKB48

 「僕たちは戦わない 愛を信じてる」と始まる。

 「憎しみは連鎖する だから今 断ち切るんだ」というメッセージソング。

 「この世界で流れ落ちる涙の総量決ってるなら みんなで分かち合おうか」というフレーズだけは同意できないが,気分はわかる。

 「君が思うより 人間(ひと)はやさしい 何もあきらめるな」「振り上げたその拳 誰も下ろす日がくるよ」と,昭和の教職員組合推薦曲にでもなりそうだ。やはり秋元は若いのに昭和メンタルだと感じてししまう。

 詞の日本語のイントネーションとメロディーの不一致箇所が気になるが,平成の歌にはこのような歌が多いので仕方ない。曲のせいもあるのだろうが,メッセージを伝えようという感じではなく、平板に唄っているいるようにも感じる。

この歌のセンターは島崎遥香。

 

前のめり(2022.12.21)

平成27年,詞:秋元康,曲:杉山勝彦,唄:SKE48

 「風の中でひまわりが揺れる道を 全力で走ってる君を見かけたよ」と始まる。

 秋元の認識では人生を目的を持って走ることは青春を生きること,歩くことは大人になることらしい。君が走っているのを見て,僕はいつの間にか歩いていることに気づいた。「今すぐに走りたい 久し振りに思った」「迷いのない頑張り 君を見てそう思う 前のめりは 素敵だ」。僕も「前のめりに 生きよう」という歌。若者の歌だ。

 センターは松井玲奈。

 

前向きスクリーム!(2023.7.17)

平成27年,詞:GAKU・渡辺潤平,曲:渡辺潤平,唄:関ジャニ∞

 「前向き! 前向き!(前向き! 前向き!)我人生旅」と始まる。これは歌の一部というより、掛け声とかお囃子というようなもののようで、曲の途中でも何度も繰り返される。

 「調子乗って 前のめって ドジ踏んで やっちまった そんでもって ヘタこいた」らしいのだが,それでも前向きで,「とぉちゃん かぁちゃん じぃ ばぁちゃん みんな揃って踊りゃええさ」という歌。

 「老若男女 古今東西 空前絶後 天上天下 さあ皆の者バカになれ 誰もマネできぬバカになれOh」というお気楽ソングで,年中これでは少し心配だが,祭の際などには良いのではないか。

 

Must be now(2023.4.5)

平成27年,詞:秋元康,曲:Carlos K.,唄:NMB48

「閉ざされてた 闇の中で 探すものは 光じゃない 叫んでる 心の声」と始まる。

個々のフレーズは簡単なものだが,全体として解るような解らないような詞。例えば「傷つかないように 孤独に逃げ込んだ 守るべきものは何もない 0(ゼロ)から」では『何が』「傷つかないように」なのだろう。その『何か』を「守るべきもの」だと感じたのではないのか。

「自由を」「手に入れるため」「壁を壊すんだ」とか言っているが,「孤独に逃げ込んだ」のは自分だろう。勝手に闇の中に飛び込んで自由を捨てておきながら,自由が欲しいと駄々をこねている子供にしか見えない。そのような子供に対して優しく接するのが大人の対応なのかもしれないが,昭和人としてはそんな平成人には付き合いきれない。

曲は単調に感じる。このような単調な曲にする意図が私には解らない。

 センターは山本彩。

テレビ朝日系のバラエティ『今ちゃんの「実は・・・」』の10月のエンディングテーマとして使われた。

 

ユーモアしちゃうよ(2025.3.21)

平成27年,詞:権八成裕,曲:市川喜康・マシコタツロウ,唄:SMAP

 「雨上がり アスファルトの匂い 子供たち はしゃぐ声BGM」と始まる。

 「地位とか名誉とか 高ぶる株価とか 幸せって何なの」と言っているが,「その笑顔 笑い声 ほんのささやかな出来事が 生きる意味や喜び 全てを教えてくれた」と「幸せ」の意味を理解したようだ。タイトルの「ユーモアしちゃうよ」は意味がよく解らないが。

 歌詞の意味はいいとして,曲は平成らしくテンポが速い。もっとスローな曲でもいいと思うのだが。

 

Love Me Rightromantic universe(2024.10.26)

平成27年,詞:YooWon Oh(Jam Factory), DongHyun Kim,日本語詞:Sara Sakurai,曲:Denzil”DR”Remedios, Nermin Harambasic,  Coutney Woolsey, Peter Tambakis, Ryan S.Jhun, Jarah Lafayette Gibson,唄:EXO

 「Oh Yeah! C’mon! Take your time 聖なる月が照らす(NaNaNaNa) So tonight! 天空駆けるよ今夜は(Yea Yea Yea Yea)」と始まる。

 易しい英語がほとんどだが,歌詞の多くが英語なので聴いただけでは解り難い。しかし,歌詞を読んでみても「Just love me right」とか「I just wanna make you love me」とかが目立つだけで深い意味がありそうには思えない歌詞だ。

 

RED(2024.8.3)

平成27年,詞:稲葉浩志,曲:松本孝弘,唄:B’z

 「時計の針は正確に この体を刻みつづけ 思い残すことはないか 今一度自ら聞いてみる」と始まる。

 「(R)楽はしない (E)偉ぶらない (D)誰のせいにもしない」とサビの各フレーズはREDで始めている。「礼を尽くし 栄華を捨て 泥まみれにもなろう」「労を惜しまない 遠慮もしない 同情されたらおしまい」などもそうだし,他にもある。言葉遊びだが私は嫌いではない。

 平成27年,広島東洋カープに復帰した黒田博樹投手のマツダスタジアムでの登場曲として書き下ろされた。「RED」は『赤ヘル』のことなのだろう。

 

I seek(2022.7.14)

平成28年,詞:ASIL,曲:AKJASIL,唄:嵐

日本テレビ系ドラマ『世界一難しい恋』(大野智)の主題歌。

「存在もいつかは溶けてく 対面の先には陽射しあふれ 結論ばかりな超理論 まわる まわるよ」と始まる。

「こんなに愛したい 君に恋したい まだまだまだ 恋がないない そうじゃない こうなっちゃしょうがない」とよくもまあ,こう思いつくことをダラダラと垂れ流すことができるとあきれるが,これが平成流なのか,平成の歌にはこのような歌が少なくない。恐らく韻を踏もうということなのだろうが,たとえば「ない」は全て同じ言葉ではないか。異なる言葉で韻を踏んでこその修辞で,同じ言葉を繰り返すのは芸がない。もともと日本語の文章は用言で終わる文章だと語尾の変化が乏しく,作家によってはいかに語尾に変化をつけるかを工夫していたはずだ。

 

ANOTHER STARTING LINE(2024.9.16)

平成28年,詞:横山健・難波章浩,曲:Hi-STANDARD,唄:Hi-STANDARD

 「I’m home again  The old kids are alright  Never thought you’d be back in my life  Alive again」と始まる。

 英語の歌詞なので聴いてもさっぱりわからないが,歌詞を文字で見ると何となくわかる気がするレベルの英語だ。もちろん私にはニュアンスは解らない。

 「Never thought you’d be back in my life  Alive again  Brand new day in my eyes  I know you were always on my mind」。

 「Now I got a song for you  I hope you’ll sing it too」「This is not a love song  It’s a story of our time」「Just another starting line  For you and me」ということなのだが,作詞者の意図を私が理解できたかどうかは心もとない。

 

甘噛み姫(2024.3.16)

平成28年,詞:秋元康,曲:渡邉沙志,唄:NMB48

 「部屋に運び込んだ デンマークのソファー 片隅 置くには 大きすぎた」と始まる。

 「店先で見た時」「頭で描(えが)いた イメージと違ったね」とよくある話。

 「甘噛みはいつだって 君らしい愛し方」だが,「僕たちが付き合い始めてから 二年」,「昨日は何でもなかった 当たり前の出来事が 軋(きし)むように 重くなってきた」「甘噛みはいつだって 君らしい愛し方」「だけど今は凶暴すぎて 顔をしかめてしまった」。

 平成カップルは互いに自分を出し過ぎたのだろう。元は他人だということを忘れてはいけない。

 センターは山本彩。

 

UNLOCK(2024.12.8)

平成28年,詞:KAHLUA,曲:丸谷マナブ・Tobias GranbackaAndrew Choi,唄:KAT-TUN

 「GIRL, YOU’RE SO MYSTERIOUS GOT A FEELING THAT WE COULD EPERIENCE I CALL QUITS ON THIS ESCAPADE I STILL HAVE HER AT THE END OF THIS GAME」と始まる。

 詞は一応日本語なのだが,歌詞を読んでも理解できないほど私が普段使う言葉とは違い,かつ曲がアップテンポなので私には聞き取れない。歌詞が訴える内容を聴こうとする歌の聴き方は古いのだろうか。加齢により聞き取り能力が減退しているのだろうか。

 日本テレビ系ドラマ『怪盗 山猫』(亀梨和也,成宮寛貴,広瀬すず,菜々緒ほか)主題歌。

 

君はメロディー(2021.12.5)

平成28年,詞:秋元康,曲:you-me,唄:AKB48

「春の魔法に陽射しは変わって 人も街も明るめに着替えた」と始まる。

「知らずに 僕は口ずさんでいた」と突然昔の歌を思い出している。

「好きだよと言えずに抑えていた胸の痛み 僕のメロディー」。昔の歌とは君のことだろう。AKBメンバーの年齢を考えると,何が昔だといいたくなるが,秋元の想いだと考えると納得できる。秋元は昭和の感覚を強く残している。「好きだよと言えず」というのは昭和の歌にはよくあったが,平成でもそれなりにあるのだろうか。

AKB4810周年記念シングル。センターは宮脇咲良。

 

金の愛,銀の愛(2023.9.24)

平成28年,詞:秋元康,曲:伊藤心太郎、唄:SKE48

 「金(きん)の愛か?銀の愛か? おまえが失くした愛はどれだ?」と始まる。

 続く答えは「そんな美しい愛じゃなくて 信じてただけの独りよがり」というもの。

 金でも銀でもないと答えたのが良かったのか,何かご褒美がもらえるのかも知れない。歌詞は「欲しいものなんて もう思い浮かばないよ」と続く。「価値あるものは金(きん)じゃないんだ この手伸ばしても拾えないくらい 今深い底に沈んでいった幻」ということのようだ。

 出だしは神様と出会ったかのような歌詞だが,途中には「神様がいるなら あの人 返してください」などという詞もある。「欲しいものなんて もう思い浮かばないよ」と矛盾するようだが,そのような論理的整合性を目指す歌ではないのだろう。何となく雰囲気に浸れればいいということなのか。

 TBSドラマ『死幣-DEATH CASH-』(松井珠理奈,戸次重幸)主題歌。

 

Give Me Love(2023.12.2)

平成28年,詞:Vandrythem,曲:原田卓也,川口進,Christofer Erixon,唄:Hey! Say! JUMP

 「Give Me Love Give Me Love どこまでもゆく 果てないこの空の下  Give Me Love Give Me Love  大事な人が どこかで君を待ってる」と始まる。

 平成の歌は私には解り難い。「Me」,「大事な人」,「君」と三人が登場したようなのに,「ずっと叫んでた 僕の思い届くまで もう迷わないから」とあっという間に登場人物は二人になったようだ。大事な人とは自分のことだったのか?それは都合よすぎませんか?

 そもそも,「Give Me Love」などというのは『Give me chocolate1)を思い出させ良いイメージがない。何か施しを求めているような印象だ。愛は乞い願うものではなく与えるものではないのか。

 フジテレビ系『カインとアベル』(山田涼介,桐谷健太,倉科カナほか)主題歌。

1) Give me chocolate」:戦後,日本に進駐した米軍兵に対し,戦災孤児たちが呼びかけた言葉。真偽は知らないがそのようなことがあったかもしれないと思わせる言葉。

 

Gravity(2024.6.28)

平成28年,詞:Ryohei Yamamoto,曲:Kento Takeda,Takuya Harada, Christofer Erixon,唄:Kis-My-Ft2

 私の耳では聴き取ることはできないが,歌詞を見ると「Gravity  I feel it pulling me down, so deep to the ground  KMF2, Let’s get DOWN!」と始まるようだ。

 その後も「挑む7 Dreams 七色のSeas  …..別々のStyle重なってRize 一つとなるTeam二つとない道」と続くようだが,読んでも解らないので聴いただけでは全く解らない。他にも「”G”の音色で」とか「”G”のスピードで」とか,私の理解を越えたフレーズもある。私にはお手上げの歌。元々私のような年寄りに解らせようという気はないのだろう。

 日本テレビドラマ/映画「MARS〜ただ,君を愛してる〜」(藤ケ谷太輔,久保田正孝)主題歌。

 

(2025.3.19)

平成28年,詞:星野源,曲:星野源,唄:星野源

 「営みの 街が暮れたら色めき 風たちは運ぶわ カラスと人々の群れ」と始まる。

 「胸の中にあるもの いつか見えなくなるもの それは側にいること」

 長い詞の論理展開について行けないが,若い人には感覚的に良く通じるのだろう。曲も単調に感じるのだが,これが世代間のギャップなのだろう。

 TBS系ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(新垣結衣,星野源)主題歌。

 

最高かよ(2023.8.20)

平成28年,詞:秋元康,曲:和泉一弥,唄:HKT48

 「I wanna do! (I wanna do!)」と始まる。

 コーラスがしばらくあって,コーラスの最後は「(あーよっしゃ行くぞー!) (タイガー! ファイヤー サイバー! ファイバー! ダイバー! パイパー! ジャージャー!)」となるのだが,何の事か私には理解できない。深い意味はないのだろうが。

 他にも「(虎!火!人造!繊維!海女!振動!化繊!飛!除去!)(チャペ!アぺ!カラ!キナ!ララ!トゥスケ!ミョーホントゥスケ!)」も理解できないが,景気づけの掛け声だと思えば細かいことは無視できる。

 歌詞は「いつからだろう 君が好きだよ」「君って最高かよ」ということに尽きる。意味不明の掛け声も含め,ノリの良い曲だ。小難しい議論の歌詞ではなく,意味不明でもノリの良いこの歌のようなものこそ,アイドルグループにはふさわしいと思う。

 センターは松岡はな。

 

サイレントマジョリティー(2023.4.4)

平成28年,詞:秋元康,曲:バグベア,唄:欅坂46

 「人が溢れた交差点を どこへ行く?(押し流され)」と始まる。

 「君は君らしく生きて行く自由があるんだ」と若者へのメッセージソングだ。

 「One of themに成り下がるな ここにいる人の数だけ道はある 自分の夢の方に歩けばいい」。

 「誰かの後 ついて行けば 傷つかないけど その群れが 総意だと ひとまとめにされる」。

 「選べることが大事なんだ 人に任せるな」は真理だが,選んだ責任は取る必要がある。『自分は悪くない』症候群に罹っているのではないかと感じる平成人に,その覚悟があるのだろうか。

 センターは平手友梨奈。

 

サヨナラの意味(2022.5.4)

平成28年,詞:秋元康,曲:杉山勝彦,唄:乃木坂46

「電車が近づく 気配が好きなんだ」と始まる。

「高架線のその下で耳を澄ましてた」と続くが,私が子供の頃もこのようなことは行われていた。電車が近付いて来ると独特な音が聞こえてくる。ガード下で電車を待つのは楽しみというより,罰ゲームというか度胸試しというか,そんな行為である。電車が通過する際の轟音も小さな子供には恐怖を与えたが,何も電車が落ちてくるかもと恐れたわけではない。

急行のように停車駅間が長い列車の場合,もちろんトイレがついていたが,今のようにため込み式ではなく,便器から下をのぞくと枕木や地面が見える垂れ流し式だった。だから,駅など,いつも停車する位置が決まっている場所は排出箇所が一か所に固まると都合が悪いので『停車時には使用しないでください』という注意書きがあった。ガード下で電車をやり過ごすということは,運が悪ければ直撃の恐れがある。通常は枕木に当たって,シャワーのように飛び散るのだ。

垂れ流し式に変わって貯留式が導入されたのは昭和33年,国鉄と小田急だった。もちろんこれらも一気に変更されたわけではない。

せっかくの秋元の詞なのに,最初から変な方向に話をそらしてしまって申し訳ないが,高架線の下と聴いてまず連想したのがこの話だ。秋元は私より10歳ほど年下だから,このような記憶がないのかもしれない。地域によっても違いはあっただろう。もちろん乃木坂メンバーにとっては夢にも思わない話だろう。

歌に戻ろう。

「サヨナラに強くなれ この出会いに意味がある」などと言われると,何のことかはわからないうちに,何となく高尚なことを言われたような気になってしまう。「始まりはいつだって そう何かが終わること」のような言葉も,当たり前の内容をわざわざ言挙げすることにより,哲学風な効果を期待しているのかもしれない。

この歌のセンターポ結局,「サヨナラを振り向くな 追いかけてもしょうがない 思い出は 今いる場所に置いて行こうよ」というのがメッセージなのだろう。平成の歌は歌詞の文字数が多い歌が多いが,多くの文字数をつかってメッセージがこれだけかとも思うが,思い出と現実がなかなか区別できないのが平成かもしれない。昭和ではいくら思い出を大切にしても,一度別れたら最後,二度と会えないことが少なくなかったが,平成では交通機関や通信手段の発達により,再び会えそうな気がするのかもしれない。

センターポジションは橋本奈々未。

 

しあわせを分けなさい(2022.2.26)

平成28年,詞:秋元康,曲:箭内道彦,唄:AKB48

「今日の君は 今までで一番美しいね」と始まる。

ウェディングドレスを着ているようだ。

「しあわせ 分けなさい これからの人生 涙も分けなさい 誓いを永遠に」というのはキリスト教では式の最中にこれに似た内容の話がされる。この歌ではさらに「しあわせ 分けなさい まわりの人たちに」とまで広げられている。

詞の感性は昭和の感性のように感じるが,平成も同じ感性なのか,秋元の感性が昭和なのか。

曲はやはり昭和的だ。「しあわせ 分けなさい」などと言いながら祝福しているというより,自分自身が幸せをかみしめているような曲。

センターは指原莉乃。

 

Sha la la Summer Time (2024.4.20)

平成28年,詞:KOMU,曲:Samuel Waermo, Stefan Ekstedt, DidrikThott,唄:Kis-My-Ft2

 「Sa la laSummer  Time Sha lala 叫べ 真夏の空へ Let’s Scream Let’s Scream」と始まる。

 英語が多い詞の割には聞きやすく感じるのは英語部分が単純なフレーズの繰り返しが多いことと,日本語部分のメロディーが日本語アクセントから大きくずれていないからだろう。全体的にお気楽すぎるようにも感じ,眉を顰めたくもなるが,ご時世なのだろう。

 歌詞が聞きやすいと書いてしまったが,歌詞が全て聞き取れる訳ではない。なんとなく「夏だ」ということと「走ろう 燃え尽きるまで」というような雰囲気が感じ取れるだけだ。

 

世界には愛しかない(2023.2.28)

平成28年,詞:秋元康,曲:白戸佑輔,唄:欅坂46

 「歩道橋を駆け上がると,夏の青い空がすぐそこにあった。」と始まる台詞から始まる。歌は「ただじっと眺め続けるなんてできやしない」と始まる。

 歌になってからは早口言葉のような速さで,とてもついていけないと思うが,しばらくすると普通の歌の速さになる。まあ,それでも昭和の歌に比べれば速いが。

 それにしても「世界には愛しかない」とか言いながら「今すぐ僕は君を探しに行こう」などと言っている。ひょっとしたらまだ君を見つけてないのか?「君」とは「愛」あるいは「愛する人」のことだろう。どうも観念的な「愛」に憧れているだけのような感じを受ける。若いうちはそのようなこともあるだろうが。

 テレビ東京系ドラマ『徳山大五郎を誰が殺したか?』(欅坂46)の主題歌。

 センターは平手友梨奈。

 

チキンLINE(2023.5.8)

平成28年,詞:秋元康,曲:高木隆次,唄:SKE48

 「あなたを待っていたのに 混雑してるホームで」と始まる。

 編曲のせいだろう。唄っているときの伴奏の音量が下がるので歌詞が聞き取り易い。昔の歌はみなこうだったが,平成の歌は,踊り易くするせいだろうか,唄っている最中でも明確なリズムを刻んでいる曲が多いように思う。

 歌はLINEで告白してきたあなたに,「目を見て言いな!」と「既読スルー」する様子を歌ったもの。さすが秋山,解り易い。まあ私の若い頃は携帯電話などというものはなかったが。

 映画 プリパラみ〜んなのあこがれレッツゴー☆プリパリ エンディング。

 

翼はいらない(2021.11.2)

平成28年,詞:秋元康,曲:若田部誠,唄:AKB48

「翼があったら 大空を飛んで どこへ行ってみようかと 考えてみたけれど」と始まる。

昭和40年代の気分を色濃く残した歌。『翼をください』1)を意識した歌だろう。いちおう「翼が生えたら 自由になれるよ どこへでも思い通り 願いは叶うだろう」と昭和40年代の思いを歌った後,「鳥は空から 僕らのことを 眺めて思う 翼が(翼が) ないって(ないって) 素晴らしい」と鳥の視点を示している。「空を飛ばなくても 歩いて行けるから 自分が持ってるものだけで しあわせになれるんだ」と新しく発見し,「翼はいらない 今の僕がいい」と昭和からは様変わりだ。昭和の当時は日本が世界2位の経済大国になったのが昭和43年,更にバブル経済に向かっていた頃は翼が欲しかったのが,失われた30年の平成では翼を得てどうしたいという目標を見失ってしまったのだろう。

なお,この歌のセンターは向井地美音。

1) 「翼をください」(昭和46年,詞:山上路夫,曲:村井邦彦,唄:赤い鳥)

 

罪と夏(2024.2.10)

平成28年,詞:高木誠司,曲:Dr.Dalmatian,唄:関ジャニ∞

 「来たぜ夏! 来たれSUN SUN水着―ナ! さぁさギラギラ燃え燃えよ(Yeah!)」と始まる。

 平成22年,あやまんJAPANが唄った『ぽいぽいぽいぽぽいぽいぽぴー』も歌だと認識されているようだから,この「罪と夏」も歌なのだろう。私が中学生だったら面白がって唄っていたかもしれない。

 平成のジャニーズ系の歌は自分の思いを未整理のまま垂れ流しているようなのが多いように感じる。雰囲気は伝わってくるのだが,歌詞が論理的でないので解り難い。もっともこの傾向はジャニーズ系に限ったわけではない。小室哲哉・EXILE・浜崎あゆみ・安室奈美恵・宇多田ヒカルなども似た傾向を感じる。平成のJ-POPはこういうものなのかも知れない。

 

Daylight(2022.8.17)

平成28年,詞:stereograph,ラップ詞:櫻井翔,曲:Simon Janlovwonder note,唄:嵐

 「誰もが同じ悔しさで 夢の終わりを認めないように」と始まる。

 「明日はそう 違う自分と 歩いていくから」と続くが,何が言いたいか解らない。まず,「誰もが」どうなのか解らない。そもそも「誰もが同じ」などと言い切ることができないはずだと思うのだが,誰もが認めないのか,誰もが歩いていくのか,認める者もいるだろうし,同じ自分と歩いていく者もいるだろう。ということで,最初から他人の想いなどまったく考えていなさそうだ。

 他人も自分と同じように思っていると思っているようだが,その自分の思いも私には伝わらない。「もっと強くしなやかな光で ゼロを突き抜けて」と聞いてもなんのイメージも浮かばない。

 ということで,解らない歌。歌と書いたが,私には歌と言うより語りに聞こえる。まあ,一曲の間に多くの言葉を詰め込もうとすれば一つ一つの音を大きく発声してはおられないので,声が出ない分はマイク・アンプ・スピーカーの力を借りるのが平成流ということなのだろう。

TBS系ドラマ『99.9−刑事専門弁護士−』(松本潤)の主題歌。

 

74億分の1の君へ(2024.1.6)

平成28年,詞:秋元康,曲:斉門,唄:HKT48

 「生まれたあの日から ずっと探して来た 運命の相手が 隣で微笑むよ」と始まる。

 「こんなすぐ近くに 君がいたなんて 予想外の 奇跡だった」,「これからの人生 一緒に 歩こう」ということでハッピー・ソングだ。絵本を開いたら最初のページに白馬に乘った王子様が登場しているようで唐突な気もするが,アイドルソングだからこれでいいのだろう。

センターは兒玉遥。

 

NOROSHI(2024.8.2)

平成28年,詞:高木誠司,曲:Peach,唄:関ジャニ∞

 「迷わず選べ同調“右向け右”でOK 口癖の様に”Yes”争いなら”Oh, No”」と始まる。

 言語明瞭なれど,私にとっては意味不明瞭だ。

 「望んだまま手にするは“女王” 手を引くのは“以下,その他” “私なんて”が流行りの枕詞?」だからどうなんだ。何かに反逆したそうなのだが,どのような理由で何に反逆したいのか解らないのは私が時代に取り残されたからなのだろうか。

 東宝配給映画『土竜の唄 香港協奏曲』(生田斗真,堤真一,仲里依紗ほか)主題歌。

 

ハイテンション(2022.3.31)

平成28年,詞:秋元康,曲:シライシ紗トリ,唄:AKB48

 「OH! YEAH! OH! YEAH! カッコつけないで 声を出せ! リズムに乗らなきゃ 始まらない」と始まる。確かにリズムには乗れそうな曲だ。

 「テンション ション ション ション ション テンション マックス! ヒートアップ アップ アップ アップ アップ ヒートアップして行こう!」と歌のタイトルどおりハイテンションだ。

 「ミサイルが飛んで 世界が終わっても 最後の一瞬もハッピーエンド」とお気楽だが,

日本テレビ系『キャバすか学園』(宮脇咲良,松井珠理奈,横山由依,ほか)主題歌。センターは島崎遥香。

 

裸足でSummer(2022.6.8)

平成28年,詞:秋元康,曲:福森秀敏,唄:乃木坂46

 「いつもの夏と違うんだ 誰も気づいていないけど」と始まる。

 「そう君にいつも 振り回されて あきれたり 疲れたり それでも君に恋をしてる」という程度には自覚してるんだ。

 「大勢いるよ 男友達 その中の一人が僕だ」「今の距離感 心地いい 普通で楽なんだ」などと寝ぼけたことを言っていると後悔することになるぞ。好きなお菓子を最後に食べようととっておこうとすると,手の早いものに取られてしまかもしれないと考えないのか。競争社会なのだ。それとも平成は違うのだろうか。

 曲は単調だ。複雑な曲は唄えない素人にもカラオケなどで気持ちよく唄えるようにとの配慮かも知れない。

センターは齋藤飛鳥。

 

ハルジオンが咲く頃(2022.9.21)

平成28年,詞:秋元康,曲:Akira SunsetAPAZZI,唄:乃木坂46

 「ハルジオンが 道に咲いたら 君のことを僕らは思い出すだろう」と始まる。

 私は花には詳しくないのでWikipediaで「ハルジオン」を調べたところ,道端に咲いていたりする帰化植物で,一部の地域では『貧乏草』と呼ぶそうだ。言い伝えでは『折ったり摘んだりすると貧乏になる』とのこと。秋元はこのことを知らなかったのかもしれない。秋元が『貧乏草』という名を知っていたかどうかは解らないが,ハルジオンを見る目は優しい。

「話しかけるきっかけもないまま」などとあるので,ハルジオンのような人の歌かとも思ったが,やはりハルジオンそのものを歌った歌のようだ。もし秋元が『貧乏草』という別名を知っていて,この歌が特定の人を歌った歌ならば,話しかけるきっかけは意図的に作らなかったのではないかとも思え,もしそうだとすると,私が受けるこの歌の印象は大きく変わる。

センターは深川麻衣。

 

薔薇と太陽(2025.2.4)

平成28年,詞:吉井和哉,曲:吉井和哉,唄:KinKi Kids

 「青空に咲いたよ(boys and roses and girls) 夜空に咲いたよ(boys and roses and girls)」と始まる。

 歌詞は良く聞こえているように思うが理解できない。例えば「ザクロの色の彼方へ」でどのようなイメージを抱けばいいのか解らず,解らないうちに次に進んでしまう。「見つめ合えたらそこはもう地平線」,「この星では僕ら 誰の生まれ変わり」これらも解らない。

 私にはお手上げの歌。

 

パノラマ(2025.6.19)

平成28年,詞:久保田利伸,曲:久保田利伸,唄:関ジャニ∞

 「Tu Tu Tu Tu… Latta talala Lattalala」とあり,「今日も1日がスタート カバンを忘れてしまった」と始まる。

 「巻き起こせ 勇気の火を運命切り開け その先には みんなの笑顔がまっている 大事な人守る為に また強くなれ」と,最初こそやや頼りなさそうだが,応援歌だ。「七転八起で起死回生」というわけだ。頑張れ。

 フジテレビ系アニメ『モンスターハンターストーリーズRIDE ON』主題歌。

 

Power of the Paradise(2022.12.20)

平成28年,詞:paddy,曲:nobby,唄:嵐

 「You’ve got the power now」と一声あった後,「強がりや理想だけじゃ 届かなくって」と始まる。

 嵐の曲の中では珍しく,聞き取りやすい歌。それでも「Cry Cry Cry 顔を上げて」とか「暗い暗い暗い 夜を抜け」などと恐らくは意図的であろうリスナーを惑わす詞などもあり,わざと解り難くしているようにも感じられる。とはいえ雰囲気はオリンピックの雰囲気にマッチした歌になっていると感じる。

 日本テレビ系『リオデジャネイロオリンピック2016』テーマソング。

 

Fantastic Time(2024.5.24)

平成28年,詞:KOUDAI IWATSUBO,曲:Albi AlbertssonKOUDAI IWATSUBO ,唄:Hey! Say! JUMP

 「信じて 愛して 感じて 夢見て Ready… Go!!  信じて 愛して 感じて 夢見て Ready… Go!!  信じて 愛して 感じて 夢見て Ready… Go!!  信じて 愛して 感じて 夢見て Ready… Go!!」と始まる。

 「Runwayを歩いて一切合切忘れて 今日だけ楽しんでみて」とあるがここの「Runway」とはどういう意味なのだろう。あるいはどこにある「Runway」なのだろう。「重力なんてモンは捨てて」とあるがどうすれば捨てられるのだろう。あるいは何かの比喩なのだろうか。

 「誰も彼もが」などと勝手に全人類を一緒くたにしてほしくはないが,昭和の時代でも『人は誰も』などと勝手に自分の思いを他人にも当てはめる作詞者がいたので,これは作詞でもしようかと思う者の性質かもしれない。

 「そうさ英雄になれずとも 輝くトキメキを纏(まと)って 冒険できる このFantastic」。これは何を言っているのだろう。もう少し状況説明がないと私には理解しがたい。

 歌詞の一部は早口言葉のようにスピードアップする。歌詞のスピードは時代とともに早くなるのは仕方ないのかもしれないが年寄りにはついて行けない。

 

二人セゾン(2023.1.24)

平成28年,詞:秋元康,曲:Soichiro KNozomu S,唄:欅坂46

 「二人セゾン 二人セゾン 春夏(はるなつ)で恋をして」と始まる。

 さすが秋元,私には全く理解できない詞を書いている。サザンの桑田やTUBEの前田のように夏の恋が秋には終わるという年中行事のような恋愛を歌っているようにも感じるが,解らない。秋山は欅坂にこの歌が適切だと考えたのだろうが,歌の内容が理解できない私には秋山の意図も理解できない。

 センターは平手友理奈。

 

復活LOVE(2022.10.26)

平成28年,詞:竹内まりや,曲:山下達郎,唄:嵐

 「横なぐりの雨の中 この部屋を飛び出した 君は」と始まる。

 「二人でいられるだけで 足りないものなどはないと 思い込んでは君の淋しさ 知らずにいたこと悔やむだけ」と自分のことしか考えていなかったことに遅まきながら気づく。「どこにいる? メールさえも届かない」「僕を許して ごめんね」と,今頃気づいても遅いのだ。勉強になっただろう。少しは大人になれそうかな?などと思うのだが。

 竹内の詞は最後の方で「ある晴れた 月の満ちる夜 微笑み浮かべて 舞い戻ったAngel」と驚きの展開だ。一度壊れた関係は戻ることはないと思うのに,竹内は「もう二度と離れないと 誓い合う」などという詞を書いている。だから「復活LOVE」なのだろうが,意外な結末だ。

 昔の歌を思い出してもほとんどが『覆水盆にかえらず』系で『雨降って地固まる』系の記憶はない。

 

僕以外の誰か(2023.6.11)

平成28年,詞:秋元康,曲:Carlos KAkira Sunset,唄:NMB48

「もうこれ以上 見つめていられない 君に何か言葉掛けたくなる」と始まる。

「これから先も 僕を頼ったら 君はずっと弱いままだろう」ということで「僕以外(誰か) ふさわしい奴がいる」とか「僕じゃなく(誰か) 探さなきゃだめなんだ」とか,勝手なことを言っている。

私が「君」に感情移入できないのは当然だが,「僕」にもまったく共感できない。私には,「僕」が「君」のためだけを考えているようには感じられない。

私としてはこのように言われた「君」の歌を聞きたい。

曲もラップもどきから始まり,アイドルの歌のようには感じられない。

センターは山本彩。

 

僕はいない(2023.7.16)

平成28年,詞:秋元康,曲:aokado,唄:NMB48

 「僕はいない 夏の砂浜 君は誰と海を見るの?」と始まる。

 「僕はいない 君の近くに」という歌なのだが,なぜこうなったのか第三者である私には全く不明なので,『あっそう』と言うだけだ。歌詞には自分のことだけで,過去の反省など全く見られないので恐らく相手の気持ちを想いやることなど全くなかったのではないか。未練の気持ちはよく解るが自業自得だろう。

 これが,まだ一度も声を掛けることすらできないというのなら頑張れと応援する気にもなるが,去年は一緒に居たらしいから同情する気になれない。

 センターは渡辺美優紀。

 

真剣SUNSHINE(2023.10.28)

平成28年,詞:KOMU,曲:原一博,唄:Hey! Say! JUMP

 タイトルは「マジサンシャイン」と読むらしい。「マジ」といえば,『本気!』と書いて「マジ」と読む立原あゆみの漫画が昭和61年から平成8年まで週刊少年チャンピオンに連載されていた。昭和世代にはこの漫画の主人公白銀本気(しろがねまじ)のほうが馴染み深い。

 歌は最初に「Wow Wow Oh Oh Oh Oh Oh Oh」という雄叫びがあり,「光る真夏のビーナス 太陽も独り占めさ」と始まる。

 「釘付けのEyes(Eyes)  もしかしたら愛(愛)」と続く。文字で見れば容易に理解できるが,聴いただけで「Eyes」と「愛」を聞き分けられるのだろうか。

 まあ,「お前が好きだ!!! バカみたいに好きだ!!!!!」ということは解り,これさえ伝わればそれでいいのかも知れない。

 

道は手ずから夢の花(2025.5.4)

平成28年,詞:安藤裕子,曲:安藤裕子,唄:KinKi Kids

 「誓えば遠のく夢の花 何処行く?何処行く風のように」と始まる。

 「左すれば囁く 棘のように」とはどういうことだろう。私はいままでこのような表現は聞いたことが無い。どうも平成の日本語は私が若い頃使った日本語とは少し違うようだ。「ララバイラライライ」というのも何のことか理解できない。まあ昭和にも『ラメチャンタラギッチョンチョンデパイノパイノパイ』1)などという私には理解できないフレーズもあったが。

 「道は何処までもある 道は手づから拓け」。道があるなら拓く必要はないようにも思うが。まあ頑張れと激励したいるようなのでよくは解らないが良しとしよう。

 曲のリズムは平成ダンスには合いそうにない。しかし,平成のジャニーズ系でない誰かが唄った曲とどことなく繋がっているのではないかと感じるメロディーだ。

 1)「東京節(パイのパイのパイ)」(古いところでは大正7年というのを見たことがある。榎本健一,森山加代子,植木等,ザ・ドリフターズほか多数のレコードがある。)

 

YAMATODancing(2024.10.24)

平成28年,詞:タイラヨオ(SUPA LOCE),曲:Miki Fujisue,唄:BOYS AND MEN

 「YAMATODancing 強く靭やかに 大和男子 生まれたからには この魂 燃やす夢がある 男の生き様みせてやる」

 威勢のいい歌だがせわしない。「大和男子」とか「生き様」などと言うなら,もっとどっしり構えていてほしいが世代の違いなのだろう。

 『敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花』(本居宣長)などと悠長に構えていては平成の世は渡っていけないのかもしれない。もちろん宣長が悠長に構えていたとなど言う気はないのだが。

 

LOVE TRIP(2022.1.7)

平成28年,詞:秋元康,曲:春行,唄:AKB48

「僕らの知ってる街は どこへ行ってしまったのだろう?」と始まる。

子供のころの景色は自分自身の身長が低かったせいで視点が低く,かなり広かったと思う場所も思ったほど広くない。しばらくその地に立たず,久しぶりにその地に行けば驚くほど狭い。

「胸の奥にしまっていたあの頃」というのはその時期を表すと同時に,あの頃胸の奥にしまっていたことも表しているのだろう。秋山は私より若いが,秋山の世代にも胸に秘めた想いがあったのだろうか。

「恋はいつしか上書きされて行くもの」とあるが,昔は上書きという言葉がなかったので,焼き捨てたり水に流したりしたのではないか。しかし,今の言葉でいえばファイルはフォルダーに保存されているのではないか。だからこそ「恋は消えずに 心が蓋をするもの だから時々 開いてみたくなる」などということが言えるのだろう。

ということで,詞は昭和っぽいのだが,曲は平成アイドルソングになっている。AKBがアイドルだからこれは仕方ないことだ。

センターは指原莉乃。