鈴 鹿 の 巨 木

 

 鈴鹿山中に点在する巨樹・巨木を取り上げて紹介する。鈴鹿は低山ゆえに古くから里人に利用され、二次林と植林が殆どである。そのため巨木が残る条件に乏しいと言えるだろう。しかし登山中に少なからず大木と遭遇する機会がある。全国レベルには満たないが、条件の悪い山で生き残ったことはかえって貴重ではなかろうか。

 巨木には人を惹きつけてやまない魅力がある。不動の大地に根を張り、人よりはるかに長い年月を生き抜いて歴史を目撃してきたのだ。黙して語らぬ巨木の声を聞こうとするとき、人は煩悩を忘れ謙虚になれる。鈴鹿を面で捉えれば、まだまだ管理人が歩いた場所など、たかが知れている。未踏の地域には数多の巨木が眠っていると思われる。それはそれで更新していく楽しみとしよう。

                                      二〇〇六年 七月 

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サワグルミ (クルミ科 サワグルミ属)

場所

幹周(cm)

写真

通称等

標高

備考
真ノ谷右岸 395 家族ぐるみ 1045 御池岳
神崎川右岸 378 ツインタワー 750 千種街道
上谷尻谷右俣源流 約360   950 イブネ
オニグルミは堅く家具、建材に使われるが、サワグルミの材は柔らかい。
下駄、マッチの軸、特殊なところではリレー用バトン等に使われる

 

シデ (カバノキ科 クマシデ属)

場所

幹周(cm)

写真

通称等

標高

備考
蓮如碑東 456   665  千種街道
アカシデ
向山鉱山跡上 367   800 千種街道
クマシデ
向山鉱山跡上 243
(地上120)
  810 千種街道
クマシデ
用途  雑多な日用品・薪炭

 

ブ ナ (ブナ科 ブナ属)

順位

場所

幹周(cm)

写真

通称等

標高

備考
綿向山
水無山北尾根

378

(仮)ミズナシの翁 910 2012年現在一位
空洞あり
黒滝惣王神社東
ベンケイの尾根

348

弁慶ブナ

620

空洞あり
烏帽子・三国縦走路 310 ブナ将軍 720

円筒形では一番
太い

竜ヶ岳
クラ北尾根
288 バンザイブナ 950  
竜ヶ岳
遠足尾根北斜面

285

龍神のブナ

910

空洞あり
七人山東峰北尾根

280

古武士のブナ 940 上部欠損
千種街道
杉峠西

270

怪童ブナ

950

 
御池岳
丁字尾根
268 お母さんの木 900  
御池岳
コグルミ谷左岸尾根

267

 こじろうブナ 1090  
10 鈴北岳北東
みぶな野

266

霧のブナ 1080  
11 綿向山
金明水上

262

金明ブナ

1000  
12 野登山
鏡池付近
260 鏡ブナ 820  
13 静ヶ岳
セキオノコバ東斜面

257

クサビブナ

900

 
14 国見岳
ブナ清水

252

次郎長

945

 
14 綿向山
ブナの木平
252   1000  
16 御池岳
ブナ権現北

251

ボタン鍋のブナ 1000  
17 土倉岳南尾根 247 豪腕のブナ 995  
18 竜ヶ岳
クラ北尾根

247

マヨブナ

970

 
19 烏帽子・三国縦走路 245 副将軍 725 ブナ将軍の隣
  腐りやすさや乾燥による狂いなど、建築材には適さない。木偏に無と書くのは役に立たないからという。
しかし豊富にあるので建材以外の様々な日用品に使われている。
それよりも保水力抜群で自然のダムとして貴重。生えているだけで有り難い。

 

ミズナラ (ブナ科 コナラ属)

場所

幹周(cm)

写真

通称等

標高

備考
杉峠西

606
(地上80)

一反ホーソ 920 千種街道
向山鉱山跡

429
(地上110)

  790 千種街道
向山鉱山跡下

426

  750 千種街道
又川左岸

303
(地上70)

又川の又やん 490 茶屋川
キツネ峠西

290

オバケの木 800 愛知川左岸
欧州ではオークと呼ばれ、家具材の王様。その他洋酒樽などに使われる。
日本では椎茸原木、薪炭として利用

 

ク リ (ブナ科 クリ属)

場所

幹周(cm)

写真

通称等

標高

備考
神崎川右岸

245

  750 千種街道
小峠分岐東

214

  830 千種街道
虫や水に強く、堅い。耐朽性、保存性に富み、土台、線路の枕木などに使われる。

 

ケヤキ (ニレ科 ケヤキ属)

場所

幹周(cm)

写真

通称等

標高

備考
御池岳北斜面 525
(地上20)
穴守のケヤキ 秘密 付近竪穴あり危険
野登寺北斜面 482
(地上100)
  860 樹勢盛ん
コグルミ谷左岸

460

窓付き別荘の木   御池岳
大きなウロあり
水木洞右岸

384

水木洞の爺 960 御池岳  空洞
野登寺東斜面 358 半死半生の木 840

幹の半分は朽ちて
いるが葉は元気

緻密で堅く建築材として一級品。中心の赤身しか使えないので太いものは貴重。
ケヤキの大黒柱や鴨居などは庶民には手が出ない高級品になった。磨くと素晴らしい光沢が出る。
家具やテーブルとしても重用される。特殊なところでは和太鼓、臼、火鉢、仏壇。

 

カツラ (カツラ科 カツラ属)

場所

幹周(cm)

写真

通称等

標高

備考
井戸神社境内 1160 井戸神社のカツラ 330

多賀向之倉集落

神崎川右岸 690 愛前かつら 720 鈴鹿の上高地
柔らかく加工しやすいので彫刻材に適する。香りがよく、葉は抹香の原料に。

 

ヤマザクラ (バラ科 サクラ属)

場所

幹周(cm)

写真

通称等

標高

備考
大谷 202  

625

八風渓谷
重く狂いが少ない。鴨居、敷居、床材に適す。楽器にも使われる。
チップは燻製にも使える。

 

アズキナシ (バラ科 ナナカマド属)

場所

幹周(cm) 写真 通称等 標高 備考
御池岳県境尾根

207

逆さぼうき 1145  
 

 

キハダ (ミカン科 キハダ属)

場所

幹周(cm)

写真

通称等

標高

備考
奥ノ平北斜面

336

  1160 御池岳
 キハダの池 290   965 御池岳
山東池南南西

280
(地上80)

  1220 御池岳
山東池南南東

264

  1220 御池岳
 お花池東 235   1150 御池岳
内樹皮はまっ黄色で苦い。健胃整腸剤や染料になる。
家具や器具の用途もある。

 

カエデ (カエデ科 カエデ属)

場所

幹周(cm)

写真

通称等

標高

備考
ゴロ谷源頭

300

  1000 御池岳
イタヤカエデ
杉峠西

294

 

970

千種街道
オオイタヤメイゲツ
向山鉱山跡上 270
(地上90)
  810 千種街道
オオモミジ
鈴北岳北斜面

238
(地上80)

  1100 御池岳
イタヤカエデ
向山鉱山跡 228   800 千種街道
オオモミジ
フローリング、家具、昔のスキー、土木、船舶、楽器工芸。独特の光沢

 

トチノキ (トチノキ科 トチノキ属)

場所

幹周(cm)

写真

通称等

標高

備考
コグルミ谷左岸 513 ホッタテの主   御池岳
冷川谷左岸

470

  880 白船峠東
小峠分岐東 338
(地上90)
  830 千種街道
茨川集落   560 茶屋川
神崎川右岸 297   750 千種街道
腐りやすいので建材としてはあまり利用されない。
加工は容易で盆、椀など漆器素地に使われる。その他雑多な日用品に使われる。

 

 

シナノキ (シナノキ科 シナノキ属)

場所

幹周(cm)

写真

通称等

標高

備考
杉峠西

326

  880 千種街道
登山道北
杉峠西直下

302

とっくりの木 1030 千種街道
イブネ北端西

252

  1130 イブネ
コグルミ谷左岸

250

    御池岳
樹皮が丈夫で、昔は布、綱などに利用。
塗装の乗りが良いので、かつてテレビ・ステレオの外装にもなった。
現在はパルプ材、合板、マッチ、割り箸など

 

 

モミ (マツ科 モミ属)

場所

幹周(cm)

写真

通称等

標高

備考
大谷支流北谷 366   450 八風渓谷
福王山南西

348

  430 東海自然歩道
太尾長池西

約320

  720 竜ヶ岳 西
福王山西 284   405 東海自然歩道
福王山西 273   400 東海自然歩道
縁起でもないが棺材、卒塔婆などで有名。材が白色で清浄な感しを与えることによる。

 

ス ギ (スギ科 スギ属)

場所

幹周(cm)

写真

通称等

標高

備考
野登山三角点南斜面 910

842
(地上60)

  785  
野登寺庫裏西 712
(地上110)
母の杉? 815  
向山鉱山跡上 480
(地上50)
夫婦杉 800 千種街道
根ノ平峠西 431 神杉 780 千種街道
いわずと知れた建築材の代表で、大量に植林されている。材は芳香がある。
安い外材に押され、放置された植林がスギ花粉症や斜面の崩壊という問題を引き起こしている。

 

@ 巨木の定義として環境省は幹周300cm以上としているが、鈴鹿に適用するとブナが全滅に近くなる。ここでは200cm以上としたい
A 当サイトは山のHPなので里の木は含まない。標高300m以上にある樹木を対象とする
B 掲載した木は管理人が自分の目で確認、撮影したものである
C 幹周は環境省に準じて地上1.3mで計測する。ただし同省の 「地上から130センチの位置において、幹が複数に分かれている場合には、個々の幹の幹周りを測定し、それらを合計する」 という方法は数学的に間違っているので採用しない。当サイトでは地上130cm以下でも、分岐する以前の位置で採寸する。その場合( )内に測定地上高記入
D 巻尺を買ったので、おいおい計測していこうと思う。確定した数字は太字とする
E 杉の巨木については上位が野登山に集中するので、同山のものは2本だけにとどめる
F 幹周は少し測定高がずれるだけで値が大きく変わる。成長もするだろう。絶対値ではなく目安と思われたい
G 愛称は元からあるもの以外、管理人が勝手に付けているだけで他意はない